スマートBRABUSフォーツー エクスクルーシブ リミテッド(前編)
2017.05.04 谷口信輝の新車試乗 SUPER GTや86/BRZ Raceで活躍中のレーシングドライバー谷口信輝が、本音でクルマを語り尽くす! 今回は「スマートBRABUSフォーツー」に試乗する。全長わずか2.8mという小さなボディーがもたらすコンパクトな走りは、谷口の目にどう映ったか。“谷口基準”で評価してもらおう。Uターンするだけでメチャ楽しい!
「やっぱりね」 ドスンッ! 「僕はこういう小さいクルマが好きなんですよね」
途中の“ドスンッ”というのは谷口信輝がスマートBRABUSフォーツーのドアを閉めたときの音。つまり谷口はクルマから降りるとドアを閉めるよりも早く話し始めたことになる。クルマから降り立っても、こちらが問いかけるまではじっくりと考えていることが多い彼にしては、これはとても珍しいことである。
「ほら、僕は以前、『トヨタiQ』持っていたでしょう? だから、もともと小さいクルマが好きなんですよ」
根っからの走り屋にして日本屈指のレーシングドライバーが“小さいクルマが好き”とは、なんともアンバランスというか意外な発言だ。なぜ、谷口は小さいクルマが好きなのだろうか?
「もう、Uターンするだけでわらけてわらけて(笑えて笑えて、の意味)、もうメチャ楽しい!」
そう、この連載をよくご存じの皆さんであればご承知のとおり、谷口は大の“小回りフェチ”。だから、ステアリングを目いっぱい切ってから前に進むと、まるで曲がるというよりもその場で横に向かって進み始めるようにさえ思えるスマートの「ハンドルの切れ具合」が、谷口の心をグッとわしづかみにしてしまったようなのだ。
確かにスマートのハンドルはよく切れる。リアエンジン・後輪駆動のレイアウトのため、左右の前輪の間にエンジンを積んでおらず、おかげでタイヤを真横近くまでステアしてもどこにもぶつからずに済む、というのが理由のひとつ。しかも、フォーツーであれば2人乗りのためホイールベースが1875mmと極端に短く、これが小回り性をさらに高めるのに役立っているのだ。
いや、それは話の順番が逆というものだろう。ウルトラコンパクトなシティーコミューターとして誕生したスマートは、スペース効率を高めるとともに、小回り性を極限まで高めるために、いまではコンパクトカーにもほとんど使われなくなったリアエンジン・後輪駆動のレイアウトをあえて採用したのである。それは、「フォーフォー」のエンジニアリングと生産の大部分をルノーに委ね、フォーツーにも「ルノー・トゥインゴ」と共通のコンポーネントを多数使うようになったいまも変わることなく受け継がれている。
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