【F1 2020】シューマッハーに並ぶ最多勝利記録 ハミルトンが次に狙うのは……

2020.10.12 自動車ニュース webCG 編集部
F1第11戦アイフェルGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(写真中央)、2位のレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同左)、3位に入ったルノーのダニエル・リカルド(同右)。(Photo=Renault Sport)
F1第11戦アイフェルGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(写真中央)、2位のレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同左)、3位に入ったルノーのダニエル・リカルド(同右)。(Photo=Renault Sport)拡大

2020年10月11日、ドイツのニュルブルクリンクで行われたF1世界選手権第11戦アイフェルGP。7年ぶりにカムバックした伝統のコースで、ルイス・ハミルトンがミハエル・シューマッハーの最多勝利記録に並んだ。

予選では僚友バルテリ・ボッタスに負けたもののフロントローにはつくことができたハミルトン(写真)。これでメルセデスチームとしては通算72回目、エンジンメーカーとしては400回目の最前列独占である。レースでは2位走行中にボッタスのロックアップを見逃さず首位を奪うと、バーチャルセーフティーカーのタイミングでタイヤ交換を行い、またセーフティーカー後の再スタートも難なく決め、今季7勝目を飾った。出走260戦で通算91勝目は、ミハエル・シューマッハーの最多勝利記録に並ぶ大記録。ボッタスがリタイアしたことで、今季のチャンピオンシップでのリードは69点にまで拡大した。(Photo=Mercedes)
予選では僚友バルテリ・ボッタスに負けたもののフロントローにはつくことができたハミルトン(写真)。これでメルセデスチームとしては通算72回目、エンジンメーカーとしては400回目の最前列独占である。レースでは2位走行中にボッタスのロックアップを見逃さず首位を奪うと、バーチャルセーフティーカーのタイミングでタイヤ交換を行い、またセーフティーカー後の再スタートも難なく決め、今季7勝目を飾った。出走260戦で通算91勝目は、ミハエル・シューマッハーの最多勝利記録に並ぶ大記録。ボッタスがリタイアしたことで、今季のチャンピオンシップでのリードは69点にまで拡大した。(Photo=Mercedes)拡大
2021年シーズン限りでのF1撤退を表明したホンダ。衝撃の発表直後にあたったアイフェルGPの舞台は、1964年にホンダF1第1期がデビューした思い出の地、ニュルブルクリンクだった。マシンのアップデートでレッドブルがメルセデスに近づき、フェルスタッペン(写真)がポール争いに絡みながら予選3位。レースではボッタスの後退で1つポジションアップ。ペースではハミルトンにはかなわなかったが、最終周にはファステストラップを記録し2位でチェッカードフラッグを受けた。ホンダとしては、2004年にBARホンダのジェンソン・バトンが記録して以来の、ニュルブルクリンクでの2度目の表彰台となる。チームメイトのアレクサンダー・アルボンは5番グリッドからスタートし、レース半ばにリタイア。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
2021年シーズン限りでのF1撤退を表明したホンダ。衝撃の発表直後にあたったアイフェルGPの舞台は、1964年にホンダF1第1期がデビューした思い出の地、ニュルブルクリンクだった。マシンのアップデートでレッドブルがメルセデスに近づき、フェルスタッペン(写真)がポール争いに絡みながら予選3位。レースではボッタスの後退で1つポジションアップ。ペースではハミルトンにはかなわなかったが、最終周にはファステストラップを記録し2位でチェッカードフラッグを受けた。ホンダとしては、2004年にBARホンダのジェンソン・バトンが記録して以来の、ニュルブルクリンクでの2度目の表彰台となる。チームメイトのアレクサンダー・アルボンは5番グリッドからスタートし、レース半ばにリタイア。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

ホンダ撤退に見るF1のサステナビリティー

10月2日に発表された2021年シーズンをもってのホンダ撤退の報を受け、当然ながらF1界にもショックが広がっていた。ファン目線では賛否両論、一部では非難囂々(ごうごう)となっているが、ライバルを含めた現場のF1関係者からすれば、ある種の“危機感”を禁じ得ない状況だった。

声を上げたのは、ルノーを率いるシリル・アビテブール代表。来季末にホンダが抜け、メルセデス、フェラーリ、ルノーの3メーカー体制に縮小することは「ポジティブではない」とし、2025年まで続く現行のパワーユニット規定を前倒しで見直し、新規メーカーの参入を促すようにすべきだと主張した。

2014年以来、1.6リッターにダウンサイジングされた内燃機関と2つのエネルギー回生システムを組み合わせたパワーユニットで戦ってきたF1だが、技術的な複雑さや開発コストの高さなどリスクが多く、F1に新たに打って出るような自動車メーカーはホンダ以外現れていない。F1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンも、現行規定化での新規参入の可能性がほぼないことを認めているぐらいだ。ホンダの撤退表明は、ホンダだけの問題ではなく、F1が抱える問題でもあるのだ。

2050年までのカーボンニュートラルへの道を示したホンダ。そこにF1が入り込む余地は残されていなかったことがはっきりした。今年70周年を迎えたF1は、100周年に向けてどんな道を歩むべきなのか。ホンダの撤退にF1のサステナビリティー(持続可能性)が問われている。

レッドブル在籍の2018年、モナコGPでの優勝以来となる表彰台に「初めてのポディウムのようだ」と満面の笑みを浮かべたリカルド(写真)。ルノーとしては2011年のマレーシアGP以来となる9年ぶりの表彰台である。予選6位からのスタートで5位、9周目にシャルル・ルクレールを抜き4位と順位を上げ、16周目と早めにタイヤ交換。ボッタスのリタイアで3位まで上昇するも、背後からレーシングポイントのセルジオ・ペレスの猛追を受けることに。しかし運よくセーフティーカーが出てタイヤを一新することができ、再スタート後もペレスを見事抑え切った。なお「リカルドが表彰台にのぼったら自身にタトゥーを入れる」という賭けにのったルノーのシリル・アビテブール代表は、どうやら「ドイツっぽいタトゥー」(リカルド談)を彫られるようである。チームメイトのエステバン・オコンがトラブルでリタイアとなったが、ルノーは激しい中団チームの争いのなかで、4位マクラーレンに2点差の5位につけている。(Photo=Renault Sport)
レッドブル在籍の2018年、モナコGPでの優勝以来となる表彰台に「初めてのポディウムのようだ」と満面の笑みを浮かべたリカルド(写真)。ルノーとしては2011年のマレーシアGP以来となる9年ぶりの表彰台である。予選6位からのスタートで5位、9周目にシャルル・ルクレールを抜き4位と順位を上げ、16周目と早めにタイヤ交換。ボッタスのリタイアで3位まで上昇するも、背後からレーシングポイントのセルジオ・ペレスの猛追を受けることに。しかし運よくセーフティーカーが出てタイヤを一新することができ、再スタート後もペレスを見事抑え切った。なお「リカルドが表彰台にのぼったら自身にタトゥーを入れる」という賭けにのったルノーのシリル・アビテブール代表は、どうやら「ドイツっぽいタトゥー」(リカルド談)を彫られるようである。チームメイトのエステバン・オコンがトラブルでリタイアとなったが、ルノーは激しい中団チームの争いのなかで、4位マクラーレンに2点差の5位につけている。(Photo=Renault Sport)拡大
アルファタウリの予選は、ピエール・ガスリー(写真)12位、ダニール・クビアト13位と2台ともQ2どまりとなるものの、レースではガスリーが6位でゴール。チームはトロロッソ、そしてその前身であるミナルディ時代を含めて最長となる8戦連続入賞中と波に乗り、ランキングは7位につけている。クビアトはレッドブルのアルボンにぶつけられフロントウイングを壊し緊急ピットイン、15位完走。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリの予選は、ピエール・ガスリー(写真)12位、ダニール・クビアト13位と2台ともQ2どまりとなるものの、レースではガスリーが6位でゴール。チームはトロロッソ、そしてその前身であるミナルディ時代を含めて最長となる8戦連続入賞中と波に乗り、ランキングは7位につけている。クビアトはレッドブルのアルボンにぶつけられフロントウイングを壊し緊急ピットイン、15位完走。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

前戦からの勢いそのまま ボッタスがポール獲得

コロナ禍のスケジュール調整で2013年以来となるカレンダー復帰を果たしたニュルブルクリンク。7年前にレッドブルのセバスチャン・ベッテルが母国初優勝を飾ったのも今は昔、ターボハイブリッド規定化では初レースとなる。当初はホッケンハイムでのドイツGPが検討されていたが、結果的に実現しなかったため、一国一GP開催の原則からサーキットがある地名をその名に頂いた。

秋深まるドイツ西部の山地は気温も10度前後と低く、金曜日は雨と霧により2つのフリー走行すべてがキャンセル。天候が回復した土曜日に1時間のフリー走行が実施されたのみで予選を迎えることになった。誰もが十分な準備ができないままでいたが、なかでもレーシングポイントは多忙極まる状況に。ランス・ストロールが体調不良で走行できず、イギリスGP、70周年記念GP以来となるニコ・ヒュルケンベルグがぶっつけ本番で予選に出走。最後尾20位でなんとかセッションを終えたのだった。

今季全戦でポールポジションを獲得しているメルセデス勢が通算72回目のフロントロー独占に成功。前戦ロシアGPで起死回生の今シーズン2勝目を挙げたバルテリ・ボッタスが、その勢いをキープして今年3回目、通算14回目の予選P1を奪った。0.256秒遅れてルイス・ハミルトンが2位。ポールを狙える速さを見せながら、最後のアタックでアンダーステアに苦しんだレッドブルのマックス・フェルスタッペンが3位につけた。

4番手タイムはシャルル・ルクレールが記録し、フロアやバージボードなどエアロパーツを改良したフェラーリで善戦。しかし僚友セバスチャン・ベッテルは母国で7戦連続Q2敗退、11位と明暗が分かれた。レッドブルのアレクサンダー・アルボン5位、その後ろにはルノー勢が並び、ダニエル・リカルド6位、エステバン・オコン7位。マクラーレン勢は旧型パーツを付けたランド・ノリス8位、新型を装着するも芳しくなかったカルロス・サインツJr.は10位。レーシングポイントのセルジオ・ペレスが9位からレースに臨むこととなった。

どん底からはい上がりつつあるフェラーリ。マシンフロアやバージボードを改良して臨んだアイフェルGPでは、シャルル・ルクレール(写真)がフリー走行で3位、予選でも最後のアタックで4位に上がる活躍を見せた。レースではルノーのリカルドやレーシングポイントのペレスらに先を越され、セーフティーカー後はガスリーにも抜かれ結果7位。7年前のニュルブルクリンクで、レッドブルを駆り母国初優勝したセバスチャン・ベッテルは、上昇気流に乗れずに予選11位、決勝では序盤に派手なスピンを喫するなどし、11位完走。(Photo=Ferrari)
どん底からはい上がりつつあるフェラーリ。マシンフロアやバージボードを改良して臨んだアイフェルGPでは、シャルル・ルクレール(写真)がフリー走行で3位、予選でも最後のアタックで4位に上がる活躍を見せた。レースではルノーのリカルドやレーシングポイントのペレスらに先を越され、セーフティーカー後はガスリーにも抜かれ結果7位。7年前のニュルブルクリンクで、レッドブルを駆り母国初優勝したセバスチャン・ベッテルは、上昇気流に乗れずに予選11位、決勝では序盤に派手なスピンを喫するなどし、11位完走。(Photo=Ferrari)拡大
レーシングポイントにまたも緊急事態発生。イギリスGP、70周年記念GPではセルジオ・ペレスが新型コロナウイルスに感染したが、今回はランス・ストロールがコロナではない体調不良を訴え、再度ニコ・ヒュルケンベルグ(写真中央)が代役として抜てきされた。出走なしのぶっつけ本番で臨んだ予選では最後尾20位がやっと。しかしレースではしたたかに戦い、見事8位入賞を果たしたのだからさすがだ。ペレスは予選9位から4位に入り、レーシングポイントは120点でランキング3位に上昇した。(Photo=Racing Point)
レーシングポイントにまたも緊急事態発生。イギリスGP、70周年記念GPではセルジオ・ペレスが新型コロナウイルスに感染したが、今回はランス・ストロールがコロナではない体調不良を訴え、再度ニコ・ヒュルケンベルグ(写真中央)が代役として抜てきされた。出走なしのぶっつけ本番で臨んだ予選では最後尾20位がやっと。しかしレースではしたたかに戦い、見事8位入賞を果たしたのだからさすがだ。ペレスは予選9位から4位に入り、レーシングポイントは120点でランキング3位に上昇した。(Photo=Racing Point)拡大

ボッタスの脱落でハミルトンが首位へ

メルセデスは、当初スタートタイヤにソフトではなくミディアムを考えていたが、スタート時の蹴り出しの良さを選び、ライバルと同じソフトで出走することにした。雲間から時折日が差すも、気温9度、路面温度18度という、通常のF1では想定されていない寒さ。さらに走行時間の少なさもあり、タイヤマネジメントほか手探りなまま、60周のレースは幕を開けた。

ハミルトンが好スタートでボッタスに並びかけるも、ボッタスが意地を見せトップを守った。2位ハミルトン、3位フェルスタッペン、4位ルクレール、5位リカルド、6位アルボンでオープニングラップは終了。4位ルクレールのペースは思わしくなく、9周目にリカルドが4位に上がった時には、トップ3は既に17秒も先を行っていた。

10周を過ぎ、首位のボッタスは2位ハミルトンに1.2秒リードを築いていたが、13周目のターン1でタイヤをロックアップさせてしまう。オーバーランしたチームメイトの隙をハミルトンがすかさず突きトップ交代。タイヤを痛めたボッタスは14周目にピットに入り、ミディアムタイヤでコースに戻った。

16周目、リタイアしたウィリアムズのマシンを片付けるためバーチャルセーフティーカーが出た。先頭2台にとっては絶好のタイミングとなり、ハミルトン、フェルスタッペンともミディアムに交換、順位を落とすことなく走行を続けることができた。

一方のボッタスは不運が続き、ノンストップで走り続けるノリスとペレスに前をふさがれてしまう。さらに18周目になると「パワーがない」と訴えるようになり再びピットへ。メルセデスにしては珍しい、「MGU-H」が原因と思われるトラブルでリタイアを喫した。

前戦ロシアGPでルーベンス・バリケロの史上最多出走記録322回に並んだアルファ・ロメオのキミ・ライコネン(写真)がその記録を更新。19番グリッドから入賞を目指すも、ウィリアムズのジョージ・ラッセルをはじき飛ばしてしまい10秒ペナルティーを受けるなどして12位完走。チームメイトのアントニオ・ジョビナッツィは10位でゴール、開幕戦9位に次ぐ今季2度目の入賞を果たした。(Photo=Alfa Romeo Racing)
前戦ロシアGPでルーベンス・バリケロの史上最多出走記録322回に並んだアルファ・ロメオのキミ・ライコネン(写真)がその記録を更新。19番グリッドから入賞を目指すも、ウィリアムズのジョージ・ラッセルをはじき飛ばしてしまい10秒ペナルティーを受けるなどして12位完走。チームメイトのアントニオ・ジョビナッツィは10位でゴール、開幕戦9位に次ぐ今季2度目の入賞を果たした。(Photo=Alfa Romeo Racing)拡大
メルセデスのボッタス(写真)は、予選でチームメイトのハミルトンに0.256秒の差をつけ今季3回目のポールポジションを獲得。しかし出走150回目となったレースでは、背後からのハミルトンのプレッシャーに屈したか、タイヤを派手にロックさせてしまい僚友にトップを奪われてしまった。タイヤを交換し挽回しようとするや、「パワーがない」と無線で訴え緊急ピットイン。「MGU-H」と思われるトラブルでメルセデスにとっては今季初のリタイアとなった。(Photo=Mercedes)
メルセデスのボッタス(写真)は、予選でチームメイトのハミルトンに0.256秒の差をつけ今季3回目のポールポジションを獲得。しかし出走150回目となったレースでは、背後からのハミルトンのプレッシャーに屈したか、タイヤを派手にロックさせてしまい僚友にトップを奪われてしまった。タイヤを交換し挽回しようとするや、「パワーがない」と無線で訴え緊急ピットイン。「MGU-H」と思われるトラブルでメルセデスにとっては今季初のリタイアとなった。(Photo=Mercedes)拡大
金曜日に予定されていた2回のフリー走行は、霧によりメディカルヘリコプターが飛べないという理由ですべてキャンセルに。この事態を重く見たFIA(国際自動車連盟)は、ヘリの発着所をサーキットより標高の低い場所に移して霧の影響を受けないようにし、そこまでは救急車で搬送するというバックアッププランを急きょ策定した。土曜日以降は天候が回復、また大きな事故もなく、このプランは発動することはなかった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
金曜日に予定されていた2回のフリー走行は、霧によりメディカルヘリコプターが飛べないという理由ですべてキャンセルに。この事態を重く見たFIA(国際自動車連盟)は、ヘリの発着所をサーキットより標高の低い場所に移して霧の影響を受けないようにし、そこまでは救急車で搬送するというバックアッププランを急きょ策定した。土曜日以降は天候が回復、また大きな事故もなく、このプランは発動することはなかった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

最多勝利記録に並んだハミルトンへのプレゼント

ボッタスがいなくなったことで、優勝争いはハミルトンとフェルスタッペンに絞られたが、レッドブルはメルセデスに対し0.3秒程度遅くギャップは徐々に広がり、残り20周の時点で9.8秒にまで拡大。その後方の3位リカルドとは60秒の差ができていた。

その間隔が一気に詰まる出来事が起きた。44周目、パワーロスを訴えながら走行していたマクラーレンのノリスがコース脇にマシンを止めたことでセーフティーカーが出たのだ。この機会に各車続々とピットイン。1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位リカルド、4位ペレス、5位サインツJr.、6位ルクレールといったオーダーで50周目にレースは再開した。

冷えたタイヤでの再スタートに賭けた3位リカルドだったが、フェルスタッペンに迫るも抜けず。トップのハミルトンは、ファステストラップを連発して逃げにかかり、フェルスタッペンを寄せ付けなかった。

結局、ハミルトンはフェルスタッペンに4.4秒の差をつけ真っ先にチェッカードフラッグを受けた。彼にとっての通算91勝目は、ミハエル・シューマッハーの歴代最多勝記録と肩を並べる大記録。シューマッハーの母国ドイツ、1927年にオープンした歴史あるニュルブルクリンクで達成された偉業である。

レース後、F2選手権を戦うシューマッハーの息子ミックから、彼の父親がメルセデス時代にかぶっていたヘルメットがハミルトンに手渡された。2人合わせて、F1の過去1029戦の約18%で勝利をおさめてきたことになるハミルトンとシューマッハー。ハミルトンが次に狙うのは、最多勝で単独トップとなること、そしてシューマッハーが持つ最多7度目のタイトルに並び、追い越すこと。11戦して7勝目、チャンピオンシップでは69点ものリードを築いていることからも、今季だけで2つの目標は十分クリアできそうである。

2位に終わったフェルスタッペンは、メルセデスとの力量の差を認めつつ、最終ラップにファステストラップをたたき出せたことにポジティブな手応えを感じていた。そして3位のリカルドは、2018年モナコGP以来、ルノー移籍後では初となる表彰台に喜びをかみしめていた。

次戦は、F1にとって新しいコースであるアルガルベ・サーキットで、24年ぶりに行われるポルトガルGP。決勝日は10月25日だ。

(文=bg)

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