第95回:モテないカーマニア、ロータリー復活を待望するの巻
2018.06.19 カーマニア人間国宝への道ロータリー復活はあるのか!?
先日開催された、「CX-3」のマイナーチェンジ試乗会でのこと。
私は『週刊SPA!』副編Kと、流し撮り職人・池之平昌信という、モテないカーマニア3人組で参加させていただいたのですが、その日は、試乗の前にランチというスケジュールでございました。
ランチの席に、マツダのエンジニア氏が2名同席。「いかがでしたか」と尋ねられましたが、なにせ試乗はこれからなので、いかがも何もなく、雑談となりました。
雑談の口火を切ったのは、副編Kでした。
副編K(以下 K):あの~、ロータリーは復活するんでしょうか?
エンジニア氏:いや、それについては何も言えません(苦笑)。
そこに職人が加勢した。
職人(以下 職):復活してほしいですねぇ~。
ロータリー復活を待望する気持ちはわかる。よーくわかるが、それはカーマニアのひとりよがりというもの。私は彼らをたしなめました。
清水(以下 清):それは絶対ダメだよ。そんなことをしたらマツダはつぶれる。
職:えっ、だって復活するんでしょ? 「RXヴィジョン」の市販車版に載せて。
清:あれは出ないでしょ。あのデザインをベースに、次期「アテンザ」ができるだけなんじゃないの?
職:いやあ、僕は出るって聞きましたよ。
マツダのエンジニア氏は黙して語らずのため、モテないカーマニア3名による、マツダ置き去りのロータリー談義となったのでございます。
K氏のゆがんだマツダ愛
K:僕は死ぬまでに一度はロータリーに乗りたいんですよ。
清:それ、数年前から聞いてるけど、本気なの? だって予算は60万円なんでしょ?
K:ええ。コミコミ60万円で、「RX-8」の前期型5MTが狙えます。
清:狙えるのは狙えるだろうけど、もともとロータリーは耐久性ないじゃない。そんな激安ロータリーがまともに動くの!? 激安フェラーリ買うより危険だよ!
K:いーんです、買ってすぐにエンジンが死んでも。一度自分のものにすれば!
話を聞くと、副編Kには、ロータリーに関する深いトラウマがあるのでした。
K:僕の弟は、「RX-7」に乗ってたんです。僕が大学生の時、弟は「オレは早くクルマが欲しいから大学には行かない」って、高卒で就職してセブンを買ったんです。
清:えっ、弟さんって、そんなディープなカーマニアだったの!?
K:そうなんです。青森の実家に帰った時、リアウイングの付いた弟のセブンに乗せてもらって、心底「負けた」って思いました。僕も大学なんか行かずに、就職してクルマ買えばよかったって!
だから自分は死ぬまでに必ずロータリーを手に入れて、弟を見返す必要がある。そういうことなのでした。マジか。
無責任なロータリー待望論に喝!
K:しかも3年くらい前、マツダが動態保存してるRX-8に初めて試乗させてもらって、すごく感動して、心が決まりました。あのロータリーのキイィィィィィ~ンっていう音と、シュパンシュパン切れるステアリングを、いつか自分のものにするしかないって!
その意気や良し。意気や良しだが、それから3年。
彼のロータリー購入計画は、家族の大反対が予想されるため、中古車検索のみにとどまり続け、まったく具体化していない。まさに言うだけ番長だ。
予算60万円すら実現不可能なのに、ロータリーが復活したところで、新車など買えるはずもなかろう。
が、カーマニアたちの妄想談義は、無意味にはずむ一方だった。
職:やっぱりロータリーは最高ですよ。僕はRX-7に乗ってましたから、ロータリー復活を真剣に待望します!
清:えっ、職人が乗ってたセブンって、人から預かってただけじゃない!
職:ええまぁ、そうなんですけど、でも2年間乗ってましたから、あの良さは体で覚えてます。あのエンジンの軽さと回転フィールは、フツーのレシプロじゃ味わえません。
自分が買ったわけでもなく、知り合いの編集者に「置き場所がないから預かってくれ」と託されていただけのくせに、よくもまぁヌケヌケと、ロータリー復活などを待望するものである。
こういう無責任なカーマニア談義を、責任ある自動車メディア関係者がしていいはずがない! 私は彼らを真剣に叱らねばならないと、心に決めたのでございます。
(次回に続く)
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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