BMWや三菱ふそうも参画 ドイツ式の自動車整備士養成プログラムが日本でスタート
2024.04.04 自動車ニュース![]() |
在日ドイツ商工会議所は2024年4月4日、日本で「ドイツ専門職業訓練 自動車整備士養成プログラム」をスタートすると発表した。
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目的は優れた整備士の育成と人材不足の解消
ドイツ専門職業訓練 自動車整備士養成プログラムは、在日ドイツ商工会議所がBMWジャパンと三菱ふそうトラック・バスという、2社のパートナー企業とともにスタートさせた整備士の育成プログラムである。自動車業界の人材不足を受けて導入されたもので、まずは東京・上野のNPO法人メカニックカレッジ、兵庫・神戸の阪神自動車航空鉄道専門学校で研修が行われる。
ドイツ専門職業訓練とは、ドイツを中心に世界48カ国・52都市で実施されている人材育成制度で、ドイツ本国では実に327の職種で研修を実施。全労働人口の約5%が現役の研修生とされている。また、ドイツ以外の国でも2万7568人が同プログラムを修了し、今も9266人が研修を受けているという。特徴は実践と座学の両方で養成を行う教育システムにあり、特に実習には、約7割の時間が割かれるという。
日本でこの制度が導入されるのは、今回の自動車整備士養成プログラムが初となっており、研修生には、ドイツのプログラムをもとに日本の状況に合わせて構成された、オリジナルのプログラムが提供される。研修期間は3年で、2度のテストを経てプログラムを修了すると、「ゲゼレ」と呼ばれるドイツの国家資格を取得。修了後は、研修先の企業にフルタイムの社員として就職できるという。また、研修中はパートナー企業から給与や学費などの援助があるため、研修生は経済的な不安を覚えることなく訓練に専念することが可能。いっぽうパートナー企業は、電動パワートレインや先進運転支援システムなども含め、最新の専門技術を備えた人材を得ることができるとされている。
第1期の研修生は21人で、来期は40~50人の研修を予定。ゆくゆくは一期につき100人程度まで研修生を増やしたいとしている。
将来的には日本の整備士資格制度との連携も
日本へのドイツ専門職業訓練の導入が検討され始めたのは2018年のことで、2020年には、現在のパートナー企業であるBMWジャパンと三菱ふそうトラック・バスとともに、具体的な導入の準備を開始。教育パートナーとの検討を重ねて日本独自のプログラムを作成し、4年の準備期間を経て自動車整備士養成プログラムがスタートすることとなった。
今のところはパートナー企業も限られており、また日本の自動車整備士資格制度との相互性もないが、在日ドイツ商工会議所のルーカス・ヴィトスアスキー副専務理事によると、新たなパートナー企業の参加については「すでに複数のインポーターと交渉している」という。また在日ドイツ商工会議所 カーメカトロニクス専門コーディネーターの菊地隆一氏も、日本における資格制度との相互性について「ちょうど日本の関連各所と話し合いを始めたところ」と説明。将来的には、例えばドイツ専門職業訓練の修了者は日本の資格試験で実技がパスになるなど、一定のコンパティビリティーがあるようにしたいと述べた。
(webCG)