新型「レンジローバー スポーツ」がデビュー【ニューヨークショー2013】
2013.04.03 自動車ニュース【ニューヨークショー2013】新型「レンジローバー スポーツ」がデビュー
ジャガー・ランドローバーはニューヨークモーターショー(会期:2013年3月27日〜4月7日)で、新型「レンジローバー スポーツ」を発表した。俳優のダニエル・クレイグが車両の披露を行うなど、会場は華やかな雰囲気に包まれた。
■よりクーペ的なフォルムに
舞台はニューヨーク。セレブリティーが続々と駆けつけるなど多くのゲストで賑(にぎ)わう会場が暗転すると、大きなスクリーンに新しいSUVがマンハッタンを駆け抜ける映像が映し出された。見れば、ステアリングを握るのは俳優のダニエル・クレイグ。おっと思っていると、その新しいSUVが映像の中から飛び出して、会場の中へと滑り込んできた……。
そんな演出でワールドプレミアが行われたのは、ランドローバーの新型「レンジローバー スポーツ」である。2005年にデビューし、これまで実に38万台以上を販売したレンジローバー スポーツにとって最大の市場と言えばアメリカ。中でも、実はここニューヨークが最大の販売台数を誇る都市だというから、新型のお披露目の場として、これ以上の所はないだろう。
そのエクステリアは、革新的な「レンジローバー イヴォーク」、そして正常進化と言える新型「レンジローバー」の、ちょうど中間を行く雰囲気を醸し出している。全長が62mm長くなったボディーは、傾斜を強めたフロントウィンドウに高いウエストライン、そして後方に向かってなだらかに傾斜していくルーフラインによって、従来よりもクーペ的なエレガンスが格段に高まった。一方、ホイールベースが178mm伸ばされたのに伴って前後オーバーハングが切り詰められ、全幅も55mm拡大されたことで、スタンスも一層スポーティーなものとなっている。
ボディーサイズをレンジローバーと比較すると、全長が149mm短く、全高は55mm低い。明らかに同じ血筋を感じさせつつ、実車を目の前にすると、明らかに別物の存在感を放つスタイリングは実に巧みだ。前後のライトまわりの処理なども含めて見れば、まとまりの良さ、あるいは凝縮感はレンジローバー以上かもしれないというのが筆者の率直な印象である。
しかし何より大きく変わったのは、その中身だ。今回、ワールドプレミアイベントが行われた日の昼間に参加した技術プレゼンテーションで知ったその進化ぶりは、まさに想像以上と言えた。
■オールアルミボディーを採用
まず大きいのは、ボディーだ。従来のレンジローバー スポーツは、「ディスカバリー3/4」と基本設計を同じくしていたが、新型ではレンジローバーと並行して開発された兄弟車の関係となっている。すなわちボディーはオールアルミ製とされ、車両重量は最大420kgの軽減を実現しているのである。これにより、V型6気筒ディーゼルモデルの車両重量は2115kgに抑えられている。
とはいえ、サスペンションのジオメトリーは低い車高と狙ったオンロード性能の高さに合わせて変更されているし、トランスファーもオフロード走行を強く意識した前後トルク配分50:50のローレンジ付きに加えて、初めて“単速”で基本前後トルク配分を42:58に設定したトルセンデファレンシャル式も設定された。これは軽量なのはもちろん、ドライビングダイナミクスの点でも、「ダイナミック・アクティブ・リア・ロッキング・デファレンシャル」や「トルクベクタリング・バイ・ブレーキング」の搭載と併せて、従来のレンジローバーの枠を超えるオンロード性能をもたらし得ると期待できる。
エンジンも、頂点に最高出力510psのV型8気筒5リッタースーパーチャージドをいただくほか、最高出力340psのV型6気筒3リッタースーパーチャージドを用意。将来的にはディーゼルハイブリッド、さらには直列4気筒2リッターターボも搭載されると予告されている。こちらは車重も2トンを切ると言われているから、興味が募るところである。
■日本導入は2013年末以降を予定
インテリアは、主にホイールベースの延長により後席スペースが拡大されているほか、オプションで5+2の7人乗りが設定されることにも注目したい。また、コックピットまわりではステアリングホイールの小径化が図られたほか、シフトセレクターがダイヤル式ではなくガングリップタイプとされるなど、スポーティーに演出されている。シフトパドルも備わるが、このシフトセレクター、シーケンシャルゲートの配置は手前に引いてシフトアップ、押し込んでシフトダウンという本当に走りのことを考えた配列となっているのがうれしい。
他にも、数々の先進安全装備、同ブランド初となるヘッドアップディスプレイの採用、スマートフォンとの連携機能など、めじろ押しとなる最新アイテムについて、とても、すべてを紹介する余裕はない。しかしながら今度のレンジローバー スポーツが、今まで以上に走り、特にオンロードでのそれを研ぎ澄ませたモデルであることは疑いようがない。あるいは、それではレンジローバーらしくないと言う人もいるかもしれないが、それについてはランドローバーのグローバル・ブランド・ディレクターであるジョン・エドワーズ氏の言葉を引用しておこう。
「SUV市場は年々拡大していて、今やトラックではなくドライバーズカーとして位置づけられるようになってきました。つまり広い室内や荷室、高い着座位置といった特徴に加えて、高いダイナミック性能も求められているのです。SUVの位置づけが変わってきて、従来のセダンのような存在になっているとも言えます。レンジローバー スポーツは今のSUVへのニーズに応えるモデルです。ですが付け加えておけば、新型のローレンジを持たないモデルでも、8速ATの搭載もあって、オフロード性能は従来モデルより向上しているんですよ」
ニューヨークモーターショーでのお披露目でも、まさに拍手喝采で迎えられた新型レンジローバー スポーツ。日本導入は今年の年末から来年の年始あたりと、まだ少し先になりそうだが、“史上最高のダイナミック性能を誇るレンジローバー”と豪語するその走り、早く試してみたいところである。
(文=島下泰久/写真=ジャガー・ランドローバー)
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