フェラーリ・アマルフィ(FR/8AT)

優雅にも獰猛にも 2026.09.22 試乗記 新井 一樹 フェラーリの最新ラグジュアリークーペ「アマルフィ」に試乗。2+2のシートレイアウトを持つ優雅な一台は、その姿にたがわぬ快適な乗り心地を備える一方で、スーパースポーツにも比肩する高いパフォーマンスも秘めたマシンとなっていた。
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伝統の“V8フェラーリ”の変遷

アマルフィはV8エンジンをフロントに積むフェラーリの最新モデルである。1973年に発表された「ディーノ308GT4」に端を発するフェラーリの市販車用V8は、30年以上の長きにわたり、リアミドシップのレイアウトとともに進化してきた。1975年にデビューした「308GTB」をはじめ、「F355」や「360モデナ」、さらに「288GTO」や「F40」といったスペチアーレモデルなど、これまで数多くのミドシップ・フェラーリの心臓部としての役割を担ってきたのである。

その流れに新たな息吹を吹き込んだのが、2008年にデビューした「カリフォルニア」だ。フェラーリの新しいエントリーモデル――とはいっても日本メーカーのどの車種よりも高級かつ高額だったが(笑)――として設定された、開閉式ハードトップを持つ2ドアクーペである。

ボンネット下にはマセラティと共同開発した「F430」と同じ4.3リッターV8自然吸気ユニットを、前軸よりも後ろ、つまりフロントミドシップに搭載。駆動方式はFRで、変速機のデュアルクラッチ式7段自動MT(DCT)は、重量配分を最適化するためにトランスアクスル、つまりリアデファレンシャルの前に配されていた。

その後、このフロントV8フェラーリはエンジンを自然吸気からツインターボへと時代の変化に合わせ込みつつも、開閉式ハードトップ付きクーペというコンセプトは変えずに、「カリフォルニアT」「ポルトフィーノ」「ポルトフィーノM」へと進化していく。

ところが、ポルトフィーノMに進化する1年ほど前の2019年、ポルトフィーノが存在するにもかかわらず、同じV8をフロントに積んだ新しい2ドアクーペがラインナップに加わった。「ローマ」である。これにより、ポルトフィーノがMに移行したのち後継車がないまま終えんを迎えるまでの数年間、フェラーリには2つのV8・FRクーペが存在した。まさにFRクーペ好きにとっては夢のようなひとときが訪れたのである。

今回紹介するアマルフィは、そんなローマの後を受け継ぐモデルとして2025年7月にデビュー。2026年3月には、ローマ同様、ソフトトップを備えたオープンボディーのスパイダーがラインナップに加わっている。

「フェラーリ・アマルフィ」は「ローマ」の後継として登場した、2+2のFRクーペ。日常性と高いパフォーマンスを併せ持つ一台とされている。
「フェラーリ・アマルフィ」は「ローマ」の後継として登場した、2+2のFRクーペ。日常性と高いパフォーマンスを併せ持つ一台とされている。拡大
現行ラインナップのなかでもエントリーモデルとして期待される「アマルフィ」。実際、「カリフォルニア」に始まる2+2のV8・FRモデルは、フェラーリのなかでもいちばん新規顧客の多いシリーズとなっている。
現行ラインナップのなかでもエントリーモデルとして期待される「アマルフィ」。実際、「カリフォルニア」に始まる2+2のV8・FRモデルは、フェラーリのなかでもいちばん新規顧客の多いシリーズとなっている。拡大
インテリアは、インストゥルメントクラスターとエアベントを一体化させたり、ウーファーをアルミパネルの下に隠すなどして、クリーンな優雅さを追求。センタートンネルはアルマイト処理を施したアルミブロックで成形されている。
インテリアは、インストゥルメントクラスターとエアベントを一体化させたり、ウーファーをアルミパネルの下に隠すなどして、クリーンな優雅さを追求。センタートンネルはアルマイト処理を施したアルミブロックで成形されている。拡大
フロントシートは快適な座り心地と適度なホールド性を両立。オプションで電動調整機構やマッサージ機能、ベンチレーション機構などが用意される。
フロントシートは快適な座り心地と適度なホールド性を両立。オプションで電動調整機構やマッサージ機能、ベンチレーション機構などが用意される。拡大