未来は意外と明るいかも! “EVとPHEVのパイオニア”三菱自動車の今とこれから
2022.02.25 デイリーコラム王者トヨタもなんのその!?
新型「三菱アウトランダー」の受注が、大変好調であると伝えられている。2021年10月28日の先行受注開始から約3カ月後の2022年2月5日時点で、その数が1万台を超えたそうだ。国内販売は月間1000台の計画だし、500万円前後という価格帯を考えると、絶好調といってもいい。
この受注台数、数字が飛びぬけてスゴいというわけではないが、プラグインハイブリッド車(PHEV)はいまのところ国内ではかなりマイナーな存在。しかもマイナーな三菱ブランド(スイマセン)であることを考えると、やっぱり快挙といっていいだろう。
ちなみに昨年(2021年)の国産PHEVの販売台数は、こうなっている。
- トヨタ・プリウスPHV:4990台
- トヨタRAV4 PHV:4040台
- 三菱エクリプス クロスPHEV:5560台
先代アウトランダーPHEVのパワートレインを使った「エクリプス クロスPHEV」でも、十分にトヨタ勢と互角以上の戦果を挙げている。そこから大幅に進化した新型アウトランダーのPHEVは、さらなる戦果を挙げ、トヨタ勢を突き放すことになりそうだ。
RAV4 PHVの場合、需要に生産が追いつかず、いまだに納期が長いままという特殊な要因があるが、その背景にはトヨタのリチウムイオンバッテリー供給体制の弱さが見え隠れする。その点、三菱はEV生産で実績のあるルノー・日産とのアライアンスがあり、日産+NECを母体としていたエンビジョンAESC(現中国系バッテリーメーカー)から供給を受けられる。三菱車の販売規模を勘案すると、バッテリー供給不足に陥るリスクは、トヨタに比べ大幅に低いだろう。三菱は意外なほど強いポジションを確保しているのだ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
現実的な電動化事情にマッチした製品構成
私も、アウトランダーPHEVの出来には大いに感心した。モーター出力やバッテリー容量を、先代比で約4割も増やしているから、加速は「うおお!」と叫ぶくらい鋭いし、EVモードでの航続距離も80km以上に延びている(WLTCモード)。それでお値段は30万円ほどしかアップしていないのだからスバラシイ!
デザインも三菱車らしいマッチョさがあってカッコよく、7人乗りモデルもありファミリー層に魅力的だ。災害の際はこのクルマを基地にできるし、100V電源を使って家の冷蔵庫を動かし続けることも可能だ。見た目も中身も頼もしい存在なのだ。
日本では、電気自動車(EV)は上級車と小型車の両極から普及が始まり、中間は当面、PHEVが優勢ではないかと私はみている。「もしも自分が買うならば」と考えると、それが自然な結論になる。富裕層は「1台くらいEVを買っておこう」と、高価な大容量バッテリーEVを買い、地方では「ガソリンスタンドが近くにない」ということで、軽EVが普及する。その中間は、災害への備えも兼ねて、HVからPHEVへの移行が徐々に進む……んじゃないだろうか。
PHEVなら、電気とガソリン両方を使えるから、エネルギー危機の際も慌てずにすむ。今後は電気もガソリンも高騰する可能性が高いが、PHEVなら、そのときどきで安い方を使うという選択が可能だ。いずれカーボンフリーの「eフューエル」が実用化されれば、さらにメリットは増す。両刀使いの強みである。
三菱の電動化戦略は、EVとPHEVの展開に関して、今日の情勢にズバリとはまっている。間もなく登場する軽EVと、2台のPHEVのラインナップは、他社にはない将来への備えになる。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
時代がようやく追いついてきた!
三菱は商用車に関しても、EVの「ミニキャブMiEV(ミーブ)」の販売を2022年秋に再開すると発表した。2021年には佐川急便が配送に中国製EVを採用すると伝えられ(参照)、ナショナリズムに敏感な層から反発があったが、そもそも国産車には選択肢がなかった。ところが三菱には、もともとタマがあったのだ。三菱に時代の追い風が吹いているのを感じる。
ミニキャブ ミーブのスペックを見ると、これまた時代を先取りしているかのように割り切っている。航続距離はJC08モードで150kmと短いが、ラストワンマイルの配送なら大きな問題はない。以前は243万円からという価格もあってか、普及は進まなかったが、時代は変わった。古いながらも(2011年発表)、いまだオンリーワンという強みがある。ちなみに、佐川急便が導入するEVは中国の五菱汽車が製造し、「航続距離200km以上」とのこと。価格は不明だが、スペック面ではミニキャブ ミーブとの差はそれほど大きくなさそうだ。
「i-MiEV」にしてもアウトランダーPHEVにしてもミニキャブ ミーブにしても、三菱は時代に先んじすぎた部分があったわけだが、ついに時代が三菱に追いついたようだ。
(文=永福ランプ/写真=三菱自動車/編集=堀田剛資)

-
ルノーから新型車「フィランテ」が登場 仏韓中の協業が生んだ新たな旗艦はどんなクルマ? 2026.3.13 ルノーが韓国で新型クーペSUV「フィランテ」を世界初公開! 突如発表された新たな旗艦車種(?)は、どのようないきさつで誕生したのか? フランス、韓国、そして中国の協業が生んだニューモデルの概要と、そこに込められたルノーの狙いを解説する。
-
新型「リーフ」は日産の救世主になれるか BEVオーナーの見立ては? 2026.3.12 日産自動車は3代目となる電気自動車(BEV)「リーフ」の受注台数が、注文受け付け開始から約4カ月で6000台を超えたと明らかにした。その人気の秘密や特徴を、自らもBEVを所有するモータージャーナリスト生方 聡が解説する。
-
新型「RAV4 PHEV」が実現した「EV走行換算距離151km」を支える技術とは? 2026.3.11 新型「トヨタRAV4」のプラグインハイブリッドモデルではEV走行換算距離(WLTCモード)が前型の約1.5倍となる151kmに到達した。距離自体にもインパクトがあるが、果たしてこれほどの進化をどうやって実現したのか。技術的な側面から解説する。
-
「ジムニー ノマド」と「ランクル“FJ”」の超人気クロスカントリー対決! あなたはどちらを選ぶべきか? 2026.3.9 人気沸騰の「スズキ・ジムニー ノマド」は2026年夏、話題の新型クロスカントリー「トヨタ・ランドクルーザー“FJ”」と市場でぶつかる見込みだ。では、われわれユーザーが選ぶべきはどちらか? 2車種をあらためて比較する。
-
実に3年半ぶりのカムバック 「ホンダCR-V」はなぜ日本で復活を果たしたのか? 2026.3.6 5代目の販売終了から3年半のブランクを経て、日本での販売が開始された6代目「ホンダCR-V」。世界的なホンダの基幹車種は、なぜこのタイミングで日本復活を果たしたのか? CR-Vを再販に至らしめたユーザーの声と、複雑なメーカーの事情をリポートする。
-
NEW
アストンマーティン・ヴァンキッシュ ヴォランテ(FR/8AT)【試乗記】
2026.3.14試乗記英国の名門、アストンマーティンの旗艦車種「ヴァンキッシュ」に、待望の「ヴォランテ」が登場。5.2リッターV12エンジンを搭載した最上級コンバーチブルは、妥協のないパフォーマンスと爽快なオープンエアのドライブ体験を、完璧に両立した一台となっていた。 -
テスラ・モデルYプレミアム ロングレンジAWD(4WD)
2026.3.13JAIA輸入車試乗会2026電気自動車(BEV)「テスラ・モデルY」の最新モデルは、これまで以上に無駄を省いた潔いまでのシンプルさが特徴だ。JAIA輸入車試乗会に参加し、マイナーチェンジによってより軽くより上質に進化したアメリカンBEVの走りを確かめた。 -
ルノーから新型車「フィランテ」が登場 仏韓中の協業が生んだ新たな旗艦はどんなクルマ?
2026.3.13デイリーコラムルノーが韓国で新型クーペSUV「フィランテ」を世界初公開! 突如発表された新たな旗艦車種(?)は、どのようないきさつで誕生したのか? フランス、韓国、そして中国の協業が生んだニューモデルの概要と、そこに込められたルノーの狙いを解説する。 -
第865回:ブリヂストンが新タイヤブランド「フィネッサ」を発表 どんなクルマに最適なのか?
2026.3.13エディターから一言ブリヂストンが2026年1月に発表した「FINESSA(フィネッサ)」は、同社最新の商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を搭載する乗用車用の新タイヤブランドである。高いウエットグリップ性能と快適な車内空間の実現がうたわれるフィネッサの特徴や走行時の印象を報告する。 -
新型「リーフ」は日産の救世主になれるか BEVオーナーの見立ては?
2026.3.12デイリーコラム日産自動車は3代目となる電気自動車(BEV)「リーフ」の受注台数が、注文受け付け開始から約4カ月で6000台を超えたと明らかにした。その人気の秘密や特徴を、自らもBEVを所有するモータージャーナリスト生方 聡が解説する。 -
ホンダN-ONE e:L(前編)
2026.3.12あの多田哲哉の自動車放談軽自動車の世界において「N」シリーズで存在感をみせるホンダ。そのフル電動バージョンたる「N-ONE e:」の仕上がりやいかに? トヨタでさまざまなクルマを開発してきた多田哲哉さんがチェックした。







































