これはブランド化するクロカンへのアンチテーゼだ! 新型「ディフェンダー」を見たwebCG編集部員のひとり言
2019.11.18 デイリーコラムあれ、なんか安くない?
「先週散々デザインの話をしておいて、またかよ(嘆息)」とおっしゃる向きもおるやもしれぬが、ご勘弁ください。なにせ1948年の誕生以来、初のフルモデルチェンジ。吉事であり、お祭りなのです。盛り上げさせてくださいヨ。……なんの話かというと、新型「ランドローバー・ディフェンダー」のお話である。“下手の横好き”的クロカン大好き人間としては、まだまだ気になるところ、知りたいところ、語りたいところがたくさんある。うんざりしつつも、ぜひお付き合いくださいまし。
さてさて。過日、新型ディフェンダー日本導入の報が列島を駆け巡った折、なにが最も世間を驚かせたか? 導入時期の“早さ”もそうだが、それ以上に価格だったろうと思う。3ドアの「90」が489万円から678万7000円、5ドアの「110」が596万7000から745万円。その値付けに、「あれ? (覚悟してたより)安くね?」と思った人は少なくないはずだ。
それもそのはず。ネットでちょいと中古車検索をかければ分かるが、日本に並行輸入されていた従来型のお値段は、最終スペックでおおむね800万円から。1000万円オーバーという個体もザラだ。導入発表の折には、知古の友(ただしブルジョア)から「『G』と比べてどうなの!?」とデンワでからまれたが、確かに従来型の並行輸入車は、「メルセデス・ベンツGクラス」と比較検討するような高価格車だった。
それが、新型はこのお値段。しかもインポーターの関係者は「正規導入のあかつきには、エントリーグレードとしてもっと安価なモデルも入れる」と鼻息が荒いのだからスバラシイ。ジャガー・ランドローバーとしては久々の(失礼!)明るいネタであり、この波に乗るしかない! ということなのだろう。ちなみにだが、現行Gクラスは全ラインナップが1000万円を超えている。
もともと“高嶺の花”なクルマじゃなかった
もののついでに、イギリス本国の公式サイトで本国価格を調べたところ、今のところ90のお値段はアナウンスされておらず、110が4万5240ポンド(約630万円)、「110ファーストエディション」が5万8860ポンド(約820万円)ときた。対してGクラスは9万6180ポンド(約1340万円)から。(いずれも20%の付加価値税を含む) 付加価値税と消費税の税率を鑑みると、おおむね日本市場と同じポジションといったところか。もちろんディフェンダーとGの“位置関係”も、特に変わらない。
興が乗ってきたので、従来モデルが現役だったころの日本での価格も調べてみた(何でもすぐにネットで調べられる。いい時代ですね)。ディフェンダーが正式導入されていたのは2005年までで、当時の値段は「110S」が449万4000円、「110SE」が470万4000円ナリ。他のモデルの値段を見ると、懐かしの100系「トヨタ・ランドクルーザー」が443万1000円から588万円、Gクラスが896万7000円から1606万5000円。(いずれも消費税5%を含む) そもそもディフェンダーは、過度に高額で“高嶺(たかね)の花”な存在ではなかったのだ。
もっとも、前回触れた通り、新型ディフェンダーは従来型とは似て非なるもの。リバイバルモデルによくあるように、「これは新世代ランドローバーのアイコンなんですヨ」とか言って高額のプライスタグも付けられただろうに、そうはしなかったジャガー・ランドローバーの心根に、素直に拍手を送りたい。ぱちぱち。
もうひとつ興味深いのは、四角四面の古式ゆかしきクロカンスタイルを貫くGが、荒野よりむしろ夜の六本木が似合うラグジュアリーカーとなっているのに対し、すっかりモダンなみてくれとなったディフェンダーのほうが、クラシックなクロカンのあるべきポジションにとどまろうとガンバっている点だ。
ワークホースとしても復活なるか?
ヨンク乗りの皆さまはうすうすお気づきだろうが、デザインや機能・装備など、他車にはない分かりやすいアイコンを備えたクロカンは、一部でブランド化が進み、なんだかよくわからないことになっている。ランクルのレクサス版とか、GのAMG版とかはその好例だろう。
もちろん、あれはあれで魅力的だし、欲しいと思う人が確かにいる“正しい商品”なのだろうが、記者のような古臭いヲタクとしては、バカ高いプライスタグを見るにつけ、ゴージャスなフェンダーやエアロパーツでクリアランスをそがれたディメンションを見るにつけ、「……なんか違わない?」「クロカンって、そういうクルマだったっけ?」と思ってしまうのだ。
そんな中、モノコック+四輪独立懸架という、原理主義者からしたら裏切以外のなにものでもないスペックで登場した新型ディフェンダーが、むしろ「クロカンはこき使われてナンボ」というスタンスを示していたのが記者には興味深かった。先述の価格もさることながら、本国ではバン仕様も追って追加されるというのだ。日本導入の予定はないらしいが。
ここで、「バン仕様のクロカン」という響きに懐かしさを感じてしまったアナタは、かなり古参のヨンクマニア。今ほど乗用車ライクになる前、クロカンにとってバンというのはお約束の仕様だった。というか、かつてのヨンクはみんなバンで、ワゴン(乗用車)なんて存在しなかったのだ! ……というのはさすがに昔話過ぎるが、従来型でも業務用モデルがディフェンダーにとって重要な位置を占めていたのは事実。ランドローバーは新型でも、ある程度は「ナナマル」や「ジムニー」的使われ方&売れ方を想定しているのだろう。
地球上のあらゆるところ……それこそ“おひざ元”のイギリスでさえ、ワークホースとして活躍している和製クロカン勢から、ディフェンダーがどれだけ“領土”を取り戻せるか。ちょいと見ものである。
(文=webCGほった/写真=ジャガー・ランドローバー/編集=堀田剛資)

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
-
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来 2026.4.20 2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。
-
毎日でもフェラーリに乗りたい! 「アマルフィ スパイダー」にみる新時代の“跳ね馬”オーナー像 2026.4.17 車庫にしまっておくなんてナンセンス! 新型車「アマルフィ スパイダー」にみる、新時代のフェラーリオーナーの要望とは? 過去のオーナーとは違う、新しい顧客層のセンスと、彼らの期待に応えるための取り組みを、フェラーリ本社&日本法人のキーマンが語る。
-
ランボルギーニが新型BEVの開発・導入を撤回 その理由と目的を探る 2026.4.16 第4のランボルギーニとして登場した2+2のフル電動コンセプトカー「ランザドール」。しかし純電気自動車としての販売計画は撤回され、市販モデルはエンジンを搭載してデビューするという。その判断に至った理由をヴィンケルマンCEOに聞いた。
-
トヨタとホンダのライバル車が同時期に国内デビュー 新型の「RAV4」と「CR-V」を比べてみる 2026.4.15 「トヨタRAV4」と「ホンダCR-V」の新型(どちらも6代目)の国内での販売がほぼ同時期にスタートした。いずれも売れ筋サイズの最新モデルだけに、どちらにすべきか迷っている人も多いことだろう。それぞれの長所・短所に加えて、最新の納期事情などもリポートする。
-
鈴鹿でよみがえった「36年前の記憶」 2026年の“大盛況”F1日本GPを振り返る 2026.4.13 来場者31万5000人の大盛況となった2026年のF1日本GP。その内容は「空前のF1ブーム」といわれたバブル末期のレースからどう変わったのか? 三十余年の変遷を振り返りつつ、F1の魅力について考えてみよう。
-
NEW
「洗車でボディーにキズがつく」って本当ですか?
2026.4.21あの多田哲哉のクルマQ&Aマイカーは常にきれいな状態で維持したいものの、クルマ好きの間では「洗車することでボディーにキズがつく」「洗いすぎは害になる」という意見もある。実際のところ、どうなのか? 元トヨタの多田哲哉さんに聞いてみた。 -
ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン社長に聞く 日本での展望とスポーツカーの未来
2026.4.20デイリーコラム2025年8月に着任した、ポルシェジャパンのイモー・ブッシュマン新社長。彼の目に日本はどう映り、またどのような戦略を考えているのか? 難しい局面にあるスポーツカーや電気自動車の在り方に対する考えを含め、日本における新しいリーダーに話を聞いた。 -
スバル・ソルテラET-HS(前編)
2026.4.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバル&STIでクルマを鍛えてきた辰己英治さんが、“古巣”スバルの手になる電気自動車「ソルテラ」に試乗。パワートレインの電動化以外にも、さまざまな試みが取り入れられた一台を、ミスター・スバルはどう評価するのか? -
第57回:スズキはなぜインドに賭ける? 変わらず牛が闊歩するインドの最新工場を小沢コージが直撃
2026.4.18小沢コージの勢いまかせ!! リターンズ小沢コージがインドへ。日本の自動車ファンにとってインドといえばスズキのイメージだが、実はスズキは現在、インドへの大型投資の真っ最中だ。なぜスズキはインドでこれほどまでに愛されるのか。最新工場を見学して考えた。 -
ボルボXC90ウルトラT8 AWDプラグインハイブリッド(4WD/8AT)【試乗記】
2026.4.18試乗記2016年に上陸した2代目となるボルボのフラッグシップSUV「XC90」の最新アップデートモデルに試乗。パワフルなプラグインハイブリッドシステムを採用する3列シートSUVの走りを、先にステアリングを握った「V60」や「XC60」との比較を交えながら報告する。 -
谷口信輝の新車試乗――ディフェンダー・オクタ編
2026.4.17webCG Moviesブーム真っ盛りのSUVのなかで、頂点に位置するモデルのひとつであろう「ディフェンダー・オクタ」。そのステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝の評価は……? 動画でリポートします。









































