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充電インフラの更新を早急に! 河村康彦の2022年私的4大ニュース

2022.12.28 デイリーコラム 河村 康彦
「メルセデスAMG EQS53 4MATIC+」は容量107.8kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載。50kW出力くらいの急速充電器ではチャージに時間がかかりすぎる。(写真=向後一宏)
「メルセデスAMG EQS53 4MATIC+」は容量107.8kWhの駆動用リチウムイオンバッテリーを搭載。50kW出力くらいの急速充電器ではチャージに時間がかかりすぎる。(写真=向後一宏)拡大

“厳選”した4つを発表

もしかして、今年は来ないのかな!?……なんてちょっと油断(?)をしていたところに、やっぱり来ちゃったwebCGの年末恒例、10大ニュースの原稿依頼。

いや、探せばあるんですよ、お題となりそうな10個のネタくらいは。

けれどもそうすると私的な話題のなかでもあまりに私的に過ぎて、さすがに他人にとっては「どーでもいいよね」と思えるであろうハナシであったり、自分でももういまさら思い出したくもないハナシが混じったり、わざわざ文字にして披露するような内容ではないだろうというものも加わってしまったりして……。

ということでここに取り上げることにしたネタ数は4つ。はい、今年は“厳選”した結果の4大ニュースということでご勘弁を。

4位:どうするEVインフラ
脱炭素に向けて、特に欧州のブランドがピュアEV一択という動きをいよいよ鮮明にするなかにあって、“その手”のモデルをテストドライブする機会も増加の一途。

なかでも、ディーゼルエンジンを搭載してきたプレミアムブランド発の作品は、これまで700kmや800km、場合によっては1000kmに迫る一給油での航続距離を実現していたことから、何とかそれに見劣りしないカタログ値をアピールしようと、大容量駆動用バッテリーの搭載という手法によって、長い航続距離を達成するというのが最近見られる傾向だ。

確かにそうしたモデルでは、「果たしてこれで目的地までたどり着けるのか?」とハラハラする思いをすることが減ったのは事実。実はその一方で(webCGの入るビルもそうであるように)2.5tまでという場所の多いパレット式立体駐車場の重量制限に引っかかるという、かつては考えられなかった新たな問題も浮き彫りになりはしたものの、そんな“力技”によって「EVのウイークポイントのひとつは解消済み」と、そう受け取る声もあるようだ。

ところが、ゴキゲンに走っている間はいいものの、とても大変なことが起きるのはそうした大容量バッテリーの残量を調子に乗って大きく減らしてしまったその後。

最も目にする機会の多い、市井の30分縛り付き50kW出力のCHAdeMO充電器などでは、その範囲内で充電しても100km走行分もチャージできないことが多いし、この期に及んでも「充電器とクルマとの相性が悪いので充電できない」といった事態や、下手をすれば「このメーカーの充電器につなげると、クルマが故障します」などと冗談のような状況まで発生する始末。

テスラが一定の市民権を得たのは、クルマそのものの出来栄えもさることながら、補助金などに頼ることなく自前で急速充電インフラ整備に取り組み、設置の際には必ず複数口を用意するのに加えて、さらに専用充電器ゆえに他ブランドのクルマが入ってこないことなどで、結果として“充電待ち”の可能性が少ないといった使い勝手のよさにもあるはず。

初代「リーフ」誕生のタイミングでインフラ整備を始めたという理由も関係していそうだけれど、もはやとても“急速”とは呼べない1世代前の急速充電器を使い続ける限り、最新の大容量バッテリー搭載EVは到底快適には使えないんですよ……。

16代目にしてびっくりするほどの変身を遂げた「トヨタ・クラウン」。大胆なツートンカラーも採用した。(写真=向後一宏)
16代目にしてびっくりするほどの変身を遂げた「トヨタ・クラウン」。大胆なツートンカラーも採用した。(写真=向後一宏)拡大

3位:忖度(そんたく)をかなぐり捨てたクラウン
最近のトヨタだったらもうやめちゃうぐらいのことをしてもおかしくないだろうナと、その程度までは予想できたものの、よもやこのような変わり方をするとは思っていなかったのが新型「クラウン」。

そもそも、この先拡大は期待できない日本の市場がターゲットで、しかもモデルチェンジのたびに購入層の年齢が上がっているとなれば、近い将来にはそうした人々の多くがいなくなっちゃう(!)と考えるまでもなく、もはやブランドの存続が困難ではあったはず。

とはいえ、モデルチェンジのたびに無条件で買い替えるユーザーも少なくなかったと聞くこのモデルで、そうした「歴代クラウンを育ててきた」これまでのコアユーザーの顔面に三くだり半を突きつけるような変貌の仕方を遂げるとは……。

で、文字どおりの世代交代を敢行したそんな新世代のクラウンが、いかなる仕上がりだったのか? というのは、実は現時点では試乗の機会が得られていないので闇の中という状況。取りあえず「何に乗ってるんですか?」と尋ねられた時に「クラウンです」とあまりに重いそのブランド名を答える自分は考えられないから、ま、いいか……。

「ポルシェ718ケイマンGT4 RS」は最高出力500PSの4リッターフラット6ユニットを搭載。最新の「911 GT3」(520PS)とは差がつけられているが、991型GT3とは同じピークパワーだ。(写真=荒川正幸)
「ポルシェ718ケイマンGT4 RS」は最高出力500PSの4リッターフラット6ユニットを搭載。最新の「911 GT3」(520PS)とは差がつけられているが、991型GT3とは同じピークパワーだ。(写真=荒川正幸)拡大

普通のクルマが買えなくなった

2位:とうとうやっちゃった「GT4 RS」
「マカン」や「カイエン」といったSUVレンジのほうがはるかに販売台数が多かろうとも、低重心感あふれる走りという点ではもはや「タイカン」のほうが上を行っている(!)と感じられようとも、ポルシェというブランドにとっての魂であり、レジェンド中のレジェンドと考えられるのは、言うまでもなく「911」シリーズ。

だからこそ、その弟分としての立場を持つ「ボクスター/ケイマン」には、事実上同一のエンジンでも少なくとも数字上はディチューンが施された心臓が搭載されてきたのだろうし、そんなモデル同士を比べた場合も、加速や最高速のスペックは常に911のほうがちょっとだけ上を行くように“調整”されてきたはずだった。

ところが、ここにきて「ついに下克上が完遂されたな」と思えるのが「GT4 RS」なる名称を与えられた「718ケイマン」。その準備段階(?)として「GT4」や「GTS 4.0」が登場した際には、「あれ? 4気筒を積むから往年の4気筒レーシングモデルにあやかって“718”を名乗ることにしたんじゃなかったの!?」といぶかしく思ったものだけれど、もはやそんな理屈は関係なさそう。やる気になればいつでもできたはずの“GT3エンジンを移植したミドシップモデル”に、ついに今になって手を出しちゃったわけですから。

そんなタイミングでも、最高出力などでまだ数字上の忖度は続いているようだけれど、実際には「戦うクルマ」への挑戦権が大手を振ってケイマンにも与えられたということは誰の目にも明らか。

と言いつつも、ボクスター/ケイマンの次期モデルはピュアEVになると宣言済みであるところも、また興味が引きつけられる点。

ほんとポルシェのマーケティングのやり方は天下一品! やっぱりこのブランドは、世界屈指の技術者集団であると同時にマーケティングの天才でもあるんですよね。

デビューから納車待ちが続いている「ホンダ・ヴェゼル」(ただの一例)。こうした普通のクルマが入手困難になってしまうのは、ちょっと前まで考えられなかったことだ。(写真=本田技研工業)
デビューから納車待ちが続いている「ホンダ・ヴェゼル」(ただの一例)。こうした普通のクルマが入手困難になってしまうのは、ちょっと前まで考えられなかったことだ。(写真=本田技研工業)拡大

1位:買えない自動車
世界で問題になっていた半導体の供給体制はわずかながらも改善の兆しアリという報もあるものの、それでも注文から納車まで非常に時間がかかったり、あるいは発売されたのに程なくして受注が中止されたりというのは今になってもまだ珍しくない状況。

海外ブランド発の特定のモデルならいざ知らず、国内メーカーのごくポピュラーな車種までもが「いつ手に入るか分からない」というのは、ホンの数年前までは夢にも考えられなかったことだ。

これを今年最大のニュースと言わずして、ほかにどんなことがあるのか!?

(文=河村康彦/編集=藤沢 勝)

河村 康彦

河村 康彦

フリーランサー。大学で械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。

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