パナソニック「美優ナビ」
2015年カーナビで行く圏央道-「久喜白岡JCTー境古河IC」
2015.07.01
カーナビの達人2015 SUMMER
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ブルーレイが再生可能。
オプションも充実の「美優ナビ」
「美優Navi」の名のもとに登場したパナソニック・ストラーダの最新機。上位グレードのRXシリーズは、ブルーレイの再生に対応し、美しい映像を獲得した。安全性を考えたオプションの充実ぶりもすごい!
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現時点で唯一、ブルーレイの再生ができるナビ
関越道から西は中央道、東名を越えて茅ヶ崎までが圏央道でつながり、常磐道から東も圏央道で東関道と接続した。唯一取り残されているのが東北道で、圏央道とは接続してはいるものの、その先が未開通なためいまだどの高速道路とも接続できていない。しかし、それも本年度中に解消する予定だ。このエリアの開通状況をいえば、まず今年3月29日、東北道の久喜白岡JCTから圏央道の堺古河ICまでが開通。その先の境古河IC~つくば中央IC間と、久喜白岡JCTより西の圏央道・白岡菖蒲IC~桶川北本IC間も本年度中の開通を目指しており、工事が完成すれば茅ヶ崎から東関道の大栄JCTまで、圏央道1本で行けるようになる。圏央道の利便性が一気に増すのだ。そんな期待を込めて、先に開通済みの久喜白岡JCT~堺古河IC間を走ってみた。
ドライブのお供は、昨年秋に登場したパナソニックのAVナビ、ストラーダの最上位モデル「美優Navi」。この美優Naviには、プレミアムモデルの「RXシリーズ」とスタンダードモデルの「RSシリーズ」の2グレードがあり、試乗車に載っていたのはRXシリーズの横幅200mmワイドボディー機「CN-RX01WD」。このRXシリーズは、ブルーレイ・ディスク(BD)の再生が可能なのが最大の特徴だ。というのも、以前は純正ナビ(ディーラーオプション)にBDを再生できるモデルが存在していたが、今は販売が終了している。つまり、現時点でカーナビの内蔵プレーヤーでBDを再生できるのは、この「美優Navi」RXシリーズのみ。唯一無二の存在なのだ。
美優Naviの名前が示すとおり、美しさと優しさがコンセプト。「美」のひとつがBD再生であり、BDをはじめ地デジなどのさまざまな映像ソースをより美しい画質で楽しめるように、高画質エンジンを搭載しているし、地図そのものも配色を変えるなど一新して美にこだわった。そして「優」。こちらは別売のカメラ付きリアモニターと組み合わせることで、リアシートの状況をカーナビの画面で確認できたり、オプションのフロントインフォディスプレイ(FID)を付ければ視線を大きく動かさずに道案内を確認できたりと、同乗者にもドライバーにも優しい設計。安全サポートにはとくに力を入れていて、制限速度を画面に大きく表示するなどの機能も搭載した。
スマホアプリ「ここいこ♪」で検索
まずは東名方面から圏央道を通って桶川北本ICに向かう。久喜白岡JCT~堺古河IC間を走る前に、桶川北本IC~白岡菖蒲IC間の工事の進捗(しんちょく)状況を確かめるためだ。ICのすぐ先は、工事の真っ最中でトラックや重機がひっきりなしに動き回っている。すでに道路脇の遮音板が設置されている部分もあり、工事が順調に進んでいることを感じさせる。カーナビの地図を見ると、未開通部分が道路の形となってすでに破線で描き込まれていた。
確認が済んだところで、ちょうど昼食どき。取材日は梅雨の間の晴れ間で気温がぐんぐん上がり、汗ばむ陽気。となると、恒例のそばだろう。早速、近場でそば屋を探してみる。美優Naviにも、クラウドを利用した対話型の音声検索など、さまざまな検索機能があるが、男2人のドライブでナビと会話するのはどうにも気がひける。というわけで、今回はスマートフォンアプリの「ここいこ♪」で検索。「ここいこ♪」は久しぶりに見たが、メニューが変わったりバージョンアップしたりしているようで、以前よりもかなり使いやすくなったように感じる。
「ここいこ♪」のよさは、目的地を転送するとナビ側がルート探索まで済ませることと、目的地の予約ができること。操作の手間が少ないのも、ドライバーに対する優しさだ。目的地の予約は、クルマに乗り込んでキーをオンにし、カーナビが立ち上がるとすぐに目的地を送信する機能。クルマから降りて休憩中にスマートフォンで次の行き先を探しておけば、クルマに乗り込んだ直後にカーナビに目的地がセットされるわけで、使い勝手がものすごくいいのだ。
安心サポート機能が充実
腹ごしらえを済ませ、一般道を白岡菖蒲ICに向かう。美優ナビが新たに採用した制限速度の表示が画面にバンバン出てくるのがありがたい。というのも、道路標識というもの、たまに木に隠れて見えにくかったり、ついつい見逃してしまったりすることが多々あるからだ。試乗車にはオプションのFIDが付いていたが、これも安心感を高めてくれる。制限速度の表示が画面に出ても、ドライバーの目は常にカーナビを見ているわけではないため見逃してしまうこともあるが、FIDはドライバーの通常の視界の中にあるため、凝視していなくても表示が切り替わったことは認識できるからだ。そこでチラッと見れば表示内容をしっかりと確認できるというわけ。日差しが強い日中でも、表示内容がはっきり見えるのもいい。FIDに慣れると、ルート走行中でもカーナビの画面を見ることはほとんどなくなるため、安全性も高まるといえよう。
白岡菖蒲ICから圏央道に入る。久喜白岡JCTを越えると、ナビ画面とFIDに合流の案内が大きく表示される。これは首都高で便利。場所によって左から合流したり、右から合流したりがまちまちだからだ。合流の音声案内は以前からあるが、絵柄で見られれば瞬時の判断が可能。事前に合流の方向がわかっていれば、あらかじめ合流のないほうへ車線変更しておくこともできる。これにより事故のリスクも減らせるわけで、これもひとつの優しさだろう。
久喜白岡JCT~境古河IC間は約20km。途中、幸手と五霞の2つのICがある。境古河ICはとくに幹線道路に接続しているわけでもなければ、近くに店が立ち並んでいるわけでもなく、まだ寂しい印象だが、先の工事はやはり順調に進んでいるようで、トラックがひっきりなしに走り回っている。
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VICSワイド対応で渋滞情報も充実
ICの近くにふれあいの里公園の駐車場を見つけたので、そこでひと休み。ブルーレイでも見ることにする。高画質のブルーレイといってもカーナビの7V型ワイド画面では、DVDとの違いはそれほど感じられないのだが、BDプレーヤー内蔵の意義はBDが見られるということ、そのものにあると思う。というのも、僕の個人的な話でいうと、ここ数年、音楽や映画の映像メディアはBDで購入している。DVDを購入するのは、同じタイトルのBDが発売されていない時だけだ。同じタイトルがBDとDVDの両方で発売されていたら、間違いなくBDを選ぶ。
このように映像ライブラリーがBDに切り替わった状況で、クルマで映像を見るためにわざわざDVDを買う人はそれほど多くはないはず。つまり、家の映像ライブラリーを簡単に見られるとしたら、今の時代、BDなのだ。
操作性だが、フリック&ドラッグ等のスマートフォンライクな操作は、以前のストラーダに比べてかなり速くスムーズになっているし、2点タッチやダブルタップで地図スケールを変更できるのも使いやすい。ピンチイン/ピンチアウトでの操作もできるのだが、画面に2本の指を置いてつまむような動作をするピンチイン/アウトよりも2本の指で同時に画面をタッチする2点タッチや、同じ場所を2回タッチするダブルタップのほうが、クルマの中では使いやすいと思う。
帰路、都内を通ると、一般的なVICSの渋滞・混雑とは違う見慣れない表示が出てきた。白枠の付いた破線はVICSワイドの表示で、美優Naviは2014年発売のモデルながら、本体プログラムをアップデートすることで、VICSワイドに対応しているのだ。実際のアップデートブログラムの配布は8月の予定だから、一般ユーザーに渡るのはもう少し先になるが、都内はタクシープローブの情報や一般道の区間旅行時間を取得でき、よりきめ細かい渋滞対応が可能になる。
このナビだけの特徴
●グルメスポットの検索はスマホアプリ「ここいこ♪」で
オリジナルのスマートフォンアプリ「ここいこ♪」を用意し、スマホ連携を早くから実現していたパナソニック。「ここいこ♪」は何度かバージョンアップを行い、そのたびに使いやすさを増している。メニューを開くと観光スポットやグルメスポットを簡単に探せるようになっていて、グルメスポットは、ジャンルを細かく指定できる。カーナビの検索では、うどん・そばが一緒になっているものが多いが、それらを別々に指定できるのもいい。
目的地をナビに送信するのはBluetoothを利用。ワイヤレスで簡単に送信できる。スマホで目的地予約をしておけば、クルマに乗り込んでキーをオンにして間もなく、目的地がカーナビに自動送信されるのは便利だ。
●地図の更新方法は?
地図更新はまず「美優Naviダウンロード工房」というWindows用のアプリを手持ちのパソコンにインストールし、そのアプリを操作して更新データをSDカードにダウンロード。そのSDカードをカーナビに差し込むことで地図を更新できる。無料で更新できるのは、2017年12月15日まで。2カ月に1度のペースで配信される部分地図更新データは期間内なら何度でも更新できるが、全地図更新データは3年間に1度だけダウンロード可能。全地図更新データは毎年夏ごろに配信される予定だ。
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●美優Navi専用ドラレコをオプションで用意
美優Naviには専用のドライブレコーダー「CA-DR01D」(オープン価格)が用意される。録画モードは手動録画、常時録画、イベント録画の3つ。手動録画のボタンはカーナビの画面に表示することができ、これにタッチするだけでタッチした瞬間のひとつ前のファイルから2つ後のファイルまで計4ファイルが、上書きされない状態で保存される。1ファイルは1分だから、1回の手動録画で計4分の動画を保存できるわけだ。突然目の前に現われたハプニングや美しい景色等を残しておきたい時に使うといい。映像と地図を2画面表示して、カーナビの画面で再生できるのも、カーナビ連動ドラレコならでは。f値1.6の明るいレンズで暗いシーンに強いのと、明暗差の激しいシーンもクリアに記録できるのも特徴だ。
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●美しさと優しさをさらに極めるオプションが14個
美優Naviはシステムアップできるオプション品が充実しているのも特徴のひとつだ。専用ドライブレコーダーのほかに、カメラ付きの機器がもうひとつある。リアシートの乗員がブルーレイなどの映像メディアを楽しむためのリアモニター「CA-RMC900D」(オープン価格)だ。このモニターは助手席のヘッドレストのステーを利用して装着するタイプで、画面サイズは9インチワイド。WSVGAの液晶パネルを採用し、BDの映像を高画質で楽しめる。そのモニターの横に付くカメラは、たとえばリアシートでモニターを見ている子供の様子をフロントのカーナビのモニターで確認するためのもの。アニメを見せておけば、子どもはぐずらずじっと見ている可能性も高いし、小さなお子さんをお持ちの家族にはぴったりのアイテムだ。
フロントインフォディスプレイ(FID)の「CY-DF100D」(オープン価格)は、運転席の前のダッシュボード上にセットし、カーナビの案内情報をはじめとしたさまざまな情報をドライバーに提供するディスプレイだ。少ない視線移動で、曲がる方向や規制情報、渋滞情報、音声認識の検索結果など多彩な情報を確認できるから、より安全かつ快適なドライブに寄与する。
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基本性能
●ナビ機能の特徴
美優Naviはドライバーに優しい安心運転サポート機能が充実しているのが特徴。そのひとつが、規制情報の表示。走行中に側道からの合流がある場合は、事前にどちらの方向からの合流があるかを示すアイコンが画面に大きく現れるので、合流車の出現に備えたり、合流がない車線へ車線変更したりできるし、急カーブ、制限速度、一時停止、踏切などのさまざまな情報を提供してくれる。また、時刻に応じて、ヘッドライトの点灯を促す機能もある。
オプションのフロントインフォディスプレイも安全をサポートする機能のひとつ。先に挙げた合流や制限速度などのインフォメーションは、FIDをシステムアップすることでFIDに表示可能。わざわざカーナビの画面に視線を移動しなくても、前方を見たまま視界の隅でこれらの情報を確認できる。ルート案内中は、カーナビと連動して進行方向を表示したり、渋滞情報を表示したり、さまざまな情報をドライバーに提供。運転に不安がある人やカーナビの装着位置が低かったりして画面が見づらいクルマにお乗りの方などには、FIDの追加をおすすめしたい。
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●渋滞対応の特徴
今年4月にスタートしたVICSの新しいサービス、VICSワイドは、従来のFM-VICSチューナーでは対応できず、VICSワイド対応のFM多重チューナーが必要なのだが、美優Naviは昨年発売のモデルながら、あらかじめVICSワイドに対応できるチューナーを搭載していた! 本体プログラムのバージョンアップは必要だが、すでに美優Naviをお持ちの人もバージョンアップで受信可能だ。そのバージョンアップデータは7月1日から配信の予定。ちなみに、パナソニックのカーナビでVICSワイドに対応しているのは、現時点で美優NaviのRXシリーズおよびRSシリーズだけである。
VICSワイドが受信できるようバージョンアップすることによって、FM-VICSだけで一般道のリンク旅行時間を取得できるようになり、渋滞を考慮したルート探索も可能になる。また、都心部はプローブ情報も取得可能。車線ごとの所要時間など、より細かい情報を取得でき、ルート探索の精度が上がる。ルートチューンによって、渋滞回避の度合いをチューニングできるのも特徴。これをきめ細かく調整することで、より好みに合ったルートを導き出してくれる。
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●操作性の特徴
メニュー画面は、もはやパナソニック・カーナビの伝統といってもいいツートップメニュー。メニューボタンを押すと、ナビメニューとAVメニューが左右2分割でひとつの画面に現れるので、操作がわかりやすい。美優Naviでは、メニューの切り替えにフリックを採用しているし、メニューの下にDriveP@ssなどのボタンが追加されているといった細かい変更はあるが、基本的なメニューの作りは以前のストラーダと変わらないので、古いストラーダから最新の美優Naviに買い換えたとしても、違和感なくスムーズに使えると思う。このような継続性も、リピートユーザーに安心感を与えてくれる。
メニュー画面だけではなく地図の操作にもスマートフォンやタブレットのようなユーザーインターフェイスを与えており、地図のスクロールはフリック&ドラッグで可能。地図のスケール変更はピンチイン/ピンチアウトでもできるのだが、2本の指で同時に画面にタッチする2点タッチや、同じ場所を連続して2回タッチするダブルタップでも、地図のスケール変更ができる。車内での操作時は、これがなかなか便利。
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●スマホ連携の特徴
スマートフォンで検索した地点を簡単にカーナビに転送して目的地設定~ルート探索ができるアプリ「ここいこ♪」は検索の項でも紹介したが、「DriveP@ss」もパナソニック・ストラーダ専用に開発したスマホアプリで、もちろん美優Naviでも利用できる。このDriveP@ssは、インターネットラジオのリスラジや、動画再生アプリのLet's Do-ga、音楽再生のMusic Player、ニュース閲覧のYahoo!ニュース、フェイスブックを閲覧するFBconnectといったアプリを統合したポータルアプリで、カーナビとケーブルで接続することで、メニューやアプリの中身をカーナビの画面で確認するとともに操作もできるから、これはこれで便利なのだが、DriveP@ssの機能の中で最も役立つのが音声認識だ。これはスマホの通信とクラウドを活用した対話型の音声検索で、受付嬢のようなスタイルのキャラクターがパナソニックらしいが、このキャラクターと会話するように話しかけるだけで、検索から目的地設定、ルート探索までの操作ができる。DriveP@ssはiPhone用、Android用の両方がある。
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<機能表>
・地図メディア/容量:SDカード/16GB
・ディスプレイ:7V型ワイドVGA
・地デジチューナー:フルセグ 4×4
・地図更新:最大3年間無料
・対応スマホ:iOS/Android
・Bluetooth:○
・Wi-Fi:-
こんな人におすすめ
まずクルマの中でBDを見たい人には美優NaviのRXシリーズがお薦め。車載用の単体BDプレーヤーを手持ちのカーナビにシステムアップする手もあるが、車載用単体BDプレーヤーは高価だ。その点、美優NaviのRXシリーズはカーナビとBDプレーヤーのセットで実売価格約18万円程度だから、リーズナブルといえる。また、小さいお子さんをお持ちの家族には、カメラ付きリアモニターとのセットで薦めたいし、運転に不安がある人にはリアカメラやFIDとのセットがよいだろう。さらに、ドラレコなどのオプションも用意されており、さまざまな用途に対応できるナビである。
<その他のラインナップ>
パナソニック・ストラーダ美優Naviは、プレミアムモデルのRXシリーズとスタンダードモデルのRSシリーズの2本立て。それぞれに、2DINサイズのモデルと、横幅200mmのワイドボディーの2タイプがあるので、ラインナップは計4機種。試乗したのはプレミアムモデルRXシリーズのワイドボディー機、CN-RX01WDで、その2DINタイプがCN-RX01D。スタンダードモデルRSシリーズのワイドボディー機がCN-RS01WDで、2DIN機がCN-RS01Dという型番だ。RSシリーズは、ナビ機能はほぼ変わらないがブルーレイの再生機能がなく、オーディオ機能も簡素化されている。
(解説=石田 功/写真=小河原 認)
