MINI ONE(5MT)【試乗記】
小型車の新しい基準 2002.08.15 試乗記 MINI ONE(5MT)日本での正式リリースを前にした2002年1月22日、新しい「MINI」の試乗会が東京は神宮外苑で開催された。『Car Graphic』で同車の長期テストを担当する小林彰太郎が、気になる新型をインプレッション。『webCG』スタッフが同行した。
会員コンテンツ「Contributions」より再録。
3月2日は「MINIの日」
まったく新しいBMW製のMINIが、2002年3月2日"ミニの日"を期して、いよいよ日本市場に登場する。当面発売されるのは、ベイシックな「MINI ONE」(5MT、195.0万円)、エンジンと足回りを軽くチューンした「MINI Cooper」(5MT、225.0万円)の2車種である。今回MINI ONEの試乗会が、東京は青山の神宮外苑をベースに開かれた。スタイリングは明らかにオリジナルミニを想わせるが、サイズは一回り以上大きい。3626mmの全長はともかく、車幅は1688mmもある(初代ミニは3050mm×1400mm)。
ブリティッシュレーシンググリーンの1台を選ぶと、われわれ3人はさっそく乗り込む。前席バックレストを調節レバーで前倒すれば、後席への出入りはさほどむずかしくない。身長175cmの筆者の後ろに自分自身が坐ると、ひざの前に拳ひとつ以上の余裕があった。インテリアの第一印象は、少々斬新奇抜に思えたが、実はよく考えられた機能的なデザインである。元のミニでは、水平に近いステアリングを抱え込む、特有の運転姿勢を強いられた。ところが新型では、なんと運転席にハイトアジャスターが備わり、ステアリングコラムもチルトが調整できる。メタリック塗装のダッシュ中央には、これもオリジナルを想わせる、大径の速度計が配置される。全体に高いMINIの品質感は、もっと上級のBMWに比べてなんら遜色ない。
MINIのトランスミッションは5MTが標準で、別にまったく新しいZF製のステップトロニック付CVTが、10万円のオプションで選べる。試乗車は5MTだった。横置き4気筒1598cc(85.8×77mm)エンジンは、一見平凡なSOHC16バルブで、出力は90ps/5500rpm、最大トルクは14.3mkg/3000rpmに過ぎない。だが、トルク特性はきわめてフレキシブルで、しかも全域にわたってスムーズ、かつ静粛である。ブロックは、低騒音、低振動を狙った頑丈な鋳鉄製で、アルミ製ヘッドの16バルブは、油圧タペットと、ローラーベアリングを奢ったロッカーアームを介して静粛に作動する。
だが上まで引っ張ると、かすかに旧ミニのBMC Aタイプユニットを想わせる、スポーティーなエグゾーストノートが聞こえた。クラッチは軽く、つながりはごくスムーズだから、マニュアルギアボックスの初心者にも、発進時にストールさせる口実を与えない。シフトレバーのストロークは小さく、操作は気持ちよいので、街なかでの頻繁なチェンジもさほど気にならない。
高度な電子制御を装備
エンジンの柔軟性は実に驚くべきであり、4速のまま、40km/h(約1400rpm)を保って無理なく走行できた。その秘密は、シーメンス社製の「パワートレインコントローラー」にあるらしい。これは一種のトータルマネージメントシステムで、「E-ガス」と呼ばれるスロットルペダルの電子制御も、その重要な構成部分である。E-ガスは高度の「ドライブバイワイア」で、ドライバーがアクセルを踏み込む動作は直接コントローラーに伝達され、その時点の作動状態に見合う、理想的な燃料量を瞬時に計算してエンジンに供給する。また常にエンジントルクをモニターし、もし必要なトルクが最大トルク未満の場合には、点火時期を遅らせて過度なトルクの発生を抑える。
開放感に満ちたドアボディの剛性は非常に高い印象を受けた。シャシー設計も、このサイズ/価格の車としてはきわめて高度で贅沢である。サスペンションは前ストラット、後はBMW流マルチリンクで、適度なホイールストロークを持ち、硬めながら快適な乗り心地を提供する。ブレーキは4輪ディスクで、前はベンチレーテッドが奢られている。ブレーキの利き味はリニアでスムーズ、重量級のクルマのように安定している。
ラック&ピニオンステアリングは、ロックトゥロック2.5回転で、電子制御の小型電動モーターによるパワーアシストを備える。このアシストは、例えば直進時にはスタンバイしており、コーナーなどで必要になると作動し、燃費を節約する。ステアリングレスポンスはミニの伝統に忠実であり、俊敏で気持ちよい。高速時のハンドリングについては、この日の短いテストでは確認できなかったが、高水準にあることだけは間違いない。このほか、前後ブレーキ圧配分を荷重状態に応じて常時調節するEBD、X字型配管ブレーキの4センサーABS、コーナリングブレーキコントロールCBCなど、高度な電子制御装置を標準装備するMINIは、小型車の世界にアクティブセイフティと、高い品質感の新しい基準を確立したということができる。
なお『Car Graphic』では、近くMINI Cooper(CVT)を長期テスト車に購入、小林彰太郎が担当するので期待されたし。
(文=小林彰太郎/写真=清水健太/2002年1月)

小林 彰太郎
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