【F1 2023】第17戦日本GP続報:フェルスタッペン完勝でタイトルに王手、レッドブルは6度目の栄冠、マクラーレン堂々の2-3フィニッシュ

2023.09.24 自動車ニュース bg
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F1第17戦日本GPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右)。レッドブルは2年連続6回目のコンストラクターズタイトルを獲得し、クリスチャン・ホーナー代表(同左)がポディウムにあがった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第17戦日本GPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真右)。レッドブルは2年連続6回目のコンストラクターズタイトルを獲得し、クリスチャン・ホーナー代表(同左)がポディウムにあがった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2023年9月24日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたF1世界選手権第17戦日本GP。1週間前の絶不調がうそのように、レッドブルとマックス・フェルスタッペンが屈指の難コースで圧勝した。

ポール・トゥ・ウィンで今季13勝目を飾ったレッドブルのフェルスタッペン(写真)。絶不調だった前戦シンガポールGPから一転、鈴鹿サーキットを走りだしたレッドブルには再び他を圧倒する速さが戻っていた。フェルスタッペンは3回のプラクティス、3回の予選セッションすべてでトップタイムをマーク。ポールポジション獲得後は、世界屈指の難関セクションである「S字」を含むセクター1について「走るのが楽しかった」と余裕すら感じさせるコメントを残していた。レースでは、スタートでホイールスピンが多く一瞬出遅れるもトップを死守。その後はクルージングの如く快走を続け、ライバルより1.064秒も速いファステストラップを記録し完勝した。早ければ次戦カタールGPのスプリントレースで3度目の栄冠を手にすることができる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
ポール・トゥ・ウィンで今季13勝目を飾ったレッドブルのフェルスタッペン(写真)。絶不調だった前戦シンガポールGPから一転、鈴鹿サーキットを走りだしたレッドブルには再び他を圧倒する速さが戻っていた。フェルスタッペンは3回のプラクティス、3回の予選セッションすべてでトップタイムをマーク。ポールポジション獲得後は、世界屈指の難関セクションである「S字」を含むセクター1について「走るのが楽しかった」と余裕すら感じさせるコメントを残していた。レースでは、スタートでホイールスピンが多く一瞬出遅れるもトップを死守。その後はクルージングの如く快走を続け、ライバルより1.064秒も速いファステストラップを記録し完勝した。早ければ次戦カタールGPのスプリントレースで3度目の栄冠を手にすることができる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
「スタートでフェルスタッペン(写真先頭左)に並びかけたマクラーレンのランド・ノリス(写真ではフェルスタッペンの右)だったが、フェルスタッペンがトップを死守したことで2位に。一方でキャリア初のフロントロースタートとなった新人オスカー・ピアストリ(同後ろ)は、フェルスタッペンにけん制されるかたちで3位に落ち、結局マクラーレンはこの順位のまま53周のレースを終えた。予選ではレッドブル&フェルスタッペンに次ぐ“ベスト・オブ・ザ・レスト”の2-3位を取ったマクラーレン。フェルスタッペンにはかなわないが、フェラーリやメルセデスとの差は歴然としたもので、今季4回目の2位だったノリスは着実にステップアップしているチームを称賛していた。またピアストリは、キャリア16戦目にして初表彰台を獲得した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
 
「スタートでフェルスタッペン(写真先頭左)に並びかけたマクラーレンのランド・ノリス(写真ではフェルスタッペンの右)だったが、フェルスタッペンがトップを死守したことで2位に。一方でキャリア初のフロントロースタートとなった新人オスカー・ピアストリ(同後ろ)は、フェルスタッペンにけん制されるかたちで3位に落ち、結局マクラーレンはこの順位のまま53周のレースを終えた。予選ではレッドブル&フェルスタッペンに次ぐ“ベスト・オブ・ザ・レスト”の2-3位を取ったマクラーレン。フェルスタッペンにはかなわないが、フェラーリやメルセデスとの差は歴然としたもので、今季4回目の2位だったノリスは着実にステップアップしているチームを称賛していた。またピアストリは、キャリア16戦目にして初表彰台を獲得した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
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最後の「秋の日本GP」で、角田裕毅の来季残留確定

日本において、F1といえばもはや「秋の風物詩」なのである。

わが国におけるF1の公式レースは、1976年に富士スピードウェイで開かれた「F1世界選手権イン・ジャパン」から今年の日本GPまで計39回を数えるが、9月以降の開催は実に38回を数える。唯一の例外は、1994年4月の第2戦に組み込まれた岡山県はTIサーキット英田での「パシフィックGP」。この年と翌1995年は、日本GPと合わせて年間2レースが催されたという、めずらしくもぜいたくな時期だった。

シーズンが佳境を迎えた時期ゆえに、度々タイトル決定戦の舞台となってきたことはご存じのとおり。1976年のジェームス・ハントにはじまり、1989年と1990年はチャンピオンを争うアイルトン・セナとアラン・プロストが接触して王座確定、最近では2022年にマックス・フェルスタッペンが2連覇を達成しており、過去13回もドライバーズチャンピオン誕生を目撃してきた場でもある。

一方で、天候の影響を受けて土曜日の走行が見合わせられることが3回も起きた。2004年と2019年は台風接近により、また2010年は秋の大雨に見舞われたことで、日曜日に予選と決勝が詰め込まれるということが起き、また2022年は雨でレースが規定周回数の75%未満で終わるということもあった。

既報のとおり、2024年のF1日本GPは、シーズン序盤の第4戦として4月7日にレースが開かれることが決まっている。台風の心配もなければ、チャンピオン決定の瞬間を味わうこともなくなるということだ。F1サーカスの移動の効率化、つまり二酸化炭素の排出量に配慮し、地理的に近いオーストラリア、日本、中国がカレンダーの前半に集められた結果である。

最後となるかもしれない秋の日本GPでは、レッドブルがコンストラクターズタイトルに王手をかけていた。597点で孤高のチャンピオンシップ首位を走るレッドブルは、308点差で2位につけるメルセデスよりも1点以上多く獲得することで、2年連続、6度目の栄冠を勝ち取る計算だった。

予選が行われた9月23日には、角田裕毅が来季もアルファタウリに残留し、ダニエル・リカルドとペアを組むという朗報が舞い込み、鈴鹿サーキットに詰めかけた大観衆の応援にさらなる熱がこもった。母国のドライバーに熱い声援を送る喜びは、その開催時期にかかわらず、来年も味わうことができそうである。

フェラーリのシャルル・ルクレール(写真)は4位でゴールした。前戦シンガポールGPでレッドブル&フェルスタッペンの連勝を止めたフェラーリ。日本GP予選ではマクラーレンにも先行を許し、ルクレール4位、前戦ウィナーのカルロス・サインツJr.は6位と“3番目のチーム”だった。レースではポディウムには届かなかったが、コンストラクターズランキング2位を争うメルセデスとつばぜり合いを繰り広げ、ルクレールはハミルトンを押さえ切り、またサインツJr.はラッセルの前の6位でフィニッシュした。この戦績により、ランキング2位メルセデスと3位フェラーリとの差は24点から20点に縮まった。(Photo=Ferrari)
フェラーリのシャルル・ルクレール(写真)は4位でゴールした。前戦シンガポールGPでレッドブル&フェルスタッペンの連勝を止めたフェラーリ。日本GP予選ではマクラーレンにも先行を許し、ルクレール4位、前戦ウィナーのカルロス・サインツJr.は6位と“3番目のチーム”だった。レースではポディウムには届かなかったが、コンストラクターズランキング2位を争うメルセデスとつばぜり合いを繰り広げ、ルクレールはハミルトンを押さえ切り、またサインツJr.はラッセルの前の6位でフィニッシュした。この戦績により、ランキング2位メルセデスと3位フェラーリとの差は24点から20点に縮まった。(Photo=Ferrari)拡大

フェルスタッペンが圧巻のポール、角田は健闘し予選9位

前戦シンガポールGPでフェラーリのカルロス・サインツJr.が完勝した一方で、連勝街道を突っ走っていたレッドブルとフェルスタッペンは衝撃的な完敗を喫したのだが、鈴鹿サーキットでは再び圧倒的な速さを見せつけた。

3回のプラクティスに加え、予選Q1、Q2、Q3すべてでトップタイムをマークしたフェルスタッペンが、今シーズン9回目、通算29回目のポールポジションを獲得。世界屈指の難コースとして知られる鈴鹿サーキットを、まるでレールの上を走るかのような滑らかに、かつ異次元の速さで駆け抜け、後続に0.581秒もの大差をつけて圧巻のポールを奪った。

その後ろにはマクラーレンの2台が続き、ルーキーのオスカー・ピアストリが先輩格のランド・ノリスを押さえ初のフロントロー。日本GPでマクラーレンがこれほど予選上位に食い込んだのは、ジェンソン・バトン2位、ルイス・ハミルトン3位だった2011年にまでさかのぼる。

フェラーリのシャルル・ルクレールが4位、レッドブルのセルジオ・ペレスは5位、前戦のウィナー、サインツJr.は6位だった。ハミルトン7位、ジョージ・ラッセル8位とメルセデス勢が並び、アルファタウリの角田は母国で堂々9位からレースに臨むことに。アストンマーティンのフェルナンド・アロンソは、今季全戦でQ3に進んでおり、鈴鹿でも10位につけた。

メルセデスのラッセル(写真)は、まさかの1ストップ作戦を敢行するも失敗し7位だった。中高速コーナーに難があるメルセデスにとって、鈴鹿サーキットでは苦しい立ち上がりとなった。金曜日からセッティングを変えて臨んだ土曜日の予選では、ポールから1.031秒も離されルイス・ハミルトン7位、ラッセルは8位。マシンのフィーリングは改善したところでレッドブルやマクラーレンとのギャップは大きく、ハミルトンはリアのダウンフォース不足にフラストレーションを隠さなかった。レースでは同じシルバーアロー同士で丁々発止とやり合った。7冠王者ハミルトンを攻略できなかったラッセルが1ストップという賭けに打って出たが、結果には結び付けられなかった。ハミルトンは5位でレースを終えている。(Photo=Mercedes)
メルセデスのラッセル(写真)は、まさかの1ストップ作戦を敢行するも失敗し7位だった。中高速コーナーに難があるメルセデスにとって、鈴鹿サーキットでは苦しい立ち上がりとなった。金曜日からセッティングを変えて臨んだ土曜日の予選では、ポールから1.031秒も離されルイス・ハミルトン7位、ラッセルは8位。マシンのフィーリングは改善したところでレッドブルやマクラーレンとのギャップは大きく、ハミルトンはリアのダウンフォース不足にフラストレーションを隠さなかった。レースでは同じシルバーアロー同士で丁々発止とやり合った。7冠王者ハミルトンを攻略できなかったラッセルが1ストップという賭けに打って出たが、結果には結び付けられなかった。ハミルトンは5位でレースを終えている。(Photo=Mercedes)拡大
アストンマーティンは鈴鹿サーキットでペースに苦しみ、日本仕様のヘルメットで臨んだフェルナンド・アロンソ(写真)は予選10位、ランス・ストロールは17位。アロンソはソフトタイヤを履いてスタートし、そのかいもあってか一気に6位にジャンプアップ。その後、早々に履き替えたハードタイヤに苦戦するも、2セット目のハードではペースをつかみ、後ろから迫るアルピーヌ勢を押さえ切って8位入賞を果たした。(Photo=Aston Martin)
アストンマーティンは鈴鹿サーキットでペースに苦しみ、日本仕様のヘルメットで臨んだフェルナンド・アロンソ(写真)は予選10位、ランス・ストロールは17位。アロンソはソフトタイヤを履いてスタートし、そのかいもあってか一気に6位にジャンプアップ。その後、早々に履き替えたハードタイヤに苦戦するも、2セット目のハードではペースをつかみ、後ろから迫るアルピーヌ勢を押さえ切って8位入賞を果たした。(Photo=Aston Martin)拡大

フェルスタッペン独走の後ろで、メルセデスが賭けに出る

路面の状況からか、初日の走行から各陣営ともタイヤの性能劣化、いわゆるデグラデーションが予想以上にひどいことに頭を悩ませた。決勝前には3ストップの可能性すらささやかれ、タイヤマネジメントに徹したレースになることが予想されたのだが、まさか1ストップという奇策に出るチームが出るとは思わなかった。

秋晴れの鈴鹿、鈴なりの大観衆の前で53周のレースが幕を開けた。この日フェルスタッペンの最大の試練はこのスタートであり、蹴り出しが悪くピアストリをけん制するかのようなライン取りで辛くもトップを死守した。このあおりを受けたピアストリは3位に下がり、2位にノリス、4位ルクレール、5位にサインツJr.、そしてソフトタイヤを履いたアロンソが6位にジャンプアップを果たした。角田は、11番手スタートだったチームメイトのリアム・ローソンと丁々発止とやり合い11位に落ちた。

グリッド後方では、ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンとアルファ・ロメオのバルテリ・ボッタス、アルピーヌのエステバン・オコンやアルファ・ロメオのジョウ・グアンユーらが絡むアクシデントが起き、早々にセーフティーカーが出動した。

このうちハミルトンと当たったペレスは、フロントウイング交換のための緊急ピットインで大きくポジションダウン。さらにペナルティーで5秒加算されたほか、12周目にはケビン・マグヌッセンのハースと当たり再びマシンにダメージを負うという受難の週末に。ガレージにおさまりリタイアしたかに見えたが、未消化のペナルティーを次戦に持ち越さないように再びコースに戻り、一応義務は果たしたうえで戦列を去った。

5周目にレースが再開すると、7-8位のメルセデス勢が抜きつ抜かれつを演じるも、ハミルトンはアグレッシブにチームメイトの前に居座ろうとした。状況打開のためラッセルが選択したのが、1ストップで走り切り、なんとか上位を目指すことだった。

12周目のアロンソを皮切りに、破片をクリアするためバーチャルセーフティーカーが出た14周目には3位を走行していたピアストリがミディアムからハードに交換。17周目にはリードを広げていたフェルスタッペンがミディアムからミディアム、ハミルトンはハードに履き替え、翌周にはノリス、ルクレール、続いてサインツJr.もピットに入った。

最初のタイヤ交換が一巡し、オーダーは1位フェルスタッペン、2位はノンストップで走り続けるラッセル、3位ピアストリ、4位ノリス、5位ルクレール、6位サインツJr.。しばし2位を走り続けたラッセルは、レース折り返し近くの25周目にピットに入るとミディアムからハードタイヤを装着。程なくしてアロンソ、オコンと次々とオーバーテイクし、上位復活を目指すのだった。一方、ポディウムを脅かされそうなマクラーレン勢は、ペースが伸び悩んでいたピアストリに代わり、速いノリスを2位に上げ、ライバルの奇襲に備えた。

来季もアルファタウリに残留することが発表された角田裕毅(写真前)。F1で4シーズン目を戦えることになった喜びを胸に、母国の大声援を背にした予選では気迫のこもった走りを披露した。Q1を8位で通過、Q2は7位、そしてトップ10グリッドを決めるQ3では9位。「ホームGPでQ3進出は信じられないくらいスペシャルなこと」とは予選後の本人のコメントだ。レースが行われた9月24日は、くしくもホンダ75周年の創立記念日。スペシャルデザインのヘルメットで臨んだレースでは、しかし、なかなか帳尻を合わせることができなかった。ソフトタイヤを履いてスタートし、チームメイトのリアム・ローソン(同後ろ)にも抜かれ11位に後退。10周目にソフトからミディアムに交換するとローソンの前に出たのだが、次のハードタイヤへの交換のタイミングが遅れ再びローソンの先行を許した。タイヤのオーバーヒートにも苦しんだ末に12位完走、惜しくも母国でポイント獲得ならず。今年スーパーフォーミュラでタイトルを争っているローソンは、走り慣れた鈴鹿で予選11位、スタート直後は僚友角田に果敢に挑む姿勢を見せたものの、入賞目前の11位に終わった。なお2024年は、現在けがで療養中のダニエル・リカルドと角田のコンビでシートが確定。ローソンはリザーブに退くこととなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
来季もアルファタウリに残留することが発表された角田裕毅(写真前)。F1で4シーズン目を戦えることになった喜びを胸に、母国の大声援を背にした予選では気迫のこもった走りを披露した。Q1を8位で通過、Q2は7位、そしてトップ10グリッドを決めるQ3では9位。「ホームGPでQ3進出は信じられないくらいスペシャルなこと」とは予選後の本人のコメントだ。レースが行われた9月24日は、くしくもホンダ75周年の創立記念日。スペシャルデザインのヘルメットで臨んだレースでは、しかし、なかなか帳尻を合わせることができなかった。ソフトタイヤを履いてスタートし、チームメイトのリアム・ローソン(同後ろ)にも抜かれ11位に後退。10周目にソフトからミディアムに交換するとローソンの前に出たのだが、次のハードタイヤへの交換のタイミングが遅れ再びローソンの先行を許した。タイヤのオーバーヒートにも苦しんだ末に12位完走、惜しくも母国でポイント獲得ならず。今年スーパーフォーミュラでタイトルを争っているローソンは、走り慣れた鈴鹿で予選11位、スタート直後は僚友角田に果敢に挑む姿勢を見せたものの、入賞目前の11位に終わった。なお2024年は、現在けがで療養中のダニエル・リカルドと角田のコンビでシートが確定。ローソンはリザーブに退くこととなった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
2022年限りでF1を引退したセバスチャン・ベッテル(写真中央)が来日。生物多様性を世に知ってもらうためのプロジェクト「BUZZIN' CORNER」の一環として、鈴鹿サーキットの2コーナーに“蜂の小屋”を建て、フェラーリのシャルル・ルクレール(同右)、カルロス・サインツJr.(同左)をはじめとする現役ドライバーや関係者を招いて小屋をペイントしてもらうという企画が催された。また2コーナーの縁石は、蜂の柄にちなんで黒と黄色のカラーに塗られた。4冠王者のベッテルは、引退後、環境問題に積極的に関わっており、英国グッドウッドや地元ドイツのニュルブルクリンクなどでカーボンニュートラルの燃料を使った古いF1マシンのデモランを実施するなど啓発活動を行っている。(Photo=Ferrari)
2022年限りでF1を引退したセバスチャン・ベッテル(写真中央)が来日。生物多様性を世に知ってもらうためのプロジェクト「BUZZIN' CORNER」の一環として、鈴鹿サーキットの2コーナーに“蜂の小屋”を建て、フェラーリのシャルル・ルクレール(同右)、カルロス・サインツJr.(同左)をはじめとする現役ドライバーや関係者を招いて小屋をペイントしてもらうという企画が催された。また2コーナーの縁石は、蜂の柄にちなんで黒と黄色のカラーに塗られた。4冠王者のベッテルは、引退後、環境問題に積極的に関わっており、英国グッドウッドや地元ドイツのニュルブルクリンクなどでカーボンニュートラルの燃料を使った古いF1マシンのデモランを実施するなど啓発活動を行っている。(Photo=Ferrari)拡大

レッドブルが2年連続タイトル獲得、フェルスタッペンは3冠に王手

35周目にルクレールとハミルトン、続いてピアストリ、そして37周目にノリスが続々とピットに入り2度目のタイヤ交換を実施。これで1ストッパーのラッセルがノリスの前に出たのだが、フレッシュなハードタイヤを履くノリスのほうがスピードにアドバンテージがあり、次のラップにはノリスがラッセルをコース上で抜き返した。

独走状態のフェルスタッペンは38周目にハードを履き、リードを保ったままコースに復帰。これで1位フェルスタッペン、2位ノリス、3位ラッセル、4位ピアストリ、5位ルクレール、6位ハミルトン、7位サインツJr.、8位アロンソとなった。

なんとか表彰台にとどまりたいラッセルはピアストリに対し防戦一方。しかし42周目にシルバーアローの夢はついえ、ノリスとピアストリの、マクラーレンの2台が再び2-3に。さらに45周目、ラッセルはルクレールにも抜かれ5位にダウンした。6位はチームメイトのハミルトンで、その背後には7位サインツJr.が迫っていた。メルセデスは、ハミルトンを前に出し、DRSの力でラッセルを引っ張ろうとしたものの、サインツJr.の勢いには勝てず、結果的にルクレール4位、ハミルトン5位、サインツJr.6位、そしてラッセル7位というかたちでチェッカードフラッグが振られた。

圧倒的な強さが戻ったフェルスタッペンが、19秒ものリードを携え、今季13勝目を飾った。これでポールからスタートしたレースは13戦連続で優勝したことになり、ミハエル・シューマッハーの記録を抜いた。そしてこの勝利により、レッドブルは6戦を残して通算6回目のコンストラクターズタイトルを手中におさめた。またフェルスタッペンは、次戦カタールGPで3連覇に手が届く計算となった。

マクラーレンは、レース巧者ぶりを発揮したノリスが今季4度目の2位、ピアストリは初の表彰台となる3位。パパイヤオレンジのチームは、マシンの総合力が試される鈴鹿でも好成績を残したことで、ノリスも「週末ごとに着実に前進している」と自信を深めていた。

母国での入賞を期待されていた角田だったが、ソフトタイヤでスタートするもポジションを落とし、タイヤのオーバーヒートに苦しみ、またミディアムからハードへ替えるタイミングも遅れ、ポイント圏外の12位でレースを終えた。フラストレーションがたまる自身2度目の日本GPとなったが、およそ半年後の春の鈴鹿で再び力走を見せてほしいところだ。

次の第18戦カタールGP決勝は、10月8日に行われる。

(文=bg) 

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