「マツダ・カペラ」発売時の広告。「70年代に車の主流はロータリー車に変わる」というヘッドコピーの下の、「ジャンボが飛ぶ カペラが走る」というフレーズも、時代を表している。
「マツダ・カペラ」発売時の広告。「70年代に車の主流はロータリー車に変わる」というヘッドコピーの下の、「ジャンボが飛ぶ カペラが走る」というフレーズも、時代を表している。拡大
「カペラ ロータリークーペ」のリアビュー。丸形4連テールランプは「ファミリア ロータリー」から受け継いだ初期ロータリー車のアイデンティティーだった。
「カペラ ロータリークーペ」のリアビュー。丸形4連テールランプは「ファミリア ロータリー」から受け継いだ初期ロータリー車のアイデンティティーだった。拡大
「カペラ ロータリーセダン」。丸形デュアルヘッドライトを持つ、1971年に追加設定された高級版の「Gシリーズ」。この個体はマツダミュージアムの所蔵車両である。
「カペラ ロータリーセダン」。丸形デュアルヘッドライトを持つ、1971年に追加設定された高級版の「Gシリーズ」。この個体はマツダミュージアムの所蔵車両である。拡大

時代を表す、時代に翻弄された2台

【うたかたの夢】
マツダ・カペラ

1960年代にマツダが社運を賭して開発、実用化したロータリーエンジン。1967年に世界初の2ローターロータリーエンジン搭載車である「コスモスポーツ」を発売し、翌68年には主力車種だった大衆車の「ファミリア」にもロータリー搭載車を設定。マツダは“ロータリーゼーション”と称して、ロータリーエンジンの普及を推進していた。

「カペラ」は企画段階からロータリーエンジンの搭載を想定した初の実用車。マツダとしては初めて「トヨペット・コロナ」や「ダットサン・ブルーバード」に正面からぶつかるミドル級で、エンジンは573cc×2の12A型ロータリーと1.6リッターSOHCのレシプロの2本立てだった。

発売当初の広告のヘッドコピーは「70年代に車の主流はロータリー車に変わる」。これはあながちマツダの思い入れだけではない。軽量コンパクトで、スムーズかつパワフルというロータリーのメリットに注目した国内外の少なからぬメーカーが、その時点では研究開発を行っていたのである。

実用的な4ドアセダン/2ドアクーペで、ロータリーを除けばその設計は平凡だったが、最大の特徴であるロータリー搭載車のパフォーマンスは、当時の日本車中トップクラス。『CAR GRAPHIC』誌のテストでは最高速度187.5km/h、0-400m加速16.8秒を記録したが、これは価格が2倍近い「日産スカイライン2000GT-R」や、カペラの廉価グレード3台分に匹敵する「BMW 2002tii」とほぼ等しかった。いっぽう平均燃費はリッターあたり5.56km。卓越した動力性能の代償としてはやむなしといった感じだったが、3年後に石油危機がぼっ発すると、ロータリーを取り巻く状況は一変してしまうのである。

「フォルクスワーゲンK70」。ロータリーエンジン搭載の「NSU Ro 80」を寸詰まりにしたようなプロポーションである。
「フォルクスワーゲンK70」。ロータリーエンジン搭載の「NSU Ro 80」を寸詰まりにしたようなプロポーションである。拡大
1972年のマイナーチェンジでヘッドランプは丸形デュアルとなる。このタイプは日本にもインポーターだったヤナセによって正規輸入された。
1972年のマイナーチェンジでヘッドランプは丸形デュアルとなる。このタイプは日本にもインポーターだったヤナセによって正規輸入された。拡大
「K70」の透視図。エンジンは縦置きだが、ロングホイールベースによって室内空間は広く、荷室容量も十分だったことがわかる。
「K70」の透視図。エンジンは縦置きだが、ロングホイールベースによって室内空間は広く、荷室容量も十分だったことがわかる。拡大

【微妙な存在】
フォルクスワーゲンK70

フォルクスワーゲン(以下VW)初の水冷エンジン搭載車にして、初のFF車。とはいえ開発したのはVWではなく、ロータリーエンジンのパイオニアであるNSUである。ロータリーを積んだ「Ro 80」の下位に位置するレシプロエンジン搭載車として1969年にリリース予定だったが、前後してNSUがアウトウニオン(アウディ)と合併してVW傘下となったため、VWやアウディの同級車との競合を避けるべく、その発表は保留されていた。だが、VWのフラッグシップだった空冷リアエンジンの「411」の評判が芳しくなく、いっぽう「パサート」に始まる新世代FF車のデビューまでは間があったため、いわばつなぎ役としてVWブランドでK70を発売したのである。

6ライトの4ドアセダンボディーは、全長×全幅×全高=4420×1685×1450mm、ホイールベース=2690mmというサイズ。前:ストラット、後ろ:セミトレーリングアームの4輪独立懸架を備えたシャシーに、1.6リッター直4 SOHCエンジンを縦置きして前輪を駆動した。

自動車メディアからは、居住性に優れ、乗り心地と操縦性のバランスの取れた好ましいファミリーサルーンと評された。しかし、自慢のロータリーエンジンの信頼性不足により悪評が立っていた兄貴分Ro 80の影響もあってか、セールスは振るわなかった。世界有数の大メーカーであるVWが、微妙な状況にあったことを象徴するようなモデルである。

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