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いよいよ開幕! F1 2018年シーズン
勝利のカギを握るのはずばりルノーだ

2018.03.16 デイリーコラム 柄谷 悠人
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5連覇に向けて盤石のメルセデス

メルセデスとルイス・ハミルトンが王座に就いた2017年も過去のもの。待望のF1新シーズンが間近に迫ってきた。

2月最終週から2回に分けて計8日間、スペインはバルセロナで行われた冬の合同テストでは、前半こそ寒波の影響で雨や雪に見舞われ十分な走り込みができなかったものの、天候が回復した後半になると、全10チームが精力的に周回を重ねることとなった。

各陣営おのおのがさまざまなプログラムをこなすため、プレシーズンテストでの最速タイムは参考程度と考えた方がいい。しかし、今年もメルセデスの速さ、強さが続くことはどうやら間違いなさそうである。

過去4年間のV6ハイブリッド時代を席巻してきたシルバーアローは、ニューマシン「W09」を投入。20戦12勝を記録した昨年型のコンセプトをベースとした正常進化版である。リスクを取り過ぎない開発アプローチは王者だからこそ取りうる選択。テストでは全チーム中最長、4800km超をほぼトラブルなく走破し、フェラーリが持つ5年連続ダブルタイトルという大記録に向けて盤石の態勢を築いている。

2017年シーズンのような大幅なレギュレーション変更がない分、各陣営ともマシン、パワーユニットの課題を克服することに注力。王者メルセデスも、マシンの基本コンセプトをキープしながら各所をさらにリファインした「W09」(写真)をデビューさせた。プレシーズンテストでは最長4800km、実に15レース分以上の距離を走破。最速タイムでニュースになるよりも、自分たちのプログラムを着実にこなし、5連覇に向けて盤石の態勢を築いた。(Photo=Mercedes)
2017年シーズンのような大幅なレギュレーション変更がない分、各陣営ともマシン、パワーユニットの課題を克服することに注力。王者メルセデスも、マシンの基本コンセプトをキープしながら各所をさらにリファインした「W09」(写真)をデビューさせた。プレシーズンテストでは最長4800km、実に15レース分以上の距離を走破。最速タイムでニュースになるよりも、自分たちのプログラムを着実にこなし、5連覇に向けて盤石の態勢を築いた。(Photo=Mercedes)拡大

対抗馬はフェラーリか、レッドブルか?

挑戦者のフェラーリは、2017年型が得意としていた低速コース以外でもメルセデスを上回れるようにならなければ、11年ぶりの王座奪還は難しい。今季型「SF71H」では、いわゆるレーキ角を強めにし(リアの車高を高めにし)、さらにメルセデスに倣いロングホイールベース化を図るという冒険をしてきた。もちろん昨年のタイトル争いの敗因でもある信頼性の確保も必須。テストではセバスチャン・ベッテルが非公式コースレコードをたたき出すなどしていたが、不確定要素をはらんでの船出となる。

強豪中で最も勢いがあったのがレッドブルだ。昨年はレギュレーション変更に伴う空力の方向性を誤り、また信頼性のなさにも足を引っ張られ、シーズン前半にライバルから大きく後れを取った。しかし後半戦にマシンをアップデートするとたちまち3勝を記録。いい流れそのままに、洗練を深めた「RB14」を今年早々にデビューさせ、テストで確かな手応えを感じながら開幕戦に向かうこととなった。

このチームの成功へのカギは、ルノーのパワーユニットが握っている。先行する2強にパワーで劣ることに加え、昨シーズンはルノーユーザー間でトラブルが頻発、デチューンして走らざるを得なかったということもあった。

3年間のメルセデス独走を経て、2017年はフェラーリという好敵手の登場でシーズンは大いに盛り上がった。2018年のタイトル争いにレッドブルが加わり3強激突となれば、さらに白熱の度合いが増すことになるのだが、果たして……。

今年から全車に義務付けられる、ドライバーの頭部保護を目的とした「Halo(ヘイロー)」を装着したフェラーリ「SF71H」(写真)。メルセデスとは対照的にマシンの開発方針を修正し、レーキ角を強めに、さらにロングホイールベース化を進めてきた。昨年は低速コース(モナコ、ハンガリー、シンガポール)で強かったが、今年は高速サーキットでもメルセデスに対抗したいところ。(Photo=Ferrari)
 
今年から全車に義務付けられる、ドライバーの頭部保護を目的とした「Halo(ヘイロー)」を装着したフェラーリ「SF71H」(写真)。メルセデスとは対照的にマシンの開発方針を修正し、レーキ角を強めに、さらにロングホイールベース化を進めてきた。昨年は低速コース(モナコ、ハンガリー、シンガポール)で強かったが、今年は高速サーキットでもメルセデスに対抗したいところ。(Photo=Ferrari)
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メルセデス、フェラーリから出遅れた昨シーズンの反省を踏まえ、レッドブルは新型「RB14」(写真)を早めにデビューさせ、開幕前までに少しでも熟成を進めようとしてきた。マシンのポテンシャルは高そうだが、あとはルノーのパワーユニットがどこまで期待に応えてくれるか。パワーユニットのアップグレードがシーズン中に予定されているというが、その時期は未定。さらに2019年以降ルノーを使い続けるかにも疑問符がついているような状況である。(Photo=Red Bull Racing)
メルセデス、フェラーリから出遅れた昨シーズンの反省を踏まえ、レッドブルは新型「RB14」(写真)を早めにデビューさせ、開幕前までに少しでも熟成を進めようとしてきた。マシンのポテンシャルは高そうだが、あとはルノーのパワーユニットがどこまで期待に応えてくれるか。パワーユニットのアップグレードがシーズン中に予定されているというが、その時期は未定。さらに2019年以降ルノーを使い続けるかにも疑問符がついているような状況である。(Photo=Red Bull Racing)拡大

激戦の中団チーム、「ベスト・オブ・ザ・レスト」を狙うのは?

強豪3チームに次ぐ中団チームは激戦必至。ここでもカギを握るのはルノーだ。

チーム創設時の鮮やかな「パパイヤオレンジ」をよみがえらせたマクラーレンは、「MCL33」でトップ返り咲きを狙う。昨年までは不調の理由をホンダのせいにすれば済んだが、今年は優勝の実績あるルノーのパワーユニットを得たのだから言い訳はできない。しかしテストでは、ホンダ時代と変わらぬトラブル続きで走行もままならず、周回数は10チーム中最少、メルセデスの6割弱にとどまった。速さという点でポテンシャルはありそうだが、レースを走りきれなければ意味がない。ルノーとのマッチングの初年度、プレッシャーは大きい。

本家のルノーチームも「R.S.18」を手堅くまとめてきた。2016年のワークス復帰から着実にパフォーマンスを上げてきており、昨年は最終局面でコンストラクターズランキング6位の座を奪い取った。ニコ・ヒュルケンベルグ、カルロス・サインツJr.という気鋭のドライバーをそろえているのも心強い。フランスはビリシャチオンにあるエンジン部門が頑張ってくれれば、昨シーズンより上を目指せるかもしれないが……。

パパイヤオレンジのマクラーレン「MCL33」(写真)。3年間続いたホンダとの関係に終止符を打ったチームは、新たにルノーのパワーユニットを得て心機一転から出直すことに。しかしテストではさまざまなトラブルが頻発し思い通りに走行できず、10チーム中最少のマイレージで開幕戦に臨むことに。それでもフェルナンド・アロンソやチーム関係者からはポジティブな発言が相次いでいた。(Photo=McLaren)
パパイヤオレンジのマクラーレン「MCL33」(写真)。3年間続いたホンダとの関係に終止符を打ったチームは、新たにルノーのパワーユニットを得て心機一転から出直すことに。しかしテストではさまざまなトラブルが頻発し思い通りに走行できず、10チーム中最少のマイレージで開幕戦に臨むことに。それでもフェルナンド・アロンソやチーム関係者からはポジティブな発言が相次いでいた。(Photo=McLaren)拡大

テストで好調トロロッソ、復帰4年目のホンダの本気

新たにトロロッソをパートナーとしたホンダが、ここまで完調でテストを終えるとは、おそらく誰も思っていなかったのではないか。

レッドブルのジュニアチームにとって初のワークス体制ということもあり、トロロッソのモチベーションは一層高まっている。それに呼応するかのようにホンダも、復帰4年目にして(ようやく)安定感ある、壊れないパワーユニットをテストに持ち込むことができた。なんとメルセデス、フェラーリに次ぐ3番目に長い、3800km超というロングランを達成。その進化に、昨年までのパートナー、マクラーレンのザック・ブラウンも称賛の声を送るほどだった。

もともと優勝争いに加わるようなチームではないのだが、トロロッソ・ホンダの活躍が、今季のF1をさらにおもしろくするであろうことは間違いない。ルノーに代わる、来季以降のパワーユニットに悩んでいる親分レッドブルも、期待に胸を膨らませていることだろう。

史上最多タイの21戦で争われる2018年のF1。開幕戦オーストラリアGPの決勝は3月25日に行われる。

(文=柄谷悠人)

テストでは、メルセデス、フェラーリに次ぐ3番目に長い距離を走破することができた新生トロロッソ・ホンダ(写真)。ホンダは、昨年までの不調がうそのような安定感で、新パートナーのトロロッソとの信頼関係を築いている。復帰4年目、ホンダは体制を一新し、F1第2期、第3期を知る田辺豊治をテクニカルディレクターに据えた。マクラーレンでの3年間を糧に、まずは、激戦必至の中団グループでコンスタントにポイントを稼ぐことから始めたい。(Photo=Toro Rosso)
 
テストでは、メルセデス、フェラーリに次ぐ3番目に長い距離を走破することができた新生トロロッソ・ホンダ(写真)。ホンダは、昨年までの不調がうそのような安定感で、新パートナーのトロロッソとの信頼関係を築いている。復帰4年目、ホンダは体制を一新し、F1第2期、第3期を知る田辺豊治をテクニカルディレクターに据えた。マクラーレンでの3年間を糧に、まずは、激戦必至の中団グループでコンスタントにポイントを稼ぐことから始めたい。(Photo=Toro Rosso)
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