【F1 2021】大雨のベルギーGP、史上6度目のハーフポイントレースに終わる

2021.08.30 自動車ニュース
F1第12戦ベルギーGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右から2番目)、2位に入ったウィリアムズのジョージ・ラッセル(同左端)、3位でレースを終えたメルセデスのルイス・ハミルトン(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第12戦ベルギーGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右から2番目)、2位に入ったウィリアムズのジョージ・ラッセル(同左端)、3位でレースを終えたメルセデスのルイス・ハミルトン(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2021年8月29日、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われたF1世界選手権第12戦ベルギーGP。シーズン後半戦のスタートは、悪名高き「スパ・ウェザー」に翻弄(ほんろう)され思わぬ展開となった。

降り続ける雨に、スタートは3時間以上順延。水煙による視界不良がスタートを阻んだ。最終的に、セーフティーカー先導で3周を終えたことでレースは成立。これまでの最短レースだった1991年オーストラリアGPの14周(53km)よりはるかに短い“記録”が生まれた。また、規定周回の75%に満たなかったことで、2009年マレーシアGP以来、史上6度目のハーフポイントレースとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
降り続ける雨に、スタートは3時間以上順延。水煙による視界不良がスタートを阻んだ。最終的に、セーフティーカー先導で3周を終えたことでレースは成立。これまでの最短レースだった1991年オーストラリアGPの14周(53km)よりはるかに短い“記録”が生まれた。また、規定周回の75%に満たなかったことで、2009年マレーシアGP以来、史上6度目のハーフポイントレースとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
予選で今季6回目のポールを奪ったフェルスタッペン(写真先頭)が結果的に不戦勝を挙げた。レッドブルとホンダは、パートナーシップ50戦目にして12勝目。これは、ルノーのハイブリッドエンジンで戦った100戦で記録した勝利数と同じである。一方、来季に向けて無事契約を更新したセルジオ・ペレスは、予選7位からスタート前のレコノサンスラップ中にウエット路面で挙動を乱しウォールにヒット。スタート順延中に修復が済んだことで最後尾からスタートし19位でレースを終えた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
予選で今季6回目のポールを奪ったフェルスタッペン(写真先頭)が結果的に不戦勝を挙げた。レッドブルとホンダは、パートナーシップ50戦目にして12勝目。これは、ルノーのハイブリッドエンジンで戦った100戦で記録した勝利数と同じである。一方、来季に向けて無事契約を更新したセルジオ・ペレスは、予選7位からスタート前のレコノサンスラップ中にウエット路面で挙動を乱しウォールにヒット。スタート順延中に修復が済んだことで最後尾からスタートし19位でレースを終えた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

流動的なカレンダーと激戦必至のチャンピオンシップ

2021年後半戦がベルギーGPからスタート。これまで11戦を消化し、残るは12戦となるはずだったが、10月に予定されていた第17戦日本GPが残念ながら2年連続で中止となり、ついに当初の「全23戦」という計画は22戦に変更された。このうち11月の第20戦の開催地は未定のままだが、中東カタールでの初GPが入るとの臆測が飛び、既定のトルコ、メキシコ、ブラジル各GPについては開催を危ぶむ声もあり、さらなるスケジュール変更の可能性は否定できない。

かようにコロナ禍でカレンダーは流動的だが、チャンピオンシップは激戦必至だ。特に今季4勝で選手権を8点リードするルイス・ハミルトンと、5勝しながら直近のイギリスGPハンガリーGPと立て続けにクラッシュ絡みの不運に見舞われ首位から2位に転落したマックス・フェルスタッペンという、2人のタイトル争いには大いに注目したいところだ。

コンストラクターズチャンピオンシップでは、第9戦オーストリアGPまで6勝し勢いに乗っていたレッドブル勢が、前半戦の最後の2戦で災難が続いたことでメルセデスに逆転を許し、12点の差をつけられてしまった。フェルスタッペンとセルジオ・ペレスは、他車とのクラッシュの影響で2基目のパワーユニットを失い、シーズン半分を残して最後の3基目のホンダパワーユニットに切り替えざるを得なくなった。4基目投入となればペナルティーは避けられず、厳しい戦いも予想される。

シーズン再開の舞台はスパ・フランコルシャン。その後は、36年ぶりに復活するザントフールトでのオランダGP、そしてモンツァでのイタリアGPと続く3連戦になる。レッドブルが失いかけた勢いを取り戻すか、はたまた8連覇に執念を燃やすメルセデスが王者の貫禄で逃げに入るか。

予選後、ポールシッターのフェルスタッペン(写真右)と健闘をたたえ合うウィリアムズのラッセル(同左)。予選で雨に翻弄(ほんろう)されるドライバーやチームが多く出るなか、ウィリアムズはコンディションを先読みし戦略的なタイヤ選択を行い、ニコラス・ラティフィを含め2台でQ2に進出。Q3に進んだラッセルは、ぬれた路面で安定したラップとライバルをしのぐタイムを刻み、見事2位の座を奪った。昨季ルイス・ハミルトンの代役でメルセデスから出場したサキールGPと並ぶ、予選ベストタイの記録である。レースは戦わずして2位となったが、それでも本人にとって初表彰台は格別だったようで、「どんなレースであってもポディウムはポディウム。チームはこの栄誉にふさわしい仕事をしたんだ」と喜んでいた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
予選後、ポールシッターのフェルスタッペン(写真右)と健闘をたたえ合うウィリアムズのラッセル(同左)。予選で雨に翻弄(ほんろう)されるドライバーやチームが多く出るなか、ウィリアムズはコンディションを先読みし戦略的なタイヤ選択を行い、ニコラス・ラティフィを含め2台でQ2に進出。Q3に進んだラッセルは、ぬれた路面で安定したラップとライバルをしのぐタイムを刻み、見事2位の座を奪った。昨季ルイス・ハミルトンの代役でメルセデスから出場したサキールGPと並ぶ、予選ベストタイの記録である。レースは戦わずして2位となったが、それでも本人にとって初表彰台は格別だったようで、「どんなレースであってもポディウムはポディウム。チームはこの栄誉にふさわしい仕事をしたんだ」と喜んでいた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
金曜日は好調な出だしだったメルセデス勢は、土曜日になるとレッドブルに先行を許すことになり、予選になると中古のインターミディエイトタイヤでコースインし、すぐに新品に交換するなどバタつく場面も見られた。ハミルトン(写真)は2位ラッセルに0.013秒届かず予選3位、結果的にそのポジションのままレース終了。ハミルトンにとってはメルセデスでの125回目の表彰台となり、フェルスタッペンとのポイント差は8点から3点に縮まった。チームメイトのバルテリ・ボッタスは、予選8番手ながら、前戦ハンガリーGPでの多重クラッシュのペナルティーで5グリッド降格で13位スタート、ペレスの脱落で12位ノーポイント。(Photo=Mercedes)
金曜日は好調な出だしだったメルセデス勢は、土曜日になるとレッドブルに先行を許すことになり、予選になると中古のインターミディエイトタイヤでコースインし、すぐに新品に交換するなどバタつく場面も見られた。ハミルトン(写真)は2位ラッセルに0.013秒届かず予選3位、結果的にそのポジションのままレース終了。ハミルトンにとってはメルセデスでの125回目の表彰台となり、フェルスタッペンとのポイント差は8点から3点に縮まった。チームメイトのバルテリ・ボッタスは、予選8番手ながら、前戦ハンガリーGPでの多重クラッシュのペナルティーで5グリッド降格で13位スタート、ペレスの脱落で12位ノーポイント。(Photo=Mercedes)拡大

雨の予選は最前列にフェルスタッペン&ラッセル

この週末は、目まぐるしく変わる不安定な天候「スパ・ウェザー」に各陣営が翻弄され、土曜日の予選は、いつ雨が降りだすか分からぬ状況に各車一時も気が抜けない展開に。そんな難しいコンディションのなか、水を得た魚のように走り回っていたのはマクラーレンのランド・ノリス。Q1、Q2とトップタイムを記録しながら、Q3でも真っ先にアタックラップに入ったのだが、直前に降った強い雨に足をすくわれ、名物コーナー「オールージュ」で挙動を乱しクラッシュ、赤旗が振られた。

約40分の中断の後にセッション再開。ノリスを除く9台がもうもうと水煙を上げて競った結果、フェルスタッペンが今季6回目、通算9回目のポールポジションを獲得。ホンダとのパートナーシップ50戦目を迎えたレッドブルにとっては、10年ぶりとなるスパでのポールだ。驚くべきは、予選2位にウィリアムズのジョージ・ラッセルがつけたこと。ウエット/インターミディエイトと2種類のタイヤを戦略的に選びながらアグレッシブにセッションを戦い、最後にフェルスタッペンに抜かれるまでは暫定ポールの位置にいたほどだった。

予選3位はハミルトン、孤軍奮闘のマクラーレンで今季ベストグリッドの4位につけたのはダニエル・リカルド。アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルは、元王者らしく落ち着きはらって難局を乗り切り5位、アルファタウリのピエール・ガスリー6位、レッドブルのペレス7位と続いた。

メルセデスのバルテリ・ボッタスは8番手タイムだったが、前戦ハンガリーGPで多重クラッシュを起こしたペナルティーで5グリッド降格、13位。ハンガリーで初優勝したアルピーヌのエステバン・オコンが8位に繰り上がったが、9位だったノリスはギアボックス交換により5グリッド降格となり15番グリッド。代わってフェラーリのシャルル・ルクレールが9番グリッド、ウィリアムズのニコラス・ラティフィは10番グリッドにつけた。またアルファタウリの角田裕毅は16番グリッドからスタートすることとなった。

ベルギーGPで200戦目を迎えたダニエル・リカルド(写真前)は、マクラーレン移籍後ベストとなる予選4位から4位フィニッシュ。しかしこの週末に注目されたのは、無得点に終わったチームメイトのランド・ノリスだった。予選ではQ1、Q2でトップタイムをマーク。ポールも十分に狙えたが、雨脚が強まったQ3では「オールージュ」でクラッシュ。幸いけがはなかったものの、ギアボックス交換で5グリッド降格、15番グリッドからのスタートとなった。あのままポールを取っていれば……と悔しさ残る一戦だった。(Photo=McLaren)
ベルギーGPで200戦目を迎えたダニエル・リカルド(写真前)は、マクラーレン移籍後ベストとなる予選4位から4位フィニッシュ。しかしこの週末に注目されたのは、無得点に終わったチームメイトのランド・ノリスだった。予選ではQ1、Q2でトップタイムをマーク。ポールも十分に狙えたが、雨脚が強まったQ3では「オールージュ」でクラッシュ。幸いけがはなかったものの、ギアボックス交換で5グリッド降格、15番グリッドからのスタートとなった。あのままポールを取っていれば……と悔しさ残る一戦だった。(Photo=McLaren)拡大
アルファタウリの角田裕毅(写真)にとって、スパは2019年のFIA F3で渡欧後初表彰台を獲得、2020年にはF2で優勝している思い出の地。しかし僚友ピエール・ガスリーとの差は大きく、予選6位と健闘したチームメイトに対し、角田は12戦で7回目のQ1落ちで17位、ランス・ストロールの降格ペナルティーで16番グリッドと下位に沈んでしまった。週末を通じてスピンはあったものの、雨という難しいコンディションでもマシンを壊さなかったことはよかった。後半戦は、経験豊富なガスリーを倒すことよりも、そんなチームメイトから学ぶことを優先したい。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリの角田裕毅(写真)にとって、スパは2019年のFIA F3で渡欧後初表彰台を獲得、2020年にはF2で優勝している思い出の地。しかし僚友ピエール・ガスリーとの差は大きく、予選6位と健闘したチームメイトに対し、角田は12戦で7回目のQ1落ちで17位、ランス・ストロールの降格ペナルティーで16番グリッドと下位に沈んでしまった。週末を通じてスピンはあったものの、雨という難しいコンディションでもマシンを壊さなかったことはよかった。後半戦は、経験豊富なガスリーを倒すことよりも、そんなチームメイトから学ぶことを優先したい。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

3時間以上遅れて3周でレース成立 フェルスタッペンの不戦勝

決勝日は、この週末で一番の悪天候となり、しの突く雨がやむことはなかった。スターティンググリッドに並ぶ前のレコノサンスラップ中、ペレスはコーナーで挙動を乱しコースオフ、ウォールにしたたかにマシンを当ててしまった。

FIA(国際自動車連盟)のレースディレクターを務めるマイケル・マシは、ひとまずスタートを25分遅らせ、セーフティーカー先導で様子見のフォーメーションラップを行ったものの、極度の視界不良とアクアプレーニングを訴えるドライバーが多く、赤旗を出してスタートを順延する決断を下した。

しかし、30分たち、1時間、そして2時間を過ぎても一向に天候は回復の兆しをみせない。スポーティングレギュレーション上、レースタイムは中断時間を含めて3時間とされているが、なんとかレースをさせたいマシは、不可抗力を理由に1時間を残して時計を止めていた。

当初のスタート時刻から3時間20分近くたち、現地時間午後6時17分にようやくセーフティーカーに導かれ隊列が動き出した。中断中にマシンを修復できたペレスも周回遅れとして出走を許されたため、全20台がしばし徐行を続けたのだが、コンディションは改善せず、3周して再び赤旗が出された。そして約20分後、レース再開は断念された。

この3周でレース成立となったのだが、規定周回の75%を満たさなかったことで、上位10台には、史上6度目となるハーフポイントが与えられることとなった。今シーズン6勝目、通算16勝目を飾ったフェルスタッペンは12.5点、50戦目に初表彰台となる2位となったラッセルは9点、3位ハミルトンは7.5点をそれぞれ手にし、ハミルトンとフェルスタッペンのポイント差は3点に縮まった。

誰もが受け入れるしかない天候と、譲れない安全第一の考えを前に、F1はなすすべがなかった。戦わずして勝利をおさめたフェルスタッペンをはじめ、多くのドライバーや関係者が、雨のなかでずっと待ち続けてくれたファンをたたえていた。

次はフェルスタッペンの地元、オランダGP。決勝は1週間後の9月5日に行われる。

(文=bg)

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