BMW R1300RS(6AT)
大人のグランドツアラー 2026.07.01 JAIA輸入二輪車試乗会2026 BMWが擁するフラットツインの大型スポーツツアラー「R1300RS」に試乗。巨大なボクサーエンジンと安定志向の足まわりの調律は、大人のライダーが週末を楽しむためのバイクとして、完璧な仕上がりをみせていた。感動的なくらいに出来がいい
なんか最近、BMWはGS系ばかりが注目されているような気がするけれど、R1300RSに乗ると、「やっぱビーエムのフラットツインを積んだスポーツツアラーはいいよなあ」と再認識させられた。
なんたってエンジンがいい。149N・mの最大トルクを6500rpmで発生させるエンジンは、どんな回転からでもべらぼうな速さで加速してくれる。しかも、スロットル操作に対する反応の仕方がまたいい。これだけトルクがあるビッグツインだと、スロットルを開けた瞬間にドカンと飛び出してしまいそうなものだが、スロットルの開け始めでは優しくレスポンスしてくれるし、そこからさらに開けていったときのトルクの盛り上がり方も自然なのである。こういったマネジメントの緻密さが、R1300RSの上質な操作感を生み出しているのだろう。
ハンドリングは独特で、フロントまわりがすごく重い感じがする。これが高速クルージング時に、投げられたハンマーのごとき猛烈な直進感を生み出している。コーナリングにもこのフロントの重さは影響していて、かなりどっしりとした動きになる。俊敏さはないが、バイクに身を任せ、人車一体となって旋回していく感じがとても楽しい。他のバイクとは違った、非常に安定感の高いコーナリングなのである。
前後サスは非常によく動く。それでいて動きすぎる感じがしないのは、たぶん電子制御が効いているからだろう。フルブレーキング時にも極端なノーズダイブはしないし、突っ張っている感じもないので、ここもやはり安定感が高い。ブレーキ初期のタッチは、鋭くはないけれど入力に応じて制動力を上げていくタイプで、非常に使いやすい。なにかあったときにも安心してガツンと減速できる。速く走ることだけでなく、ストリートを楽しく、そして安全に走ることを考えた味付けだ。
そんなわけで、久しぶりに乗ったフラットツインのスポーツツアラーは、感動的なくらいによかった。大人のライダーが週末を楽しむためのバイクとしては、とても魅力的である。このエンジンとハンドリングの感覚は、たぶんフラットツインじゃないと出せない。
しかし個人的に引っかかるのは、スポーツバイクのようなイケイケのスタイルだ。そもそもBMWではスポーツカテゴリーに属するモデルとなっているし、若いライダーのことを考えているのかもしれないが、やる気満々な感じがして、年齢的に若干気恥ずかしい。旧車好きなゴトーとしては、「R90RS」とか「R100RS」くらいの地味な感じで、走るとメチャクチャにいい、というのが好み。「R12 G/S」みたいに、ヘリテージ系のスポーツツアラーをラインナップに加えたらいいんじゃないかなあと思う。たぶん、同意してくれる人はけっこういるんじゃないかと思うのだが。
(文=後藤 武/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2140×815×1350mm
ホイールベース:1585mm
シート高:815mm
重量:252kg
エンジン:1300cc 水冷4ストローク水平対向2気筒DOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:145PS(107kW)/7750rpm
最大トルク:149N・m(15.2kgf・m)/6500rpm
トランスミッション:6段AT
燃費:20.83km/リッター(WMTCモード)
価格:220万円~
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2026◆◇

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
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