新車の当たり年の可能性大! 2023年の自動車業界を見通す
2023.01.04 デイリーコラムジャパンモビリティショーがやってくる
新型コロナウイルスの脅威が少し後退してくれたと思ったら今度はウクライナ危機かよ……と、激動がおさまらなかった2022年も終わり、2023年がやってきた。さて、2023は奇数か偶数かといわれれば、もちろん奇数。で、西暦奇数年といえば、日本の自動車メディアにたずさわる人間の多くは、東京モーターショー開催イヤーということで身が引き締まる。というのも“東モ”の年は国産ニューモデルの当たり年となることが多く、われわれのような人間には、ちょっとは仕事も忙しくなるかなあ……との期待があるからだ。
前回の奇数年だった2021年の東モは、ご承知のように新型コロナウイルスの影響で中止となってしまった。と同時に、次回から「JAPAN MOBILITY SHOW(ジャパンモビリティショー)」として新装開催されることも発表。その第1回が、いよいよこの2023年10月26日~11月5日に開催されることになっている。
それもあってか、この2023年に発売予定の国産ニューモデルの情報が、2022年の段階からぽろぽろと出はじめていたのはお察しのとおり。年末時点で実車の姿(や、場合によっては技術詳細や価格まで)が公開されていたものをあげると、「トヨタ・プリウス」に「ホンダZR-V」「スバル・クロストレック/インプレッサ」、そして「レクサスRZ」などがある。
これらはどれも、そのブランドの国内市場にとって超重要な“大物”といえる存在だ。たとえばプリウスはいわずと知れた“トヨタの顔”といえるクルマだし、聞くところによると、ZR-Vの国内販売計画台数は「シビック」よりはるかに多いそうである。
まあ、ZR-Vはもともと2022年秋だった国内発売予定がズレこんでしまったのが実情だとしても、いずれにせよ2023年の国産大物ニューモデルであることは事実。最近のホンダの国内事業は“軽自動車とミニバン専業メーカー?”などと揶揄されることもあるが、ZR-Vは軽でもミニバンでも、またコンパクトカーでもない“利益率の高い国内量販モデル”として、ホンダの国内四輪事業の現状を打破する重責も課せられている。
クラウン4モデルがそろい踏み
そして、クロストレックとインプレッサはスバルが独自開発・自社生産するクルマとしてはもっとも手ごろで、とくに国内ではきっちりした量を売って、スバルに利益をもたらす存在として期待される。RZもレクサスにとってはとても重要な存在だ。というのも、欧州高級車ブランドと真正面から競合するレクサスは“2035年までに全車電気自動車(BEV)化”という野心的な電動化戦略を掲げるだけに、レクサス初のBEV専用車となるRZは注目である。ただ、直接的なライバルとなるジャーマンスリーと比較すると、今ごろ最初のBEV専用車ってちょっと遅すぎでは……と心配にならなくもないが。
一大シリーズ化が発表された新型「クラウン」も、本当の勝負は2023年といえるかもしれない。2022年7月のワールドプレミア時点で、クロスオーバー以外の「エステート」「スポーツ」「セダン」は“COMING 2023”と銘打たれており、少なくとも2023年中にはすべてがなんらかのかたちで正式デビューする(いくつかの発売が2024年以降に持ち越すかもしれないとしても)ことが見込まれる。
また、マツダも「CX-60」に続く残り3機種のラージ商品群のモデルを2023年中に市場投入すると公言している。ということは、国内でもCX-60に続いて、3列シートの「CX-80」が発売されるのは確実といっていい。
このほか、今のところ公式表明はないが、確度の高い予想として2023年中に新型車の登場がウワサされているのは、トヨタでは「アルファード」「ランドクルーザープラド」「カムリ」、そして欧州で先日「プロローグコンセプト」が公開された「C-HR」、さらには「ホンダN-BOX」「スズキ・スイフト」などがある。さらにスズキでは大注目の「ジムニー5ドア」も予想されている。こうして見ていくと、2023年の国内市場もやはりけっこうにぎやかなことになりそうだ。
これに対して、2022年にひとり怒涛の新車ラッシュを展開した日産からは、2023年の新型車国内発売のウワサはあまり伝わってこない。日産といえば、2004年秋に当時のゴーン社長が「本年度中(=あと半年)に、国内に新車を6つ出す」と一斉公開した記者会見を個人的に思い出す(このとき公開されたのは「ムラーノ」「ティーダ」「フーガ」「ティーダラティオ」「ラフェスタ」「ノート」)。半年で6車種とはすごかった。それは日産が当時掲げていた中期経営計画「NISSAN180」達成の意気込みを大々的にアピールする意味もあったが、その後遺症なのか、以降の日産の国内戦略がやけに波の大きいアンバランスなものになってしまったと思うのは筆者だけか。
明けない夜はない
それはともかく、2023年も注目の国産ニューモデルがたくさん出てくれそうなのは、われわれのような商売の人間にはうれしい。そのいっぽうで「クルマは欲しいのに買えない」という今の納期問題がどうなるか……はもっと切実である。
これについては一介の自動車ライターである筆者が偉そうに語れる話ではないが、少なくとも半導体不足は、今後は緩和に向かうのでは……という情報が出はじめている。
というのも、半導体市場は以前から約4年周期で好況と不況が訪れる「シリコンサイクル」を繰り返しているというのが定説だからだ。2年前のコロナ特需がまさに直近の好況のピークであり、その反動で今後は半導体がダブつきはじめるというのが多くの専門家筋の読みである。実際、2022年からは世界の半導体出荷は、個数でも金額でもピークアウトしているのだという。
もっとも、中国のゼロコロナ政策やウクライナ情勢も絡んだサプライチェーンの混乱はいまだに続いており、現在のクルマ産業で不足しているのは半導体だけではなくなっている。ただ、明けない夜はない。あれほど深刻だった半導体不足解消に明るい兆しが見えているということは、その他の部品不足も今後は間違いなく改善する……と期待しよう。
(文=佐野弘宗/写真=日本自動車工業会、トヨタ自動車、本田技研工業、マツダ、スズキ/編集=藤沢 勝)
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佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
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