ダイハツMAX R(4AT)【ブリーフテスト】
ダイハツMAX R(2WD/4AT) 2001.12.20 試乗記 ……139.0万円 総合評価……★★★★ハッピーコンパクト
「君の瞳に恋してる」を使ったTVコマーシャルが、一部視聴者にグッと訴えるダイハツの新型軽。恋するにはちょっとツリ目にすぎる(?)MAXは、「軽・快・新スペース」コンセプトって、つまりムーブより低くて、ミラより高いってこと。「全高は、ほとんどのタワーパーキングの駐車が可能な1550mmに設定し」(プレス資料)って、いまごろ言われても……。
5ドアボディは、ハッチゲイトを地面から垂直に近く切り立たせてスペースユーティリティを追求、リアドアの切りかきも可能な限り後まで食い込ませて乗降性を向上させる、といった工夫が見られる。リアビューの“なんちゃってアルファ”調はご愛敬。
3気筒ターボの「R」は、速いゾ。3000rpm付近から「ヒーン」というタービン音とともに、チカラモリモリ、870kgのボディ、カッ飛ぶ。「スポーティチューンドサスペンション」が謳われる足まわりは街なかでは硬めだが、まァ、このエンジンを積むのだから……。古典派クルマ好きにはたまらない痛快な加速感。信号から300mにすべてをかける、チョコザイな、しかしあなどれないタウンギャングだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2001年11月1日発売、一時期はやった背高ワゴンから一転、立体駐車場に収まる全高で使い勝手を重視した軽自動車だ。エンジンは3種類をラインナップ。ベーシックな660cc3気筒NA(58ps、6.5kgm)と、スポーティモデル用の660cc3気筒ターボ(64ps、10.9kgm)、660cc4気筒ターボ(64ps、10.2kgm)を用意する。トランスミッションは、5段MT、シフターを上下することでマニュアル操作もできる4段AT、フロアシフトの4段AT、そしてCVT。駆動方式は、前輪駆動とフルタイム4WD、スポーティグレード「RS」用パートタイム4WD「サイバー4WDシステム」が設定される。グレードは、カジュアルモデルな「L」「X」と、スポーティな「R」「RS」の4種。トリムレベルも含めれば、12種類ものバリエーションを誇る。
(グレード概要)
「R」は、3気筒ターボを搭載するスポーティグレード。エンジン出力は、64ps/6400rpmと10.9kgm/3600rpm。一方、上級グレードたる「RS」の4気筒ターボは64ps/6000rpmと10.2kgm/3200rpmだから、アウトプットでは負けていない。両者の差異は、リアコンビランプが、RSがホワイトスモーク、Rがレッドとなること。ホイールは、RSが15インチ、Rが14インチ。機関上は、RSにフロントLSDが装備され、Rには装備されないのが大きい。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
「テレスコピック&チルトステアリングホイール、を軽自動車で初めて採用」(L、Lリミテッドを除く)したのがジマン。流行の兆しを見せるインパネシフトは、スペースの制約が大きい軽にはありがたかろう。MAXでは、パーキングブレーキを足踏み式にして、フロントシートをベンチシート風にした(AT車)。ただ、カップルでいちゃつくにはイイが、フロアコンソールがないとモノ入れがなくて不便。厚さ3cmのドアポケットだけでは……。
(前席)……★★★
地上580mmと着座位置やや高めのフロントシート。サイドウォークスルーが可能なので、ドライバーが歩道側から車外に出るのもラクだ。ベンチ風ながら、もちろん座面、背もたれとも乗員用にくぼんでいて、見かけよりホールド感がある。なかなかの座り心地。しっかりしたヘッドレストも好感。問題は(というほどでもないのだが)、スポーティモデルにもかかわらず、左足のフットレストがないこと。なんか、左足がスカスカするんだよね。
(後席)……★★★
前席同様、微妙なくぼみ方が座り心地に好影響を与えるリアシート。車検上も4人乗りとして、後席を2人用と割り切っているところが立派だ。足もと、頭上とも、空間に不満はない。バックレストは、ダブルフォールディング可能な分割可倒式で、かつリクライニングできる。なお、座面下には「リアシートアンダーボックス」と呼ばれる収納部あり。カタログには靴が入れられているが、「土禁」ってことか? もしくは、ドライビングシューズに履きかえる?
(荷室)……★★★
床面最大幅120cm、奥行き45cm、天井までの高さ80cm。日常使用にターゲットを絞った広さ、というか狭さ。とはいえ、リアシート背もたれを倒すと、ラゲッジフロアと面イチに荷室を拡大、120cm超の長尺モノも搭載できる。床下には、もちろんサブトランクあり。「ラゲッジアンダーボックス」と名付けられ、5cm弱の深さをもつ。それはともかく、向かって左側の壁から生える燃料パイプがやや邪魔。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
3000rpmを超えると、ステアリングが取られんばかりのパワーを見せる0.66リッターターボ。3気筒独特のビートを打って、タービン音も勇ましい。ヒャンヒャン回る元気なエンジン。が、出足のわりに加速がのびないのは、小排気量の哀しさ。買い物ユースには、ちょっと過剰なキャラクターかも。一方、「平成12年基準排出ガス50%低減レベル」を実現。4段ATは、シーケンシャルモード付きのジグザグゲート。でも、こまめなギアチェンジが必要な際にはシフターをマニュアルモードに入れるから、ゲートをジグザグにする必要はなかったのでは? オートマチック自体のターボユニットとのマッチングはいい。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
MAXのスポーティ系「R」と「RS」には、フロントにサスペンションアームをスムーズに動かすことをねらった「カーブドオフセットスプリング」が採用された。ダンパーに専用チューンを施されたスポーティサスゆえ、乗り心地は硬め。軽々しさがないともいえる。ハンドリングはシュアで、峠でターボバンに入れて走ると楽しいのだけれど、タックイン時にリアタイヤがトトトンッとたたらを踏むのが気になる。以前、ダイハツ・シャレードに乗ったときも同じで、そのときは「汎用タイヤのせいか?」と思ったが、今回はポテンザ。リアサスは、コンベンショナルなトーションビームだが・・・・・・。MAX、コーナリングで見得を切ってどうする。
(写真=清水健太)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年11月29日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:1691km
タイヤ:(前)165/55/R14 72V(後)同じ(いずれもブリヂストンPotenza RE030)
オプション装備:SRSサイドエアバッグ(3.5万円)/EBD+ブレーキアシスト付きABS(3.5万円)/カロッツェリアCD/MDサウンドMAXシステム(6.0万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:241.6km
使用燃料:21.8リッター
参考燃費:11.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
日産エクストレイルNISMOアドバンストパッケージe-4ORCE(4WD)【試乗記】 2025.12.3 「日産エクストレイル」に追加設定された「NISMO」は、専用のアイテムでコーディネートしたスポーティーな内外装と、レース由来の技術を用いて磨きをかけたホットな走りがセリングポイント。モータースポーツ直系ブランドが手がけた走りの印象を報告する。
-
アウディA6アバントe-tronパフォーマンス(RWD)【試乗記】 2025.12.2 「アウディA6アバントe-tron」は最新の電気自動車専用プラットフォームに大容量の駆動用バッテリーを搭載し、700km超の航続可能距離をうたう新時代のステーションワゴンだ。300km余りをドライブし、最新の充電設備を利用した印象をリポートする。
-
ドゥカティXディアベルV4(6MT)【レビュー】 2025.12.1 ドゥカティから新型クルーザー「XディアベルV4」が登場。スーパースポーツ由来のV4エンジンを得たボローニャの“悪魔(DIAVEL)”は、いかなるマシンに仕上がっているのか? スポーティーで優雅でフレンドリーな、多面的な魅力をリポートする。
-
ランボルギーニ・テメラリオ(4WD/8AT)【試乗記】 2025.11.29 「ランボルギーニ・テメラリオ」に試乗。建て付けとしては「ウラカン」の後継ということになるが、アクセルを踏み込んでみれば、そういう枠組みを大きく超えた存在であることが即座に分かる。ランボルギーニが切り開いた未来は、これまで誰も見たことのない世界だ。
-
アルピーヌA110アニバーサリー/A110 GTS/A110 R70【試乗記】 2025.11.27 ライトウェイトスポーツカーの金字塔である「アルピーヌA110」の生産終了が発表された。残された時間が短ければ、台数(生産枠)も少ない。記事を読み終えた方は、金策に走るなり、奥方を説き伏せるなりと、速やかに行動していただければ幸いである。
-
NEW
トヨタ・アクアZ(FF/CVT)【試乗記】
2025.12.6試乗記マイナーチェンジした「トヨタ・アクア」はフロントデザインがガラリと変わり、“小さなプリウス風”に生まれ変わった。機能や装備面も強化され、まさにトヨタらしいかゆいところに手が届く進化を遂げている。最上級グレード「Z」の仕上がりをリポートする。 -
NEW
レクサスLFAコンセプト
2025.12.5画像・写真トヨタ自動車が、BEVスポーツカーの新たなコンセプトモデル「レクサスLFAコンセプト」を世界初公開。2025年12月5日に開催された発表会での、展示車両の姿を写真で紹介する。 -
NEW
トヨタGR GT/GR GT3
2025.12.5画像・写真2025年12月5日、TOYOTA GAZOO Racingが開発を進める新型スーパースポーツモデル「GR GT」と、同モデルをベースとする競技用マシン「GR GT3」が世界初公開された。発表会場における展示車両の外装・内装を写真で紹介する。 -
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット―
2025.12.5デイリーコラムハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。 -
「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」の会場から
2025.12.4画像・写真ホンダ車用のカスタムパーツ「Modulo(モデューロ)」を手がけるホンダアクセスと、「無限」を展開するM-TECが、ホンダファン向けのイベント「Modulo 無限 THANKS DAY 2025」を開催。熱気に包まれた会場の様子を写真で紹介する。 -
「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」の会場より
2025.12.4画像・写真ソフト99コーポレーションが、完全招待制のオーナーミーティング「くるままていらいふ カーオーナーミーティングin芝公園」を初開催。会場には新旧50台の名車とクルマ愛にあふれたオーナーが集った。イベントの様子を写真で紹介する。






























