【F1 2023】最終戦アブダビGP続報:フェルスタッペンは年間19勝で“またとないシーズン”を締めくくる 角田裕毅は力走の末に8位入賞

2023.11.27 自動車ニュース bg
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F1最終戦アブダビGPを制し、ドーナツターンを披露したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1最終戦アブダビGPを制し、ドーナツターンを披露したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2023年11月26日、アブダビのヤス・マリーナ・サーキットで行われたF1世界選手権第23戦(最終戦)アブダビGP。タイトル決定戦でこそなかったものの、シーズンを締めくくるにふさわしい激戦が各所で繰り広げられた。

ポール・トゥ・ウィンで今シーズン19勝目を飾ったフェルスタッペン(写真前)。プラクティス中は「マシンがカンガルーのように跳ねる」と訴えていたチャンピオンだったが、セッティングをうまく合わせ込んだ予選では最初のアタックでポールタイムをたたき出すまでに調子を戻していた。レースではスタート直後にフェラーリのシャルル・ルクレールに挑まれるも首位をキープ。盤石のレース運びで年間最多勝記録を更新しシーズンを締めくくった。通算勝利数54勝はセバスチャン・ベッテルの記録を抜き単独3位に躍り出たことになり、上には103勝のルイス・ハミルトン、91勝のミハエル・シューマッハーがいるのみである。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
ポール・トゥ・ウィンで今シーズン19勝目を飾ったフェルスタッペン(写真前)。プラクティス中は「マシンがカンガルーのように跳ねる」と訴えていたチャンピオンだったが、セッティングをうまく合わせ込んだ予選では最初のアタックでポールタイムをたたき出すまでに調子を戻していた。レースではスタート直後にフェラーリのシャルル・ルクレールに挑まれるも首位をキープ。盤石のレース運びで年間最多勝記録を更新しシーズンを締めくくった。通算勝利数54勝はセバスチャン・ベッテルの記録を抜き単独3位に躍り出たことになり、上には103勝のルイス・ハミルトン、91勝のミハエル・シューマッハーがいるのみである。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
フェラーリのルクレール(写真)は2位でゴール。予選直前のプラクティスではトップから遅れること0.681秒で5番手にとどまり、予選に入ってからも、初日にクラッシュしたカルロス・サインツJr.がQ1敗退の16位に終わるなどフェラーリは苦しい戦いを強いられたのだが、Q3に駒を進めたルクレールは最後のアタックで本人も驚く9位から2位に躍進、5戦連続でフロントローからのスタート。レースではスタートでこそフェルスタッペンを脅かすそぶりを見せたものの、チームのコンストラクターズランキング2位獲得に向けて自らも2位をキープし続けた。レース終盤にはセルジオ・ペレスを利用しての奇策に打って出るも、スクーデリアはメルセデスに3点足らず、シーズンを3位で終えた。サインツJr.は18位完走扱い。(Photo=Ferrari)
フェラーリのルクレール(写真)は2位でゴール。予選直前のプラクティスではトップから遅れること0.681秒で5番手にとどまり、予選に入ってからも、初日にクラッシュしたカルロス・サインツJr.がQ1敗退の16位に終わるなどフェラーリは苦しい戦いを強いられたのだが、Q3に駒を進めたルクレールは最後のアタックで本人も驚く9位から2位に躍進、5戦連続でフロントローからのスタート。レースではスタートでこそフェルスタッペンを脅かすそぶりを見せたものの、チームのコンストラクターズランキング2位獲得に向けて自らも2位をキープし続けた。レース終盤にはセルジオ・ペレスを利用しての奇策に打って出るも、スクーデリアはメルセデスに3点足らず、シーズンを3位で終えた。サインツJr.は18位完走扱い。(Photo=Ferrari)拡大

連勝に最多勝、記録尽くしの2023年は“ビンテージイヤー”だった

2023年を「レッドブル&マックス・フェルスタッペンによる記録尽くしのシーズン」と振り返ったところで誰からも異論は出ないだろう。最終戦アブダビGP前までの21戦で(エミリア・ロマーニャGPは中止のため)、レッドブルは14連勝を含む20勝、フェルスタッペンに至っては第15戦イタリアGPまで10連勝し、さらには勝率85%強の18勝をマーク。双方とも年間最多勝や連勝の記録をことごとく塗り替えてきた。

しかし、スポーツの本質が競争にあるなら、22戦目の最終戦まで10チーム中8チームの順位が確定していない今季はビンテージイヤーともいえた。筆頭はメルセデス対フェラーリのコンストラクターズランキング2位争いで、これだけ長いシーズンを戦いながら、メルセデスのリードは4点しかなかったのだ。

さらに後半戦に準主役となったランキング4位のマクラーレンは、前半戦のダークホースであった5位アストンマーティンに11点差をつけてファイナルラウンドへ。押しも押されもしないアルピーヌの6位は確定済みだったが、アレクサンダー・アルボンの活躍もあり7位につけていたウィリアムズと、第16戦シンガポールGPで投入したアップデート以降、18点を稼ぎ出したアルファタウリによる、7点を挟んだ争いも見ものだった。アルファタウリは、研究開発という名目で「AT04」のフロアまわりを変更し、このレースを最後に退任するフランツ・トスト代表の花道を飾るべく、最後の最後で“奇跡の逆転”を狙いにきた。

コンストラクターズランキングにかけるのは各陣営のプライドだけではない。順位に応じて支払われる分配金の多寡が関わってくる。それぞれの配分は、F1関係者間で結ばれるかの有名な「コンコルド協定」に記されており詳細は明かされていないものの、1つの順位の違いで十数億円レベルの差を生むともいわれているのだから最後まで気が抜けないのである。

レッドブルのセルジオ・ペレスが2勝したほか、レッドブル以外のチームで勝てたのは、カルロス・サインツJr.がシンガポールGPであげたフェラーリの1勝のみ。とはいえ、マクラーレンのランド・ノリスをはじめ2位でチェッカードフラッグを受けたのは5人にものぼり、実に11人ものドライバーが表彰台にあがるほどの激闘のシーズンだった。

またアストンマーティンやマクラーレンの活躍をはじめ、フェルナンド・アロンソの復活、ポディウム7回のノリスや、ルーキーながらスプリントで優勝したオスカー・ピアストリといった若手の台頭など、各ドライバーおよびチームが飛躍した年でもあった。勝ち続けるフェルスタッペンの陰に隠れながらも、2023年は“ビンテージイヤー”としての素地(そじ)を下敷きにしてきた。来るシーズン、腕やマシンに磨きをかけた挑戦者の奮起が大いに期待される。

メルセデスのジョージ・ラッセル(写真)は3位でレースを終えた。予選直前のプラクティスでトップタイムをマーク、予選に入ってもその勢いをキープし4位。一方チームメイトのルイス・ハミルトンはQ2落ちの屈辱を味わい11位に沈んだ。今季2人の予選成績は11勝11敗でイーブン。ハミルトンが2戦連続でQ3に進めなかったのは2014年以来となる。レースではラッセルが3位まで上がり、終盤ペレスの追い上げにあうも今季2度目の3位表彰台を決めた。ハミルトンは9位に入り、メルセデスはコンストラクターズランキング2位の座を、わずか3点差で守り切った。(Photo=Mercedes)
メルセデスのジョージ・ラッセル(写真)は3位でレースを終えた。予選直前のプラクティスでトップタイムをマーク、予選に入ってもその勢いをキープし4位。一方チームメイトのルイス・ハミルトンはQ2落ちの屈辱を味わい11位に沈んだ。今季2人の予選成績は11勝11敗でイーブン。ハミルトンが2戦連続でQ3に進めなかったのは2014年以来となる。レースではラッセルが3位まで上がり、終盤ペレスの追い上げにあうも今季2度目の3位表彰台を決めた。ハミルトンは9位に入り、メルセデスはコンストラクターズランキング2位の座を、わずか3点差で守り切った。(Photo=Mercedes)拡大

フェルスタッペン、マンセルに並ぶ通算32回目のポール

今年最後の予選を最速で駆け抜けたのはフェルスタッペン。プラクティスでは一度もトップに立てずセッティングに苦慮したものの、予選にうまく合わせ込むことができ、22戦して12回目のポールポジションを獲得した。通算では32回目を数え、1992年王者ナイジェル・マンセルの記録に並ぶ歴代7位タイにつけた。

フェルスタッペンから遅れること0.139秒、最後のラップで9位から2位にジャンプアップしたのはフェラーリのシャルル・ルクレールで、5戦連続の最前列スタート。3位はマクラーレンのピアストリ、4位はメルセデスのジョージ・ラッセル、5位はマシンをスライドさせてタイムを失ったマクラーレンのノリスだった。

そして6位につけたのは、アルファタウリの角田裕毅。チームメイトのダニエル・リカルドがQ2敗退、15位となった一方で、第17戦日本GP以来となる今季4回目のQ3進出を果たし、キャリア最高位から“奇跡の逆転”を目指した。

7位はアストンマーティンのアロンソ、8位は今季8回目のQ3進出となったハースのニコ・ヒュルケンベルグで、チームをランキング最下位から救うべくポイント圏内からスタートすることに。レッドブルのセルジオ・ペレスは、トラックリミット違反でタイムを抹消されて9位。アルピーヌのピエール・ガスリーは10位となった。

レッドブルのペレス(写真)は4位でゴール。予選Q3で6番手タイムを出すも、トラックリミット違反によりタイムを抹消され9位。2勝したシーズン序盤から一点しスランプに陥っていたメキシコ人ドライバーは、前戦ラスベガスGPでドライバーズランキング2位を確定させたものの、過去17戦の平均グリッドは10.4位と決して本調子というわけではなかった。レースは2位でチェッカードフラッグを受けるも、マクラーレンのランド・ノリスと接触したことで5秒加算ペナルティーが科され、結果、4位に落ちた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのペレス(写真)は4位でゴール。予選Q3で6番手タイムを出すも、トラックリミット違反によりタイムを抹消され9位。2勝したシーズン序盤から一点しスランプに陥っていたメキシコ人ドライバーは、前戦ラスベガスGPでドライバーズランキング2位を確定させたものの、過去17戦の平均グリッドは10.4位と決して本調子というわけではなかった。レースは2位でチェッカードフラッグを受けるも、マクラーレンのランド・ノリスと接触したことで5秒加算ペナルティーが科され、結果、4位に落ちた。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
アブダビGPの週末、マクラーレンが2030年までメルセデスからパワーユニット供給を受けることが発表された。1995年に始まった「マクラーレン・メルセデス」の歴史は、2015年からマクラーレンがホンダと組むことで一時途絶えるも、2021年から再び始動。今シーズン後半からは本家メルセデスを上回るパフォーマンスを発揮してきた上向き調子のマクラーレンは、このパートナーシップの維持を望んだということである。最終戦アブダビGPでのマクラーレンは、予選で新人オスカー・ピアストリが今季3回目のトップ3グリッドとなる3位となるも、ランド・ノリスはマシンをスライドさせてしまい5位。レースではノリス5位、ピアストリ6位と表彰台は遠かったがダブルで入賞し、アストンマーティンからコンストラクターズランキング4位の座を守った。(Photo=Mercedes)
アブダビGPの週末、マクラーレンが2030年までメルセデスからパワーユニット供給を受けることが発表された。1995年に始まった「マクラーレン・メルセデス」の歴史は、2015年からマクラーレンがホンダと組むことで一時途絶えるも、2021年から再び始動。今シーズン後半からは本家メルセデスを上回るパフォーマンスを発揮してきた上向き調子のマクラーレンは、このパートナーシップの維持を望んだということである。最終戦アブダビGPでのマクラーレンは、予選で新人オスカー・ピアストリが今季3回目のトップ3グリッドとなる3位となるも、ランド・ノリスはマシンをスライドさせてしまい5位。レースではノリス5位、ピアストリ6位と表彰台は遠かったがダブルで入賞し、アストンマーティンからコンストラクターズランキング4位の座を守った。(Photo=Mercedes)拡大

フェルスタッペンが首位キープ、角田はラップリーダーに

これまでの21戦でフェルスタッペンは951周もの周回をリードしていた。58周レースのアブダビGPで年間1000リードラップという大台にのせるのも、また22戦19勝という記録樹立も、さらにはセバスチャン・ベッテルを抜き通算54勝で歴代3位に躍り出ることも、今季の独走ぶりからしたら決して夢ではなかった。

実際、フェルスタッペンに勝負を挑んだのはルクレールだけ。しかも最初の1周に限った、いわば“成功すればラッキー”程度のトライだった。スタート直後のターン1、さらにはターン5、6、7とレッドブルとフェラーリはラインを交錯させるもフェルスタッペンのリードは揺るがず、ルクレールもその後はおとなしく刀を鞘(さや)におさめた。

トップ2台の後ろには、3位ピアストリ、4位ノリス、5位ラッセル、6位角田、7位アロンソといった面々が続き、オープニングラップは終了。ルーキーのチームメイトにやられてたまるか、とノリスが4周目にピアストリを抜き3位へ上がった一方、目の前の2台のマクラーレンが邪魔なラッセルは、11周目にピアストリを抜き4位にポジションを上げると、今度は3位ノリスを追いかけるのだった。

フェラーリにランキング2位を取られたくないメルセデスに、ささやかながら幸運が舞い込む。15周目に同時にピットに入ったノリスがタイヤ交換に手間取ったことで、マクラーレンの前、実質的な3位にポジションを上げることができたのだ。

トップのフェルスタッペンは17周目、2位ルクレールは翌周にミディアムタイヤからハードに替えると、まだピットストップを終えていない角田がキャリア初のラップリーダーとなる。日本人ドライバーとしては、2004年ヨーロッパGPでの佐藤琢磨以来となる史上2人目。角田は23周目にピットに飛び込み12位まで順位を落とすも、ここから再びポイント獲得に向けて力強い走りを披露するのだった。

アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(写真)は7位フィニッシュ。シーズン前半の12戦で表彰台6回、ダークホースとして話題をさらったアストンマーティンだったが、後半におけるポディウムは2回にとどまり、マクラーレンの後塵(こうじん)を拝することが多くなった。最終戦ではアロンソが予選7位、ランス・ストロールは13位。レースでは終盤にアロンソが角田裕毅のアルファタウリを抜き7位、ストロールも10位に入り得点したものの、マクラーレンとのポイント差を詰めることはできずランキング5位で今シーズンを終えた。(Photo=Aston Martin)
アストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(写真)は7位フィニッシュ。シーズン前半の12戦で表彰台6回、ダークホースとして話題をさらったアストンマーティンだったが、後半におけるポディウムは2回にとどまり、マクラーレンの後塵(こうじん)を拝することが多くなった。最終戦ではアロンソが予選7位、ランス・ストロールは13位。レースでは終盤にアロンソが角田裕毅のアルファタウリを抜き7位、ストロールも10位に入り得点したものの、マクラーレンとのポイント差を詰めることはできずランキング5位で今シーズンを終えた。(Photo=Aston Martin)拡大

角田は8位入賞、最後まで続いたメルセデス対フェラーリの激戦

最初のタイヤ交換が一巡すると、1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位ラッセル、4位ノリス、5位ピアストリ、6位ペレス。レースが折り返しを過ぎる頃になると、角田は9位までポジションを上げ、さらに2回目のタイヤ交換を迎えたドライバーが次々とピットに入ると3位まで上昇した。

アルファタウリがポイント圏内でフィニッシュするためには、ライバルより1回少ない1ストップで走り切ることが必要。角田は、フレッシュなタイヤを履くライバルと無用な戦いはせず、タイヤをセーブすることに徹し、ルクレール、ラッセル、ノリスに抜かれ6位にダウン。この順位をキープできれば8点を追加し、ウィリアムズを逆転することはできたのだが、さすがに使い古しのタイヤでは後ろを抑えるのにも限度があり、48周目にはピアストリに抜かれ7位、残り2周の時点で2冠王者のアロンソにも先を越され8位に。さらにハミルトンにもオーバーテイクされたものの、コーナーでふらつく7冠王者の隙を見逃さず、8位は死守してチェッカードフラッグを受けた。アルファタウリはランキング8位でシーズン終了。ファンの投票で決まる「ドライバー・オブ・ザ・デイ」を受賞した角田の力走は、トスト代表へのはなむけとして贈られた。

メルセデス対フェラーリのランキング2位争いは最後まで続いた。2位のルクレールは、3位まで上がってきていたペレスを意図的に先に行かせる奇策を思いつき、周囲を驚かせた。ペレスには、ノリスとの接触による5秒ペナルティーが科されることが決まっており、ペナルティー後の順位は、1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位ラッセルとなるはずだった。ルクレールは、ペレスを先行させて5秒ペナルティーを帳消しにするほど飛ばしてもらい、ラッセルの前でフィニッシュさせようとしたのだが、ペレスは2位から4位に降格したことで結果的にこの作戦は失敗に終わり、メルセデスはフェラーリに3点差をつけ2位の座を守り切った。

最終戦で8位入賞を果たし笑みを浮かべるアルファタウリの角田裕毅(写真)。7点差のウィリアムズからコンストラクターズランキング7位の座を奪いたいアルファタウリは、来季をにらんだ研究開発という名目で「AT04」のフロアをはじめマシンをアップデート。そのかいあってか、角田は改良型マシンで好走を見せ、予選Q3ではキャリアベストとなる6位を獲得し、奇跡の逆転に向けて期待を抱かせた。レースではタイヤをいたわりながら1ストップ作戦を敢行するも、ロングランを続けたハードタイヤではポジションをキープできず、8点を獲得できる6位から2つ順位を落としてしまいチームはランキング8位でシーズンを終えることに。それでも「すべて出し切った。後悔はないし自分に対してもハッピーだ」と前向きな発言で3年目の最後を締めくくった。角田の年間獲得ポイントは17点でドライバーズランキング14位、合計25点を集めたチームを文字どおりリードした1年間だった。ダニエル・リカルドは予選15位、レースでは11位でチェッカードフラッグを受けている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
最終戦で8位入賞を果たし笑みを浮かべるアルファタウリの角田裕毅(写真)。7点差のウィリアムズからコンストラクターズランキング7位の座を奪いたいアルファタウリは、来季をにらんだ研究開発という名目で「AT04」のフロアをはじめマシンをアップデート。そのかいあってか、角田は改良型マシンで好走を見せ、予選Q3ではキャリアベストとなる6位を獲得し、奇跡の逆転に向けて期待を抱かせた。レースではタイヤをいたわりながら1ストップ作戦を敢行するも、ロングランを続けたハードタイヤではポジションをキープできず、8点を獲得できる6位から2つ順位を落としてしまいチームはランキング8位でシーズンを終えることに。それでも「すべて出し切った。後悔はないし自分に対してもハッピーだ」と前向きな発言で3年目の最後を締めくくった。角田の年間獲得ポイントは17点でドライバーズランキング14位、合計25点を集めたチームを文字どおりリードした1年間だった。ダニエル・リカルドは予選15位、レースでは11位でチェッカードフラッグを受けている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

フェルスタッペンは記録尽くしのシーズンを終える

フェルスタッペンが2023年に打ち立てた記録は枚挙にいとまがない。主なものを挙げれば、22戦して19勝はシーズン最多。さらに連勝「10」、表彰台登壇回数「21」も最多記録、シーズン中に獲得した「575点」は最多獲得ポイント、ランキング2位ペレスとのポイント差「290点」は過去最大、そしてリードラップ1003周も最多レコードとなる。

「信じられないシーズンだった。チェッカードフラッグを受けた後、ちょっとエモーショナルになったよ。なにしろ多くの結果をもたらしてくれたこのマシンをドライブするのも最後だからね」と語った3冠王者フェルスタッペン。本人が「またとないシーズンになった」と言うとおり、これほどまでの圧勝を続けられたシーズンはそうそうくるものではないのだ。

このレースを2位で終わったルクレールは未勝利のまま1年を終え、チームはランキング2位を取り損ねたものの、フェラーリはシーズン終盤を上り調子で終え、来季への手応えをつかんだはずである。また今年2回目の3位表彰台となったラッセルは、メルセデスの2位確定に安堵(あんど)の表情を浮かべていた。

ノリス5位、ピアストリ6位でゴールしたマクラーレンは昨季より1つ順位を上げランキング4位。パパイヤオレンジのマシンが見せたシーズン後半の復活劇は、来る2024年シーズンでのさらなる飛躍を期待させるものとなった。

2023年のF1は激闘の22戦を終えたばかりだが、2024年の開幕戦バーレーンGPは97日後に待ち構えている。勝者はさらなる成功を目指し、そして挑戦者は王者打倒を胸に誓い、つかの間のオフシーズンに入った。

(文=bg)

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