【F1 2022】日本GP続報:混乱のレース、揺るがなかったフェルスタッペンの強さ

2022.10.09 自動車ニュース bg
F1第18戦日本GPを制し、2年連続でワールドチャンピオンとなったレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真中央)。鈴鹿サーキットでは、2011年のセバスチャン・ベッテル以来の、タイトル決定となった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第18戦日本GPを制し、2年連続でワールドチャンピオンとなったレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真中央)。鈴鹿サーキットでは、2011年のセバスチャン・ベッテル以来の、タイトル決定となった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2022年10月9日、三重県の鈴鹿サーキットで行われたF1世界選手権第18戦日本GP。秋雨降るなか2時間以上もレース再開を待った観客の目の前で繰り広げられたのは、およそ半分に短縮されたレースと、待ちわびたヒーローの戴冠だった。

スタート直後、予選2位のシャルル・ルクレール(写真先頭左)が先行するも、1コーナーのアウトからポールシッターのフェルスタッペン(同右)が勇敢にオーバーテイク、トップを死守した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
スタート直後、予選2位のシャルル・ルクレール(写真先頭左)が先行するも、1コーナーのアウトからポールシッターのフェルスタッペン(同右)が勇敢にオーバーテイク、トップを死守した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
今シーズンを象徴するかのような安定感と圧倒的な速さで優勝し、タイトルを手中におさめたフェルスタッペン(写真)。今季5回目のポールで王手をかけ、雨の降る鈴鹿で28周を駆け抜け、後続に27秒もの大差をつけたのだから文句なしの完勝である。今季12勝は、年間最多勝記録(13勝)まであと1つ。通算32勝は同じ2冠の王者フェルナンド・アロンソと肩を並べたことになる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
今シーズンを象徴するかのような安定感と圧倒的な速さで優勝し、タイトルを手中におさめたフェルスタッペン(写真)。今季5回目のポールで王手をかけ、雨の降る鈴鹿で28周を駆け抜け、後続に27秒もの大差をつけたのだから文句なしの完勝である。今季12勝は、年間最多勝記録(13勝)まであと1つ。通算32勝は同じ2冠の王者フェルナンド・アロンソと肩を並べたことになる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

開場60周年の鈴鹿、近づくタイトル決定の瞬間

3年ぶりにF1が日本に戻ってきた。ホンダにとってはF1最終年の2021年に母国凱旋(がいせん)を果たせず、開催に向けて尽力した鈴鹿サーキットを運営するモビリティランド(現ホンダモビリティランド)をはじめとする関係者は悔しい思いをしていただけに、待ちに待ったホームレースに感慨もひとしおだったに違いない。

今季は正式なF1活動ではなく、レッドブル・パワートレインズを技術支援するHRC(ホンダ・レーシング)として参戦している“裏方”のホンダだが、日本でレースができなかった過去2年間の無念を晴らすかのように、日本GPから今季最終戦までの間はレッドブルとアルファタウリのマシンに「HONDA」ロゴを復活させ、間近に迫ったマックス・フェルスタッペンの2年連続タイトル獲得、そしてレッドブルにとって2013年以来となる久々のコンストラクターズチャンピオンをともに祝えるかたちを整えた。

もちろん待望の母国GPを迎えたのはホンダだけでなく、アルファタウリで2年目を戦ってきた角田裕毅も同じ。鈴鹿サーキットレーシングスクール出身の角田にとって、鈴鹿は“庭”のようなもの。ここでのF4マシンのコースレコードを持つ22歳の若武者が、世界最高峰シリーズのF1でどのような走りを見せるか。2014年の小林可夢偉以来となる日本人ドライバーの一挙手一投足に、ファンの注目と期待が集まった。

残り5戦、104点もの大量リードを築いていたフェルスタッペンは、日本GPで優勝+ファステストラップを記録すれば、ライバルのシャルル・ルクレール、セルジオ・ペレスらの順位にかかわらずタイトルに手が届く状況。前戦シンガポールGPでは予選でつまずいて7位と振るわなかったが、今年すでに11勝していた孤高のポイントリーダーに、さしたる死角は見当たらなかった。

1962年の開場から60周年を迎えた鈴鹿サーキットで、チャンピオン決定の瞬間が近づきつつあった。

フェルスタッペンのタイトル獲得に力強い援護射撃をしたのがセルジオ・ペレス(写真)だ。予選ではチームメイトのフェルスタッペンから0.405秒離されての4位と、トップ3とは差をつけられたものの、レースではカルロス・サインツJr.のリタイアで3位に上がると、終盤にかけて2位シャルル・ルクレールにプレッシャーをかけ続け、ファイナルラップでコースオフに追い込んだ。ショートカットして前をキープしゴールしたフェラーリに5秒加算のペナルティーが科されると、今季5回目のレッドブル1-2が決定。ペレスの好走により、ホンダの地元でフェルスタッペンが2度目の戴冠を迎えることができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
フェルスタッペンのタイトル獲得に力強い援護射撃をしたのがセルジオ・ペレス(写真)だ。予選ではチームメイトのフェルスタッペンから0.405秒離されての4位と、トップ3とは差をつけられたものの、レースではカルロス・サインツJr.のリタイアで3位に上がると、終盤にかけて2位シャルル・ルクレールにプレッシャーをかけ続け、ファイナルラップでコースオフに追い込んだ。ショートカットして前をキープしゴールしたフェラーリに5秒加算のペナルティーが科されると、今季5回目のレッドブル1-2が決定。ペレスの好走により、ホンダの地元でフェルスタッペンが2度目の戴冠を迎えることができた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
フェラーリのルクレール(写真)は3位でゴール。予選では100分の1秒差で惜しくもポールを逃し2位となるも、スタートは抜群の出だしで一瞬トップを奪ったほど。しかしすぐさまフェルスタッペンに追い抜かれ、タイヤに苦しみ差をどんどん広げられ、最後にはペレスのプレッシャーに屈しコースオフ、3位に甘んじることとなった。レース後、チャンピオンとなったフェルスタッペンにお祝いの言葉をかけるも、自身の結果には肩を落としていた。(Photo=Ferrari)
フェラーリのルクレール(写真)は3位でゴール。予選では100分の1秒差で惜しくもポールを逃し2位となるも、スタートは抜群の出だしで一瞬トップを奪ったほど。しかしすぐさまフェルスタッペンに追い抜かれ、タイヤに苦しみ差をどんどん広げられ、最後にはペレスのプレッシャーに屈しコースオフ、3位に甘んじることとなった。レース後、チャンピオンとなったフェルスタッペンにお祝いの言葉をかけるも、自身の結果には肩を落としていた。(Photo=Ferrari)拡大

僅差のポール争いを制したフェルスタッペン

初日の金曜日に、秋の冷たい雨にもかかわらず3万8000人を数えた観客は、ドライとなった土曜日になると6万8000人にまで増え、待ち焦がれたファンの熱量たるや相当なものだった。そんな観衆の期待に応えるように、20人のトップドライバーたちも世界屈指の難コースで熱い走りを披露した。

なかでも白熱したのはポールポジション争いだ。僅差の戦いを制したのはレッドブルのフェルスタッペンで、今季5回目、通算18回目となる予選P1でタイトルにまた一歩近づいたかっこう。2位はフェラーリのルクレールで、0.010秒差は今シーズン最小となる僅差。フェラーリのカルロス・サインツJr.が0.057秒差で3位、そしてレッドブルのペレスは4位と、上位グリッドは今季をリードし続けてきた2チームが占めた。

鈴鹿で好調な滑り出しを見せたのがアルピーヌ勢で、エステバン・オコン5位、フェルナンド・アロンソは7位と好位置につけた。一方で戦闘力不足に泣いたのはメルセデスで、遅いストレートスピードに足を引っ張られルイス・ハミルトン6位、ジョージ・ラッセルは8位と中位に埋もれた。

引退前の最後の日本GP、大好きな鈴鹿で奮起したアストンマーティンのセバスチャン・ベッテルが見事Q3に駒を進め9位。マクラーレンのランド・ノリスは10位からスタートすることとなった。またアルファタウリ勢はともにブレーキに違和感を訴え、来季アルピーヌへの移籍が正式に決まったピエール・ガスリーがQ1敗退で17位となるも、角田はQ2まで進み13位と、ホームでの健闘が光った。

テクニカルかつチャレンジングなコースである鈴鹿サーキットで中団勢をけん引したのがアルピーヌ。エステバン・オコン(写真)は予選5位から4位に上がると、後ろから猛追するメルセデスのルイス・ハミルトンをしっかりと押さえ切り、アルピーヌの今季ベストリザルトの4位でゴール。フェルナンド・アロンソは7位から2度インターミディエイトタイヤに履き替えて7位と、2台そろって入賞した。前戦シンガポールGPではダブルリタイアを喫し、マクラーレンにコンストラクターズランキング4位の座を奪われたが、今回の好走で再び4位の座を取り戻し、マクラーレンに13点差をつけた。(Photo=Alpine F1)
テクニカルかつチャレンジングなコースである鈴鹿サーキットで中団勢をけん引したのがアルピーヌ。エステバン・オコン(写真)は予選5位から4位に上がると、後ろから猛追するメルセデスのルイス・ハミルトンをしっかりと押さえ切り、アルピーヌの今季ベストリザルトの4位でゴール。フェルナンド・アロンソは7位から2度インターミディエイトタイヤに履き替えて7位と、2台そろって入賞した。前戦シンガポールGPではダブルリタイアを喫し、マクラーレンにコンストラクターズランキング4位の座を奪われたが、今回の好走で再び4位の座を取り戻し、マクラーレンに13点差をつけた。(Photo=Alpine F1)拡大

雨により2周で赤旗中断へ

日曜日は予報どおり午後から雨が降りはじめ、路面はウエットに。全車浅溝のインターミディエイトタイヤを履いて、14時過ぎにフォーメーションラップへと旅立っていったのだが、これが3時間を超える長いレースになるとは、9万人の観客を含めて誰も思っていなかっただろう。

シグナルが消え、水煙をもうもうとあげながら1コーナーに突進する20台。抜群のスタートで前に出たのはルクレール、しかし1コーナーのアウト側から勇敢にもフェラーリを追い抜いたのはフェルスタッペンだった。

その後、ヘアピンコーナーを抜けた後にサインツJr.がアクアプレーニングを起こしてクラッシュ、リタイア。またピットレーンスタートのガスリーは、外れたコース脇の看板がマシンにかぶさり後退した。さらにウィリアムズのアレクサンダー・アルボンがトラブルで戦列を去ったほか、ベッテルはアロンソと競り合いコースを外れ、アルファ・ロメオのジョウ・グアンユーはスピンするなど各所で混乱が生じ、セーフティーカーの後に2周で赤旗中断となった。

中断中、FIA(国際自動車連盟)に対し怒りを爆発させていたのはガスリーだ。彼はマシン修復のための緊急ピットインを済ませ、セーフティーカーの隊列を追っていたのだが、コースのすぐ脇にサインツJr.のマシン撤去のためにトラクターがいたことを目撃し、「あってはならない」とオフィシャルを激しく非難した。2014年にはここ鈴鹿でジュール・ビアンキがトラクターに突っ込み、翌年死亡した痛ましい事故が起きていただけに、一歩間違えれば重大事故になりかねないというのが彼の言い分であった。レーススチュワード側は、ガスリーが赤旗中に猛スピードで走り抜けたことを理由にガスリーを召喚し、レース後、20秒加算のペナルティーを彼に科した。また同時にFIAは、今回の状況はしっかりと検証するとした。

日本、そして鈴鹿への愛を惜しみなく語ってくれたドライバーのひとりが、今季限りで引退するセバスチャン・ベッテル(写真)だ。過去4勝している得意かつ大好きなコースで、予選では戦闘力が低いアストンマーティンで力走、6月のアゼルバイジャンGP以来となるQ3進出を果たし9位。会心のアタック後に無線で「アリガトウゴザイマス、スズカ」と日本語で語り、世界屈指といわれるチャレンジングなサーキットへの惜別の思いをにじませていた。レースでは、スタート直後にアロンソと競り合いコースを外れ16位に後退するも、早めのインターミディエイトタイヤへの交換が奏功し、見事6位入賞を果たした。(Photo=Aston Martin)
日本、そして鈴鹿への愛を惜しみなく語ってくれたドライバーのひとりが、今季限りで引退するセバスチャン・ベッテル(写真)だ。過去4勝している得意かつ大好きなコースで、予選では戦闘力が低いアストンマーティンで力走、6月のアゼルバイジャンGP以来となるQ3進出を果たし9位。会心のアタック後に無線で「アリガトウゴザイマス、スズカ」と日本語で語り、世界屈指といわれるチャレンジングなサーキットへの惜別の思いをにじませていた。レースでは、スタート直後にアロンソと競り合いコースを外れ16位に後退するも、早めのインターミディエイトタイヤへの交換が奏功し、見事6位入賞を果たした。(Photo=Aston Martin)拡大
ようやく母国GPを迎えることができたアルファタウリの角田裕毅(写真前)。F4時代には鈴鹿サーキットのコースレコードを樹立したほど勝手知ったるコースでは、予選でブレーキの“片利き”という思わぬ不調に悩まされるも、Q2で13位と健闘。チームメイトのピエール・ガスリーがQ1敗退で17位となったことに比べれば善戦したといっていい。レースではスタート後に9位となるも、タイヤ交換のタイミングで順位を落とし、インターミディエイトタイヤで苦戦。結果、スタートポジションと同じ13位で完走となり、初の母国GPで入賞ならず。悔しさを口にするも、ホームでF1を走らせる喜び、応援してくれた多くのファンへの感謝を語っていた。ピットレーンスタートのガスリーは、オープニングラップでコース脇の看板がマシンにかぶさり、フロントウイングを壊すという不運に見舞われ17位、レース後に赤旗でのスピード違反を取られ20秒加算ペナルティーを受け18位に降格。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
ようやく母国GPを迎えることができたアルファタウリの角田裕毅(写真前)。F4時代には鈴鹿サーキットのコースレコードを樹立したほど勝手知ったるコースでは、予選でブレーキの“片利き”という思わぬ不調に悩まされるも、Q2で13位と健闘。チームメイトのピエール・ガスリーがQ1敗退で17位となったことに比べれば善戦したといっていい。レースではスタート後に9位となるも、タイヤ交換のタイミングで順位を落とし、インターミディエイトタイヤで苦戦。結果、スタートポジションと同じ13位で完走となり、初の母国GPで入賞ならず。悔しさを口にするも、ホームでF1を走らせる喜び、応援してくれた多くのファンへの感謝を語っていた。ピットレーンスタートのガスリーは、オープニングラップでコース脇の看板がマシンにかぶさり、フロントウイングを壊すという不運に見舞われ17位、レース後に赤旗でのスピード違反を取られ20秒加算ペナルティーを受け18位に降格。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

混乱のレースでレッドブル1-2、フェルスタッペン2冠達成

一度は14時50分にローリングスタートで再開することが決まるも、コンディションは良化せずに取りやめ。ルールでは最初のスタートから3時間、つまり17時になるとレースは終了となるため、中断時間の長期化でレースの予定周回数が削られることが徐々に現実味を帯びはじめていた。

再開となったのは16時15分のこと。セーフティーカー先導のもと、1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位ペレス、4位オコン、5位ハミルトン、6位アロンソ、7位ラッセル、8位ダニエル・リカルド、9位角田、10位ミック・シューマッハーといったオーダーで、全車フルウエットタイヤを装着した18台の隊列が動き出した。

5周目が終わるとセーフティーカーが戻り、40分を残して本格的なレース再開。ここで下位に沈んでいたベッテルのアストンマーティン、そしてニコラス・ラティフィのウィリアムズがすかさずインターミディエイトに履き替えるギャンブルに打って出た。この作戦が奏功し、ベッテルは最後の日本GPで見事6位入賞、ラティフィは9位で今季初ポイントを手にしたのだった。

インターミディエイトが速いとわかるや、8周目にフェルスタッペン、ルクレールら上位陣も続々とピットへ。トップ3の順位は変わらなかったが、先頭のフェルスタッペンが快調にラップを重ねる一方、2位ルクレールはやがてタイヤが苦しくなりペースが鈍り、差は広がるばかり。ゴールの17時が近づく頃には、3位ペレスがフェラーリの真後ろに迫り、プレッシャーをかけ続けた。

28周目のファイナルラップ、最後のシケインでついにルクレールがペレスの猛攻に屈し、曲がりきれずにコースアウト。ショートカットするかたちでコースに戻り、ペレスの前でチェッカードフラッグを受けたルクレールには5秒加算のペナルティーが科され、3位に降格。レースはフェルスタッペン、ペレスのレッドブル1-2フィニッシュで幕を閉じた。

混乱のレースは最後まで混迷した。予定されていた周回数未満で終わった場合、消化した周回数に応じてポイントが減らされることがルールで決まっており、今回は「レース周回数の50%以上、75%未満」に該当したため、1位は25点ではなく19点に、2位は18点ではなく14点へと減点されるものと思われた。しかしルール上は「レースが再開されなかった場合はポイントが減る」と規定されており、今回は再開されたため、入賞者には通常と同じフルポイントが与えられ、これによりフェルスタッペンの2冠達成が確定したのだった。

アルファタウリのガスリー(写真左)と角田(同右)は、東京でともにカラオケを楽しんだとか。兄弟のように仲が良いことで知られる2人だが、来季はガスリーがアルピーヌへ移籍、角田はニック・デ・ブリースという新たなパートナーと組んで3年目のF1を戦うことになった。ガスリーは、2017年には日本のスーパーフォーミュラにホンダエンジンで参戦、同年にはトロロッソ(現アルファタウリ)で、第15戦マレーシアGPでF1デビュー、2018年に「トロロッソ・ホンダ」となってからはずっとホンダのパワーユニットで戦ってきたドライバーだ。2019年にレッドブルに昇格するもスランプに陥り、シーズン途中で再びジュニアチームに降格となってしまったものの、イタリアの小さなチームではリーダーとして覚醒し、2020年のイタリアGPでは奇跡的な初優勝を遂げた。中団勢トップを狙えるアルピーヌへの移籍は、彼にとってはステップアップ。同郷のオコンとは幼少期から競い合ってきた仲だが、F1では少々ギクシャクした関係になっていたといわれており、まずはオール・フレンチのチームワークが試される。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリのガスリー(写真左)と角田(同右)は、東京でともにカラオケを楽しんだとか。兄弟のように仲が良いことで知られる2人だが、来季はガスリーがアルピーヌへ移籍、角田はニック・デ・ブリースという新たなパートナーと組んで3年目のF1を戦うことになった。ガスリーは、2017年には日本のスーパーフォーミュラにホンダエンジンで参戦、同年にはトロロッソ(現アルファタウリ)で、第15戦マレーシアGPでF1デビュー、2018年に「トロロッソ・ホンダ」となってからはずっとホンダのパワーユニットで戦ってきたドライバーだ。2019年にレッドブルに昇格するもスランプに陥り、シーズン途中で再びジュニアチームに降格となってしまったものの、イタリアの小さなチームではリーダーとして覚醒し、2020年のイタリアGPでは奇跡的な初優勝を遂げた。中団勢トップを狙えるアルピーヌへの移籍は、彼にとってはステップアップ。同郷のオコンとは幼少期から競い合ってきた仲だが、F1では少々ギクシャクした関係になっていたといわれており、まずはオール・フレンチのチームワークが試される。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

チャレンジャーから真のチャンピオンへ

今シーズン12勝目を飾り、2連覇も達成したフェルスタッペンが次に狙うのは、ベッテルとミハエル・シューマッハーが持つ年間最多13勝の記録。また通算32勝は、同じ2冠王者のアロンソと肩を並べたことになる。フェルスタッペンが歴史に名を残すそうそうたるチャンピオンたちに迫りつつあることがわかるだろう。

2021年シーズンは、強敵ハミルトンとの壮絶な戦いの末、同点で迎えた最終戦アブダビGPで思わぬ決着がついて初タイトルを獲得。1年前はあくまでチャレンジャーとして果敢に勝負を挑み、7冠王者を引きずり下ろすためには、強引かつ攻撃的な走りも辞さなかった彼が、今季は引き際を覚え、圧倒的な安定感と揺るぎない強さを手に入れた。18戦12勝とシーズンを席巻した今年の結果がそれを物語っている。

もちろん、ハイブリッド時代をけん引してきたメルセデスが今季つまずき、その代わりに覇を競うことになったフェラーリの戦略面、開発競争での脆弱(ぜいじゃく)さに救われた部分も多々あったが、ホンダ(HRC)を含めチーム一丸となり、ライバルの自信をことごとくくじくような戦いをしたからこそ、これだけの圧勝でシーズンを駆け抜けることができた。

チャレンジャーから真のチャンピオンへ。レッドブルとフェルスタッペンの成熟がさらに進めば、フェラーリやメルセデスにとってはいよいよ見過ごせない脅威となるだろう。

4戦を残しての2022年シーズンは、アメリカ大陸シリーズに突入。第19戦アメリカGP決勝は、10月23日に行われる。

(文=bg)

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