マーベリックS1-1000RSプロトタイプ(RWD)
電気、ときどき人 2022.11.20 試乗記 自転車と電動バイクのいいトコどり!? 日・米・中をまたにかけるグローバルな開発・生産体制のもとに誕生した「マーベリックS1」。その高性能版である「S1-1000RS」に試乗した。既存の“乗り物”とは一味違う新しいコミューターは、私たちにどんな体験を提供してくれるのか?映画『トップガン』の主人公ではありません
ブッ太いタイヤを履いたファットバイクのような外観が楽しい電動バイク、マーベリックS1シリーズ。その原付ニ種モデルに、ハイパフォーマンスバージョンが登場! その名も、マーベリックS1-1000RS!!
……といっても、「マーベリックってナニ?」という人が大半でしょう。同バイクを手がけるマーベリックテクノロジーは、東京に本社を置き、ロサンゼルスや中国は常州にも拠点を持つ、電動アシスト付き自転車、電動バイクの製造販売会社だ。“カリフォルニアの風”を感じさせるバイクをUSAで設計し、チャイナで生産、トウキョウがマーケティングやカスタマーサポートを担当している。
現在、マーベリックS1シリーズには、モーターの出力やバッテリーの容量に準じて3モデルがラインナップされる。電動アシスト付き自転車の「S1-350」(24万7500円)、いわゆる“原チャリ”である原付一種の「S1-600」(29万1500円)、そして“ゲンニ”こと原付ニ種扱いの「S1-1000」(31万3500円)である。今回試乗するS1-1000RSは、S1-1000の強化版にあたるニューモデル。アルミフレームはじめ基本コンポーネンツは無印のS1-1000と変わらない。前後にサスペンションを備え、ペダル走行用にシマノ製7段ギアを装備する。
注目ポイントはリアのインホイールモーターで、サイズがグッと大きくなった。「電動自転車用から電動バイク用にグレードアップされた」と説明される。この60V 1.0kWモーターの高速走行性能をアップさせたことで、最高速度は55km/hから65km/hに向上したという。
加えて、これまでより33%大容量化されたロングレンジタイプ(20Ah)のオプションバッテリーが用意されるのもニュース。コレを用いれば、航続距離は従来の約50kmから65-70kmに延長される(30km/h走行時)。同バッテリーを2個搭載することも可能で、その場合、航続距離は、当然、ニバイ、ニバイ! ……新しいモビリティーを紹介する記事で、このフレーズはあまりに昭和にすぎましたか?
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ペダルをこいでブーストアップ!
今回、試乗用にお借りしたマーベリックS1-1000RSは、市販モデルの完成度を上げるための試作品に近い個体。もちろん原二ナンバーを取得済みだが、今後リリースされる製品版とは細部が異なる。
もっとも、パワートレインに関しては放熱対策を残す程度で、すでに完成に近い状態にある。走行にあたっては5つのライディングモードから随時適当なものをセレクトでき、「モード1」はアシストなしの、いわば“普通の”自転車状態だ。ただし、マーベリックS1はペダルの位置にやや難があり、シートに近すぎ、かつ前すぎる。そのうえ同車のウェイトは35kg。最初のひとこぎで「ムリ」と判断した軟弱なワタシを許してください。バッテリー切れのほか、なんらかの不具合が生じたときの“非常用”と理解することにする。
「モード2」は電動アシスト付き自転車に相当する。走り始めれば楽ちんで実用的だ。気になったのは、動き出しからアシスト開始にタイムラグがあることで、一瞬ながら岩のように重いペダルに心してこぎ始めないと、派手によろめいて恥ずかしい思いをする。そして、言うまでもなく自転車モード、アシスト付き自転車モードといえども、乗っているのは原付二種バイクなので、ヘルメットは必須だ。
完全な電動バイクとなるのは「モード3」からで、右手グリップに設けられたスロットルが有効になり、コレをひねるだけでスムーズに走行できる。モード3、4、5とアシストが強まっていき、メーター読みで、約36km/h、約46km/h、約60km/hまでの速度が出せた。
おもしろいのが、完全な電動バイクモードでもペダルをこいでの加勢が可能なこと。まずは右手のスロットルを使ってバイクを動かし、それからおもむろにペダルをこぎ始めれば“最初のひとこぎ”から解放される。
ちなみに自分の場合、一番高いギアを使っても40km/h超までが限界だった。それ以上の速度になるとスロットルが優先されてペダルは空回り状態となるので、こいでも意味がない。今回のテストにあたっては、フルフェイスのヘルメットをかぶりプロテクター付きウエアを着込んだ男が、必死にペダルをこいで走っている姿が目撃されたことになる。
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ここはぜひとも直してほしい
さて。「これは試作車」ということでせんえつながらアドバイスさせていただきますと、半日ほどRSと過ごしてどうにも我慢できなかったのがシートの硬さ。30分もたたずにオシリが痛くなる。ニューモデルの目玉のひとつに航続距離を延ばせるオプションバッテリーがあるのだから、ココはぜひとも、遠出するライダーのために快適なシートをご用意いただきたい。
また細かいグチとして、方向指示器の操作スイッチが簡易にすぎるのも地味に不満がたまった。作動ランプがないので、自分のようなうっかりライダーの場合は戻し忘れが頻発する。困惑した後続車の方々、スイマセンでした。
個性的なルックスで、2人乗りにも対応するマーベリックS-1000RS。改善された速力と航続距離を生かして、いざロングツーリングにゴー! ……というよりは、仲間やパートナーと、日がな一日都市やリゾートを回遊して衆目を集めるのが“らしい”使い方となろう。オーナーとなる方々は、オシャレライダーとしていかに安全装備をファッションに取り入れていくか、そこらへんも挑戦プリーズ。
(文=青木禎之/写真=向後一弘/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=1730×700×--mm
ホイールベース:--mm
シート高:800-820mm
重量:35kg
モーター:60Vインホイールモーター
定格出力:1.0kW
トランスミッション:--
一充電走行距離:65-70km(30km/h走行時)
価格:35万2000円(一般予定販売価格)

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
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