圧縮比を変えることで走りと燃費を両立
日産が実現した世界初のVCターボエンジンを試す
2018.11.19
デイリーコラム
開発のスタートは1998年
エンジンの効率を高めるには、何はともあれ圧縮比を上げるのが一番手っ取り早い方法だ。でも自己発火式のディーゼルエンジンと違い、プラグを使って着火するガソリンエンジンの場合、燃焼速度や面積が適切にコントロールできなければ即座にノッキング→破損という事態になるのはご存じの通り。いかにそれを回避しながら圧縮比を高めることができるかという命題に対して、エンジニアはさまざまなアプローチを繰り広げてきた。
そこで誰もが思いつくシンプルな方法といえば、物理的に圧縮上死点を変えることだ。実際、自動車メーカーによるアプローチはこれまでいくつもあった。が、気筒内の連続的な爆発行程に可変機能を織り込むことは物理的にも力学的にも非常に難しく、どれもモノになることなく21世紀を迎えることになったわけだ。
日産が可変圧縮比エンジンの研究を開始したのは、今から約20年前の1998年にさかのぼるという。その間、この会社を取り巻く環境はどこよりも変わったと言っても過言ではない。果たして、当時は基礎段階だっただろうその火がいかにして日産の中でともり続けられたのかと問えば、カルロス・ゴーンCEO(当時)に就任後のかなり早いタイミングで直談判的なプレゼンテーションを行い、氏との間で確実なコンセンサスが得られたためという。さすがにゴーン会長にそれがモノになるという将来が見えていたとは考えづらいが、結果的に自分が目をつけていたユニークな技術がカタチになったわけだから、それはそれで感慨深いのではないだろうか。
日産は昨年(2017年)、市販車世界初となる可変圧縮比エンジンの生産を開始した。現在搭載されている車種は、日本で言うところの「日産スカイライン クロスオーバー」の後継にあたる「インフィニティQX50」のみ。日本では未発売で、米国や中国では発売済み、追って欧州でも展開される予定だという。可変圧縮比エンジンの型式名称は「KR20DDET」。直噴+ポート噴射と2つの燃料噴射経路を持つ2リッター4気筒ターボユニットとなる。
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