フロントフォークは正立タイプ。放熱性に優れる花弁型のブレーキディスクがおごられている。
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ショーワ製のリアサスペンションはリザーバータンク付きのツインショック。プログレッシブなスプリングとの組み合わせにより、あらゆる道路環境での快適性が追求されている。
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ハンドルバーはセンターで固定される一文字タイプ。1万8150円のオプションとしてグリップヒーターが用意される。
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シート下の荷室容量は27リッター。フルフェイスヘルメットがひとつ収納できる。フロントには、アクセサリーソケット付きのインナーボックス(容量2リッター)も。
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ボディーカラーは、写真の「マットメテオライトブラウン×ブラック」のほか、「マットガンパウダーブラックメタリック」と「ゲイエティーレッド」が選べる。
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これはスクーターの新常識
タイヤサイズは前後ともPCX150より太くなっているため、軽量でコンパクトな車体のスクーターとは思えないくらいの安定性がある。フロント130mm、リア120mmのサスストロークはPCX150よりも長く、このクラスでは最長。減速時にブレーキでサスを縮め、姿勢変化を利用して運動性を引き出すような走り方をすることもできた。ダブルクレードルのフレームもしっかりしていて不安がないし、ブレーキもよく利いてハードな減速をしているときのコントロールもしやすい。減速しながらタイトなコーナーに進入していくときなどは、体重移動をしておくとブレーキをリリースした瞬間にマシンがグルっと向きを変える。
小径ホイールでニーグリップができず、エンブレも使えないスクーターの場合、スポーティーに走らせようとすると(またがってニーグリップするタイプの)バイクとはまた違った繊細なテクニックが必要になることが多いのだけれど、ADV150は、高い安定性、優れたハンドリングとサスペンションによって、これまで乗ったスクーターにはないスポーツ性を発揮している。これが面白くて、交差点やUターンではいろいろな乗り方をしてしまった。ただ、試乗したマシンはサスがヘタり気味だったのか1G(静止時)でも少し沈み込んだ状態になっていた。本来の素晴らしいハンドリングが若干失われていて、乗り心地も硬い感じになっていたのが残念なところ。
このエンジンの特性とサスペンション、ワイドなオフロードパターンのタイヤはオフロードでの走りも楽しむことも可能だ。もちろん本格的なオフロードバイクのようにはいかないが、旅先で出てくる林道やちょっとしたオフロードでアドベンチャー気分を楽しむのであればこれで十分。逆にオフロードバイクだったら物足りなくなってしまうような場所もADV150だったら大冒険になる。日本のオフを楽しむのなら、これくらいがちょうどいいのかもしれない。
スクーターは便利な移動手段である。しかし、ADV150は、そんなスクーターの枠を飛び越え、いろいろな場所を遊び場に変えることができる。毎日を楽しくしてくれる乗り物なのである。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=関 顕也)
ホンダADV150
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始動はリモコンキーの認識とダイヤル操作で行う。給油口やシートのロック解除は電動式になっている。
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「ADV150」の生産国はタイ。日本仕様車も現地からの輸入で供給される。
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【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=1960×760×1150mm
ホイールベース:1325mm
シート高:795mm
重量:134kg
エンジン:149cc 水冷4ストローク単気筒OHC 4バルブ
最高出力:15PS(11kW)/8500rpm
最大トルク:14N・m(1.4kgf・m)/6500rpm
トランスミッション:CVT
燃費:44.1km/リッター(WMTCモード)/54.5km/リッター(国土交通省届出値)
価格:45万1000円