モルビデリC252V(6MT)
中国から来た黒船 2026.06.26 JAIA輸入二輪車試乗会2026 イタリアのモルビデリが中国の資本のもとで復活! 試乗した250ccクラスのクルーザー「C252V」は、かつての中国製品のイメージとは一線を画す、完成度の高いマシンに仕上がっていた。再生とともにグローバルブランドへと脱皮した、名門の実力に迫る。手抜きな部分は一切ない
「モルビデリってなんだ?」という読者諸氏もいると思うので、ざっくりとブランドの説明をしておこう。モルビデリは1970年代にレースで活躍したイタリアの名門だ。現在は中国のキーウェイがブランドを所有しており、グループの開発・生産基盤を用いたグローバルモデルをラインナップ。125ccクラスのスクーターから1000cc級のVツインモデルまで、幅広く展開している。四輪でも見られるように、二輪でも中国系が力をつけてきているのである。
今回紹介するC252Vは、そんな新生モルビデリが日本市場に投入したモデルだ。エンジン型式は「BD2V53MM」。これは中国ブランド、ベンダの「ロック250」にも使われる排気量249ccの水冷Vツインと同系だ。少し前の中国バイクに見られたような「安かろう、悪かろう」なイメージは、C252Vにはまったく当てはまらない。デザイン性だけでなく、外装の質感も高い。細かい部分を見ていっても、手を抜いているところなど見つからない。
Vツインの鼓動感と排気音もいい感じである。アイドリングは250ccとは思えないような重厚さ。一般道をクルーズするときは3000rpmくらいで、この程度の回転でもトップギアのまま加減速するのに、まったく不満のないトルクがある。高回転まで回しても特にパワーが盛り上がるというわけではなく、8000rpmのレッドゾーンまでダラリと伸びる感じだけれど、クルーザーだからこれでよし。特にパワーがあるエンジンではないが、ツインの250ccとしては平均的な力感。滑らかな回り方で、エンジンの完成度はとても高い。
気になったのは、スロットルを大きく開けたときの吸気音が大きめなこと。海外のバイクにはそうして加速感を演出するものもあるのだが、個人的には、もう少し静かにしたほうがいいのではないかと思う。振動はステップとタンクに出ていて、低回転ではエンジンの鼓動感もあるからさほど気にならないが、高回転ではそれが増してくる。特にタンクをニーグリップしていると、5000rpmくらいから硬質な振動が出る。高回転を常用してもあまり楽しくはないから、低中速域のまったりした感じを味わいながら走るのがよろしい。
ハンドリングもそつなくまとめられている。太いタイヤを履いているのに、バンクさせるときの動きは軽快でクセもない。バンク角の制約はあるけれど、けっこうコーナリングも楽しめてしまう性格だ。前後サスペンションの動きも実にしっとりとしている。クルーザーだからリアサスペンションのストロークは短いけれど、ダンピングも良好。荒れた路面ではさすがに底づきしそうな感触もあるが、普通の道であれば乗り心地の悪さなどみじんも感じない。
ブレーキはスポーツバイクみたいによく利く。タッチが鋭く、握りはじめからカツンと利く。制動力はとても高いのだが、バイクの性格を考えたらもう少しおだやかにしておいたほうがいいかもしれない。そんな感じで、重箱の隅をつつくといろいろ出てくるのだけれど、すごく一生懸命つくられているのが伝わってくるところがいい。
試乗してしばらくしてから、街を走っているC252Vに乗る若いライダーを目撃した。クルーザーが好きでこのバイクと出会ったら、そりゃ欲しくなるだろうなあ、なんて思いながら見ていたら、生意気なVツインの排気音を残して走り去っていった。うーん、やっぱり魅力的なバイクかもしれないと、後ろ姿を眺めて思ったのであった。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2230×865×1090mm
ホイールベース:1490mm
シート高:690mm
重量:200kg
エンジン:249cc 水冷4ストロークV型2気筒SOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:26PS(19kW)/9000rpm
最大トルク:25N・m(2.5kgf・m)/5500rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:34.5km/リッター(WMTCモード)
価格:75万9000円
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2026◆◇

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
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