ハーレーダビッドソン・ナイトスター(6MT)
ハーレー流のスポーツネイキッド 2026.07.03 JAIA輸入二輪車試乗会2026 ハーレーダビッドソンの水冷Vツインモデル「ナイトスター」に試乗。「X」シリーズのディスコンに空冷「スポーツスター」の復活と、さまざまな情報が飛び交っているハーレーの入門モデル群だが、ナイトスターの未来やいかに? 走りながら考えた。あなたはどんなバイクなの?
目の前にあるナイトスター。いったいアナタはどういう立ち位置のバイクなのか? スポーツスターではなくナイトスター。YOUはいずこを目指しているバイクなの?
あのスポーツスターが空冷から水冷になってはや4年。人気者だった旧型に比べると、新型は街で見かけないバイクになってしまった。売れていないから? そう、たぶん売れていないから。そしてつい先日、あのスポーツスターが「空冷になって帰ってくるぞ」の知らせ(参照)が届いた。相前後してハーレーの中排気量車「X350/X500」生産終了(参照)のアナウンスもあったので、正直筆者のナイトスター観は「?」であふれてしまいそう。
ナイトスターは水冷975ccのクルーザーモデルだ。そのスタイリングを見るに、「そこはかとなく、ありし日の『V-ROD』シリーズに似ているかも。水冷だし」「いやいや。このオレンジ色はやっぱりフラットトラックレーサー『XR750』由来でしょ」「いままでのハーレーの中で……なんだか一番乗りやすそうだな!」とアタマのなかで三者会談。
現状のラインナップを俯瞰(ふかん)で見ると、そのポジションはエントリーモデルと言って差し支えないだろう。148万8800円の車両価格を安いと思うか高いと思うかはさておき、さほどそれと変わらないプライスでデビューするのではとうわさの新型スポーツスターのことを考えると……ダメだ。いったんスポーツスターのことは真っ白に忘れ去らないと、試乗記なんて書けん!(笑)
でもね、ナイトスター。大磯プリンスホテルの広い試乗コースで乗ったら、意外なほど乗りやすくて驚いた。「これがあの、益荒男(ますらお)ぶりがキャラのハーレーなのか?」とひとり言をつぶやいてしまった。
走りに宿るバイクとの一体感
ナイトスターには水冷Vツインエンジンが搭載されている。パワーユニットは「レボリューションMAX975T」と名づけられ、これまでの空冷ユニットとは設計コンセプトが大きく異なるという。わずか705mmしかない低いシートに余裕でまたがって、引き起こし。ギョッとした。めちゃ軽い! あの「うーん、オイショ」がないし、スリムな車体の重心位置は思いっきり低い。いつもの「鉄の塊だから重くて当然」的なハーレーっぽさを感じないのである。
発進時こそわざと燃料噴射のセッティング(演出)でダルにしてるのかなーと思ったものの、その後、中速域からスロットルをワイドに開けると、Vツインは高回転域までスムーズに吹け上がる。サウンドも適度なボリュームで心地いいし、かといって回転上昇にせかされる感じもない。扱いやすさとスポーティーさをあわせ持っており、その好バランスが「これまでのハーレーとは違う」と強く感じさせるのだ。
じゃあVツインらしさがないの? と問われると、そんなことはない。確かに空冷のような鼓動感は減じているけれど、ハーレーの開発陣は「根っこのそのフィーリングだけは死守するぜ」と踏ん張ったか……並列でも対向でもない、V型の2気筒らしさをレボリューションMAX975Tはライダーにアピールしてくる。走行にまつわる分かりやすいネガなんてほとんどどこにも見当たらず、もっともっと長い距離をともにしたくなるくらいナイスマシンなのだ。コーナリングでの一体感なんて、もはや一般のスポーツネイキッドとなんら遜色なし。ハンドリングの自由度も高いので、ライダーの意思のままにRを大きくも小さくも描くことができる。そんなハーレー、なかなかないですよね? そうそう。クラッチレバーの引きがとても軽いことも最後に足しておく。これも実に“らしくなく”て楽チン!
走行特性を変更できるライディングモードに加え、トラクションコントロールやドラッグトルクスリップコントロールといった電子制御デバイスを積極的に採用するナイトスター。いわゆるモダナイズはボディー各所で抜け目なく遂行されている。ではイマドキのバイクであるナイトスターは、かつてのスポーツスターに代わる存在になるのか──? すでにある程度答えが出ている状況で後出しジャンケンをするのはズルいので控えるが、ただただ単純に、これほど出来がいいバイクを新型が出るというだけでディスコンにしてしまうのはものすごくもったいない。そう思う。
(文=宮崎正行/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2250×840×--mm
ホイールベース:1545mm
シート高:705mm
重量:220kg
エンジン:975cc 水冷4ストロークV型2気筒DOHC 4バルブ(1気筒あたり)
最高出力:89HP(66kW)/7500rpm
最大トルク:95N・m(9.7kgf・m)/5750rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:5.5リッター/100km(約18.2km/リッター、EU134/2014)
価格:148万8800円
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2026◆◇

宮崎 正行
1971年生まれのライター/エディター。『MOTO NAVI』『NAVI CARS』『BICYCLE NAVI』編集部を経てフリーランスに。いろんな国のいろんな娘とお付き合いしたくて2〜3年に1回のペースでクルマを乗り換えるも、バイクはなぜかずーっと同じ空冷4発ナナハンと単気筒250に乗り続ける。本音を言えば雑誌は原稿を書くよりも編集する方が好き。あとシングルスピードの自転車とスティールパンと大盛りが好き。
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