“「三菱パジェロ」が復活”は本当? 2026年以降に発売か
2024.04.25 デイリーコラム日本で「パジェロ」の名称が復活
最近の自動車メディアでは“パジェロ復活”がおおいに話題になっている。キッカケとなったのは、2024年3月22日付の日本経済新聞(以下、日経新聞)が「三菱自動車、『パジェロ』復活 26年度にも国内発売」との見出しで報じた記事だ。
パジェロといえば、2019年に国内販売を終了した三菱最強にして、歴史的なオフローダーである。同記事によると、そんなパジェロブランドのSUVが早ければ2026年度にも国内で復活すると、三菱の販売店向け会議で明かされたという。さらに、先日発売されたピックアップトラック「トライトン」の車台(プラットフォーム)を使って、東南アジアで生産される……と、クルマのおおまかな内容も伝えている。
ともあれ、三菱自動車広報部に同記事の真偽を確かめると「将来の商品計画に関してはお答えできません」との回答だった。一応は自動車メディアに30年以上たずさわっている筆者の経験上、自動車メーカーがこういう答えかたをするときは、その内容はほぼ正しく、しかも具体的に進行中であることが多い。
記事内容が事実無根であれば、メーカーは明確に否定するだろう。逆に、そこになにかしらの根拠があっても、まだどう転ぶか分からない段階なら「検討中」との回答がお約束だ。しかし、今回は生々しい内容すぎて答えようがないのか……と勝手に想像してしまった。
日経新聞とパジェロといえば、同紙が8年半以上前の2015年12月5日付で報じた「三菱自動車がパジェロの新規開発を中止」というスクープ記事を思い出す。当時はさほど大きな話題にはならなかったが、パジェロがその後、2019年9月に国内向け生産を、2021年7月には海外向け生産も終了して、結果的に記事が正しかったことが判明する。
いずれにしても、日経新聞の記事を信じれば、今後2~3年で、日本でパジェロが復活する。というわけで、その来るべき新しいパジェロの姿を想像してみたい。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
次期「パジェロスポーツ」を日本に導入?
まず、日経新聞の記事に東南アジアで生産とあるように、先代までのパジェロのような国内生産の可能性は、まずないと考えていい。というのも、初代から一貫してパジェロを生産していた岐阜のパジェロ製造(三菱の100%子会社だった)は、2021年の生産終了にともなって、同年8月に工場を閉鎖。跡地はすでに大王製紙に売却されてしまっている。
また、三菱ファンなら、トライトンのプラットフォームという記述から「それって『パジェロスポーツ』では?」と即座に連想するだろう。
パジェロスポーツとは、日本でも1996年から2001年に「チャレンジャー」として販売されていたSUVの後継機種である。初代チャレンジャーは既存のパジェロ(当時は2代目)のプラットフォームを流用して、本格派ながらもパジェロより手ごろな価格を売りにした。
2007年に登場した2代目は、ピックアップのトライトンと共通の新型ラダーフレームのホイールベースをショート化して使用。さらにリアサスペンションもリーフスプリングから先代同様のコイルスプリングに変更し専用に与えるなど、SUVとして独自の仕立てが施されていた。
現行型パジェロスポーツは2015年に登場した3代目で、トライトンと共有するラダーフレーム(のショート版)にコイル式リジッドという成り立ちは2代目を継承。生産拠点はタイとインドネシアで、アセアンや豪州、欧州、中南米で販売されている。地域によって「モンテロスポーツ」を名乗る場合もあるが、チャレンジャーという車名は、今は使われていない。
そんな3代目パジェロスポーツは、先ごろも最新トライトンと共通エンジンに切り替えるなどの大幅改良を受けたばかりだ。しかし、2015年というデビュー時期やトライトンが刷新されたことなどを考えると、フルモデルチェンジが秒読み段階でも不思議ではない。
となると、日本で復活するというパジェロは、その発売時期を考えても、次期パジェロスポーツそのものではないか……と想像するのがもっとも自然だ。トライトンのプラットフォームや東南アジア生産といった日経新聞の記事内容も、それが次期パジェロスポーツと考えればすべてが腑に落ちる。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
パジェロは三菱にとって特別な存在
最後のパジェロが車体とフレームを一体化したビルトインフレーム構造や四輪独立サスペンションを備えていたことを考えると、独立ラダーフレームやリジッド形式のリアサスペンションなど、現行型パジェロスポーツは、パジェロとしては2代目(1991~1999年)まで先祖返りしたような内容ともいえる。それが誇り高きパジェロを名乗っていいのか……という懸念を、パジェロ全盛期を知る三菱上層部や口うるさい好事家筋が抱くであろうことも、容易に想像できる。
その点については、日経新聞の記事でも「パジェロブランドのSUV」という表現や「車名や価格帯などの詳細は今後決める」との記述で、含みがもたせてある。もしかしたら、次期パジェロスポーツは現行以上に凝ったハードウエアが与えられるのか、あるいは復活するパジェロと次期パジェロスポーツは、基本骨格は共有しつつも各部をつくり分ける別のクルマだったりするのか。……と、前出の広報担当氏にあの手この手で聞いてみたのだが、「ですから、お答えできません」と、いっさい口を割ってくれなかった(笑)。
ただ、同担当氏は「以前に益子も語っていたように、パジェロは三菱にとっては特別な存在です」と付け加えた。ここでいう“益子”さんとは、もちろん、2020年に亡くなられた益子 修・三菱自動車前会長のことである。
それは2017年の定時株主総会のこと。パジェロについては前記のように新規開発中止が報じられており、さらに「ランサーエボリューション」の販売も前年に終了していた。当時、代表取締役兼CEOだった益子さんは同総会で「パジェロとランサーエボリューションの復活はないのか? という声を多くいただいております。(中略)パジェロとランサーエボリューションには、多くの社員やお客さまが愛着をもっています。(中略)夢は捨てたくありません。V字回復を実現し、会社に余力が出てきたあかつきには、ルノー・日産アライアンスの力も借りて、今とまったく同じクルマではないかもしれませんが、いつか新しいパジェロやランサーエボリューションの開発に挑戦したいという気持ちをもって、これからも仕事をしていきます」と語ったのだった。
三菱にとっては、これほど大切なパジェロ。復活するパジェロがどういう内容になるにしても、ファンの思いを裏切ることはないはず……と、期待しながら待ちましょう。で、パジェロの次は“ランエボ”ですよねー。
(文=佐野弘宗/写真=三菱自動車、webCG/編集=櫻井健一)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

佐野 弘宗
自動車ライター。自動車専門誌の編集を経て独立。新型車の試乗はもちろん、自動車エンジニアや商品企画担当者への取材経験の豊富さにも定評がある。国内外を問わず多様なジャンルのクルマに精通するが、個人的な嗜好は完全にフランス車偏重。
-
ホンダがまさかの巨額赤字に転落 米国生産車の日本導入への影響は?NEW 2026.3.19 本田技研工業の「Honda 0サルーン」を含む、電気自動車3車種の開発・販売中止に関連する巨額赤字転落という衝撃的なトピックに埋もれてしまった感のある米国生産車2モデルの日本導入計画。その導入予定車両の特徴と、同計画の今後を分析する。
-
ホンダの「スーパーONE」はどんなカスタマーに向けたBEVなのか? 2026.3.18 ホンダが2026年に発売を予定している「スーパーONE」は「N-ONE e:」をベースとした小型電気自動車だ。ブリスターフェンダーなどの専用装備でいかにも走りがよさそうな雰囲気が演出されているが、果たしてどんなカスタマーに向けた商品なのだろうか。
-
いまこそ、かき回したい! 新車で買えるおすすめMT車はこれだ! 2026.3.16 改良型「トヨタ・ヤリス」に、新たに6段MTモデルが設定された。現実的にMT車はレアであり、消滅する可能性もある時代だが……。これを機に、いま新車で買えるMT車のなかで、特におすすめできるモデルをピックアップしてみよう。
-
ルノーから新型車「フィランテ」が登場 仏韓中の協業が生んだ新たな旗艦はどんなクルマ? 2026.3.13 ルノーが韓国で新型クーペSUV「フィランテ」を世界初公開! 突如発表された新たな旗艦車種(?)は、どのようないきさつで誕生したのか? フランス、韓国、そして中国の協業が生んだニューモデルの概要と、そこに込められたルノーの狙いを解説する。
-
新型「リーフ」は日産の救世主になれるか BEVオーナーの見立ては? 2026.3.12 日産自動車は3代目となる電気自動車(BEV)「リーフ」の受注台数が、注文受け付け開始から約4カ月で6000台を超えたと明らかにした。その人気の秘密や特徴を、自らもBEVを所有するモータージャーナリスト生方 聡が解説する。
-
NEW
ホンダがまさかの巨額赤字に転落 米国生産車の日本導入への影響は?
2026.3.19デイリーコラム本田技研工業の「Honda 0サルーン」を含む、電気自動車3車種の開発・販売中止に関連する巨額赤字転落という衝撃的なトピックに埋もれてしまった感のある米国生産車2モデルの日本導入計画。その導入予定車両の特徴と、同計画の今後を分析する。 -
NEW
ジープ・ラングラー アンリミテッド ルビコン(4WD/8AT)
2026.3.19JAIA輸入車試乗会2026今も昔もジープブランドの支柱となっている「ラングラー」。悪路にフォーカスし、舗装路では手ごわい挙動を示す一台だが、偏屈なリポーターは「これこそ自動車の本質である!」と強弁するのだった。JAIA輸入車試乗会より、孤高の一台の走りを報告する。 -
NEW
第953回:「黄金のGT-R」と宅配便ドライバーになりかけた話
2026.3.19マッキナ あらモーダ!イタリア在住のコラムニスト、大矢アキオが1年ぶりに日本を訪問。久々の東京に感じた世相の変化とは? 廃止されたKK線に、街を駆けるクルマの様相、百貨店のイベント。さまざまな景色を通じて、「中からは気づけないこの国の変化」をつづる。 -
NEW
ホンダN-ONE e:L(後編)
2026.3.19あの多田哲哉の自動車放談ホンダらしい軽EVと、ちまたで評判の「N-ONE e:」。初めてステアリングを握った元トヨタの多田哲哉さんが、その良かった点と気になった点について、エンジニアの視点で熱く語る。 -
ホンダの「スーパーONE」はどんなカスタマーに向けたBEVなのか?
2026.3.18デイリーコラムホンダが2026年に発売を予定している「スーパーONE」は「N-ONE e:」をベースとした小型電気自動車だ。ブリスターフェンダーなどの専用装備でいかにも走りがよさそうな雰囲気が演出されているが、果たしてどんなカスタマーに向けた商品なのだろうか。 -
モト・グッツィV7スポルト(6MT)【レビュー】
2026.3.18試乗記イタリアの名門、モト・グッツィのマシンのなかでも、特に歴史を感じさせるのがロードスポーツの「V7」だ。ファンに支持される味わい深さはそのままに、よりスポーティーにも楽しめるようになった最新型の実力を、上級グレード「V7スポルト」に試乗して確かめた。












































