ファンティック・キャバレロ フラットトラック125(MR/6MT)
大人のボーイズレーサー 2019.07.13 試乗記 このほど日本でも取り扱いが開始されたイタリアのバイクメーカー、ファンティック。オフロードを得意とする同社のラインナップの中から、ダートトラックレースの競技車両をモチーフにしたという「キャバレロ フラットトラック125」に試乗。その出来栄えを確かめた。“前後19インチ”に見る本気
1968年、イタリア北部の街バルザーゴで創業したメーカーが、ファンティックモーターだ。特にオフロード系のカテゴリーを得意とし、トライアル世界選手権では1980年代に3度も王座に就いた一方、2度にわたる工場の稼働停止を余儀なくされるなど、浮き沈みを繰り返してきた。
しかしながら、数年前に再建を果たしてからは好調だ。現在、エンデューロモデルには「ファンティック」のブランド名を、よりストリート色の強いモデルには「キャバレロ」のブランド名を与えて展開。ここ日本でも本格的な導入が始まっている。
今回、試乗できたのはキャバレロのフラットトラック125だ。フラットトラックとは、硬く踏み固められたオーバル状のダートで順位を争う競技の名称だが、その競技車両をモチーフに開発されたモデルである。
モチーフといっても、そのままオーバルコースに持ち込めるほどの本格的な装備を持つ。その象徴が前後19インチのホイールで、それぞれにまったく同サイズのタイヤを装着。一般的なバイクでは極めて珍しい構成ながら、フラットトラック競技においてはスタンダードだ。これによって、ハイスピードでスライドさせた時のコントロール性と安定性が確保されているのである。
交差点でスライドさせるわけにはいかないものの、こと安定性に関しては街中でも感じることができる。車体をリーンさせていくと手応えがどんどん増し、意識して起こそうとしない限りはいつまでもそのバンク角を維持。ベッタリと路面に張り付くようなハンドリングによって、その素性を垣間見ることができる。
130kgという乾燥重量は125ccクラスのモデルとしては特別軽くないが、アベレージスピードが高いオーバルコースでは、ある程度車重はあった方がいい。コーナリング中に慣性力が失われにくく、スライド状態を維持しやすいからだ。フラットトラック125の挙動は、それを想像させるに十分なものだった。
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