クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

第871回:今年もグリーンヘルは熱かった! ニュルブルクリンク24時間レース観戦記

2026.05.27 エディターから一言 山本 佳吾
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!
いよいよスタートした2026年のニュルブルクリンク24時間レース。フロントローを占めたのはレッドブルの2台の「ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2」だ。
いよいよスタートした2026年のニュルブルクリンク24時間レース。フロントローを占めたのはレッドブルの2台の「ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2」だ。拡大

“世界一過酷な草レース”として知られ、今年も波乱が巻き起こったニュルブルクリンク24時間レース。F1王者のフェルスタッペンも参戦するとあって、大いに盛り上がったその様子を、世界を飛び回るモータースポーツカメラマンが臨場感満点でリポートする。

ヘリから空撮なんて、はたからしたらカメラマン冥利(みょうり)に尽きる瞬間……と思われるのでしょうが、ボクは高いところが苦手です。怖いです。酔いました(泣)。
ヘリから空撮なんて、はたからしたらカメラマン冥利(みょうり)に尽きる瞬間……と思われるのでしょうが、ボクは高いところが苦手です。怖いです。酔いました(泣)。拡大
例年よりも混雑っぷりが激しいキャンプサイト。みんな渋滞を嫌ったのか、フィニッシュ前に帰る人もいっぱいでした。
例年よりも混雑っぷりが激しいキャンプサイト。みんな渋滞を嫌ったのか、フィニッシュ前に帰る人もいっぱいでした。拡大
こちらはドイツのサスペンションメーカー、KWのファンサイト。毎年同じ場所に陣取るのでおなじみの存在だ。土曜夜には世界中から訪れたディストリビューターも合流し、大変に盛り上がったとか。
こちらはドイツのサスペンションメーカー、KWのファンサイト。毎年同じ場所に陣取るのでおなじみの存在だ。土曜夜には世界中から訪れたディストリビューターも合流し、大変に盛り上がったとか。拡大
今年は金曜に開催されたクラシッククラスの3時間耐久レース。昔はこんな雰囲気だったんだろうなあ。
今年は金曜に開催されたクラシッククラスの3時間耐久レース。昔はこんな雰囲気だったんだろうなあ。拡大
こちらはグランプリコースのみで催された、レジェンドクラスのスプリントレース。今見てもかっこいいし、この時代も大好物。
こちらはグランプリコースのみで催された、レジェンドクラスのスプリントレース。今見てもかっこいいし、この時代も大好物。拡大

4度のF1王者がノルドシュライフェに降臨!

4度のF1ワールドチャンピオンであらせられる、マックス・フェルスタッペンさまの影響なのかどうなのか、前回の28万人を大幅に上回る、35万2000人もの観客が詰めかけた2026年のニュルブルクリンク24時間レース。沿道の渋滞はいつもにも増してひどいし、駐車場も満車だらけだしで、いやはや大変でした。

一歩森の中に足を踏み入れると、レースなんかそっちのけで飲めや歌えやの愛すべきギャラリーたち。マリフアナ臭もいつもに増して強烈で(あちらでは条件付きで合法)、カラダにたっぷり香りが染みついてしまい、帰りの空港が心配でなりませんでした(笑)。今年のニュルは天候不順で、晴れ間が見えたと思えば雨が降ったりあられが降ったり。さらに気温も低く、真冬のような様相。そりゃあ火を起こして肉焼いて、酒でも飲まないとやってられませんよ。まぁ、彼らは暑かろうと寒かろうと、肉を焼いて酒を飲んでいるんですが。

そんな大観衆のなかで開催された今年のレース。予選ではレッドブル・チームABTの2台の「ランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2」(84号車/130号車)が1位2位でフロントローを獲得。一番目立つ場所を独占するなんて、いかにもレッドブル。このときのドライバーやメカニックたちのひと仕事終えた感じ、よくわかります。注目のマックス・フェルスタッペン擁するメルセデスAMG・チームフェルスタッペンレーシングの3号車「メルセデスAMG GT3」は、予選4位で2列目スタート。現役F1ドライバーがノルドシュライフェでどんな走りをするのか。普段、趣味でのレース観戦は二輪がもっぱらのボクでさえ、興味津々です。

フェルスタッペンの妙技と雪辱を期す強豪の退場

さて、レースは案の定というかなんというか、マックスを擁する3号車のメルセデスAMG GT3がリードする展開となります。

耐久とはいえスプリントレース並みのペースとタイム差でラップを重ねていくのが最近のニュルブルクリンク。多種多様なクルマが混走するのがこのレースの特徴だけど、速く走る技術だけではなく、遅いクルマをラップする技術も求められます。そしてその速度差がエグい。だって、世界の名だたるGT3マシンと、ボクの大好きな“ロガン兄さん”こと「ダチア・ロガン」が混走しているんですよ。

で、そうしたシーンでもやっぱりマックスはスゴい。前走車を次々とラップしていく様子を見たんだけど、あまりの鮮やかさに見ほれてしまいました。いや、撮影しろよと思われるだろうけど、たまには肉眼で見たいじゃないですか。このレースに出場するドライバーは当然みんなうまいんだけど、マックスは一枚どころか数枚上手って感じでした。F1のことをよく知らないボクでも、一目でそのスゴさを理解できたんだから、そりゃあお客さんが増えるのもうなずけますよ。

スゴかったといえば、もうひとつ2026年のニュルでスゴかったことといえば……ラウンジのご飯です(笑)。今回はクライアントさまのご厚意で、殿上人しか入室できないマンタイ・ポルシェのラウンジに入室させていただくことができ、恐縮しきり。メディアセンターとはまったく違う雰囲気に、庶民のボクはソワソワと落ち着きませんでしたが、ポルシェメシだけは2日間ともしっかりいただきました。タッパーがあれば夜食に持って帰りたいなぁなんて思ったけど、ニュルブルクリンクに100均はありませんでした。

そして、世界中のセレブが集うステキな香りのラウンジでランチをいただいていたまさにそのとき、去年(参照)の雪辱に燃える優勝候補のマンタイがクラッシュ! その瞬間のラウンジ内は、なんともいえない雰囲気でした。……まぁ空気を読まないボクは、このお肉うまいなぁ、なんて言いながらランチをおかわりしていたんですけどね。デザートもおいしかったし、来年も入れてくれないかな。

まさかの「ダチア・ロガン」で挑戦を続ける、地元ドイツのプライベートチーム。世界中から注目を浴びる素人集団だ。「自分ら日本でも有名やで」と伝えたら「マジで?」だって。
まさかの「ダチア・ロガン」で挑戦を続ける、地元ドイツのプライベートチーム。世界中から注目を浴びる素人集団だ。「自分ら日本でも有名やで」と伝えたら「マジで?」だって。拡大
みんな大好き“ロガン兄さん”こと「ダチア・ロガン」。2025年は夜間に他車と接触してボッコボコになってのリタイアだったけれど、今年は見事に完走!
みんな大好き“ロガン兄さん”こと「ダチア・ロガン」。2025年は夜間に他車と接触してボッコボコになってのリタイアだったけれど、今年は見事に完走!拡大
2025年はペナルティーが響いて2位に終わり、表彰式では笑顔をまったく見せなかったマンタイ。2026年も雪辱は果たせず。
2025年はペナルティーが響いて2位に終わり、表彰式では笑顔をまったく見せなかったマンタイ。2026年も雪辱は果たせず。拡大
こちらもイロモノマシンかと思いきや、総合5位でフィニッシュした「BMW M3ツーリング」。
こちらもイロモノマシンかと思いきや、総合5位でフィニッシュした「BMW M3ツーリング」。拡大
今年も参戦のスバル/STIは、SP4Tクラスで2024年以来2度目のクラス優勝。
今年も参戦のスバル/STIは、SP4Tクラスで2024年以来2度目のクラス優勝。拡大

ニュルはそんなに甘くない

こうして今年のニュルから去る羽目となったマンタイですが、それは彼らだけではありません。コース上ではオイルに乗って飛び出すクルマが続出。リタイア車も続々と増えていきます。ボクが撮影していたコーナーでもクルマがこちらへとすっ飛んできて、久しぶりに本気で逃げました。ニュルブルクリンクは選手はもちろん、ボクたち取材陣にとっても危険でドラマチックなレースだなと、あらためて感じさせられた場面でした。

そんな不幸は、あのスターのチームにも降りかかります。日曜もトップを快走していたマックスの3号車ですが、好事魔多し。お昼ごろにマシントラブルでリタイアしてしまいました。

しかし、今大会を盛り上げてくれたマックスには申し訳ないけれど、なんかキレイにオチがついた感じ。やっぱり現役F1パイロットはスゴいなとか言いながらも、正直なところ「ぽっと出のヤツに勝たれるのも、なんだかな」なんて天邪鬼(あまのじゃく)な気持ちもあったボク。耐久マスター、いやニュルマスターともいえる選手たちを差し置いてマックスがブッチギリなんて、面白くないじゃないですか。このひねくれた思い、暗黒時代を過ごした判官びいきな守旧派阪神ファンにはわかってもらえると思います(笑)。

そんなこんなで優勝したのは、チーム・ラベノールのメルセデスAMG GT3エボ(80号車)。メルセデスの優勝はなんと10年ぶりとのことで、さぞや派手に盛り上がるかと思いきや、チーム全員が喜びを爆発させるも、はっちゃけるメカニックもおらず、正直、ちょっと拍子抜けでした。こちらとしてはビールを浴びる覚悟で突撃したんだけどなあ。

土曜日はクラッシュが多発。多くが路面にこぼれたオイルの餌食に……。
土曜日はクラッシュが多発。多くが路面にこぼれたオイルの餌食に……。拡大
クラッシュ車両の回収だって命懸けだよなあ。こんなシーン、ここ以外ではまず見られません。
クラッシュ車両の回収だって命懸けだよなあ。こんなシーン、ここ以外ではまず見られません。拡大
フェルスタッペンレーシングは順調なレース運びでこのまま優勝かと思いきや、ノルドシュライフェは甘くなかった。
フェルスタッペンレーシングは順調なレース運びでこのまま優勝かと思いきや、ノルドシュライフェは甘くなかった。拡大
今年は「『メルセデス・ベンツ190E エボ2 DTM』の形をした何か」ことHWAの「EVO.R」が初参戦。あまり速くはなかったけど、この形だけでいいんです。
今年は「『メルセデス・ベンツ190E エボ2 DTM』の形をした何か」ことHWAの「EVO.R」が初参戦。あまり速くはなかったけど、この形だけでいいんです。拡大
総合優勝を果たした80号車の「メルセデスAMG GT3」。メルセデス勢の勝利は実に10年ぶりとのこと。
総合優勝を果たした80号車の「メルセデスAMG GT3」。メルセデス勢の勝利は実に10年ぶりとのこと。拡大

真剣勝負で勝ったのだから

昔からモータースポーツは市販車開発の実験場なんていわれるけど、このレースにかぎっていえば、それはちょっと違うんじゃないかな。確かにさまざまなメーカーがテストやマーケティングの場としてこのレースを活用しているのは事実ですが、24時間耐久レースというのは、勝つか負けるかの命懸けの戦い。それは現役F1パイロットを擁してGT3を走らせるトップチームも、ロガンのようなイロモノマシンを走らせるアマチュアチームも、みんな同じです。だからボロボロになってもフィニッシュラインを目指して走るチームに感情移入もできるし、本気で応援できるわけです。

それぞれの“推しチーム”の旗を掲げたテントややぐらで、ひたすら酒ばっか飲んでるヤツらだって同じ気持ちのはず。今年もいろんな場所でビールをもらいつつお話ししたのだけど、誰もかれもめっちゃ暑苦しい……じゃないや、熱い思いを持って楽しんでいました。みんなタダの酔っぱらいだったけどね。とにかく、来年の優勝者にはぜひ、勝ったからには羽目を外して、24時間戦い抜いた喜びを爆発させてほしいものです。

そう、来年のニュルですよ。森の中で焼きそばつくってのジャパニーズスタイルのキャンプ取材は、今年もできなかったけど、来年こそは実行すべくクライアントさまと話を進めています。ただし、みんなもうオッサンだからテントはつらいしキャンピングカーがいいな、と日和(ひよ)った意見を交わしつつ帰路につきました。ボクらの2027年のニュルブルクリンク24時間レースは、すでに始まっているのです。

(文と写真=山本佳吾/編集=堀田剛資)

“アウディ勝手に応援団”の皆さん。このやぐらはまだシンプルなほうだ。
“アウディ勝手に応援団”の皆さん。このやぐらはまだシンプルなほうだ。拡大
森の中に突如現れたモニター。申し訳程度の屋根はあるけど、ぬれたらどうすんのよ?
森の中に突如現れたモニター。申し訳程度の屋根はあるけど、ぬれたらどうすんのよ?拡大
ボクが憧れる観戦スタイル。焼くものはなくても、取りあえず火は起こします。
ボクが憧れる観戦スタイル。焼くものはなくても、取りあえず火は起こします。拡大
「オペル・コルサGSi」のボンネットを利用したBBQグリル。焼きにくいやろ!
「オペル・コルサGSi」のボンネットを利用したBBQグリル。焼きにくいやろ!拡大
日本と違ってサクサク進行する表彰式。日本も見習ってほしいなあ。
日本と違ってサクサク進行する表彰式。日本も見習ってほしいなあ。拡大
なんていうか、スマートでオトナな表彰式でした。もうちょっとはっちゃけたシーンも見たかったな。
なんていうか、スマートでオトナな表彰式でした。もうちょっとはっちゃけたシーンも見たかったな。拡大
エディターから一言の新着記事
エディターから一言の記事をもっとみる
関連キーワード
新着記事
新着記事をもっとみる

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。