ゼノスE10ロードスター(MR/6MT)
いまどきのバックヤードスペシャル 2016.08.03 試乗記 英国の新興メーカー、ゼノスが製造するスポーツカー「E10」。軽量複合素材のボディーにインボード式のフロントサスペンションなど、“ほぼレーシングカー”といった趣を持つ21世紀のバックヤードスペシャルの出来栄えをリポートする。屋根もドアもありません
イギリスのお家芸、バックヤードビルダー(裏庭製造所)の最新モデルが、ゼノスE10だ。アンサ・アリとマーク・エドワーズ、いずれも元ロータスのCEOとCOOが興したゼノスカーズがつくる軽量2座ミドシップスポーツカーである。
バックヤードビルダーの流儀で、エンジンはアウトソーシング。E10はフォードの直噴2リッター4気筒を背負う。しかし、FRPの外皮を剝がせば、レーシングカー丸出しである。
骨格は、アルミ押し出し材で組んだバックボーンフレーム。バスタブ型のロータスとはまったく異なる。キャビンを構成するボディーパネルには、アルミハニカムをリサイクルカーボンでサンドイッチした複合素材を使う。フロントはバネ下重量を軽減するインボードサスペンションで、F1マシン並みにアーム長の長いダブルウイッシュボーンが、コックピット隔壁に取り付けられたコイル/ダンパーユニットを押し引きする。
ドアは、ない。開きそうに見えるが、付いていない。約700万円の標準状態だと、フロントウィンドウもない。パワステ、エアコンのような快適装備や、ABS、トラクションコントロールといった安全装備はオプションにもない。ブレーキも倍力装置なし。フロントウィンドウ付きだった試乗車の車重は、車検証記載値で800kg。これくらいなら自分の脚力だけで止めなさいということである。
フロントウィンドウを含むウエザーパックのなかに「ゲットホーム・ウエザーフード」というホロらしきものがあったが、付けると、超カッコわるい。そもそもサイドウィンドウがないので、雨は横からダダ漏れだろう。