ランドローバー・レンジローバー イヴォーク プレステージ(4WD/6AT)【ブリーフテスト】
ランドローバー・レンジローバー イヴォーク プレステージ(4WD/6AT) 2012.04.24 試乗記 ……634万円総合評価……★★★★★
シャープな顔つきが印象的なランドローバーの新型車「レンジローバー イヴォーク」。豪華仕様の「プレステージ」でその使い勝手と走りを試した。
見た目も走りもキレがある
高校時代のクラスメイトが電話をかけてきた。同窓会以来だから6、7年ぶりだろうか。あいさつもそこそこに、「イヴォークが欲しいんだけど、どう思う?」と彼。私は「今度乗るから、もう少し待ってて」と電話を切った。
「フリーランダー3」ではなく、レンジローバーの末弟として誕生した「イヴォーク」。その選択は正解だった。サイズはともあれ、「レンジローバーヴォーグ」のオーナーが見ても納得のいくクオリティーを狙ったというイヴォークは、大胆なデザインと繊細なつくりが強烈な個性として表現され、強い存在感を示している。走りっぷりもスポーティーなイメージを裏切らない。ダウンサイジングにより、2リッター直列4気筒直噴ターボを積むのも、いまの時代にマッチしている。なにより私はこのスタイリングに打ちのめされてしまった。
というわけで、イヴォークを試乗してすぐに、クラスメイトにメッセージを送った。「イヴォークに乗ってきた。これ、いいよ!」と。「プレステージを買うならアダプティブダイナミクスはつけておいたほうがいいぞ」というアドバイスも加えておいた。
世界的に人気の高いモデルだけに、需要が供給を上まわり、納車までには少し時間がかかるようだが、待つ価値は十分にある。しばらくして日本の街で目にするようになれば、ますます人気が高まりそうだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「レンジローバー イヴォーク」は2010年のパリサロンでデビュー。レンジローバーシリーズで最もコンパクトなモデルだ。日本では2011年の東京モーターショーで発表され、2012年3月に販売が開始された。
5ドアの「イヴォーク」と3ドアの「イヴォーク クーペ」が用意され、ボディーサイズは全長×全幅×全高=4355×1900×1605mm(5ドアは全高が+30mm)。どちらも5人乗り。
エンジンは1種類で2リッター直4ターボを搭載。最高出力は240ps/5500rpm、最大トルクは34.7kgm/1750rpmを発生する。トランスミッションは6段AT。
(グレード概要)
グレードは、ベーシックな「ピュア」、ラグジュアリーな「プレステージ」、スポーティーな「ダイナミック」の3種類が用意される。5ドアのイヴォークには「ピュア」と「プレステージ」、3ドアのイヴォーク クーペは「ピュア」と「ダイナミック」が設定される。
今回テストしたプレステージは、エクステリアにアトラスのフロントグリルとサイドフェンダーブレード、サテンアルミニウムのウエストフィニッシャーを採用。キセノンヘッドランプ、19インチホイール、DVDナビゲーションシステム、オックスフォードレザーシート、フロントシートヒーターなどが標準で備わる。
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【車内&荷室】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
ドアを開けると、レザーとアルミがふんだんに使われたコックピットに目を奪われる。試乗車は、アイボリーとダークチェリーの2色のレザーが、シートとステアリングホイールだけでなく、ダッシュボードのトップやセンター部分におごられている。レザーに施されるダブルステッチとあいまって、とても上質な雰囲気に仕上がっている。
「プレステージ」はエントリーグレードの「ピュア」より128万円高いが、フルレザーインテリアをはじめ、ナビゲーションシステムやサラウンド・サウンドシステムなどが標準装着されることを考えると、一概に高いとはいえないと思う。
センタークラスターのデザインはシンプルで、パネルの質感も高い。アルミパネルは植物系のデザインが施されるが、もちろんヘアラインや幾何学模様など、好みにあわせて選べる。メーターはアナログ2眼タイプで、通常はスケール部分にホワイトのイルミネーションがともるが、「テレインレスポンス」でダイナミックを選ぶとレッドに光る。
(前席)……★★★★
運転席に座ると、傾斜したセンタークラスターが独特の雰囲気をつくり出している。プレステージには、レザーのパワーシートが標準で装着される。大きめのサイドサポートがしっかりと体を支えてくれるが、窮屈な感じはない。
セダンよりも少し高いアイポイントのおかげで前方の視界は良いが、大型のドアミラーが斜め前方の視界の邪魔に。また、天地方向に狭いリアウィンドウやDピラーにより後方の視界もあまり良くない。それだけに、フロント(左右)、ドアミラー(左右)、リアのカメラは重宝する。
最新のジャガーのように、エンジンを始動するとせり出してくる「ドライブセレクト・ロータリーシフター」も演出としては面白い。最初のうちは操作に戸惑うが、慣れれば快適に使えるのだろう。
(2列目シート)……★★★
後ろにむかってサイドウィンドウが狭まるデザインのため、後席のスペースはクーペ並みかと思いきや、意外に広い。身長168cmの私が運転席でシートをあわせてそのまま後席に乗り込むと、頭上には拳が縦にふたつ、膝の前には拳三つのスペースが確保されている。ただし、ちょうど足を置くあたりのフロアが前上がりに傾斜しているので、大人の脚には少し窮屈に思える。シート自体は適度に凸凹があり、座り心地も悪くない。オプションのパノラミックグラスルーフのもたらす開放感は、とても魅力的。
(荷室)……★★★
ボディーの全長が4355mmと短いだけに、ラゲッジスペースはさほど広くない。といっても、リアシートを起こした状態でも奥行きは80cmほど確保され、リアシートを倒せば140cm以上まで拡大が可能。幅は100〜120cm。地上から開口部までの高さは70cm強で、クロスオーバーとしては高くない。テールゲートにはオートマチックの開閉機構がつく。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★
パノラミックグラスルーフを装備したイヴォーク プレステージの車両重量は1780kg。セダンやハッチバックに比べると重量がかさむが、搭載されるエンジンは2リッターの直列4気筒。心細い? いや、いまどきの直噴ターボらしく、最高出力240ps、最大トルク34.7kgmのスペックを見れば不安はなくなるだろう。実際に走らせても、決して軽くはないイヴォークを素早く加速させるには十分な性能の持ち主で、低回転から5000rpmあたりまでは勢いよく吹け上がる印象だ。ただし、基本設計が同じという「フォード・エクスプローラー」のエンジンと比べると多少ターボラグが気になる。場合によっては6段オートマチックのシフトがもたつく場面があった。
燃費は10・15モード、JC08モードともに9.0km/リッターだが、高速などをおとなしく走ると13km/リッター台の数字がドライブコンピューターで確認できる。一方、ストップ・アンド・ゴーの多い都心では6km/リッターと、走行状況により燃費が倍近く変わってしまった。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
クロスオーバーとしては少しばかり硬めの乗り心地を示すイヴォーク。試乗車にはオプションの「アダプティブダイナミクス」が装着されており、電子制御ダンパーの「マグネライドダンパー」のおかげで、オプションの20インチタイヤとアルミホイールの組み合わせでもあまりドタバタしないのがいい。反面、テレインレスポンスでオンロードモードを選んで走るとボディーの揺れが気になることがある。この動きが抑えられると完璧なのだが……。
うれしいのはハンドリングが俊敏なところ。ワインディングロードではステアリング操作に素早く反応し、クルマが向きを変えていくのだ。イヴォークのドライブは、退屈とは無縁である。
(写真=郡大二郎)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2012年3月14日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2012年
テスト車の走行距離:3607km
タイヤ:(前)245/45R20(後)同じ(いずれも、ミシュランLATITUDE SPORT)
オプション装備:Dynamicテクノロジーパック(29万円:パノラミックグラスルーフ、キーレスエントリー、アダプティブキセノンヘッドランプ、パワーテールゲート、コールドクライメイトパック、ステアリングホイールヒーター)、アダプティブダイナミクス(13万円)、20インチアロイホイール スタイル6(7万円)、プレミアムメタリックペイント(4万円)、ボタニカルアルミニウムトリムフィニッシャー(3万円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:高速道路(6):市街地(3):山岳路(1)
テスト距離:336.0km
使用燃料:36.22リッター
参考燃費:9.27km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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