業界を揺るがした2025年のホットワード 「トランプ関税」で国産自動車メーカーはどうなった?
2025.12.10 デイリーコラム導入までの経緯をおさらい
「トランプ関税で国産自動車メーカーはどうなった?」
上記のようなテーマで原稿を書くよう、担当F君より仰せつかりました。私のような、自分の愛車のことしか考えてないカーマニアに、一体何を書けというのでしょう……。
個人的には、トランプ関税の影響はゼロでした。無責任な言い方をすれば、対岸の火事です。
しかし、対岸の火事だからって傍観してていいわけじゃない。そこで、簡単におさらいをしてみましょう。
- 4月:米トランプ大統領が、世界各国に対する相互関税率を発表。日本は24%(ただし自動車は、日本製を含むすべての輸入車に対して25%追加)。日本中(というか世界中)が大騒ぎになる。
- 7月:日米関税交渉合意。日本に対する相互関税と自動車関税は15%で決着。ほっと一息。
- 8月:トランプ関税発動。この時点ではまだ日本への税率は25%(自動車は27.5%)。
- 9月:トランプ関税が日米合意の税率(15%)に引き下げられる。
そんなわけで、現在は関税率15%で安定しています。この安定を好感して世界の株価は上昇基調。米政府には莫大(ばくだい)な関税収入が入り続けていますが、近々米最高裁が「トランプ関税(の相互関税部分)は違憲」という判決を出すかもしれず、そうなったらトランプ大統領が逆上して何をしでかすかが最大の不安要素、って感じですか? 日本としては、「むしろこのままがいいな~」だったりして。
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3社が赤字に転落
「このままがいいな~」というのは、「これ以上被害が出ないといいな~」ということで、トランプ関税の被害は、すでに大いに出ています。
日本の自動車大手7社の2025年4~9月中間決算によると、トランプ関税の負担額は合計1兆4000億円。日産、マツダ、三菱は赤字に転落し、他の4社も大幅な減益になりました。
「けしからん!」
そう叫びたいところですが、叫んだところでどうにもならず、アメリカ市場から撤退するわけにもいかず、日本はアメリカと一蓮托生(いちれんたくしょう)。一生ついていきます! と覚悟を決めています。
思えば13年前にアメリカ市場から撤退したスズキは偉大だった。ただしスズキも、二輪や船外機はアメリカがお得意さま。日本という国は、アメリカなしには生きていけません。トランプ関税を自然災害のようなものと思うしかない、というのが個人的な結論です。
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日本ってスバラシイ
自然災害ではないですが、為替の変動ってヤツも、かなりどうにもならない材料ですよね。
ドル円相場は、コロナ前の2020年には、1ドル110円くらいでした。それが今は155円くらい。5年ちょっとで45円も円安になったんですよ! 率にすると約30%! おかげで自動車メーカー各社は、円建て利益がメチャメチャ増えました。
為替って、それくらい平気で変動するんですよね。各社、その大波に耐えてこれまで頑張ってきたので、15%のトランプ関税くらい問題ナシ! と言ったら無責任ですが、決して越えられない波ではないでしょう。
ということで、大半の日本人はすでに安心し切っていて、トランプ関税のことなんか、ほとんど忘れちゃいました。それより怖いのは熊!
個人的に熊より興味あるのは、この原稿を書いてるその日に、トランプ大統領が、日本の小型車を「とてもキュートだ」「アメリカでも生産させられないか」と発言した件です。彼の言う「日本の小型車」が何を指すのか不明ですが、ひょっとして「ムーヴ キャンバス」!? とか考えると、楽しくなってくるじゃないですか!
アメリカでは新車の平均販売価格がメチャメチャ上がってて、最近は700万~800万円になったとか。一番安かった「三菱ミラージュ」も販売を終了し、アメリカにはもう、300万円以下で買える新車がナイ!
それを思うと、キュートなクルマが安く買える日本ってスバラシイ。日本人でヨカッタ~! ってことになりますね!
(文=清水草一/写真=ホワイトハウス、日産自動車/編集=藤沢 勝)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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