トヨタRAV4アドベンチャー(4WD/CVT)
100万台の底力 2026.08.01 試乗記 いまやトヨタの最量販モデルへと上り詰めた「RAV4」の6代目モデルが登場。もちろんトヨタにとっては自信作のはずだが、後を追うライバル勢も着々と進化しており、カスタマーのチェックの目は厳しくなるばかりだ。国内向けでは最廉価の「アドベンチャー」でその仕上がりを試した。これぞトヨタの大黒柱
「多少の逆風などではビクともしない柱があるのがトヨタさんの強みです。うらやましい限りです」とは、ちょっと前にトランプ関税への対処に悩む某メーカー幹部と話した際の言葉である。しかもその揺るがない大黒柱は一本だけではない。国内はもとより世界各地のマーケットで広く長く着実に売れ続けている定番商品は例えば「ランドクルーザー」であり、「ハイエース」であり、そしてこのRAV4である。
日本には導入されなかった4代目も人気だったが、5代目にモデルチェンジしてからさらに台数を増やし、2020年に初めて年間販売100万台を超え、2024年には118万台余りを売って「テスラ・モデルY」を僅差で抑えて世界No.1モデルに輝いたという。
名前だけで勘定すれば「カローラ」のほうが多いと思われるが、あちらはセダンからSUVまで各種モデルの合算である。RAV4はひとつの車型で、スバルやマツダ全体に匹敵する100万台を超えるのだから、これはもう笑いが止まらない、いや失礼、こんなに頼もしいことはない。ブランド認知に効く高性能スポーツカーも必要だろうけれど、盤石の稼ぐ力を持つ商品あってこそのトヨタである。かつてはカローラ、今ではSUVのRAV4が大看板というわけだ。
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ハイブリッドとPHEVの「E-Four」のみ
6代目の新型RAV4の国内向けは2025年12月にまずハイブリッドが発売され、2026年2月にはプラグインハイブリッド車(PHEV)も追加されたが、FWDのガソリン車からPHEVまで幅広い車種をそろえていた先代に比べてラインナップはシンプルだ。ハイブリッドは上級グレードの「Z」とオフロード志向でトレンドのラギッド感を強調した「アドベンチャー」の2車種、PHEVは「Z」と「GRスポーツ」で計4車種に整理されている。つまりアドベンチャーはハイブリッドのみである。
ハイブリッド/PHEVともにおなじみの2.5リッター直4エンジンにモーターを組み合わせたシステムで(純エンジン車は中国など一部の海外市場向けに用意されているが)、国内向けはすべて4WD、それも後軸がモーターで駆動されるいわゆる「E-Four」である。
先代モデルのガソリン車には「ダイナミックトルクコントロール」、左右後輪のトルクを独立制御する「ダイナミックトルクベクタリング」、さらにハイブリッドではリアモーターによる「E-Four」という3種類の4WDシステムが用意されていたが、新型は一気に整理統合された。売れっ子ゆえにまずは車種を絞って供給体制を整える狙いかもしれない。それでも例によって納期は見通せない状況らしい。何しろ世界各国から引きがあるし、現在の円安状況では海外に多くを割り振ったほうが正直もうかるから(北米だけでざっと50万台売れている)かもしれないが、正直またかという気持ちのユーザーも多いはずである。先代には300万円を切るガソリンエンジン・FWDのグレードも存在したが、新型はハイブリッドのZ(490万円)に比べて装備が簡略化されたエントリーグレードとなるアドベンチャーでも450万円である。
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見た目よりも中身が違う
新型RAV4のフロントまわりはもうすっかり見慣れたハンマーヘッド顔に一新されたが、ヒット作の従来型を踏襲すべく、ホイールベースなどの基本ディメンションは変わらない。
いっぽうカウルを40mm低めたというダッシュボードはシンプルな直線基調デザインに変更されて見晴らし良好。トリムの樹脂材そのものの見栄えや手触りなどは割り切りがうかがえるもので、よく言えば簡潔でシンプル、悪く言えばビジネスライクでややチープな雰囲気だが、物理スイッチも適度に残されており、アドベンチャーでは一般的なシフトレバーが採用されていることもあって(他のグレードは電子制御式の小さなレバー)戸惑うことなく操作できる。新しさも演出しながら先進的すぎないバランス感覚はさすがベストセラーである。室内は十分に広く、もともと大きかったラゲッジスペースの容量は749リッターへとさらに拡大(+16リッター)している。
ソフトウエア開発のプラットフォームである「アリーン」を初採用したことも新型RAV4の特徴だ。ひと昔前なら最新技術はまず「クラウン」に投入するのが常識だったものだが、今や売れっ子のRAV4が担う(ただし全面的ではないという)。どれがアリーンの成果かと指摘するのは難しいが、ひとつ発見したのは他のモデルにも採用されているプロアクティブドライビングアシスト(PDA)の減速制御が緻密になっていること。前走車との車間を保つ様子にもほぼ違和感がない。
2.5リッター直4エンジンは最高出力が186PS/6000rpmにわずかにアップ、最大トルクは変わらず221N・m/3600-5200rpm、同じくパワーアップしたフロントモーターは136PS(リアモーターは54PSと不変)でシステム最高出力は先代ハイブリッドの222PSから240PSに向上している。そのうえでWLTCモード燃費(22.9km/リッター)も10%改善しているのはさすがである。
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隙のない出来栄え
上記の数値以上に、実際の走行中の微妙なスロットルやブレーキ操作にもリニアに反応するようになったことがうれしい。さらにビーンとエンジンがかかった途端に興ざめするという、この2.5リッターハイブリッドシステムの弱点がほとんど気にならなくなった(踏みっぱなしで山道を登るなどの場面を除けば)。軽快なドライバビリティーにまずまずフラットな乗り心地も含めて、トヨタの現行ハイブリッド車のなかでベストではないかと思えるほどの洗練度である。
安全運転支援システムはアドベンチャーでも完備しており、信号が変わったことも後方から車両が接近していることも、よそ見をしても細かく(うるさく?)注意してくれるほど至れり尽くせりである。アドベンチャーを名乗るとはいえ、これで本格的なオフロードに踏み入る人はいないと思うが、たまにキャンプやスキーに出かけるような使い方を考えても明らかな欠点は見当たらない。実用的なファミリーSUVとしてまさに隙のない完成度である。
(文=高平高輝/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝/車両協力=トヨタ自動車)
テスト車のデータ
トヨタRAV4アドベンチャー
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4620×1880×1680mm
ホイールベース:2690mm
車重:1710kg
駆動方式:4WD
エンジン:2.5リッター直4 DOHC 16バルブ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:186PS(137kW)/6000rpm
エンジン最大トルク:221N・m(22.5kgf・m)/3600-5200rpm
フロントモーター最高出力:136PS(100kW)
フロントモーター最大トルク:208N・m(21.2kgf・m)
リアモーター最高出力:54PS(40kW)
リアモーター最大トルク:121N・m(12.3kgf・m)
システム最高出力:240PS(177kW)
タイヤ:(前)235/60R18 103H XL/(後)235/60R18 103H XL(ダンロップeスポーツマックス)
燃費:22.9km/リッター(WLTCモード)
価格:450万円/テスト車=469万8000円
オプション装備:ITSコネクト(2万7500円)/パノラマムーンルーフ<チルト&スライド連動、挟み込み防止機能付き>(14万3000円) ※以下、販売店オプション フロアマット<デラックスタイプ>(2万7500円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:1852km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(7)/山岳路(1)
テスト距離:303.1km
使用燃料:--リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:16.7km/リッター(車載燃費計計測値)

高平 高輝
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