【F1 2022】エミリア・ロマーニャGP続報:レッドブルが敵地で完勝、フェラーリは地元で完敗

2022.04.25 自動車ニュース bg
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F1第4戦エミリア・ロマーニャGPを制したマックス・フェルスタッペン(写真左)と、2位に入ったセルジオ・ペレス(同右)。レッドブルは2016年マレーシアGP以来となる1-2フィニッシュを達成した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第4戦エミリア・ロマーニャGPを制したマックス・フェルスタッペン(写真左)と、2位に入ったセルジオ・ペレス(同右)。レッドブルは2016年マレーシアGP以来となる1-2フィニッシュを達成した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2022年4月24日、イタリアのイモラにあるアウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリで行われたF1世界選手権第4戦エミリア・ロマーニャGP。今季絶好調のフェラーリの地元凱旋(がいせん)は、最大のライバルであるレッドブルに打ち負かされるという厳しい結果に終わった。

スタートでトップを守ったフェルスタッペン(写真先頭)。チームメイトのペレスが3位から2位にポジションを上げたことで、終始レースを有利に進めることができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
スタートでトップを守ったフェルスタッペン(写真先頭)。チームメイトのペレスが3位から2位にポジションを上げたことで、終始レースを有利に進めることができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
前戦オーストラリアGPでのリタイアから一転、ほぼパーフェクトといっていい戦績を残すことができたフェルスタッペン(写真)。予選でのポール、逆転勝利したスプリントに続き、レースでは全周リード、ファステストラップを加えてグランドスラム達成。一度に取れる最大ポイントとなる34点を追加し、ドライバーズチャンピオンシップでは2位に躍進することができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
前戦オーストラリアGPでのリタイアから一転、ほぼパーフェクトといっていい戦績を残すことができたフェルスタッペン(写真)。予選でのポール、逆転勝利したスプリントに続き、レースでは全周リード、ファステストラップを加えてグランドスラム達成。一度に取れる最大ポイントとなる34点を追加し、ドライバーズチャンピオンシップでは2位に躍進することができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
レッドブルのペレス(写真)は、予選でこそ7位とふがいない成績しか残せなかったが、スプリントでは4つポジションを上げ3位。そしてレースでは抜群のスタートで2位に上がると、シャルル・ルクレールをしっかりと抑え、フェルスタッペンの勝利とチームの1-2に貢献した。ドライバーズランキングではフェルスタッペンの5点後ろ、54点で3位につけている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのペレス(写真)は、予選でこそ7位とふがいない成績しか残せなかったが、スプリントでは4つポジションを上げ3位。そしてレースでは抜群のスタートで2位に上がると、シャルル・ルクレールをしっかりと抑え、フェルスタッペンの勝利とチームの1-2に貢献した。ドライバーズランキングではフェルスタッペンの5点後ろ、54点で3位につけている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

「スプリント予選」改め「スプリント」へ

2021年にイギリスGPイタリアGPサンパウロGPで試験導入された「スプリント予選」は、さまざまな意見を集約して改変され、その名を「スプリント」として今季も引き継がれた。

レース距離の3分の1にあたる100kmを、タイヤ交換義務なしで走るという基本はそのままだが、土曜日に行われるスプリントは「予選」ではなくなり、金曜日のノックアウト方式の予選でポールポジションが決まることになった。つまりスプリントの結果次第では「正式なポールシッターが最後尾から日曜日のレースに臨む」ということもありうるのである。

さらに昨季はスプリント1位に3点、2位2点、3位1点と付与されたポイントも変わり、スプリント勝者への8点を最高に8位まで入賞圏が拡大。一方で、当初は6レースまで広げたいとしていたF1側のもくろみは、チーム間で意見が合わず、結局イモラでのエミリア・ロマーニャGPを皮切りに、オーストリアGP、サンパウロGPの3レースに落ち着くこととなった。

今シーズン最初のスプリントに向けた金曜日の予選は雨が絡み、5回も赤旗が出る荒れ模様。ウォールの餌食となったドライバーのなかには、2024年まで契約延長が決まったばかり、フェラーリのカルロス・サインツJr.も含まれていた。また苦戦が続くメルセデスは、ジョージ・ラッセル11位、ルイス・ハミルトン13位と、2012年日本GP以来となる2台そろってのQ2敗退の憂き目にあった。

ポールポジションを獲得したのは、レッドブルのマックス・フェルスタッペンで、今季初、通算14回目のポール。ポイントリーダーとしてイタリアに乗り込んだ好調フェラーリのシャルル・ルクレールは、赤旗にも邪魔され2位となった。

赤旗を出すきっかけをつくりながらも上位に食い込んだ幸運なドライバーもおり、マクラーレンのランド・ノリスは最後にコースオフしながらも3位、ハースのケビン・マグヌッセンは4位につけた。

以下、5位フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、6位ダニエル・リカルド(マクラーレン)、7位セルジオ・ペレス(レッドブル)、8位バルテリ・ボッタス(アルファ・ロメオ)、9位セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)と並び、Q2でクラッシュしたサインツJr.は10番グリッドからスプリントをスタートすることとなった。

4戦目にして復調著しいマクラーレンは、予選でランド・ノリス(写真)がコースアウトしながらも3位と好位置につけるも、スプリントではペレスとカルロス・サインツJr.に先を越され5位。レースでは4位をキープしながら、ルクレールの脱落で3位表彰台に手が届いた。これでイモラでは2年連続のポディウムフィニッシュとなった。チームメイトのダニエル・リカルドは、6位からレースに出走するも、スタート直後にサインツJr.と接触、最後尾に落ちて18位完走。(Photo=McLaren)
4戦目にして復調著しいマクラーレンは、予選でランド・ノリス(写真)がコースアウトしながらも3位と好位置につけるも、スプリントではペレスとカルロス・サインツJr.に先を越され5位。レースでは4位をキープしながら、ルクレールの脱落で3位表彰台に手が届いた。これでイモラでは2年連続のポディウムフィニッシュとなった。チームメイトのダニエル・リカルドは、6位からレースに出走するも、スタート直後にサインツJr.と接触、最後尾に落ちて18位完走。(Photo=McLaren)拡大

白熱のスプリント、ラスト2周でフェルスタッペンが首位奪還

昨年までのスプリント予選は、オープニングラップ以外では順位変動が少なく、いまひとつ盛り上がりに欠けたところもあったが、新世代のグラウンドエフェクトカーでの争いとなった今年の初戦は、トップ2台が火花を散らすエキサイティングな戦いが見られた。

フェルスタッペンはスタートでホイールスピンが多く2位に落ち、代わってルクレールがトップに。オープニングラップ中にピエール・ガスリーのアルファタウリと、ジョウ・グアンユーのアルファ・ロメオが接触したことでセーフティーカー。5周目の再開からしばらくは、フェラーリがレッドブルを1秒台に従えて周回を重ねた。

ところが終盤になると、快走の跳ね馬のペースが鈍る。反時計回りのイモラ、特に右フロントタイヤのグレーニング(ささくれ)に苦しみだしたルクレールに、カーナンバー1をつけたフェルスタッペンが襲いかかり、残り2周、レッドブルがトップ奪還に成功したのだった。

タイヤに泣いたルクレールは2位。予選で7位と出遅れたペレスは、追い抜きを繰り返してスプリントで3位となり、また前日のクラッシュに落胆したサインツJr.も10位から4位まで挽回。レッドブルとフェラーリが交互に並ぶグリッドになった。

中団勢のトップはマクラーレンで、ノリス5位、リカルド6位。スタートでの遅れを巻き返したボッタスは7位、マグヌッセンはミディアムタイヤの選択が裏目に出て順位を落とし8位でゴールし、ここまでがポイント獲得となった。

10年ぶりに2台そろって予選Q2敗退という屈辱を味わったメルセデス。苦しむチームをけん引するのは、今季から加入したジョージ・ラッセル(写真)だ。予選では僚友ルイス・ハミルトンの2つ上の11位。スプリントでは、順位を1つ落としたハミルトンに対し、ラッセルは11位をキープできた。そしてレースでは、ラッセルが好スタートを決め6位に躍進、終盤にはバルテリ・ボッタスの猛攻を防ぎ4位入賞を果たす一方、ハミルトンは13位とふがいない戦績しか残せなかった。ポーポシング(バウンシング)が、ブレーキングやコーナリングに悪影響を及ぼしているとされる今季のメルセデスだが、2人の乗りこなし方の違いがいよいよ明白になってきた。(Photo=Mercedes)
10年ぶりに2台そろって予選Q2敗退という屈辱を味わったメルセデス。苦しむチームをけん引するのは、今季から加入したジョージ・ラッセル(写真)だ。予選では僚友ルイス・ハミルトンの2つ上の11位。スプリントでは、順位を1つ落としたハミルトンに対し、ラッセルは11位をキープできた。そしてレースでは、ラッセルが好スタートを決め6位に躍進、終盤にはバルテリ・ボッタスの猛攻を防ぎ4位入賞を果たす一方、ハミルトンは13位とふがいない戦績しか残せなかった。ポーポシング(バウンシング)が、ブレーキングやコーナリングに悪影響を及ぼしているとされる今季のメルセデスだが、2人の乗りこなし方の違いがいよいよ明白になってきた。(Photo=Mercedes)拡大

スタートでレッドブル1-2、フェラーリはサインツJr.を早々に欠く

レース前に降った雨で所々ぬれた路面となり、全車浅い溝のインターミディエイトタイヤを履いて、63周のレースに向かった。

スタートで首位をキープしたフェルスタッペンに続いたのは僚友ペレス。レッドブルは早々に1-2フォーメーションを築いたことで、フェラーリに対し終始有利に戦うことができた。一方のフェラーリはといえば、ルクレールがノリスにも抜かれ4位、サインツJr.はリカルドと接触、コースオフしリタイアと、早々から受難続きとなる。

サインツJr.のマシンを片づけるためセーフティーカーが入り、5周目にレース再開。1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ノリス、4位ルクレール、5位マグヌッセン、そして6位には11番手スタートのジョージ・ラッセルが上がっていた。ペレス、ノリスという壁に守られたフェルスタッペンはファステストラップでリードを広げる一方、遅れたルクレールも8周目にノリスをオーバーテイクし、3位に上がってきた。

予報では雨が降るとされていた時間になっても雨粒は落ちてこない。インターミディエイトタイヤは徐々にパフォーマンスを落とし、ドライタイヤへのスイッチが気になり始めた19周目、ペレス、ラッセル、マグヌッセンら多くがミディアムタイヤに履き替えだし、翌周にはフェルスタッペン、ルクレールもその動きにならった。

タイヤ交換後の上位陣は、1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位ノリス、5位ラッセル。このころからペレスの背後にルクレールがピタリとつけるが、ペレスの巧みな防戦にフェラーリは前を取ることができずにいた。

今季3戦して2勝、34点もの大量リードを築き、フェラーリの地元イタリアに凱旋したルクレール(写真)。しかし予選では赤旗にも邪魔されて2位、スプリントではスタートでトップを奪うもタイヤのグレーニングでペースが落ち、フェルスタッペンに抜かれてしまう。レースではスタートで4位に後退、程なくして3位に挽回するも、終盤に痛恨のスピンを喫し表彰台から転落、6位フィニッシュ。もう1台のフェラーリ、サインツJr.は1周目でリカルドと接触しリタイア。フェラーリにとっては散々な地元GPとなってしまった。(Photo=Ferrari)
今季3戦して2勝、34点もの大量リードを築き、フェラーリの地元イタリアに凱旋したルクレール(写真)。しかし予選では赤旗にも邪魔されて2位、スプリントではスタートでトップを奪うもタイヤのグレーニングでペースが落ち、フェルスタッペンに抜かれてしまう。レースではスタートで4位に後退、程なくして3位に挽回するも、終盤に痛恨のスピンを喫し表彰台から転落、6位フィニッシュ。もう1台のフェラーリ、サインツJr.は1周目でリカルドと接触しリタイア。フェラーリにとっては散々な地元GPとなってしまった。(Photo=Ferrari)拡大
ファクトリーに程近いイモラは、アルファタウリにとってお膝元。そんなホームGPで活躍したのが角田裕毅(写真前)だった。予選では0.004秒という僅差でQ1敗退、16位に沈むも、スプリントではスタートでポジションアップし12位。レースでは一気にポイント圏の10位に躍進、その後はしばし9位を走りながら、レース終盤の48周目にはコース上でケビン・マグヌッセンをオーバーテイク、53周目にはセバスチャン・ベッテルを抜き、そしてスピンの影響で遅れたルクレールをもかわして6位まで上がった。最後にルクレールに抜き返されたものの、開幕戦バーレーンGPに次ぐ今季2度目の入賞となる7位でゴール。チームメイトのピエール・ガスリーは12位完走と、2人のドライバーで明暗が分かれた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
ファクトリーに程近いイモラは、アルファタウリにとってお膝元。そんなホームGPで活躍したのが角田裕毅(写真前)だった。予選では0.004秒という僅差でQ1敗退、16位に沈むも、スプリントではスタートでポジションアップし12位。レースでは一気にポイント圏の10位に躍進、その後はしばし9位を走りながら、レース終盤の48周目にはコース上でケビン・マグヌッセンをオーバーテイク、53周目にはセバスチャン・ベッテルを抜き、そしてスピンの影響で遅れたルクレールをもかわして6位まで上がった。最後にルクレールに抜き返されたものの、開幕戦バーレーンGPに次ぐ今季2度目の入賞となる7位でゴール。チームメイトのピエール・ガスリーは12位完走と、2人のドライバーで明暗が分かれた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

フェルスタッペン完勝、ルクレール痛恨のミスで6位

レースは折り返しを過ぎ、トップをひた走るフェルスタッペンは2位ペレスに対して10秒リード、3位ルクレールはペレスの2秒後方をキープしていた。各車これ以上のタイヤ交換は見込んでおらず、したがってドライバーにはタイヤマネジメントという足枷(あしかせ)がかけられていたのだ。

そんな膠着(こうちゃく)状態を打ち破ろうと、50周目にフェラーリが2度目のタイヤ交換に打って出た。ソフトタイヤを与えられたルクレールがコースに戻ると、直後にノリスに抜かれてしまったものの、再び抜き返して3位。それを見たレッドブルも、51周目にペレス、続いてフェルスタッペンがそれぞれソフトを装着して、盤石の1-2を堅持した。

このままの順位でチェッカードフラッグを受けるかと思われた54周目、ルクレールがシケインでまさかのスピンを喫し壁に軽く接触。タイヤとノーズ交換のため予定外のピットインを強いられることになり、一気に9位までポジションを下げた。「欲張りすぎの代償を払うことになった」とは、レース後のルクレールの反省の言葉だが、6位まで挽回できたものの、レース前の40点もの大量リードが大きく減ってしまう、手痛い失敗だったことは言うまでもない。

ライバルの脱落をよそに、フェルスタッペンはペレスを16秒後方に従えて余裕のゴール。スプリントを制し、ファステストラップも記録したことで、この週末だけで34点も獲得したフェルスタッペンは、ドライバーズランキングでルクレールの27点差、2位に躍進。またレッドブルは、ターボハイブリッド規定下で通算2度目の1-2フィニッシュを達成し、コンストラクターズランキングでもフェラーリに11点差まで詰め寄ることができた。

イモラで2年連続3位表彰台となったノリスの後ろでは、メルセデスで力走したラッセルが4位入賞。同じマシンをドライブしながら、このレースをポイント圏外の13位で終えたルイス・ハミルトンとの歴然とした差に、ハイブリッド時代を席巻してきた王者の苦悩が見てとれた。

第5戦は初開催となるアメリカのマイアミGP。決勝は5月8日に行われる。

(文=bg)

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