560psの「アウディR8 GTスパイダー」発売
2012.03.23 自動車ニュース560psのオープン「アウディR8 GTスパイダー」発売
アウディジャパンは2012年3月22日、ハイパフォーマンスなオープンモデル「R8 GTスパイダー」を10台限定で発売した。
■さらに軽く、パワフルに
2011年はアウディにとって記録ずくめの年となった。グローバルでの販売台数は史上初めて130万台を超え、ライバルのメルセデス・ベンツを下し、BMWにあと8万台と迫った。1999年より参戦しているルマン24時間レースでは通算10回目となる優勝を果たし、地元ドイツで開催されているDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)では通算8回目となるタイトルを獲得。まさに文句のつけようがない1年だった。
これ以外にも、アウディはひとつの栄冠を日本で勝ち取っている。GT3仕様の「アウディR8 LMS」がスーパー耐久シリーズに参戦し、ST-Xクラスでチャンピオンに輝いたのだ。今年は国内最高峰GTレースであるSUPER GTに戦いの場を移し、合計4台が参戦するというが、この参戦体制発表会の場で1台の特別な「R8」がスポットライトを浴びた。これこそ、日本でたった10台だけが販売される「アウディR8 GTスパイダー」である。
その名から想像されるとおり、「R8 GTスパイダー」は昨年7月に日本でも発売された「R8 GT」のコンバーチブル版である。
ベースとなったのは、もちろん「R8スパイダー」。ただし、コクピットの背後に搭載される5.2リッターV10エンジンは、スタンダードの525ps(386kW)から560ps(412kW)へとパワーアップ。トルクも530Nm(54.0kgm)から540Nm(55.1kgm)に強化された。トランスミッションは、シーケンシャル式の6段「Rトロニック」。結果、0-100km/h加速を実に3.8秒でこなし、最高速度は317km/hに達するスーパースポーツに仕上がった。
改良の手が加えられたのはエンジンばかりではない。クーペタイプの「R8 GT」同様、アウディがモータースポーツで得たノウハウを駆使し、軽量化も抜かりなく行われているのだ。中でも印象的なのは、高価なカーボンパーツがふんだんに使われている点。エクステリアではフロントスポイラー、カナード、大型リアスポイラー、ドアミラーがカーボン製とされた。この結果、スタンダードの「R8スパイダー」に対して実に85kgもの軽量化を実現したという。
いっぽうのインテリアでは、ドアアームレストやセンターコンソールなどの素材に同じくカーボンを採用。そのほか、バケットシート、ウインドスクリーンフレーム、ステアリング、ハンドブレーキレバーはアルカンターラで覆い、スポーティーななかにもラグジュアリーな雰囲気を醸し出している。
足まわりには、スプリングレートと減衰率をより高めたGT専用スポーツサスペンションを採用。これにより車高は約10mm低められた。また、ブレーキはカーボンファイバーセラミックディスクを標準装備。これだけでスチール製ディスクに比べて9kgもの軽量化を果たした。バネ下重量が軽減されることで、ロードホールディング性と乗り心地の両面についても改善されるものと思われる。さらに、6ピストン式のアルミニウム製フロントブレーキキャリパーにはレッドのアルマイト加工が施されており、その卓越したパフォーマンスを暗示している。
価格は、クローズドボディーの「R8 GT」(2742万円)より322万円高く、ベースモデルの「R8スパイダー」(2194万円)より870万円高い、3064万円。ボディーカラーはスズカグレー、スフィアブルー、ファントムブラックの3色が用意される。
販売台数は世界でたったの333台。先の「R8 GT」も同じく世界で333台が販売され、日本には5台が導入されたが、この5台は発売とほぼ同時に完売となったもよう。そこで「R8 GTスパイダー」はその倍にあたる10台が販売されることになったという。正式発売となった3月22日の段階では、残りはすでにわずかとのこと。気になった向きは早めに全国11店舗のアウディR8取扱店にコンタクトされることをお勧めする。
(文=大谷達也/Little Wing)