メルセデスベンツ・ウニモグU300(24AT)【試乗記】
『時速100メートルのトライアルバイク』 2000.10.18 試乗記 メルセデスベンツ・ウニモグU300(SWB) ……約1600.0万円 記者としてクルマにかかわること27年。二玄社の古株テスター道田宣和が、スリーポインテッドスターの「万能機械」に乗ってきた。多目的動力装置
世間は広い。フェラーリやポルシェならまだしも、ほんらい仕事のための高価な「装置」を純粋に個人の楽しみのために買うお金持ちがこの日本にもいる。いまはさすがに年間ひとりかふたりに減ったが、バブル絶頂期には10人近くもいたという。
「装置」の名は、メルセデスのウニモグ。高速道路の路肩で草刈りをしているずんぐりむっくりの黄色いクルマといえば、「ああ、アレね」と思い出す向きも多かろう。
「UNIMOG」すなわち「UNIversal MOtor Geräte=多目的動力装置」と呼ばれるこのクルマ、たしかに機械好きには堪えられないカラクリのかたまりだ。一言でいうなら、ヘビーデューティの4WDを基本に、豊富な作業機(アタッチメント)を用意し、さまざまな作業に対応した万能機械、とでもいえようか。
アタッチメントの数は、メルセデス純正と社外の認証品だけで3000種類。ほかにも正確には掴みきれないほどのサプライヤーが存在するとあって、守備範囲はほとんど無限の広さだ。たとえば除雪作業ひとつとっても、スノープラウありロータリー式ありスイーパーありの多様さである。なかでも道路の維持管理、土木建築、農業が得意な分野だが、むろん特装車のベースとしても格好の素材であり、消防車、軌陸車(レールカー)など、応用例は多い。
シフトは足で
かくいう小生もかつて「アーバン・ウニモグ」と名づけられたモデルを多摩川の河原で試して以来、底知れぬ実力に魅せられたひとりである。時速100m(!)も可能な常識破りのリダクションと、まるでトライアルバイクさながらの踏破力を前にすると、なんでもできそうな気がするからだ。
実際、本拠のドイツ・ガゲナウ工場脇にあるゲレンデで腰より高い段差をらくらくとクリアし、そのまま斜めになって走るのを見た時には驚いた。
そのウニモグが約20年ぶりにモデルチェンジし、格段にモダーンになって登場した。
この日、輸入元のヤナセ関連会社、ウエスタン・コーポレーションのデポで乗った新型ウニモグU300は、作業性改善の目的で全高が2.83mにもなり、ダッシュボードは低く、巨大なスクリーンを通して見下ろす視界はまるでヘリコプターのそれだった。
以前はシャシーの捩じれを利用して悪路走破性を高めていたが、反面コーナリング時のスタビリティーが低かった。そのため、新型ではリアのサスペンション形式を変更した。
確かに、グニャついた動きとロールが減ったのは短時間の試乗でも明らかだった。
電子制御が本格的に採り入れられたことも特徴のひとつ。マニュアル24段(8×3段。リバースは6×3段)のギアボックスはセミオートマチック化された。ところが、変速の仕方が乗用車とは逆で、手を使わず足だけを使う。つまり、機械が奨める「ギア」に同意するならクラッチを踏むだけでOKなのだ。これが慣れないとあんがい難しい。へたに考え込んで迷ったりするからだ。
とまあ、ついついドライビングインプレッションになりがちだが、むろん「装置」としてのレベルアップも格段に進んでいる。
(文=別冊編集室 道田宣和/写真=河野敦樹/テスト日=2000年9月21日)

道田 宣和
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