【F1 2023】第22戦ラスベガスGP続報:フェルスタッペン逆転勝利、ルクレールが最終ラップで意地のオーバーテイク

2023.11.19 自動車ニュース bg
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F1第22戦ラスベガスGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真中央)、2位に入ったフェラーリのシャルル・ルクレール(同右)、3位でレースを終えたレッドブルのセルジオ・ペレス(同左)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第22戦ラスベガスGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真中央)、2位に入ったフェラーリのシャルル・ルクレール(同右)、3位でレースを終えたレッドブルのセルジオ・ペレス(同左)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2023年11月18日(現地時間)、アメリカはネバダ州に新設されたラスベガス・ストリップ・サーキット(6.201km)で行われたF1世界選手権第22戦ラスベガスGP。世界的な娯楽都市でのスポーティングイベントの、過剰ともいえる演出に一部では批判的な声も聞こえてきたが、フェラーリとレッドブルによる白熱の優勝争いがレースを大いに盛り上げた。

スタート直後のターン1に向けてトップを争うポールシッターのルクレール(写真先頭)と2番手スタートのフェルスタッペン(同右)。2台はそろってコースを外れ、フェルスタッペンが首位に立つも、ルクレールを押し出したということで5秒のペナルティーが科された。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
スタート直後のターン1に向けてトップを争うポールシッターのルクレール(写真先頭)と2番手スタートのフェルスタッペン(同右)。2台はそろってコースを外れ、フェルスタッペンが首位に立つも、ルクレールを押し出したということで5秒のペナルティーが科された。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
シーズン最多勝記録を「18」に伸ばしたフェルスタッペン(写真)が高らかにガッツポーズ。高効率なエアロマシンであるレッドブルは、ラスベガスの低速コーナーでは十分なパフォーマンスを発揮しづらく、予選ではフェラーリのルクレールに0.378秒差をつけられ3番手、2番手だったカルロス・サインツJr.の降格ペナルティーによりフロントローに繰り上がった。レースではスタートで強引にトップを奪うも最初のスティントでは苦しい戦いを強いられ、ルクレールにオーバーテイクを許した。しかしその後は、スタート時の5秒ペナルティーも、またメルセデスのジョージ・ラッセルとの接触によるダメージもなんのその、最終的にはトップに返り咲きチェッカードフラッグを受けてしまうのだからさすがであった。ラスベガスGP自体には歯に衣(きぬ)着せぬ否定的なコメントで関係者をひやひやさせていたワールドチャンピオンは、優勝後「楽しいレースだった」と上機嫌に語っていた。次の最終戦アブダビGPでも勝てば、セバスチャン・ベッテルを抜き通算勝利数で単独3位に躍り出ることになる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
シーズン最多勝記録を「18」に伸ばしたフェルスタッペン(写真)が高らかにガッツポーズ。高効率なエアロマシンであるレッドブルは、ラスベガスの低速コーナーでは十分なパフォーマンスを発揮しづらく、予選ではフェラーリのルクレールに0.378秒差をつけられ3番手、2番手だったカルロス・サインツJr.の降格ペナルティーによりフロントローに繰り上がった。レースではスタートで強引にトップを奪うも最初のスティントでは苦しい戦いを強いられ、ルクレールにオーバーテイクを許した。しかしその後は、スタート時の5秒ペナルティーも、またメルセデスのジョージ・ラッセルとの接触によるダメージもなんのその、最終的にはトップに返り咲きチェッカードフラッグを受けてしまうのだからさすがであった。ラスベガスGP自体には歯に衣(きぬ)着せぬ否定的なコメントで関係者をひやひやさせていたワールドチャンピオンは、優勝後「楽しいレースだった」と上機嫌に語っていた。次の最終戦アブダビGPでも勝てば、セバスチャン・ベッテルを抜き通算勝利数で単独3位に躍り出ることになる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

F1の“大きな賭け”、ラスベガスGP

入植者が原野を切り開き、宗主国から独立を勝ち取ったアメリカを人工国家と呼ぶなら、荒涼とした砂漠地帯に築かれたラスベガスは、その成り立ちから繁栄ぶりまで、アメリカを象徴するかのような都市だ。イギリスで始まり欧州で育ち、世界へと羽ばたき、そして今、アメリカでかつてないほどの人気を誇ることとなったF1の総決算ともいうべきレースがこの地で行われることに歴史の符合を見る、というのは言い過ぎだろうか。

F1、すなわちそのオーナーであるアメリカの巨大メディア企業リバティ・メディアが、ラスベガスGPにかける期待は並々ならぬものがある。総額4億ドル(およそ600億円)以上といわれる巨費を投じて進められたラスベガスGPは、開催地の現地プロモーターではなく、リバティ自体が主催者となって開かれる初のレース。このビジネスモデルが成功すれば、開催経験のない国でもレースが開かれるようになり、市場拡大が容易になる可能性があるのだ。

かように力が入るラスベガスGPは、サーキットも華麗なるしつらえとなった。当地では1981年から2年間、カジノホテルとして有名なシーザーズ・パレスの駐車場を利用した“悪名高き凡コース”でF1が開催されたことがあったが、41年ぶりのラスベガスでのGPでは一転、一大娯楽都市の目抜き通りをぶち抜いてつくられたきらびやかな市街地特設コースに生まれ変わった。3本の直線区間を、低速を中心とした17のコーナーでつないだ6.2kmの高速サーキットで、カジノホテルや娯楽施設が隣接する「ラスベガス・ストリップ」に設けられた1.9kmのストレートを、色彩豊かなF1マシンが駆け抜けるシーンは華々しさを印象つける。文字どおり、F1というスペクタクルショーの晴れ舞台だ。

しかし、いいことばかりでもない。都市中心部ゆえにコース利用時間帯が限られ、2回目のプラクティスや予選は現地時間の深夜0時開始という異例の遅さ。さらに砂漠の夜は気温が下がり10度を切ることもめずらしくないから、冬のテスト並みの寒さという要因も考慮しなければならない。加えて木曜日に開幕し、1985年南アフリカGP以来となる土曜日に決勝が開かれるという特異な点もあった。

11月14日には、アメリカ自動車業界の雄・ゼネラルモーターズ(GM)が、2028年からのF1パワーユニットメーカーとしての登録を行ったことが明らかになった。アメリカ発の新規チームとしてF1参戦をもくろむ「アンドレッティ・キャディラック」は、すでにFIA(国際自動車連盟)からの承認を得ており、商業権を握るFOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)からの承認待ちの状態。オール・アメリカンなチームの誕生に追い風が吹いている。

1950年の世界選手権第1戦イギリスGPから数えて1100戦目にあたるラスベガスGPは、急速にアメリカナイズされるF1が打って出た“大きな賭け”である。さいの目は果たして吉と出るか、凶と出るのか。

フェラーリのルクレール(写真前)は今季5回目の表彰台となる2位フィニッシュ。ストップ/ゴーのラスベガス・ストリップにあって、3本のストレートと低速コーナーに強いフェラーリは初日から速く、「最初の1周目から自信があった」とルクレールが語ったほど。予選ではルクレールが今季5回目のポールポジション奪取に成功。通算では23回目となるが、過去11回のポールを優勝に結び付けられていなかった。今季初優勝を目指した決勝では、今年これまで見せたことがなかったかのような迫真の走りでレッドブルと争い、優勝こそ逃したもののファイナルラップでペレスを抜き2位の座を勝ち取った。(Photo=Ferrari)
フェラーリのルクレール(写真前)は今季5回目の表彰台となる2位フィニッシュ。ストップ/ゴーのラスベガス・ストリップにあって、3本のストレートと低速コーナーに強いフェラーリは初日から速く、「最初の1周目から自信があった」とルクレールが語ったほど。予選ではルクレールが今季5回目のポールポジション奪取に成功。通算では23回目となるが、過去11回のポールを優勝に結び付けられていなかった。今季初優勝を目指した決勝では、今年これまで見せたことがなかったかのような迫真の走りでレッドブルと争い、優勝こそ逃したもののファイナルラップでペレスを抜き2位の座を勝ち取った。(Photo=Ferrari)拡大

“深夜セッション”という波乱の幕開け、予選ではルクレールがポール

水曜日には盛大なオープニングセレモニーが催され、華々しく開幕したかに見えたラスベガスGPは、最初のプラクティス開始から10分足らずで赤旗中断、再開されないままセッション終了と波乱の幕開けとなった。

路面にあるウオーターバルブのふたが外れ、フェラーリのカルロス・サインツJr.とアルピーヌのエステバン・オコンのマシンがダメージを負ったためだった。この事故対応により2回目のプラクティスは遅れに遅れ、現地時間の午前2時30分からという前代未聞の真夜中のセッションに。あまりの遅さに観客がサーキットから退却させられるというハプニングが起きた。マンホールなどの問題は市街地コースでは起こりがちだが、今回はラスベガスならではの運営上の課題が浮き彫りになったかっこうだ。

金曜日の予選では、プラクティスを通じてペースが良かったフェラーリ勢が1-2。シャルル・ルクレールは今季5回目、通算23回目のポールポジションを獲得して喜んだものの、2位のサインツJr.は、コース不備によるダメージとはいえパワーユニットを交換せざるを得ず、本人も納得がいかない10グリッド降格の憂き目にあった。

繰り上がってフェルスタッペンが最前列に並び、3位はメルセデスのジョージ・ラッセル。アルピーヌで健闘したピエール・ガスリーは今季最高の4位。高速コースで絶好調のウィリアムズが、アレクサンダー・アルボン5位、アメリカ人ローガン・サージェント6位と好位置を獲得した。

アルファ・ロメオのバルテリ・ボッタス7位、ハースのケビン・マグヌッセン8位とフェラーリ製パワーユニット勢が上位に食い込み、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ9位、そしてQ2で敗退したメルセデスのルイス・ハミルトンが10番グリッドに繰り上がってレースに臨むことなった。

レッドブルのペレス(写真)は3位でゴールした。予選では、周回を重ねるたびに路面のコンディションが良化する“トラックエボリューション”を甘く見たか、Q2のアタックを早々に終えてしまったことでライバルに先を越され12位、サインツJr.の降格ペナルティーにより11番グリッドと中団に埋もれてしまった。スタートでは前方のクラッシュに巻き込まれ、修復とタイヤ交換のためにピットインを余儀なくされたものの、その後のセーフティーカーにより上位に駒を進め、一時はトップを走行。ルクレールとの激戦を制し、フェルスタッペンに次ぐ2位でチェッカードフラッグ目前に迫ったものの、最終ラップでフェラーリに抜かれてしまった。それでもペレスはチャンピオンシップ2位を確定することができ、レッドブル初の選手権1-2を決めたのは大きな成果。2戦連続でポディウムを争う戦いも見せることができ、スランプから脱したかのような印象を与えた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのペレス(写真)は3位でゴールした。予選では、周回を重ねるたびに路面のコンディションが良化する“トラックエボリューション”を甘く見たか、Q2のアタックを早々に終えてしまったことでライバルに先を越され12位、サインツJr.の降格ペナルティーにより11番グリッドと中団に埋もれてしまった。スタートでは前方のクラッシュに巻き込まれ、修復とタイヤ交換のためにピットインを余儀なくされたものの、その後のセーフティーカーにより上位に駒を進め、一時はトップを走行。ルクレールとの激戦を制し、フェルスタッペンに次ぐ2位でチェッカードフラッグ目前に迫ったものの、最終ラップでフェラーリに抜かれてしまった。それでもペレスはチャンピオンシップ2位を確定することができ、レッドブル初の選手権1-2を決めたのは大きな成果。2戦連続でポディウムを争う戦いも見せることができ、スランプから脱したかのような印象を与えた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
アルピーヌの2台は、予選と決勝でハッキリと明暗が分かれた。予選で好調だったのはピエール・ガスリーで5番手タイム、サインツJr.の降格ペナルティーで4番グリッドを獲得。一方エステバン・オコン(写真)はトラフィックに阻まれるなどしQ1敗退で17位、ランス・ストロールが黄旗追い越しの5グリッド降格ペナルティーを受け16番グリッドに沈んだ。レースではガスリーが4位をキープするも、履き替えたハードタイヤに苦しみずるずると後退、結果11位。オコンはといえば、スタートで一気に8位までジャンプアップ、チームメイトとは対照的にタイヤをうまく手なずけることに成功し4位でフィニッシュ、12点を手にした。最終戦を残し、アルピーヌは孤独なランキング6位につけており、これは昨季よりも2つダウンしたことになる。(Photo=Alpine F1)
アルピーヌの2台は、予選と決勝でハッキリと明暗が分かれた。予選で好調だったのはピエール・ガスリーで5番手タイム、サインツJr.の降格ペナルティーで4番グリッドを獲得。一方エステバン・オコン(写真)はトラフィックに阻まれるなどしQ1敗退で17位、ランス・ストロールが黄旗追い越しの5グリッド降格ペナルティーを受け16番グリッドに沈んだ。レースではガスリーが4位をキープするも、履き替えたハードタイヤに苦しみずるずると後退、結果11位。オコンはといえば、スタートで一気に8位までジャンプアップ、チームメイトとは対照的にタイヤをうまく手なずけることに成功し4位でフィニッシュ、12点を手にした。最終戦を残し、アルピーヌは孤独なランキング6位につけており、これは昨季よりも2つダウンしたことになる。(Photo=Alpine F1)拡大

スタートから火花を散らしたルクレールとフェルスタッペン

F1が総力を挙げて取り組むラスベガスGPに「99%がショー、スポーティングイベントは1%」と当初から手厳しい評価を下していたのは3冠王者フェルスタッペン。数々のイベントや演出で浮き足だった週末、F1の本質はスポーツに根ざすべきというメッセージはチャンピオンならではの重さを持っていた。しかし実際のレースは、フェラーリ対レッドブルのファイナルラップまで続いた熾烈(しれつ)な争いに、大いに盛り上がるのだった。

セレブリティーたちが集うダミーグリッドを離れ、20台のマシンが50周のレースに旅立つと、最初のターン1からルクレールとフェルスタッペンが火花を散らした。ブレーキングを我慢した2台はそろってコースを外れるも、フェルスタッペンがトップに立ち、ルクレール2位、ラッセル3位、ガスリー4位、アルボンは5位で続いた。中団でアロンソがスピンしボッタスと接触、急減速のボッタスを避けきれなかったペレスも当たってしまい、コースをクリアにするためバーチャルセーフティーカーの指示がしばし出た。

3周目にマクラーレンのランド・ノリスがスピン、クラッシュすると、この日2回出ることになるセーフティーカーの最初の出番。7周目にレースが再開すると、フェルスタッペンがトップを守るも、スタート直後にルクレールを押し出したとして5秒のペナルティーが科されることになった。

「それなら5秒以上のリードを築けばいい」とばかりにフェルスタッペンはファステストラップで引き離そうとするも、2位ルクレールも負けじとペースを上げて応戦し、16周目にはルクレールがトップを奪還するのだった。

2位に落ちたフェルスタッペンはすぐさまピットに飛び込み、5秒のペナルティーをこなしながらハードタイヤへ交換。対する1位ルクレールは21周を終えてハードに履き替えた。これで順位は、レース早々のトラブルでハードタイヤにスイッチしていたペレスが1位、同じくアストンマーティンのランス・ストロールが2位、ルクレール3位。フェルスタッペンは7位から着実にポジションを上げるも、5位走行中の25周目にラッセルを抜きにかかろうとして接触、ここで2度目のセーフティーカーが出ることとなった。

これがフェラーリとレッドブルの勝負の分かれ目となった。徐行中にコースにとどまり続けたルクレールが首位を守る一方、2位ペレス、そして5位フェルスタッペンは新しいハードタイヤに履き替えていた。29周目にレースが再開すると、ルクレールはペレスからの猛追に遭い、さらにはフェルスタッペンが虎視眈々(たんたん)と優勝を狙ってまい進していた。

フェラーリのサインツJr.(写真)にとって、ラスベガスGPは不運な事故から始まった。最初のプラクティス早々に突如マシンがストップ、路面に配備されたウオーターバルブのふたが強大なダウンフォースにより吸い上げられサインツJr.のフェラーリに当たり、マシンやパワーユニットなどにダメージを負ってしまったのだ。これでパワーユニットを交換せざるを得ず、10グリッド降格のペナルティーを受けることに。ルールはルール、とはいえ不可抗力によるペナルティーに、サインツJr.は「最もアンフェアなペナルティー」と憤まんやる方なし。跳ね馬の好調さも相まってフロントローから12番グリッドに落ちたことは痛かった。それでもレースでは6位まで挽回してゴールし、ドライバーズチャンピオンシップでは6位から4位まで順位を上げた。(Photo=Ferrari)
フェラーリのサインツJr.(写真)にとって、ラスベガスGPは不運な事故から始まった。最初のプラクティス早々に突如マシンがストップ、路面に配備されたウオーターバルブのふたが強大なダウンフォースにより吸い上げられサインツJr.のフェラーリに当たり、マシンやパワーユニットなどにダメージを負ってしまったのだ。これでパワーユニットを交換せざるを得ず、10グリッド降格のペナルティーを受けることに。ルールはルール、とはいえ不可抗力によるペナルティーに、サインツJr.は「最もアンフェアなペナルティー」と憤まんやる方なし。跳ね馬の好調さも相まってフロントローから12番グリッドに落ちたことは痛かった。それでもレースでは6位まで挽回してゴールし、ドライバーズチャンピオンシップでは6位から4位まで順位を上げた。(Photo=Ferrari)拡大
『機動戦士ガンダム』とのコラボレーションでも注目されたラスベガスGPでのアルファタウリ。シーズン終盤に来てポイントを稼ぎ、コンストラクターズランキング7位のウィリアムズを7点差で追う勢いがあったものの、予選、決勝を通じて苦しい戦いを強いられた。角田裕毅(写真)は予選でトラフィックにつかまり、また十分温まっていないタイヤでコースオフするミスもあって最下位の20番手。ダニエル・リカルドはQ2に進むも15位、ストロールの降格ペナルティーで14番グリッドに沈んだ。レースでは、ソフトタイヤを履いてスタートした角田が12位までジャンプアップを果たし、一時はポイント圏内を走るも、ライバルと比してペースは劣っていた。角田は18位完走、リカルドも14位でレースを終えて無得点だった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
『機動戦士ガンダム』とのコラボレーションでも注目されたラスベガスGPでのアルファタウリ。シーズン終盤に来てポイントを稼ぎ、コンストラクターズランキング7位のウィリアムズを7点差で追う勢いがあったものの、予選、決勝を通じて苦しい戦いを強いられた。角田裕毅(写真)は予選でトラフィックにつかまり、また十分温まっていないタイヤでコースオフするミスもあって最下位の20番手。ダニエル・リカルドはQ2に進むも15位、ストロールの降格ペナルティーで14番グリッドに沈んだ。レースでは、ソフトタイヤを履いてスタートした角田が12位までジャンプアップを果たし、一時はポイント圏内を走るも、ライバルと比してペースは劣っていた。角田は18位完走、リカルドも14位でレースを終えて無得点だった。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

ルクレールが最終周にレッドブル1-2を阻止、選手権ではレッドブル初の1-2

前戦サンパウロGPでアロンソと激しい3位争いを繰り広げたペレスは、得意のストリートサーキットでひときわ輝きを増す走りを見せた。32周目、ラスベガス・ストリップの先にあるターン14でルクレールをかわしトップを奪い去ると、僚友フェルスタッペンも4位、3位と駒を進め、レッドブル包囲網が出来上がった。

だが、フェラーリもやられっぱなしでは終わらなかった。35周目にルクレールが再び首位の座を奪うと、レッドブルは速いフェルスタッペンを2位に上げ、37周目のターン14でフェルスタッペンが首位奪還。レッドブルは1-2を目指すべく、無線でペレスに奮起を促した。

チームと僚友の活躍に刺激を受けたペレスは、ルクレールにプレッシャーをかけ続け、43周目、一瞬ラインを乱したフェラーリに襲いかかり、レッドブルは1-2体制を確立した。

しかし、残り数周となってもルクレールは執拗(しつよう)にペレスの尻尾を追い続けた。トップのフェルスタッペンが4秒以上リードを広げる一方、ペレスとルクレールの差はDRSが作動する1秒以下のまま。レッドブルはフェルスタッペンにペースを落とさせ、ペレスを引っ張るように仕向けたものの、最終周にはルクレールの気迫のこもったブレーキングでフェラーリが2位を勝ち取り、レースは劇的な幕切れとなった。

フェルスタッペンは21戦して18勝という、自身が持つ年間最多勝記録をまたも更新したばかりか、通算勝利数でセバスチャン・ベッテルの53勝に並び歴代3位タイ記録にまで到達した。また年間表彰台は20回を数え、これも自身の最多記録を更新したことになる。

ポールは取れどなかなか勝てないでいるルクレールだが、「正直とても楽しめた。もちろん2位に終わったのは残念だが、最善は尽くした」と、最強チームに一泡吹かせることができたことに満足げな様子だった。

そして3位に終わったペレスも2戦連続でドッグファイトを演じ、スランプからの脱却を印象づける活躍を見せた。レッドブルは、メルセデスが2016年に打ち立てた年間最多19勝を抜き20勝目をマーク。さらにはチーム設立以来初めてのドライバーズチャンピオンシップ1-2を決めることができた。

「最高の観客だね。われわれは間違いなく楽しんだけど、みんなも楽しんでくれたのなら幸いです。来年ここに戻ってくることに対してすでに興奮しているし、また同じように勝ちたいと思っているよ」

ラスベガスGPに辛口だったフェルスタッペンの上機嫌なコメントで、華やかでスリリングなショーは幕を閉じた。

次はいよいよ最終戦。アブダビGP決勝は11月26日に行われる。

(文=bg)

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