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ビッグネームでも容赦なし! クルマとバイクで使い回されてきた車名

2020.07.15 デイリーコラム 沼田 亨

つづりは違うが

日産から久々にリリースされたニューモデルである「キックス」。その名を聞いて、即座に思い浮かべたのは同名のコンセプトカーである。1995年の東京モーターショーに出展された、「ラシーン」をスリーボックス化したような風変わりなダブルピックアップ風モデルである。それだけではなく、かつて存在した「三菱パジェロミニ」のOEMモデルも「キックス」を名乗っていた。だが、響きは同じでもコンセプトカーは“XIX”、パジェロミニは“KIX”、新型車は“KICKS”でつづりが違う。てなことを調べているうちに、さらにもう1台、“KYXX”とつづるコンセプトカーもあったそうで……。

新型車のネーミングには、苦労がつきものらしい。気が利いた名前を思い付いたものの、すでに使われていたり、使われていなくとも他社に商標登録されていたり。マツダのように、欧州メーカーに多いアルファベットと数字の組み合わせにしてしまえば、その種の悩みからは解放されるだろうが、現時点ではマツダを除く国産メーカーは、ほとんどの車種に固有の車名(ペットネーム)を付けている。

昔の名前で出てきました

となればキックスのように、すでに自社が保有しているが、現在は使われていない車名を復活させ、リユース(再使用)することもひとつの手である。車名の復活といっても、「トヨタ・スープラ」のように、空白期間はあってもかつての系統を受け継ぐのではなく、別車種といっていいモデルが同じ車名を冠する例としては、最近ではダイハツが「ロッキー(Rocky)」と「タフト(Taft)」を立て続けに復活させている。

日本でこの手法を最初に使ったのはマツダだろうか。1962年から1970年まで存在した「キャロル(Carol)」の名を、約20年を経て1989年に冠したのである(復活版のブランドは、当初はマツダではなくオートザム)。初代も、復活した2代目以降も軽乗用車ではあったが、2代目以降の中身はスズキ製(4代目以降は完全なOEM)だったから、別モデルと考えていいだろう。

そのほか国産メーカーでは三菱が「コルト(Colt)」や「ミラージュ(Mirage)」を、日産がトラックではあるが「クリッパー(Clipper)」を復活させている。だが、この手法の使い手といえば、なんといってもホンダである。

1995年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「日産XIX(キックス)」。全長×全幅×全高=4650×1695×1500mmという平べったいボディーに2リッター直4エンジンを積み、4輪を駆動。うたい文句は「新感覚セダン」だった。
1995年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「日産XIX(キックス)」。全長×全幅×全高=4650×1695×1500mmという平べったいボディーに2リッター直4エンジンを積み、4輪を駆動。うたい文句は「新感覚セダン」だった。拡大
2008年「日産キックス(KIX)」。「三菱パジェロミニ」のOEMモデルとなる軽クロスカントリー4WD。
2008年「日産キックス(KIX)」。「三菱パジェロミニ」のOEMモデルとなる軽クロスカントリー4WD。拡大
「ダイハツ・タフト」。1974年にデビューした本格的なオフロード4WD。エンジンは当初1リッター直4で、1978年に1.6リッター/2.5リッターディーゼルに変更。写真は1980年代のモデル。
「ダイハツ・タフト」。1974年にデビューした本格的なオフロード4WD。エンジンは当初1リッター直4で、1978年に1.6リッター/2.5リッターディーゼルに変更。写真は1980年代のモデル。拡大
1962年「マツダ・キャロル」。総アルミ製の水冷4ストローク358cc直4 OHVエンジンをリアに積んだ高級軽乗用車。
1962年「マツダ・キャロル」。総アルミ製の水冷4ストローク358cc直4 OHVエンジンをリアに積んだ高級軽乗用車。拡大
1989年「オートザム・キャロル」。「スズキ・アルト」のランニングシャシーに、マツダオリジナルのボディーを架装するという方法でつくられた。
1989年「オートザム・キャロル」。「スズキ・アルト」のランニングシャシーに、マツダオリジナルのボディーを架装するという方法でつくられた。拡大

四輪同士では

ホンダが復活させた車名というと、四輪同士では「ライフ(Life)」「Z」「バモス(Vamos)」があり、いずれも新旧ともに軽自動車に使われている。「スポーツ」の略である「S」と「乗りもの」を表すといわれる「N」も、それらの延長線上にあるといっていいかもしれない。かつて「シビック シャトル」と「フィット シャトル」がサブネームに冠していた「シャトル(Shuttle)」は、現行モデルでは“本名”に昇格。いずれも小型ワゴンが名乗っている。また、「シティ(City)」はかつて存在したコンパクトカーの名称として知られるが、アジア市場では日本で「フィット アリア」や「グレイス」を名乗ったこともあるコンパクトセダンがその名を冠している。

二輪と四輪を行ったり来たり

そしてホンダの真骨頂ともいえるのが、二輪と四輪の車名(サブネーム含む)のクロスオーバーである。比較的知られているであろうものから挙げていくと、まず「ビート(Beat)」。1983年に登場したアバンギャルドなデザインの原付きスクーターに使われた後、四輪では1991年デビューのミドシップの軽オープンスポーツが冠した。

「インテグラ(Integra)」は、もともとは1982年から「CBX400F」などのロードスポーツにフェアリングを装着した仕様にサブネームとして使われたのが最初。それから3年後の1985年に登場したスポーティーなハッチバッククーペが「クイント インテグラ」と名乗り、やはりサブネームとして使われた。その結果、一時期は市場に二輪と四輪のインテグラが共存していた。その後、四輪版は1989年のフルモデルチェンジの際にインテグラが本名となる。その四輪版が生産終了して6年ほどたった2012年に再び二輪に戻り、DCTを備えたスクータールックの大型スポーツ車がインテグラを本名として名乗ったのである。

こうした二輪と四輪を行ったり来たりの、言いかたは悪いが“使い回し”の例で、さらに複雑な変遷をたどっているのが「ジャズ(Jazz)」だ。最初はトールボーイスタイルのコンパクトカーである初代シティの欧州向け輸出仕様の名称として、1982年から使われ始めた。次は1986年に登場した、カブ系列のエンジンを積んだアメリカンタイプの原付きバイクがその名を冠した。その二輪版がまだ現役だった1993年にデビューした四輪版は、相互補完関係にあったいすゞからOEM供給されたSUV(いすゞ版は「ミュー」)。先のインテグラの場合は双方ともサブネームだったが、何の脈絡もなく(としか思えない)同じジャズを本名に冠したこれら二輪と四輪は、約3年間にわたって国内市場に共存していた。その後2001年からは、「フィット」の欧州などに向けた輸出名称として現在まで使われている。さらに原付きスクーター「クレア スクーピー」も、2005年からカナダ市場でジャズを名乗っていたとか……。

初代シティと歴代フィットにはベーシックカーという共通項があるが、そのほかのモデルについては関連性は見いだしにくい。また、語源である音楽のJAZZのイメージも、各モデルには希薄であると言わざるをえない。それでもここまで使われているのは、不思議である。

1983年「ホンダ・ビート」。ツインのハロゲンヘッドライトを埋め込んだカウリングを備えた超個性的なスタイリングの原付きスクーター。エンジンは49ccの水冷2ストローク単気筒。
1983年「ホンダ・ビート」。ツインのハロゲンヘッドライトを埋め込んだカウリングを備えた超個性的なスタイリングの原付きスクーター。エンジンは49ccの水冷2ストローク単気筒。拡大
1991年「ホンダ・ビート」。ミドシップの量産オープンとしては世界初というモノコックボディーを持つ、軽初のオープン2座スポーツにして、軽初のミドシップスポーツ。
1991年「ホンダ・ビート」。ミドシップの量産オープンとしては世界初というモノコックボディーを持つ、軽初のオープン2座スポーツにして、軽初のミドシップスポーツ。拡大
1982年「ホンダCBX400Fインテグラ」。ホンダとしては久々に登場した400マルチだったCBX400Fに、国産初となるフェアリングを標準装備したモデル。
1982年「ホンダCBX400Fインテグラ」。ホンダとしては久々に登場した400マルチだったCBX400Fに、国産初となるフェアリングを標準装備したモデル。拡大
1985年「ホンダ・クイント インテグラ」。先代となる「クイント」は5ドアハッチバックであることからその名を冠したが、これは3ドアのみで登場。追って5ドアと4ドアも加えられた。
1985年「ホンダ・クイント インテグラ」。先代となる「クイント」は5ドアハッチバックであることからその名を冠したが、これは3ドアのみで登場。追って5ドアと4ドアも加えられた。拡大
1986年「ホンダ・ジャズ」。ホンダとしては初となる50ccのアメリカンタイプ。ロー&ロングの本格的なスタイルで人気を博し、1999年まで続くロングセラーとなった。
1986年「ホンダ・ジャズ」。ホンダとしては初となる50ccのアメリカンタイプ。ロー&ロングの本格的なスタイルで人気を博し、1999年まで続くロングセラーとなった。拡大
1993年「ホンダ・ジャズ」。いすゞが北米市場を主眼に開発した別体式フレームを持つSUV「ミュー」のOEMモデル。3.1リッター直4ディーゼルターボユニットを積む。
1993年「ホンダ・ジャズ」。いすゞが北米市場を主眼に開発した別体式フレームを持つSUV「ミュー」のOEMモデル。3.1リッター直4ディーゼルターボユニットを積む。拡大

ほかにもこんなに

二輪と四輪双方で使われたホンダの車名は、ほかにもある。以下にまとめてみた。

【トゥデイ(Today)】

  • 二輪:2002年発売の原付きスクーター。
  • 四輪:1985年発売の軽ボンネットバン(後に乗用車版も追加設定)。

【ジェイド(Jade)】

  • 二輪:1991年に発売されたネイキッドのロードスポーツ。
  • 四輪:2015年に発売されたロールーフミニバン。

【セイバー(Sabre)】

  • 二輪:1982年発売の、新時代の高級大型二輪車をうたったロードスポーツ「VF750」のペットネーム。
  • 四輪:1995年発売のアッパーミドル級4ドアハードトップ「インスパイア」の双子車。

【スパーダ(Spada)】

  • 二輪:1988年発売のロードスポーツ「VT250」のペットネーム。アイルトン・セナが広告に出演していた。
  • 四輪:2003年、2代目「ステップワゴン」に追加設定されたカスタム系モデルのサブネーム(ステップワゴン スパーダ)。

【ストリーム(Stream)】

  • 三輪:1981年発売の原付きスリーター(前1輪、後ろ2輪の三輪)。
  • 四輪:2001年発売のロールーフミニバン。

【ホライズン(Horizon)】

  • 二輪:1984年発売のツーリング向けロードスポーツ「CBX750」のペットネーム。
  • 四輪:1994年に発売された「いすゞ・ビッグホーン」のOEMモデルとなるSUV。

【フィット(Fit)】

  • 二輪:1997年に発売された原付きスクーター「ディオ」のバリエーションモデルに付けられたサブネーム(ディオ フィット)。
  • 四輪:2001年に発売されたコンパクトハッチバック。

【ダンク(Dunk)】

  • 二輪:2014年発売の原付きスクーター。
  • 四輪:2000年に3代目「ライフ」に追加設定されたターボ版のサブネーム(ライフ ダンク)。

【ハミング(Humming)】

  • 二輪:1980年発売の原付きファミリーバイク。
  • 四輪:1994年に初代「トゥデイ」(商用版)に追加設定されたモデルのサブネーム(トゥデイ ハミング)。

【ビガー(Vigor)】

  • 二輪:1998年に登場した海外向けデュアルパーパスバイク「FX650」のペットネーム。
  • 四輪:1981年に発売された2代目「アコード」の双子車。

筆者が把握しているのはこんなところだが、ほかにもまだあるかもしれない。また、四輪とATV(All Terrain Vehicle、四輪バギー)の双方に使われた車名もある。ミニバンの名称として知られる「オデッセイ(Odyssey)」は、そもそも1977年に登場した海外向けATV「FL250」のペットネームとして使われていた。

1981年「ホンダ・ストリーム」。二輪車の楽しさと乗用車の快適さを兼ね備えたと主張する「スリーター」(前1輪、後ろ2輪の三輪車)。49ccの空冷2ストロークエンジンを搭載。
1981年「ホンダ・ストリーム」。二輪車の楽しさと乗用車の快適さを兼ね備えたと主張する「スリーター」(前1輪、後ろ2輪の三輪車)。49ccの空冷2ストロークエンジンを搭載。拡大
2000年「ホンダ・ストリーム」。5ナンバーサイズで3列シート7人乗りのロールーフミニバン。市場の間隙(かんげき)を突いた企画でヒットし、「シビック」と共に日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。
2000年「ホンダ・ストリーム」。5ナンバーサイズで3列シート7人乗りのロールーフミニバン。市場の間隙(かんげき)を突いた企画でヒットし、「シビック」と共に日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた。拡大
2002年「ホンダ・トゥデイ」。4ストロークエンジンと10色の豊富なカラーバリエーションを持つベーシックなスクーター。税抜き9万4800円という低価格でヒットした。
2002年「ホンダ・トゥデイ」。4ストロークエンジンと10色の豊富なカラーバリエーションを持つベーシックなスクーター。税抜き9万4800円という低価格でヒットした。拡大
1985年「ホンダ・トゥデイ」。ワンモーションに近いロングルーフのスタイリッシュなボディーを持つ商用車登録の軽ボンバン。1988年に乗用登録版が追加された。
1985年「ホンダ・トゥデイ」。ワンモーションに近いロングルーフのスタイリッシュなボディーを持つ商用車登録の軽ボンバン。1988年に乗用登録版が追加された。拡大
1991年「ホンダ・ジェイド」。スーパースポーツの「CBR250RR」と同じカムギアトレインの水冷249cc直4 DOHCエンジンをデチューンして積んだネイキッドロードスポーツ。
1991年「ホンダ・ジェイド」。スーパースポーツの「CBR250RR」と同じカムギアトレインの水冷249cc直4 DOHCエンジンをデチューンして積んだネイキッドロードスポーツ。拡大
2015年「ホンダ・ジェイド」。車高が低かった世代の「オデッセイ」や「ストリーム」の市場を受け継ぐロールーフミニバン。当初は3列シートのハイブリッド車のみだったが、後にガソリンターボ車や2列シート仕様を追加した。
2015年「ホンダ・ジェイド」。車高が低かった世代の「オデッセイ」や「ストリーム」の市場を受け継ぐロールーフミニバン。当初は3列シートのハイブリッド車のみだったが、後にガソリンターボ車や2列シート仕様を追加した。拡大

スズキの場合は

ホンダが二輪と四輪を合わせて膨大な数の車種をリリースしてきたことを考えると、こうした車名のリユースも仕方がないようにも思うが、他社はどうなのだろうか。二輪と四輪の双方をラインナップする主要メーカーは、ホンダ、スズキ、BMWの3社のみだが、BMWはそもそも伝統的にペットネームを持たない。ということでスズキを見てみよう。

まずは「ハスラー(Hustler)」。現在は2014年に登場した軽クロスオーバーSUVの車名だが、かつては1968年デビューの「TS250」に始まる、空冷/水冷2ストローク単気筒エンジンを積んだオフロードバイクのペットネームだった。これは国内市場における話で、それより前、1965年に登場した、250ccの空冷2ストローク2気筒エンジンを積んだスズキ初の本格的なロードスポーツ「T20」が、北米では「X6 ハスラー」を名乗っていた。

「バンディット(Bandit)」は、二輪では1989年に登場したネイキッドバイク「バンディット250/400」を皮切りにリッター超バイクまで発展し、2016年までラインナップされていた。いっぽう四輪では、コンパクトトールワゴンである2代目「ソリオ」に、2012年に追加設定されたカスタム系モデルがサブネームとして冠した。「ソリオ バンディット」は現在も健在だが、デビューから4年ほどは二輪のバンディットと共存していた。

現行の軽スーパーハイトワゴン「スペーシア」の前身となる「パレット(Palette)」。発売は2008年だが、サブネームに「パレット」を冠した先輩が二輪にあった。原付きスクーター「レッツ4」のバリエーション「レッツ4パレット」で、デビューは2005年。軽のパレットが発売後も、生産終了となる2015年まで併売されていた。

1981年に発売されてヒットし、欧州におけるスズキのブランドイメージを確立したモデルであり、日本の二輪史上に名を残す名車である「GSX1100S KATANA(カタナ)」。初代の衝撃的なデビューからおよそ40年を経た2019年、新型「KATANA」が登場して話題を呼んだが、復活と前後してその世界観を「スイフトスポーツ」に反映させた「スイフトスポーツ カタナ」が、オランダで30台限定で発売された。

KATANAのメインマーケットである欧州独自の企画で、日本は蚊帳の外かと思っていたが、2020年の東京オートサロンのスズキブースに本家が手がけた「スイフトスポーツKATANAエディション」が出展されていた。あくまでショーカーで市販予定はなしとのことだが、二輪と四輪双方を手がけるメーカーならではの企画ではあった。

1977年「スズキ・ハスラー50」。1971年に登場したハスラー(TS)シリーズの末弟。空冷2ストローク単気筒エンジンの水冷化など改良を加えながら1990年代後半まで生き延びた。
1977年「スズキ・ハスラー50」。1971年に登場したハスラー(TS)シリーズの末弟。空冷2ストローク単気筒エンジンの水冷化など改良を加えながら1990年代後半まで生き延びた。拡大
2014年「スズキ・ハスラー」。軽トールワゴンの居住性とSUVの走破性を兼ね備えたクロスオーバーモデル。オフロードも走行可能なモデルという点で二輪版と共通項がある。
2014年「スズキ・ハスラー」。軽トールワゴンの居住性とSUVの走破性を兼ね備えたクロスオーバーモデル。オフロードも走行可能なモデルという点で二輪版と共通項がある。拡大
1989年「スズキ・バンディット250」。248cc水冷直4 DOHCエンジンを積んだネイキッドスポーツ。共通の車体構成を持つ400cc版もあり、2000年までつくられた。
1989年「スズキ・バンディット250」。248cc水冷直4 DOHCエンジンを積んだネイキッドスポーツ。共通の車体構成を持つ400cc版もあり、2000年までつくられた。拡大
2012年「スズキ・ソリオ バンディット」。コンパクトハイトワゴンの「ソリオ」に専用グリルやヘッドライト、ホイールなどを装着して押し出しを強めたカスタム系の派生モデル。
2012年「スズキ・ソリオ バンディット」。コンパクトハイトワゴンの「ソリオ」に専用グリルやヘッドライト、ホイールなどを装着して押し出しを強めたカスタム系の派生モデル。拡大
2008年「スズキ・レッツ4パレット」。「レッツ」以来の2ストロークエンジンを4ストロークに換えた「レッツ4」の外観を、クラシカルでポップなデザインとしたモデル。
2008年「スズキ・レッツ4パレット」。「レッツ」以来の2ストロークエンジンを4ストロークに換えた「レッツ4」の外観を、クラシカルでポップなデザインとしたモデル。拡大
2008年「スズキ・パレット」。ボンネット型軽としては初めてリア両側スライドドアを採用したスーパーハイトワゴン。2013年の世代交代の際に「スペーシア」に改名した。
2008年「スズキ・パレット」。ボンネット型軽としては初めてリア両側スライドドアを採用したスーパーハイトワゴン。2013年の世代交代の際に「スペーシア」に改名した。拡大

復活を望むのは?

といった感じで、二輪と四輪のクロスオーバーを含む車名の復活/リユースを見てきたが、どんな感想を持たれただろうか。もっとも受け手側がどう思おうと、メーカーによって考え方の違いはあれども、今後も車名の復活/リユースはあり、というか増えていきそうな気がするが。

最後に、個人的に復活を望む車名について記させていただきたい。いくつもあるのだが、ひとつに絞るならトヨタの「パブリカ(Publica)」。1961年に発売されたトヨタ初の大衆車のデビューに際して、公募によって決定された名称で、英語で「大衆の、庶民の」を意味する「パブリック(public)」と「カー(car)」を組み合わせた造語だった。まさに「名は体を表す」車名であり、響きも愛らしい。

こんなステキな名を使わずにおく手はないと思うのだが、型式名を由来とする「86」とか、中国向け「カローラ」の姉妹車である「レビン」くらいしか車名のリユース例がないトヨタのことだから、まずないだろうなあ……。そもそもパブリカの復活を望む者など、アンタのほかにいるのかって? こりゃまた失礼いたしました!

(文=沼田 亨/写真=日産自動車、ダイハツ工業、マツダ、本田技研工業、スズキ、トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

1961年「トヨタ・パブリカ」。700ccの空冷フラットツインを積んだベーシックな2ドアセダン。後に「コンバーチブル」なども加えられ、通称“ヨタハチ”こと「トヨタ・スポーツ800」のベースにもなった。
1961年「トヨタ・パブリカ」。700ccの空冷フラットツインを積んだベーシックな2ドアセダン。後に「コンバーチブル」なども加えられ、通称“ヨタハチ”こと「トヨタ・スポーツ800」のベースにもなった。拡大
沼田 亨

沼田 亨

1958年、東京生まれ。大学卒業後勤め人になるも10年ほどで辞め、食いっぱぐれていたときに知人の紹介で自動車専門誌に寄稿するようになり、以後ライターを名乗って業界の片隅に寄生。ただし新車関係の仕事はほとんどなく、もっぱら旧車イベントのリポートなどを担当。

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