【F1 2023】第7戦モナコGP続報:レッドブル&フェルスタッペンは雨にも負けず

2023.05.29 自動車ニュース bg
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F1第7戦モナコGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右から2番目)、2位に入ったアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(同左端)、3位でレースを終えたアルピーヌのエステバン・オコン(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第7戦モナコGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右から2番目)、2位に入ったアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(同左端)、3位でレースを終えたアルピーヌのエステバン・オコン(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2023年5月28日、モナコにあるモンテカルロ市街地コースで行われたF1世界選手権第7戦モナコGP。突然の雨もものともせず、マックス・フェルスタッペンのレッドブルはポールポジションから真っ先にチェッカードフラッグをくぐり抜けたのだった。

予選後、それぞれの健闘をたたえ合うポールシッターのフェルスタッペン(写真右)と、0.084秒という僅差で予選2位となったアロンソ(同左)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
予選後、それぞれの健闘をたたえ合うポールシッターのフェルスタッペン(写真右)と、0.084秒という僅差で予選2位となったアロンソ(同左)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
突然の雨もなんのその、レッドブルのフェルスタッペン(写真)がポール・トゥ・ウィンを達成。今季最強のレッドブルにあって、その強さを発揮しづらいとされていたのが、低速かつツイスティーなモナコでの予選だったが、フェルスタッペンは0.084秒という僅差で辛くもポールポジションを獲得。レースではミディアムタイヤのマネジメントを徹底し55周ものロングランをやってのけ、雨に足をすくわれることもなく、27秒もの大量リードでゴールした。これでレッドブルでの39回目の勝利を飾ったことになり、セバスチャン・ベッテルの38勝を抜き同チームの最多勝ドライバーとなった。チームメイトで昨年のモナコウィナー、セルジオ・ペレスは、予選Q1でブレーキングが遅れクラッシュする失態を演じ、最後尾スタートから16位無得点。この結果、ポイントリーダーのフェルスタッペンとランキング2位ペレスとの差は39点にまで開いた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
突然の雨もなんのその、レッドブルのフェルスタッペン(写真)がポール・トゥ・ウィンを達成。今季最強のレッドブルにあって、その強さを発揮しづらいとされていたのが、低速かつツイスティーなモナコでの予選だったが、フェルスタッペンは0.084秒という僅差で辛くもポールポジションを獲得。レースではミディアムタイヤのマネジメントを徹底し55周ものロングランをやってのけ、雨に足をすくわれることもなく、27秒もの大量リードでゴールした。これでレッドブルでの39回目の勝利を飾ったことになり、セバスチャン・ベッテルの38勝を抜き同チームの最多勝ドライバーとなった。チームメイトで昨年のモナコウィナー、セルジオ・ペレスは、予選Q1でブレーキングが遅れクラッシュする失態を演じ、最後尾スタートから16位無得点。この結果、ポイントリーダーのフェルスタッペンとランキング2位ペレスとの差は39点にまで開いた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

ホンダ復帰、メルセデスの改良型マシン、アルファタウリの今後

5月19日から行われる予定だった第6戦エミリア・ロマーニャGPが水害により急きょ中止となり、欧州に舞台を移してのトリプルヘッダーはモナコGP、スペインGPの2連戦に短縮。とはいえ、つかの間の休息とはいかないところが多忙極まるF1の世界である。

既報のとおり5月24日には、ホンダがF1に“復帰”し、2026年から「アストンマーティン・ホンダ」として参戦することが発表された。正式には2021年シーズンを最後にGPから撤退しているホンダだが、その後も2025年までホンダ・レーシング(HRC)がレッドブルへのパワーユニット供給を続けることになっている。2021年、2022年とマックス・フェルスタッペンが2年連続ドライバーズタイトル獲得、レッドブルも今季2連覇まっしぐらと常勝軍団としての地位を築いているホンダ。そのノウハウをベースに、新たなパートナーと頂点を目指すことになったのはファンにとって朗報だろう。

メルセデスは、今季型マシン「W14」の大幅アップグレード版を急造し、モナコGPで実戦投入してきた。特徴的だった“ゼロポッド”と呼ばれる極小サイドポッドを捨て去り、よりコンベンショナルなフォルムをまとって登場。さらにダウンフォースの発生源となるフロアや、フロントサスペンションといった主要パーツを一新してきたのだが、コスト制限という制約を受けての開発となり、現有のアーキテクチャーを切り貼りしたような苦労の跡が見て取れるものだった。

アルファタウリは、レッドブル内で検討されていた「チーム身売り計画」が完全になくなったことが、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー、ヘルムート・マルコへのインタビュー記事で明らかになった。レッドブルとパワーユニット部門であるレッドブル・パワートレインズがイギリスを本拠としているのに対し、アルファタウリはイタリアはファエンツァにファクトリーを置いており、今後リソースをなるべくイギリスに寄せていく計画は実施される見込みという。

今季最高の2位となったアストンマーティンのアロンソ(写真)は、この週末を大いに盛り上げた一人。予選では気迫に満ちた走りを見せるも、最後にフェルスタッペンの猛追に屈し2位。2007年以来となるモナコでのフロントロースタートから優勝を狙ったが、速さではフェルスタッペンにかなわず、またウエットコンディションを読み誤りタイヤ交換を2度行ったこともあり、悲願の優勝はならなかった。予選、決勝を通じ、フェルスタッペンの速さを素直に認め、たたえていたのが印象的だった。もう1台のアストンマーティンをドライブしたランス・ストロールは、予選14位、レースではリタイアを喫した。(Photo=Aston Martin)
今季最高の2位となったアストンマーティンのアロンソ(写真)は、この週末を大いに盛り上げた一人。予選では気迫に満ちた走りを見せるも、最後にフェルスタッペンの猛追に屈し2位。2007年以来となるモナコでのフロントロースタートから優勝を狙ったが、速さではフェルスタッペンにかなわず、またウエットコンディションを読み誤りタイヤ交換を2度行ったこともあり、悲願の優勝はならなかった。予選、決勝を通じ、フェルスタッペンの速さを素直に認め、たたえていたのが印象的だった。もう1台のアストンマーティンをドライブしたランス・ストロールは、予選14位、レースではリタイアを喫した。(Photo=Aston Martin)拡大
アルピーヌのオコン(写真)は3位でフィニッシュした。最近はコース上の活躍よりも、ローラン・ロッシCEOによる「(アルピーヌF1チームは)アマチュアだ」という痛烈批判で話題をさらっているアルピーヌだったが、モナコGPでの予選では2台がトップ10に入る活躍を見せ、特にオコンは暫定ポール、結果4番手タイムをたたき出し、シャルル・ルクレールのグリッド降格で3番グリッドと好位置を獲得。レースでは優勝争いにこそ絡めなかったが3位をキープし続け、自身3度目のポディウムを勝ち取った。チームメイトのピエール・ガスリーは、予選7位から7位入賞。(Photo=Alpine F1)
アルピーヌのオコン(写真)は3位でフィニッシュした。最近はコース上の活躍よりも、ローラン・ロッシCEOによる「(アルピーヌF1チームは)アマチュアだ」という痛烈批判で話題をさらっているアルピーヌだったが、モナコGPでの予選では2台がトップ10に入る活躍を見せ、特にオコンは暫定ポール、結果4番手タイムをたたき出し、シャルル・ルクレールのグリッド降格で3番グリッドと好位置を獲得。レースでは優勝争いにこそ絡めなかったが3位をキープし続け、自身3度目のポディウムを勝ち取った。チームメイトのピエール・ガスリーは、予選7位から7位入賞。(Photo=Alpine F1)拡大

予選での激闘を制し、フェルスタッペンがモナコ初ポール

オーバーテイクがほぼ不可能なモナコにあって、レースで勝つためには予選順位こそが最重要。予選Q3では、コーナーというコーナー、壁という壁にヤスリをかけるような熾烈(しれつ)なアタックの応酬が続いた。

セッション残り3分30秒、アルピーヌのエステバン・オコンがフェルスタッペンからトップタイムを奪うと、今度は母国で気を吐くフェラーリのシャルル・ルクレールが最速に。続いてアストンマーティンのフェルナンド・アロンソが、本人いわく「野獣のように攻めた」ドライビングで暫定1位に立った。

しんがりはフェルスタッペンだ。3.3kmしかない最短コースの前半2つのセクターで後れをとっていたレッドブルのエースは、ウォールにタイヤを擦りながら最後の最後で逆転に成功し、モナコで初のポール。今季3回目、通算23回目の予選P1を獲得した。チームメイトのセルジオ・ペレスはQ1でクラッシュし最後尾となり、レッドブル内で明暗が分かれた。

アロンソは0.084秒という僅差で2位。ルクレールは3位となったものの、ランド・ノリスのマクラーレンの進路を妨害したとして3グリッド降格ペナルティーが科され、6番グリッドに落ちた。代わって大健闘のオコンが3番グリッドに繰り上がり、その後ろにフェラーリのカルロス・サインツJr.、メルセデスのルイス・ハミルトンが続いた。

アルピーヌのもう1台、ピエール・ガスリーは7位、メルセデスのジョージ・ラッセルが8位、そして今シーズン2度目のQ3進出を果たしたアルファタウリの角田裕毅が堂々9位につけた。ノリスは、Q2で壁に当てたマシンを修復し10位だった。

メルセデスのハミルトン(写真)は4位でゴールした。今季型マシン「W14」に大鉈(なた)を振るう決断を下していたメルセデスは、その改良版をモナコGPに投入。特徴的だった“ゼロポッド”を捨て去り、時流に乗ったサイドポッド形状となって現れた。予選ではハミルトン6位、ジョージ・ラッセルは8位とポール争いに絡むことはできず。ルクレールの降格ペナルティーで5番グリッドからスタートしたハミルトンは、フェラーリのカルロス・サインツJr.の後退もあり4位、ラッセルは5位と2台そろってチェッカードフラッグを受けた。今回は特殊なモナコのコース特性もあり改良版の真価はつかみかねたが、次のスペインGPでの走りには注目したいところだ。(Photo=Mercedes)
メルセデスのハミルトン(写真)は4位でゴールした。今季型マシン「W14」に大鉈(なた)を振るう決断を下していたメルセデスは、その改良版をモナコGPに投入。特徴的だった“ゼロポッド”を捨て去り、時流に乗ったサイドポッド形状となって現れた。予選ではハミルトン6位、ジョージ・ラッセルは8位とポール争いに絡むことはできず。ルクレールの降格ペナルティーで5番グリッドからスタートしたハミルトンは、フェラーリのカルロス・サインツJr.の後退もあり4位、ラッセルは5位と2台そろってチェッカードフラッグを受けた。今回は特殊なモナコのコース特性もあり改良版の真価はつかみかねたが、次のスペインGPでの走りには注目したいところだ。(Photo=Mercedes)拡大

フェルスタッペン対アロンソ、異なるタイヤでの戦い

難攻不落のストリートコースでの戦いは、優勝を争うことになるフェルスタッペンがミディアム、アロンソはハードと異なるタイヤを選んでスタートしたことが、その後のレース展開に影響を与えることになった。

78周レースのスタートでは、フェルスタッペンがアロンソを従えてターン1へ。以下3位オコン、4位サインツJr.、5位ハミルトン、6位ルクレールと各車順当にオープニングラップを終えた。

トップを走るフェルスタッペンは、2位アロンソに対して10周して3.2秒、20周を過ぎると10秒以上のギャップを築き、その後タイヤの一時的パフォーマンスダウンと周回遅れのマシンによりその差は縮まるも、再び10秒まで間隔が開いた。

レッドブルとフェルスタッペンにとっての問題は、雨の予報だった。タイヤメーカーのピレリによれば、ミディアムタイヤのライフは34周程度とされたが、一方で雨雲がコースに向かってくる可能性を考えれば、レッドブルとしてはなるべくタイヤ交換を遅らせたかった。この時点で、より長く走れるハードを履くアロンソは有利な立場にいたのだ。

フェラーリのルクレール(写真)は6位完走と、母国GPを地味に終えた。低速ターンを得意とするフェラーリだったが、予選ではレッドブル、アストンマーティンに先行を許すことに。ルクレールは「ドライブするのが難しいマシン」(本人談)で予選3位となるも、マクラーレンのランド・ノリスの進路を妨害したことにより3グリッドダウン、6番グリッド。レースではそのポジションを守るだけに終始した。僚友サインツJr.は予選で5番手タイム、チームメイトの降格で4番グリッドから出走するも、3位オコンと接触しフロントウイングの翼端板を破損。その後もチームからの作戦指示に異を唱えるなどギクシャクしたレースとなり結果8位。(Photo=Ferrari)
フェラーリのルクレール(写真)は6位完走と、母国GPを地味に終えた。低速ターンを得意とするフェラーリだったが、予選ではレッドブル、アストンマーティンに先行を許すことに。ルクレールは「ドライブするのが難しいマシン」(本人談)で予選3位となるも、マクラーレンのランド・ノリスの進路を妨害したことにより3グリッドダウン、6番グリッド。レースではそのポジションを守るだけに終始した。僚友サインツJr.は予選で5番手タイム、チームメイトの降格で4番グリッドから出走するも、3位オコンと接触しフロントウイングの翼端板を破損。その後もチームからの作戦指示に異を唱えるなどギクシャクしたレースとなり結果8位。(Photo=Ferrari)拡大
アルファタウリの角田裕毅(写真)にとっては、雨さえなければ入賞もあり得たレースだった。予選では、フロアをアップデートしたマシンを駆りQ1で2番手、さらに今季2度目のQ3進出を果たし見事9位につけ、表情も明るかった。レースでは、スタートからしぶとく9位を守り続けたのだが、中盤に雨が降り出すとブレーキに悪戦苦闘することに。マクラーレンの2台に抜かれた後、コースアウトして大きく順位を落とし、結果15位。一方ルーキーのニック・デ・ブリースは予選12位から自身ベストの12位フィニッシュとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリの角田裕毅(写真)にとっては、雨さえなければ入賞もあり得たレースだった。予選では、フロアをアップデートしたマシンを駆りQ1で2番手、さらに今季2度目のQ3進出を果たし見事9位につけ、表情も明るかった。レースでは、スタートからしぶとく9位を守り続けたのだが、中盤に雨が降り出すとブレーキに悪戦苦闘することに。マクラーレンの2台に抜かれた後、コースアウトして大きく順位を落とし、結果15位。一方ルーキーのニック・デ・ブリースは予選12位から自身ベストの12位フィニッシュとなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

勝敗を分けた2つの要因

フェルスタッペンとアロンソの、勝敗を分けた要因は2つ。まずは、フェルスタッペンがミディアムタイヤを長く持たせることができたこと。40周を過ぎても大幅にタイムを落とすことなく、結局56周までこのタイヤをキープできたのは大きかった。

そしてもうひとつの要因は、アストンマーティン側の判断ミスだった。50周目にはコースの一部にポツポツと雨粒が落ち始め、やがて雨脚が強まりだすと、55周目にアロンソがピットに飛び込み、ハードからミディアムを選択しコースに戻った。だが、ドライに賭けたアストンマーティンの読みははずれ、コースはびしょぬれの状態となり、たまらず次のラップで雨用のインターミディエイトに履き替えることとなった。

フェルスタッペンが1ストップでインターミディエイトを装着したことを考えれば、2回のピットストップを要したアロンソは無駄足を踏んだことになる。その後、首位を堅持するフェルスタッペンはアロンソをラップごとに突き放し、最終的に27秒もの大差をつけてチェッカードフラッグを受けるのだった。

突然の雨にも負けなかったフェルスタッペンが6戦して4勝。チームメイトでドライバーズチャンピオンシップ2位のペレスが16位で無得点となったことで、ポイント上のリードは39点と一気に開くこととなった。

アロンソは勝利こそ逃したものの、2014年ハンガリーGP以来となる2位という好成績に上機嫌の様子。そして3位に入ったオコンも、自身3度目の表彰台にはちきれんばかりの笑顔を見せていた。

次の第8戦スペインGP決勝は、6月4日に行われる。

(文=bg)

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