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いでよ新型「三菱パジェロ」! 期待高まる5代目の実像に迫る

2025.10.06 デイリーコラム 工藤 貴宏
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開発パターンは複数ある

「火のないところに煙は立たぬ」なんていうけれど、このところの動きを見ると「やっぱり何かある」と思わずにはいられない。「三菱パジェロ」復活のうわさである。

次期パジェロらしき試作車の、欧州でのテスト走行の様子がスクープされたのに続き、あの格式高き日本放送協会(NHK)が2025年9月6日付で「国内市場復活は来年12月」と復活のタイミングまで報道。もはや“煙”どころか「情報を遠くへ伝える“のろし”」ではないかと思うほど情報が飛び交っているのだから。

というわけで、今回のテーマは「(報道によると)日本での発売が決定した(らしい)次期パジェロがどんなクルマになるのか?」である。

まず、押さえておきたいのは、次期パジェロにはいくつかのパターンが考えられること。筆者は3つのパターンがあると考えている。

まずひとつは、「日産パトロール」の兄弟車として次期パジェロがつくられるパターン。パトロールとはかつて日本で「サファリ」として売っていた大型で本格的でラグジュアリーなSUVのこと。大ざっぱに言えば「トヨタ・ランドクルーザー“300”」のライバルだ(正確にいえば車体サイズからして少し違うけれど)。

「日産エクストレイル」と「三菱アウトランダー」の基本車体設計が共用であるように、日産と三菱の関係を考えれば、パトロールと次期パジェロの関係が近くても不思議ではないだろう。

次に考えられるのは、アジア地域で売っている日産のSUV「テラ」をベースに次期パジェロをつくること。テラは「テラノ」ではないけれど、「ダットサントラック(ダットラ)」の後継モデルに相当するピックアップトラック「ナバラ」をベースにした、フレーム構造の本格クロカン。つまり成り立ちは初期のテラノに近い。そんなモデルと基本を共用しつつ、次期パジェロとするのはどうだろうか?

現時点での“最後の「パジェロ」”は、2019年4月に発売された4代目の「ファイナルエディション」(写真)。当時の価格は453万0600円だった。
現時点での“最後の「パジェロ」”は、2019年4月に発売された4代目の「ファイナルエディション」(写真)。当時の価格は453万0600円だった。拡大
「パジェロ ファイナルエディション」のインテリア。6年前のモデルとはいえ、メーターやディスプレイ、シフトレバーまわりのデザインには隔世の感がある。
「パジェロ ファイナルエディション」のインテリア。6年前のモデルとはいえ、メーターやディスプレイ、シフトレバーまわりのデザインには隔世の感がある。拡大
「パジェロ」の歴史が断絶している今、三菱がビジネスパートナーである日産の力を借りるという手も現実的になくはない。写真の新型「日産パトロール(サファリ)」は十分、次期パジェロのベースモデルになり得る。
「パジェロ」の歴史が断絶している今、三菱がビジネスパートナーである日産の力を借りるという手も現実的になくはない。写真の新型「日産パトロール(サファリ)」は十分、次期パジェロのベースモデルになり得る。拡大
日産のSUVでは、「テラ(中東では「エクステラ」)」がパジェロに化ける可能性もある。フレーム構造のシャシーを持つ、本格クロスカントリーである。
日産のSUVでは、「テラ(中東では「エクステラ」)」がパジェロに化ける可能性もある。フレーム構造のシャシーを持つ、本格クロスカントリーである。拡大
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純・三菱でも「パジェロ」はできる!

しかし……だ。筆者だって本当はわかっている。次期パジェロの中身はそんな成り立ちでは許されないだろう。三菱を代表するクルマが日産車をベースにした兄弟車になったら、これまで三菱を支えてきたファンが失望するのは火を見るより明らかだ。そんなパジェロを彼らが認めるはずはないし、三菱の社内的にもOKは出ないだろう。どう考えてもパジェロは三菱オリジナルじゃないといけないのだ。

というわけで、本命はこれから紹介する3つ目のプランだ。むしろ正直に言うと、上記2つのプランは3つ目のプランを輝かせるため(と文字数を稼ぐため)の単なる引き立て役でしかない。

その本命プランとは、ピックアップトラック「トライトン」のラダーフレームや基本メカニズムを活用したフレーム構造の、三菱オリジナル設計のSUV。これならだれもが納得するだろうし話が早い。リアサスはトライトンのリジッドアクスル+リーフスプリングから3リンクリジッド+コイルバネに変更されることだろう。

ただ、問題はある。なぜなら、トライトンのメカニズム(先代モデルのフレームに現行モデルのパワートレイン)を活用したSUVはすでに存在するからだ。「パジェロスポーツ」である。

新型トライトンのメカニズムを使って次期パジェロをつくるとしたら、「パジェロスポーツ」とどうすみ分けるかを解決しなければならない。最もハードルの高い課題といえるのだ。

しかし、解決策がないわけではない。これも筆者の予測にすぎないが、同じクルマながら販売地域によって名称を“パジェロ”と“パジェロスポーツ”とで使い分ければいいのである。

これまでパジェロスポーツという名のモデルを販売していなかった日本では、トライトンベースのSUVがパジェロという名前になっても全く問題ないので話が早い。一方、タイなどパジェロスポーツを売っている地域では、引き続きパジェロスポーツとして販売すればいいし、そのほかの国や地域では「ショーグン」や「モンテロ」も含めて、その地域に合わせたネーミングにすればいいではないか。

ピックアップトラックのタフなシャシーが重要という点では、三菱にも「トライトン」がある。純三菱という生い立ちであればファンも大いに満足だろう。
ピックアップトラックのタフなシャシーが重要という点では、三菱にも「トライトン」がある。純三菱という生い立ちであればファンも大いに満足だろう。拡大
「パジェロ」の名が与えられた現役のSUV「パジェロスポーツ」。同モデルは、タイ国内で生産され、フィリピンやオーストラリアも含めた世界約90カ国で販売される基幹車種である。写真は、ラリーアートのカラーリングをまとう特別仕様車。
「パジェロ」の名が与えられた現役のSUV「パジェロスポーツ」。同モデルは、タイ国内で生産され、フィリピンやオーストラリアも含めた世界約90カ国で販売される基幹車種である。写真は、ラリーアートのカラーリングをまとう特別仕様車。拡大
次期「パジェロ」を他社製品のOEMではなく三菱内製とする場合、本格派の既存SUV「パジェロスポーツ」とのすみ分けは重要となる。
次期「パジェロ」を他社製品のOEMではなく三菱内製とする場合、本格派の既存SUV「パジェロスポーツ」とのすみ分けは重要となる。拡大

スタート価格は“600万円台半ば”?

これですべて解決。日本は「新型パジェロが復活」として“実質的なパジェロスポーツ”を導入すればすべてが丸くおさまると思うのは筆者だけではないだろう。われながらいいアイデアだ。三菱自動車の国内営業さん、このアイデアを使ってもいいですよ。

念のためお伝えしておきますが「それはダメ。だってパジェロスポーツは初代モデルを『チャレンジャー』として日本で売っていたではないか!」なんていうクレームは一切受け付けないのであしからず。ひとつ言えるとすれば、昔のことなんてとっとと忘れたほうが、幸せな人生を過ごせるってものです。

というわけで、(NHKのスクープが正しければ)次期パジェロは2026年12月に日本で復活する。筆者の予測が正しければその正体は「トライトンをベースにしたフレーム構造のSUV」となるだろう。生産もトライトンと同じくタイで、日本向けも輸入車になると考えるのが自然だ。

価格は……トライトンの上級グレードが540万円ほどということを踏まえるとそれより安いということは考えにくく、最低でもその100万円アップくらいだろうか(タイでのトライトンとパジェロスポーツの上級グレード同士の価格差が、ざっくりそれくらい)。

エンジンはどうするのか? トライトンに積まれる2.4リッターディーゼルターボエンジンはパジェロのような上級SUVにはちょっと物足りないような気もするけど、残念ながら今の三菱は、ランクル“300”やパトロールのようなパワフルなエンジンを持ち合わせてはいない。うわさされているアウトランダー用のPHEVユニットをエンジン縦置き化して本当に積むのか? 本格クロカンにPHEVを求める人がどれだけいるのかは未知数だけれど……!

答え合わせは1年後に。

(文=工藤貴宏/写真=三菱自動車、日産自動車/編集=関 顕也)

次期「パジェロ」のデザインはどうなるのか? 三菱のSUVの顔ともいえる「アウトランダー」には似るのか、興味の湧くところである。
次期「パジェロ」のデザインはどうなるのか? 三菱のSUVの顔ともいえる「アウトランダー」には似るのか、興味の湧くところである。拡大
2025年7月に予告なく世界初公開された新型SUV「三菱デスティネーター」。同モデルはややコンパクトなFF車だが、デザインのトレンドなどが次期「パジェロ」に生かされる可能性はある。
2025年7月に予告なく世界初公開された新型SUV「三菱デスティネーター」。同モデルはややコンパクトなFF車だが、デザインのトレンドなどが次期「パジェロ」に生かされる可能性はある。拡大
こちらは「デスティネーター」のインテリア。センターディスプレイは12.3インチで、ヤマハと共同開発したオーディオシステム「Dynamic Sound Yamaha Premium」も搭載される。
こちらは「デスティネーター」のインテリア。センターディスプレイは12.3インチで、ヤマハと共同開発したオーディオシステム「Dynamic Sound Yamaha Premium」も搭載される。拡大
4代目「パジェロ」が生産終了したのは、2019年8月のこと。7年のブランクを経た新型は、空前のSUVブームのなかで登場することになる。ファンの期待も高まろうというものだ。
4代目「パジェロ」が生産終了したのは、2019年8月のこと。7年のブランクを経た新型は、空前のSUVブームのなかで登場することになる。ファンの期待も高まろうというものだ。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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