ドゥカティ・スクランブラー ナイトシフト(6MT)
11年の進化と洗練 2026.06.24 JAIA輸入二輪車試乗会2026 今や不動の人気を誇る、第3世代の「ドゥカティ・スクランブラー」。ついこの間登場したマシンと思いきや、なんと今年でデビューから11年だ。2023年のモデルチェンジをはさみ、今も不断の進化を続けるファンでワイルドな一台の走りに触れた。その年輪はダテじゃない
スクランブラー──オンロードバイクをベースに、不整地も走れるように仕様変更された派生車種のこと。多くはブロックタイヤやアップハンドル、アップマフラーなどを架装することで……それっぽくなる(笑)。そんなスクランブラーの大方にあって、2026年においては実質的なオフロード走破性はそれほど重要視されておらず、実際にはライディングポジションが穏やかなストリートモデルといっていいだろう。
という前説を経たうえで、ドゥカティ・スクランブラーを知らない人のためにインフォメーションをプラス。最初のスクランブラーは60年以上も前、1962年にデビューした250ccの単気筒モデルだった。追って350ccが追加されてのち、数年のブランクをおいて1970年に第2世代がデビュー。排気量はバリエーションに富んでいて125cc、250cc、350cc、450ccの4種もあり、それらは1970年代の半ばまで継続的に生産されていた。筆者も生まれるか生まれてないかの、遠い昔の話である。
そんな長兄、次兄たちの遺志を継いだ三男がおよそ40年ぶりに復活デビューしたのは、11年前の2015年。ごく新しいバイクだと思っていたけれど、もうそんなにたっていたのか! 「この前まで赤ちゃんだったおいっ子が、もう小学校を卒業するの!?」みたいな感慨だ。
すみません。前置きがだいぶ長くなりました。そんなご長寿のスクランブラーは見た目の新味こそ薄れてきたものの、2023年に受けたモデルチェンジもあってか、中身の洗練っぷりがハンパなかった。ライトなボディー、軽いクラッチ、俊敏なスロットルレスポンス。そしてなによりコンパクトな車体。われ熟成極まれり、とばかりに安楽なまま気持ちよーくライダーをライディングの世界にいざなってくれる。
大小のコーナリングのたびに思うのは、徹頭徹尾バイクにおまかせ~という殿さまハンドリングではなく、ライダーが積極的に関わりたくなる“余地”がきちんと残されていること。そんな不可侵の聖域こそがドゥカティのドゥカティたるゆえんなのかもしれない。甘いだけのイージーな街乗りマシンじゃないからね、と。そんな筋の通し方には、イタリアンモトらしい“頑なさ”が見え隠れする。
それにしても股の内側でビャンビャンとうなるこのLツイン、とってもいい。サイレントさや燃料消費率のよさ、低コストを希求する凡百の2気筒よりもはるかにワイルドで味が濃い。排気音のボリュームはそれなりに大きく、高回転まで回せばスカッとできるし、パワフルすぎないことにも好感が持てる。ドゥカティ=乗り手を選ぶリアルスポーツと認識している旧世代ライダーには違和感たっぷりのライディングフィールと丸っこいフォルムかもしれないが、先入観がジャマしない新世代ライダーに「ポップでスタイリッシュだね!」と広く受け入れられたからこそ、11年目の今があるのである。
そして旧世代の権化みたいな筆者はこう思った次第。「大したことのない自分のスキルでも持て余さない、これが最初で最後のドゥカティかも」
(文=宮崎正行/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=--×--×--mm
ホイールベース:1449mm
シート高:795mm
重量:182kg(燃料除く)
エンジン:803cc 空冷4ストロークV型2気筒SOHC 2バルブ
最高出力:73PS(53.6kW)/8250rpm
最大トルク:65.2N・m(6.7kgf・m)/7000rpm
トランスミッション:6MT
燃費:--km/リッター
価格:159万円
◇◆JAIA輸入二輪車試乗会2026◆◇

宮崎 正行
1971年生まれのライター/エディター。『MOTO NAVI』『NAVI CARS』『BICYCLE NAVI』編集部を経てフリーランスに。いろんな国のいろんな娘とお付き合いしたくて2〜3年に1回のペースでクルマを乗り換えるも、バイクはなぜかずーっと同じ空冷4発ナナハンと単気筒250に乗り続ける。本音を言えば雑誌は原稿を書くよりも編集する方が好き。あとシングルスピードの自転車とスティールパンと大盛りが好き。
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