トヨタが新型ディーゼルエンジンの概要を発表

2015.06.22 自動車ニュース webCG 編集部
2.8リッター直4ディーゼルエンジンの「1GD-FTV」。
2.8リッター直4ディーゼルエンジンの「1GD-FTV」。
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トヨタが新型ディーゼルエンジンの概要を発表

トヨタ自動車は2015年6月19日、次世代ディーゼルエンジン群「GDエンジン」の概要を発表した。

「1GD-FTV」
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新形状の燃焼室と、シリカ強化多孔質陽極酸化膜のコーティングが採用されたピストン。
新形状の燃焼室と、シリカ強化多孔質陽極酸化膜のコーティングが採用されたピストン。
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コモンレール式燃料噴射システム。
コモンレール式燃料噴射システム。
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トヨタが内製した小型の可変ジオメトリーターボチャージャー。
トヨタが内製した小型の可変ジオメトリーターボチャージャー。 拡大
排出ガスを浄化する尿素SCRシステム。NOxを最大で99%還元することができる。
排出ガスを浄化する尿素SCRシステム。NOxを最大で99%還元することができる。
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「1GD-FTV」
「1GD-FTV」 拡大

■熱効率の改善により、燃費向上と低エミッション化を追求

GDエンジンとは、トヨタが既存の「KDエンジン」に代えて導入を進めている、新開発の直噴ディーゼルターボエンジンである。現段階では2015年5月にタイで発表された新型「ハイラックス」に、2.4リッター直4の「2GD-FTV」が、同年6月に日本で一部改良を受けた「ランドクルーザープラド」に、2.8リッター直4の「1GD-FTV」が採用されている。

具体的な改良点としては、エンジン本体に関しては、より空気を取り込みやすいポート形状とすることでポンピングロスを低減し、吸気効率を10%向上。新開発のピストンキャビティー(燃焼室)形状を採用するとともに、コモンレール式燃料噴射システムの噴射をさらに高圧化、高制御化したことにより、熱効率の向上と低エミッション化を実現したという。また燃料噴射システムについては、メイン噴射の前に外気の状態に合わせたパイロット噴射を行うことで、着火遅れ時間を短縮。さまざまな環境下において安定した燃焼を可能にしている。

このほかにも、国内仕様のエンジンでは、ピストン頂部に断熱性と放熱性に優れたシリカ強化多孔質陽極酸化膜のコーティングを採用。燃焼時の冷却損失を最大約30%低減させ、より熱効率を向上させている。

過給器にはトヨタ内製の可変ジオメトリーターボチャージャーが組み合わされる。従来のものより約30%小型としながらも、新開発のタービンを採用することで効率を改善。新形状のインペラによりアクセル操作に対するレスポンスを高めるとともに、幅広い回転域で最大トルクの維持を可能にしている。

これらの技術の採用により、GDエンジンは44%という最大熱効率を達成。KDエンジン比で燃費性能を最大で15%改善するとともに、排気量を下げながら、最大トルクを25%、低速トルクを11%向上させている。

また排出ガスの後処理のために、トヨタが独自開発した同社初の尿素SCRシステムを搭載。触媒の近接配置などによる浄化率向上とも相まって、欧州のEURO6や、日本の平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制などに適合する浄化性能を実現している。

■既存の主力ディーゼルエンジンを短期間のうちに刷新

環境負荷の大幅な低減に加え、GDエンジンではこれまで18種類あった排気レイアウトを3種類に集約するなど、使用環境の異なる広範な市場に素早く導入できる展開性も重視されている。

トヨタはグローバル展開しているディーゼルエンジンについて、約90の国と地域において、現在の主力であるKDエンジンを2016年までに年間70万基の規模でGDエンジンに刷新。2020年までに150以上の国と地域にGDエンジンを導入するとしている。

(webCG)
 

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