ジープ・コンパス ロンジチュード(FF/6AT)/コンパス リミテッド(4WD/9AT)
キャラが立ってる 2017.11.10 試乗記 ジープの都会派SUV「コンパス」がフルモデルチェンジして2代目に。オンロード走行もソツなくこなす“アーバン系ジープ”の最新モデルの出来栄えやいかに? 他ブランドのSUVにはない、ジープならではの魅力を探った。外見はまさに「グランドチェロキー」の縮小版
ご自身の愛車、「ジープ・グランドチェロキー」で試乗会にやって来た知り合いのカメラマン氏が苦笑しながら言う。「いやぁ、試乗車はこっちですって、試乗会のスタッフに誘導されちゃいましたよ」。
新型ジープ・コンパスは、試乗会スタッフも間違えるほど兄貴分のグランドチェロキーにそっくりなのだ。
2012年に日本に導入されたジープのコンパクトSUV、コンパスが2代目に生まれ変わった。ジープのデザインには、「ラングラー」に代表される武骨オフローダー系と、グランドチェロキーを頂点とするおしゃれアーバン系の2つのラインが存在するけれど、コンパスは後者。
ジープファミリーの中でサイズの小さい順に並べると、コンパスは「レネゲード」と「チェロキー」の間に入る。フルモデルチェンジにあたってコンパスは全長が75mm短くなって、4400mm。前出のカメラマン氏の全長4800mmを超すグラチェロと並べると、高校3年生と中学2年生のスノーボーダー兄弟といった趣だ。
ちなみに「トヨタ・プリウス」の全長が4540mmだから、コンパスってコンパクト。
新型コンパスのグレードは3つ。「スポーツ」と「ロンジチュード」がFFで、「リミテッド」のみがAWD(四輪駆動)になる。エンジンは2.4リッター直列4気筒マルチエアの一択で、FFモデルが6段AT、AWDモデルが9段ATのトランスミッションと組み合わされる。
まずは「エグゾティカレッド」という名称の、赤というより紅色と表現したくなる鮮やかな色味のロンジチュードから試乗をスタートした。
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遠くから見てもジープだと分かる
新型コンパスの発表にあわせて来日した、エクステリアデザイン担当のクリス・ピシテリ氏によれば、デザインのテーマは「コンパクトさとラギッド感、そして洗練を1台に盛り込むこと」だったという。
「小さくて、ゴツゴツしていて、都会っぽいものはな~んだ?」というなぞなぞに答えるのはなかなか難しいけれど、デザイン陣は上手に着地点を見つけたように思う。遠目にもジープ一家のおしゃれな次男坊だとわかるし、近づけば取り回しのよさそうなサイズに納得する。
遠くから見てもジープファミリーの一員だとわかるのは、フロントのセブンスロットグリルや、1941年以来の伝統だという角張ったホイールアーチなど、ジープブランドのモチーフを上手に引用しているから。猫も杓子(しゃくし)もSUVを作るようになったこのご時世にあって、キャラの立った祖先がいるブランドは強い。
インテリアはすっきりまとまっていて機能的。特にプレミアムだとか高級だとか大騒ぎするほどではないな、と思ったところで、助手席に置いてあったスペックシートを見てびっくり。価格はオプション込みで356万4000円。クルマ好きのみなさんはご存じの通り、クルマってじわじわと高くなっていて、いまや国産の中型車でもちょっと油断するとあっという間にこれくらいの値段になる。
人間とは現金なもので、「スポーツだったらあと30万円安いのか~」と思うと、インテリアがとてもステキに見えてきた。
価格を見てコンパスが急に身近な存在に感じられるようになったところでエンジンスタート。駐車スペースから出るところで、「う~む、なるほど」とうなる。
さすがはSUVの老舗
何がなるほどなのかといえば、やはり2.4リッターぐらい排気量があると発進加速に余裕があるということ。たかが2.4リッターであるけれど、最近のダウンサイジング+ターボに慣れた体には、かなりパンチが効く。2.4リッターで4気筒、シリンダー1本あたりの排気量がデカいことからくる、ぐわっと押し寄せるトルクの波が、このクラスでは新鮮というか懐かしいというか。
具体的には、静止状態からスタートして、タイヤがひと転がり、ふた転がりするぐらいの力感が違う。エンジン回転を上げなくても、力強く走る。もちろんダウンサイジング+ターボには、効率的に速く走れるという美点があるわけだけれど、このエンジンのフィーリングは、ジープ・コンパスというコンパクトSUVの性格に合っている。
意外と言っては失礼だけど、前後サスペンション形式がストラットというスペックから想像するより、乗り心地はよかった。しなやかに脚が動いている感じはないのに、路面から伝わるショックはそれほど感じないという不思議な乗り味。ボディーの骨格、シート、タイヤ、サスペンションなど、トータルの連携で路面の不整を丸め込んでいる。
ハンドリングも、乗用車ライクにきゅきゅっと向きを変える日欧のコンパクトSUVとはちょっと違う。レスポンスが悪いというのとも違うけれど、ハンドルを切ってから一瞬のタメがあって、よっこらしょと向きを変える。こう書くと印象が悪いかもしれないけれど、ハンドルを握る身としては、SUVを操っているという実感が得られて悪くない。
乗り心地といい、ハンドリングといい、まったりとしたバランスは、この手の背が高いクルマを作り続けてきたノウハウのたまものだろう。老舗のうなぎ屋のタレだ。
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今のクルマには個性が求められている
AWDのリミテッドに乗り換える。
全体の印象はFFモデルと大差ないけれど、ZF製の9段ATが一生懸命に仕事をしている様子がほほ笑ましい。隙あらば1段高いギアに入れて燃費を稼ごうと、がんばっている。ただしシフトショックはほとんど感じられないから、気をつけて観察しないとその仕事っぷりを見逃してしまう。
一般道を走るレベルではFFとAWDの違いはわからない。AWDのリミテッドのほうが少し乗り心地がしっかりしていて、ハンドルを切った時のレスポンスが鋭いようにも感じたけれど、それはタイヤサイズの違いによるものかもしれない。
タイヤサイズはFFのロンジチュードが225/60R17で、AWDのリミテッドが225/55R18。ベースグレードのスポーツは65偏平の16インチだから、もっとまったりしているかもしれない。
エンジンにしろ足まわりにしろ、おおらかな味があって、そこが日欧のコンパクトSUVとの違いだ。あんまり頭が良くなくて細かな芸はできないけれど、愛嬌(あいきょう)はたっぷりの中型犬というか。
でも、フツーに乗るぶんには快適で壊れないクルマばかりになった今、クルマに必要なのはスペックではなくこういう個性的なキャラクターだ。
日本におけるジープの販売台数は、2009年が998台。それが2016年には9388台。もちろん買いやすいコンパクトなモデルがラインナップに加わったことが大きいけれど、ジープのキャラクターが人を呼び寄せているのは間違いない。
(文=サトータケシ/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
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テスト車のデータ
ジープ・コンパス ロンジチュード
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4400×1810×1640mm
ホイールベース:2635mm
車重:1490kg
駆動方式:FF
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:175ps(129kW)/6400rpm
最大トルク:229Nm(23.4kgm)/3900rpm
タイヤ:(前)225/60R17 99H/(後)225/60R17 99H(ファルケン・ジークスZE914Aエコラン)
燃費:11.9km/リッター(JC08モード)
価格:351万円/テスト車=356万4000円
オプション装備:パールコート塗装(5万4000円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:860km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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ジープ・コンパス リミテッド
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4400×1810×1640mm
ホイールベース:2635mm
車重:1600kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.4リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:9段AT
最高出力:175ps(129kW)/6400rpm
最大トルク:229Nm(23.4kgm)/3900rpm
タイヤ:(前)225/55R18 98H/(後)225/55R18 98H(ブリヂストン・デューラーH/P)
燃費:9.6km/リッター(JC08モード)
価格:419万円/テスト車=424万4000円
オプション装備:パールコート塗装(5万4000円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:523km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:--km/リッター

サトータケシ
ライター/エディター。2022年12月時点での愛車は2010年型の「シトロエンC6」。最近、ちょいちょいお金がかかるようになったのが悩みのタネ。いまほしいクルマは「スズキ・ジムニー」と「ルノー・トゥインゴS」。でも2台持ちする甲斐性はなし。残念……。
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