フォード・エクスプローラー エディバウアー(5AT)【ブリーフテスト】
フォード・エクスプローラー エディバウアー(5AT) 2001.10.16 試乗記 ……452.0万円 総合評価……★★★★自分達が欲しいものをつくる
フォード・エクスプローラーは、2000年度約44万5000台強を販売した。2位のグランドチェロキーは27万2000台、3位のブレーザーは22万6000台であるから、圧倒的な支持率を誇る。原型は1990年のデビューで、以来ずーっとこのSUVクラストップの座を堅持している。そのコンセプトを継続しながら、まったく新しく生まれ変わった新型が、2001年モデルとして日本にも登場した。
ホイールベース50mm延長、全幅25mm拡大したものの、ほぼ同じサイズを維持しつつ、ステップを低く、ドア開口部を広く、と使いやすく細部にわたって改善された。ボディ剛性強化やサスペンションの改良により、静粛性を上げ、乗り心地を快適なものにし、走行性はよりリファインされた。
エクスプローラーは、ネクタイを着用し正装のまま、泥道雪道なんのその、ロッククライミングから山越え川渡りもこなし、涼しい顔をしてホテルの式場へ乗りつけ、ケーキを届ける、なんてことはオチャノコの、幅広い用途をこなす本当の多目的実力車だ。新型はより乗用車的に洗練されたものの、潜在する走破能力は以前にも増して強化されている。
今でいうSUVの可能性に、いち早く着眼したオリジナリティといい、細部にわたる親切設計など、やはり売れる車にはそれなりの理由が認められる。コスト低減に躍起になる日本車にはみられない、自分達が欲しいものをつくるという姿勢が伺える。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1990年に初代が発売されたフォードのSUV(Sports Utility Vehicle)。フォードがいう「SUVのパイオニア的存在」。10年以上連続して全米で最も売れたSUVという実績を持つ。現行は2001年10月から発売されたモデル。前モデルと同じ4リッターV6SOHC(213ps、35.1kgm)を積む「XLT」と、新開発の4.6リッターV8SOHC(242ps、39.0kgm)を積む「エディーバウアー」がラインナップされる。新開発の5段ATが組み合わされ、パワートレイン電子制御(PTEC)によって、エンジンと共に制御される。足まわりは、フロントサスペンションが新設計の「ショート&ロングアーム」ことダブルウィッシュボーン、リアは独立式となり、同じくショート&ロングアーム式。スプリングはリーフリジットからコイルスプリングとなった。
(グレード概要)
「XLT」(382.0万円)と「エディーバウアー」(452.0万円)の2種で、搭載エンジンにより区別される。いずれも右ハンドルのみの設定。「エディーバウアー」は本革シートで、運転席はシートポジションメモリー機能とヒーターが備わる。また本革巻きステアリングには、オーディオとエアコンをコントロールできるスイッチが付く。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
奇をてらった新しさはないが、スタンダードな手法の落ちつきが感じられる。見れば判る式の常識的な位置に、当たり前の扱いで作動するスイッチやコントロール類が配置される。あっさりと見た目にも厭味のないデザインは、押しつけがましい偏った趣味がなく上品である。前方の眺めとしては、唯一ドアミラーのボディ側下方斜め後方に三角の死角があり、後輪付近が見えない。これは夜間に足元を照らすアプローチランプが内蔵された部分なので、あまり文句も言えないが、処理の仕方に再考の余地あり。
(前席)……★★★
パンチホール処理の革シートは、汗ばみやすい日本の夏にも涼しげに見える。電動式の6ウェイパワーシートは好みのポジションをつくりだせる。エディバウアー仕様はシートヒーターも付く。アメリカ車のシートと言えば、いい加減に調整してもルーズな座り方に耐え、体勢を崩したり頻繁に座りなおしたりすることも多いが、これはきっちり座ればいつまでもそのまま居られるタイプだ。ドリンクホルダーや小物入れなど、便利な細工も周辺に完備する。
(後席)……★★★
折り畳めるシートとしては、クッションの厚みもあり、はっきり分けた3人のための快適といっていい環境下にある。圧巻はその折り畳み方だ。支点付近にあるレバーを引けば、軽々と持ち上がって2つに折れ、そのまま立ち上がって前席のシートバックに寄せられてしまう。これは最後部の3列目に乗り込むにも、広く開いて簡単便利だ。ここにまでガス入りストラットを使うというアイディアは、エクスプローラーが最初の例だろう。脚部分の剛性もしっかりしており、ガタつくような華奢な面はない。
(荷室)……★★★★
リアゲートは上下に2分割して開く。上部はガラスハッチだが、ライセンスランプの横にあるプッシュボタンを押すことにより簡単に開く。そしてガラスだけでは不安もある、と言う人には朗報で、これはちゃんと枠が裏打ちされ、さらに下方のロック部分は金属パネルとなっている。この利点は開口部がより下まで開いて荷物の出し入れに便利。通常の荷物室は3列目シートにより制限されるものの、それでもかなりのスペースが残される。3列目シートは2名乗車が可能で、総計7名乗車となる。折り畳みはこれも簡単でフロアはフラットとなり、ゲート全体を開ければ、バンパー高から続いて荷物の出し入れの時、段差を生じない。ゲートは雨の日には屋根になる角度が選ばれている。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
エンジンは4リッターV6と、4.6リッターV8の2種が用意される。V8エンジンは新しくなり242ps/4750rpmと39.0kgm/4000rpmを発生する。V6はこれまでのものの改良型で、213ps/5100rpmと35.1kgm/3700rpm。ATは両エンジン共に5段ATと組み合わされる。これはリンカーンLSなどにも採用されているもので、5段化によりワイドレンジをカバーするが、細分化されたギアレシオは非常にクロースしたもので、特に1速から2速へのステップアップ比は1.34と小さく、まるで1速の加速感がそのまま2速の速度域まで持続するような、落差のないスムーズな繋がりをみせる。新しいV8の軽量化も見逃せないところで、V8はエディバウアー仕様と装備もより充実しているが、全体の総重量は2070kgと、V6仕様と同じである。
駆動系はこれまでのものの踏襲で、「コントロールトラックAWD」と呼ばれる4輪駆動システムをとる。センターデフは持たず、電子制御の多板クラッチを用いる、オートと4WDのHとLの3ポジションをボタンで選ぶことができる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
サスペンション関係では、リアに独立懸架(IRS)が採用されたことが新しい。まず骨格のシャシーフレームはC断面から箱断面形状になり、大幅に剛性を上げた。そして各ピラー内部にまで遮音材を入れたことなどにより、静粛で微振動の少ない乗り心地が得られている。独立懸架のメリットは言うまでもなく、車軸が左右一体に結ばれていないので、左右で位相差のある凸凹に対して、入力が影響されないために、横揺れが格段に少なくなった。
操縦安定性の面でも4輪独立懸架の効果は大きく、バネ下の余計な動きが軽減され、乗用車的な洗練を増した。もはやトラック的なドタバタした感覚はなく、荒れた路面での接地性よく跳ねない。IRS化によりリアトレッドも広げられ、コーナーアプローチでの操舵が楽になった。これはアンダーステア(曲がりにくさ)が軽減されたことによる。
新型エクスプローラーは、旧型の良い面のイメージを残しており、実質面は大幅に洗練度を増した。これも長期にわたるベストセラーゆえの資質(不具合箇所に順次改良を加えて玉成させていく)と言えるだろうか。
(写真=阿部ちひろ)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2001年8月25日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:−−
タイヤ:(前)245/70R16 106S/(後)同じ(いずれもGoodYear Wranler AP)
オプション装備:−−
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(7):高速道路(2):オフロード(1)
テスト距離:−−
使用燃料:−−
参考燃費:−−

笹目 二朗
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