【Movie】VWが北京ショーの前夜祭を開催
2012.04.23 自動車ニュース【Movie】フォルクスワーゲン、世界一派手な“前夜祭”を開催【北京モーターショー2012】
フォルクスワーゲン・グループは北京モーターショー開幕前日となる2012年4月22日の夜、出展車の一部を事前に披露する「フォルクスワーゲン・グループナイト」を、2008年の北京オリンピックで水泳競技の会場として使われた北京国家水泳センター「ウオーターキューブ(水立方)」で開催した。
■パリやフランクフルトも及ばぬ勢い
「成長に陰りが見え始めた」とか「バブル崩壊の足音が聞こえ始めている」などという声も聞こえ始めてはいるものの、自動車メーカーにとって、中国市場は依然として成長を支えるドル箱市場ならぬ“元”箱市場だ。2011年に816万台(前年比14.3%増)を販売し、ゼネラルモーターズ(GM)に次ぐ世界第2位メーカーに躍り出たフォルクスワーゲン・グループにとっても、中国はなくてはならない存在。2011年は225万台を販売し、単一市場としては同グループにとって最大のマーケットとなっている。
グループナイトのひな壇に立った各ブランドのCEOから発せられる言葉も、「2011年は前年比60%の販売増を達成」(ポルシェ)とか「中国が最量販市場」(ベントレー)などと、どれも景気のいい話ばかり。いつもよりも心なしか笑顔が多い彼らの顔には、「これからも稼がせてもらいますよ」といった無言のメッセージがあふれていたように感じたのは、気のせいではないだろう。
そんな好調ぶりが影響しているのか、それとも派手さを好む中国人プレスの気を引きたいのか、今回のグループナイトは、ジュネーブやパリ、フランクフルトショーの前日に行われているものよりもアトラクションが多彩で、見どころ満載の内容だった。ダンサーたちによるパフォーマンスはもちろんのこと、プールという会場の条件を生かしてシンクロナイズドスイミングなども披露され、かなりの経費が掛かっていた印象。“この程度”の出費なら簡単に回収できてしまうのが、今の中国市場の勢いなのだろう。
■飛躍を狙うランボルギーニ
グループナイトではフォルクスワーゲンをはじめ、多くのブランドが北京モーターショーに出展するニューモデルの一部を披露した。そのなかで一番の注目は、ランボルギーニが発表したSUVのコンセプトカー「ウルス」である。
まごうことなきランボルギーニに仕立てられたエクステリア、600ps(440kW)を誇るエンジン、ユニークな「フォージド・コンポジット」(高圧力をかけて成型する、鍛造製法によって作られたカーボン素材)を用いたインテリアなど、特筆すべき点はたくさんある。しかし、このモデルで注目すべき点は、平べったいスーパーカーばかりをラインナップし、それがブランドのアイデンティティーにもなっているランボルギーニがSUVカテゴリーに参入するという事実そのものであろう。
現在は同じフォルクスワーゲン・グループ内に収まったポルシェが「カイエン」で成功を収めた事例を鑑みれば、SUVをラインナップに加えることは、当然の成り行きかもしれない。ランボルギーニのステファン・ヴィンケルマン社長兼CEOは、「このクルマはコンセプトカーであり、市販するかどうかはまだ決まっていない」と発言したが、同社は数年内にも量産化し、年に3000台売る計画を持っていると見られる。ちなみに、ランボルギーニの2011年の総販売台数は1602台。つまり、この「ウルス」の投入により、現在の2倍近くまでビジネススケールを広げたい考えのようだ。
かつて自動車の頂点といえば、12気筒エンジンを抱いたパワートレインに、300km/hオーバーの最高速、ミドシップのシャシーレイアウト、空に高く開くウイングドアなどを有した華々しいスポーツカーだった。しかしカイエンの成功あたりから風向きが変わり、高級SUVの存在がそれに取って代わる、もしくは同等の地位に立つものとして成長してきた感がある。ウルスはまさにそういったトレンドを象徴するニューモデルに見える。
シンクロナイズドスイミングやカンフー調のパフォーマンスが繰り広げられるなか、フォルクスワーゲン・グループナイトには重要なメッセージが含まれていたような気がしてならない。
(文と写真=新井一樹)
■フォルクスワーゲン・グループナイト北京2012
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