いよいよ登場! 新型「日産リーフ」
買いたい人にプロが一言アドバイス
2017.09.08
デイリーコラム
拡大 |
日産のEV「リーフ」の新型が、2017年9月6日にデビューしました。国内の販売がスタートするのは、10月2日。この2代目の購入を考えている人は、どんなことを意識したらよいのでしょうか? 3人のモータージャーナリストに聞きました。
拡大 |
決め手はやっぱりランニングコスト……高山正寛
まず、実際に購入しようとしている人が日々の生活の中でクルマをどう使うのかを基準にアドバイスしよう。
市街地や郊外中心の使用であればEVのメリットは大きい。さらにマンション住まいであれば、駐車場の周辺2km以内や普段の買い物先などに急速充電器が設置されていることも、自分の体験からいえば重要である。
新型は40kWhのバッテリーを搭載しており航続距離はJC08モードで400kmとうたわれているが、実走行でも300kmは何とかなるはず。また、旧型で好評だった、月額2000円(税別)で急速充電器が使い放題になる「ZESP2使いホーダイプラン」が継続されるのも、ランニングコストが固定(定額)で読めるようになるため家計にとってはありがたい。
とはいえ、気になるのが2018年に発売が予定されているハイパフォーマンスモデルの存在。これは旧型のNISMO仕様やオーテック仕様のようにVCM(ビークルコントロールモジュール)をリセッティングすることでよりスポーティーな走りと航続距離を延ばしたようなモデルになるのではないだろうか。もしリーフにさらなるパフォーマンスを期待したいのであれば、それを待つ、というのもありだろう。
ただ今年度のCEV補助金は2018年の3月5日で受け付けを終了してしまうので、先のことを考えるより確実に補助金が欲しければその範疇(はんちゅう)ではないのだが……。
これで「驚き」があれば……小沢コージ
まだ新型リーフに乗ってない状態で言えることだけ答えますと、小沢が考える先代リーフの欠点は大きく2つありました。「スタイルが日産が言うほど刺激的じゃなかった」のと、根本的なことだが「航続距離」。それ以外の「安全性」や「EVらしい加速感」、「使い勝手」は、いまもなかなかだと思っています。
そう考えると、新型はまずはオススメできそうです。自分の目でも確認してほしいけれど、新型のエクステリアはかなり大胆になっているし、航続距離は400kmレベル(JC08モード)に拡大。これは、現代のEVとしては十分じゃないかと。
とはいえ全然違う見方もできる。具体的に言うと、いまのEVブームを引っ張っているのはテスラで、日本にも今後、新型コンパクトの「モデル3」が入ってくることが予想される。新型リーフにあれほどのインパクト、あれほどの反自動車的特徴、走るパソコン的要素があるかというと、否。基本的に新型リーフは日産という既存の自動車会社の製品であり、旧型のブラッシュアップだと考えられ、EV専業ベンチャー企業の製品ほどのチャレンジはできていません。
「未曽有の新しさ」的なモノを求めるならば、やはり新型リーフでも物足りないかも、と。アナタは新型リーフに何を求めるのか? 「欠点が補われた、より完成されたリーフ」なのか、「既存のガソリン車にないビックリ」なのか、それで決まると思われます。
EVに対する覚悟が必要……大谷達也
新しいリーフ、どうかって? いや、いいと思うよ。私はもともと電気自動車は好きだし、新型は航続距離がカタログ値で400kmなんでしょ? それに今度は運転支援機能も付いたから、長距離運転はきっと楽になったよね。
スタイリングも、これまでの独自の主張が強いデザインから日産らしさを前面に打ち出したものに変わって、あんまり気構えずに乗れるようになった感じがするよね。
でもさ、いくら便利になっても、電気自動車に乗るにはそれなりの覚悟が必要だと思うんだ。バッテリーの減り具合を日々確認して早めに充電するとか、遠出するときはあらかじめどこで充電するかチェックしておくとか、そういうことがちゃんとできないと不自由すると思うよ。あと、連休で出掛けたとき、高速道路の急速充電施設に長蛇の列ができていたりすると、イラッとするかもね。
ただね、そういうのって心の持ちようだと思うんだ。つまり、「電気自動車ってこういうものなんだから仕方ないじゃん」くらいの気持ちがあれば問題ないけど、ガソリン車と比べて「ここが不便、あれがイラつく」って思っていたら、せっかく新型リーフを買ってもすぐ手放しちゃうよね、きっと。
で、そう言うオオタニはどうなんだよ、だって? いま住んでいるところは集合住宅だから、現実的じゃないよ。クルマでの長距離出張も多いからね。だから、ガソリンでクルマを走らせるのが不自由な時代がやってきたら乗り換えますよ、電気自動車に……。
(文=高山正寛、小沢コージ、大谷達也<Little Wing>/編集=関 顕也)

高山 正寛
-
高齢者だって運転を続けたい! ボルボが語る「ヘルシーなモービルライフ」のすゝめ 2025.12.12 日本でもスウェーデンでも大きな問題となって久しい、シニアドライバーによる交通事故。高齢者の移動の権利を守り、誰もが安心して過ごせる交通社会を実現するにはどうすればよいのか? 長年、ボルボで安全技術の開発に携わってきた第一人者が語る。
-
走るほどにCO2を減らす? マツダが発表した「モバイルカーボンキャプチャー」の可能性を探る 2025.12.11 マツダがジャパンモビリティショー2025で発表した「モバイルカーボンキャプチャー」は、走るほどにCO2を減らすという車両搭載用のCO2回収装置だ。この装置の仕組みと、低炭素社会の実現に向けたマツダの取り組みに迫る。
-
業界を揺るがした2025年のホットワード 「トランプ関税」で国産自動車メーカーはどうなった? 2025.12.10 2025年の自動車業界を震え上がらせたのは、アメリカのドナルド・トランプ大統領肝いりのいわゆる「トランプ関税」だ。年の瀬ということで、業界に与えた影響を清水草一が振り返ります。
-
あのステランティスもNACS規格を採用! 日本のBEV充電はこの先どうなる? 2025.12.8 ステランティスが「2027年から日本で販売する電気自動車の一部をNACS規格の急速充電器に対応できるようにする」と宣言。それでCHAdeMO規格の普及も進む国内の充電環境には、どんな変化が生じるだろうか。識者がリポートする。
-
バランスドエンジンってなにがスゴいの? ―誤解されがちな手組み&バランスどりの本当のメリット― 2025.12.5 ハイパフォーマンスカーやスポーティーな限定車などの資料で時折目にする、「バランスどりされたエンジン」「手組みのエンジン」という文句。しかしアナタは、その利点を理解していますか? 誤解されがちなバランスドエンジンの、本当のメリットを解説する。
-
NEW
ホンダ・プレリュード(前編)
2025.12.14思考するドライバー 山野哲也の“目”レーシングドライバー山野哲也が新型「ホンダ・プレリュード」に試乗。ホンダ党にとっては待ち望んだビッグネームの復活であり、長い休眠期間を経て最新のテクノロジーを満載したスポーツクーペへと進化している。山野のジャッジやいかに!? -
アストンマーティン・ヴァンテージ ロードスター(FR/8AT)【試乗記】
2025.12.13試乗記「アストンマーティン・ヴァンテージ ロードスター」はマイナーチェンジで4リッターV8エンジンのパワーとトルクが大幅に引き上げられた。これをリア2輪で操るある種の危うさこそが、人々を引き付けてやまないのだろう。初冬のワインディングロードでの印象を報告する。 -
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(4WD)【海外試乗記】
2025.12.12試乗記「ノイエクラッセ」とはBMWの変革を示す旗印である。その第1弾である新型「iX3」からは、内外装の新しさとともに、乗り味やドライバビリティーさえも刷新しようとしていることが伝わってくる。スペインでドライブした第一報をお届けする。 -
高齢者だって運転を続けたい! ボルボが語る「ヘルシーなモービルライフ」のすゝめ
2025.12.12デイリーコラム日本でもスウェーデンでも大きな問題となって久しい、シニアドライバーによる交通事故。高齢者の移動の権利を守り、誰もが安心して過ごせる交通社会を実現するにはどうすればよいのか? 長年、ボルボで安全技術の開発に携わってきた第一人者が語る。 -
第940回:宮川秀之氏を悼む ―在イタリア日本人の誇るべき先達―
2025.12.11マッキナ あらモーダ!イタリアを拠点に実業家として活躍し、かのイタルデザインの設立にも貢献した宮川秀之氏が逝去。日本とイタリアの架け橋となり、美しいイタリアンデザインを日本に広めた故人の功績を、イタリア在住の大矢アキオが懐かしい思い出とともに振り返る。 -
走るほどにCO2を減らす? マツダが発表した「モバイルカーボンキャプチャー」の可能性を探る
2025.12.11デイリーコラムマツダがジャパンモビリティショー2025で発表した「モバイルカーボンキャプチャー」は、走るほどにCO2を減らすという車両搭載用のCO2回収装置だ。この装置の仕組みと、低炭素社会の実現に向けたマツダの取り組みに迫る。




































