「シトロエンGS」。外観上の相違点はわずかだが、この個体は1974年に追加設定されたNSU開発の2ローターロータリーエンジンを積んだ「GSビロトール」。
「シトロエンGS」。外観上の相違点はわずかだが、この個体は1974年に追加設定されたNSU開発の2ローターロータリーエンジンを積んだ「GSビロトール」。拡大
「GS」の透視図。ハイドロニューマチックゆえにサスペンションに金属スプリングがないことがわかる。
「GS」の透視図。ハイドロニューマチックゆえにサスペンションに金属スプリングがないことがわかる。拡大
「シトロエンSM」。ヘッドライトはステアリングに連動して進行方向を照らすが、北米仕様(およびそれをベースにした日本仕様)は固定式のシールドビームだった。
「シトロエンSM」。ヘッドライトはステアリングに連動して進行方向を照らすが、北米仕様(およびそれをベースにした日本仕様)は固定式のシールドビームだった。拡大

継承されるフランス車の文化とアメリカの曲がり角

【大衆向け魔法のじゅうたん】
シトロエンGS/SM

「2CV」をベースにした「アミ」と上級モデル「DS」の間の、大きなギャップを埋める実用的なファミリーサルーンでありながら、高度なメカニズムによるクラスを超えた乗り味を提供し、この年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた傑作車。

空力的ながら広い室内空間を持つファストバックのボディーは、全長×全幅×全高=4120×1608×1349mmとライバルたちよりひとまわり大きい。シャシーにはDS譲りの窒素ガスと鉱物性オイルによるハイドロニューマチックサスペンションを採用して、小型車とは思えない絶妙な乗り心地と操縦安定性を両立し、車高調整装置やパワーブレーキも備わっていた。オーバーハングに搭載され前輪を駆動するエンジンは、往年のフランス車らしく車体に対して小さめの1015ccの空冷フラット4。アンダーパワーという声に応えて後に1.2リッター、次いで1.3リッターに拡大され、またロータリーエンジン搭載車も追加設定された。

同年にシトロエンは「SM」もリリースしている。いかにもシトロエンらしい前衛的かつ空力的なデザインながら、ブガッティやドラージュといった戦前のフランス車にも通じるデカダンスな雰囲気をも漂わせた高級グランツーリスモである。

全長4.9m近いテールゲート付きのボディーを動かすパワーユニットは、当時シトロエンが提携していたマセラティが開発した総アルミ製の2.7リッターV6 DOHC。これをフロントミドシップで搭載して前輪を駆動し、公称最高速度は220km/h。自動車専門誌におけるテストリポートでも確実に200km/hを超えており、世界最速のFF車と称された。

「ダッジ・チャレンジャーR/T」発売当初の広告。コピーに「他人に差を付けたい人に贈るスポーツコンパクト」とあるように、当時のアメリカではこのボディーサイズでもコンパクトだったのだ。
「ダッジ・チャレンジャーR/T」発売当初の広告。コピーに「他人に差を付けたい人に贈るスポーツコンパクト」とあるように、当時のアメリカではこのボディーサイズでもコンパクトだったのだ。拡大
「チャレンジャーR/Tコンバーチブル」。転倒時の安全性の問題からオープンカーに対する風当たりが強まったため、1970年、71年の2年間しかつくられなかった。
「チャレンジャーR/Tコンバーチブル」。転倒時の安全性の問題からオープンカーに対する風当たりが強まったため、1970年、71年の2年間しかつくられなかった。拡大
SCCAトランザムシリーズのホモロゲーションモデル「チャレンジャーT/A」。大きなエアスクープの付いたボンネットの下には、5.6リッターV8エンジン(290PS)を積む。
SCCAトランザムシリーズのホモロゲーションモデル「チャレンジャーT/A」。大きなエアスクープの付いたボンネットの下には、5.6リッターV8エンジン(290PS)を積む。拡大

【遅れてきた挑戦者】
ダッジ・チャレンジャー

2008年に登場したリメイク風の現行モデルが、数少ないマッスルカーとしていまだ健在の「チャレンジャー」。その初代モデルは、フォード・マスタングや「シボレー・カマロ」などに対抗するモデルだったが、デビューはマスタングの登場から6年近くたった後。いわば“遅れてきたポニーカー”だった。

全長×全幅×全高=4860×1955×1325mmという、兄弟車の3代目「プリマス・バラクーダ」よりわずかに大きいボディーは、2ドアハードトップクーペおよびコンバーチブルの2種類。エンジンは直6もあるがV8主体で、ハイパフォーマンスモデルの「R/T」(Road/Trackの略)には、335PS(SAEグロス)を発生する6.3リッターのほか、7.2リッター(375PS/390PS)、そしてクライスラー伝統の高性能ユニットであるヘミヘッドの7リッター(425PS)が用意された。また、およそ2400台だけつくられたトランザムシリーズ用ホモロゲーションモデルの「T/A」(Trans Amの略)も存在する。

だが2ページ目に記したとおり、翌1971年モデルからは排ガス対策が始まったため、チャレンジャーは初年度のモデルが最も強力で、以後は年を追ってパワーダウン。それとシンクロしてセールスも低下し、1972年にはコンバーチブルと高性能版のR/Tが廃止され、74年には生産終了となった。その輝きが一瞬であったがために、チャレンジャーの価値はより高まったとも言えるのだ。

(文=沼田 亨/写真=本田技研工業、トヨタ自動車、日産自動車、マツダ、フォルクスワーゲン、グループPSA、FCA、CG Library、沼田 亨/編集=堀田剛資)

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