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一時代を築いたビッグネームが帰ってくる!
「トヨタRAV4」の“来し方行く末”

2018.04.18 デイリーコラム 大音 安弘
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グローバルでは今もベストセラーモデル

2018年のニューヨーク国際オートショーでワールドプレミアされた、5代目となる新型「トヨタRAV4」。日本では3代目を最後に販売されていないが、グローバルでは今もなお大人気車種であり、累計生産台数は812万台(2017年末時点)を数える。特に2017年のセールスは優秀で、世界で80万台以上を販売。そのうち約41万台が米国というから、今やかの地では、セダンの「カムリ」と並ぶ、トヨタの看板車種へと出世したといえるだろう。

新型の発売時期については、米国では2018年末、日本では来春と発表された。続々と新型車が投入される輸入車SUVに勢いがあるようだが、三菱がオールニューとなる「エクリプス クロス」を3月に発売したほか、夏にはこちらもなじみ深い「ホンダCR-V」が復活。さらに「スバル・フォレスター」も新型登場となるだけに、国産SUVの動きにも期待が高まる。

現在も好調なセールスを誇る、現行型(4代目)「トヨタRAV4」。残念ながら日本市場では販売されていない。
現在も好調なセールスを誇る、現行型(4代目)「トヨタRAV4」。残念ながら日本市場では販売されていない。拡大
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フルTNGAを採用した初のSUV

国内復活を遂げる5代目RAV4は、トヨタの“クルマづくりの構造改革”であるTNGAに基づいて開発されているが、「プリウス」や「C-HR」と違うのは、“フルTNGA”モデルであること。フルTNGAモデルはプラットフォームとパワートレインの開発を一体的に進めることで、TNGAの持つポテンシャルをフルに引き出せるとされており、「カムリ」に続く2車種目となる。

新型では、これまでの街乗りSUVらしい使い勝手の良さを残したまま、より本格的なSUVを志向。「ランドクルーザー」といったリアルオフローダーの面影を感じさせる「オクタゴン(八角形)」のフロントマスクが与えられるなど、従来のRAV4像を打ち破る、かなりアグレッシブな外観となった。そして、シャープなランプデザインやメリハリの効いた筋肉質なボディーには、上級ブランド、レクサスのSUVとの共通性も見て取れる。SUVらしさだけでなく、しっかりと質感の向上も図っているようだ。

TNGAによるプラットフォームはカムリと共用で、ボディーサイズは全長×全幅×全高=4595mm×1855mm×1700mm、ホイールベースが2690mmという堂々たるもの。実は4代目とはほぼ同等のサイズなのだが、3代目までしか知らない日本のRAV4ユーザーには大きく感じられることだろう。

パワートレインは、こちらもTNGAによる2.5リッター直列4気筒直噴エンジン「Dynamic Force Engine(ダイナミックフォースエンジン)」に8段ATを組み合わせたものと、2.5リッターエンジンのハイブリッドシステム「THS II」の2本立て。4WDシステムも一新され、ガソリン車には「ダイナミックトルクベクタリングAWD」を搭載。トルクベクタリング機能や2WD走行時の燃費向上を図る「ディスコネクト機構」を備えているのが自慢だ。一方のハイブリッドには、電動化した後輪側のトルクを増加させ、走破性と操安性を高めた、新型「E-Four」を搭載。どちらもトヨタ車では初採用となる機構である。先進安全機能には、第2世代の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を全車に標準装備する。

2018年のニューヨークショーで初公開されたばかりの5代目「RAV4」。これまでのモデルとは一線を画す、角張った力強いスタイルが特徴だ。
2018年のニューヨークショーで初公開されたばかりの5代目「RAV4」。これまでのモデルとは一線を画す、角張った力強いスタイルが特徴だ。拡大

クロスオーバーSUVブームを創出した初代

初代RAV4は、クロカンブームの真っただ中だった1994年に、街なかでの使い勝手を重視した乗用車ベースのクロスオーバーSUVとしてデビュー。5ナンバーサイズの使いやすさとアクティブなスタイリング、そして運転のしやすさが人気となり、「スズキ・エスクード」が築いたライトクロカンニーズを、クロスオーバーSUVニーズへとシフトさせるほどの革命児だった。

当初はスタイリッシュな3ドアのみだったが、そのイメージを保ちつつ、利便性の高い5ドアを追加するなどして商品力を強化。キムタクの登場するテレビCMも話題となった。その後、ライバルとなるCR-Vやフォレスターが登場し、クロスオーバーSUV市場が活性化。また米国では、若い女性の足として活躍していたライトなクーペの需要をライバルとともに脅かし、街乗りSUVブームの基礎を築いた。

ところが2代目以降は、その街乗り性能に振りすぎたことが裏目となる。新たなライバルの「日産エクストレイル」などを相手に販売面で苦戦を強いられ、徐々に存在感が薄くなってしまったのだった。しかし、そんな日本でのトーンダウンを尻目に、RAV4は世界戦略車として成功を収め、欧米での販売を順調に拡大していく。

3代目は海外向けに用意した、長短2タイプのボディーのうち、ショートタイプをRAV4として発売。追ってロングタイプを3列シートを備えた上級モデル「ヴァンガード」として発売するが、どちらも思うほど売れず……。結果、4代目の日本導入は見送られることとなった。

その代わりではないが、「RX」としてレクサスブランドへの移行が決定し、廃止が予定されていた「ハリアー」が、販売サイドからの声を受けて踏みとどまることに。4代目RAV4のプラットフォームを流用して開発され、今なお大ヒットしているのは皆さんもご存じの通り。日本では黒子として、重要な役割を果たしていたのだった。

初代「RAV4」がデビューしたのは1994年のこと。コンパクトなボディーやアクティブなスタイリング、運転のしやすさなどで人気を集めた。
初代「RAV4」がデビューしたのは1994年のこと。コンパクトなボディーやアクティブなスタイリング、運転のしやすさなどで人気を集めた。拡大
2代目「RAV4」は2000年に発売。3ドア/5ドアともに先代よりもボディーが拡大され、全車が3ナンバーサイズとなった。
2代目「RAV4」は2000年に発売。3ドア/5ドアともに先代よりもボディーが拡大され、全車が3ナンバーサイズとなった。拡大

現在はC-HRとハリアーのみがラインナップ

昨今のラインナップ見直しにより、現在のトヨタのクロスオーバーSUVは、小型部門をC-HRが一手に引き受け、ミドルサイズ以上をハリアーが担っている。セダンやミニバンと比べると、それぞれの守備範囲が広い状況だ。日本の道路事情を鑑みれば、ハリアーが中上級クラスを幅広く受け持つのは妥当な戦略と感じるが、伸びしろが大きいエントリークラスがC-HRだけというのは、少々心もとない感じがする。それだけにRAV4の復活は朗報といえる。

一体、日本にはどんなRAV4がやってくるのだろうか。今回ニューヨークで公開されたのは、あくまで米国仕様。搭載エンジンやAWDシステムなどは、新型のキモであるため、ここが変更されるとは考えづらいが、トヨタは地域に合わせた仕様を導入するとしている。個人的にはボディー幅のダイエットを期待したいのだが、日本の法規に合わせた手直しのみということもあるだろう。こればかりは期待を膨らませて待つしかないのだが、カジュアルな“シティーボーイ”ではなく、立派な“タフガイ”となっていることは間違いない。

(文=大音安弘/写真=トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

日本では2016年まで販売されていた3代目「RAV4」。2005年のデビュー時の、国内の月間目標販売台数2000台に対し、グローバルでの年間目標販売台数30万台という数字が、3代目の置かれた状況を象徴している。
日本では2016年まで販売されていた3代目「RAV4」。2005年のデビュー時の、国内の月間目標販売台数2000台に対し、グローバルでの年間目標販売台数30万台という数字が、3代目の置かれた状況を象徴している。拡大
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