ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン(FF/CVT)
存在感で勝負 2026.10.03 試乗記 フロントグリルとメッキパーツの面積が大きくなって迫力が増した最新の「ホンダN-BOXカスタム ターボ」に試乗。マイナーチェンジで進化した内外装の仕上がりと、軽四輪車の販売で11年連続の首位を誇る“絶対王者”の走りを報告する。ホンダが誇る「NIPPON NORIMONO」
「NEW NEXT NIPPON NORIMONO」を掲げて2011年に登場したホンダの「Nシリーズ」。その第1弾が、スーパーハイトワゴンのN-BOXだった。
それから15年近くがたち、N-BOXは文字どおり日本の乗り物と呼べる存在になった。2025年の販売台数は20万1354台で、軽四輪車では11年連続の首位。登録車を含む新車販売台数でも2022年から4年連続でトップに立っている。振り返れば、発売翌年の2012年には軽自動車で2位となり、2013年に初の首位を獲得。2014年こそ2位となったものの、2015年以降は一度もトップを譲っていない。
「NEW NEXT NIPPON NORIMONO」という言葉が、単なるキャッチコピーではなくなったのである。
現在販売されている3代目は2023年10月に登場し、2026年7月にマイナーチェンジを受けた。シリーズにはベーシックなN-BOXのほか、アクティブな印象の「N-BOXジョイ」、そして力強いデザインのN-BOXカスタムがあり、さらに細かな仕様違いまで用意されている。これだけ豊富なバリエーションを展開できるのも、数が売れるモデルならではだろう。ちなみにN-BOXシリーズは2026年4月に累計販売300万台を突破している。
今回は押しの強さが自慢のN-BOXカスタムのなかから、「N-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン」に試乗した。
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押しの強いデザインが好まれる!?
N-BOXやN-BOXジョイが丸形のヘッドランプを採用する一方、N-BOXカスタムはシャープな形状のランプと大きなグリルなどを採用し、いわゆる「カスタム系」と呼ばれる独自のキャラクターを打ち出している。
2026年7月のマイナーチェンジでは、その方向性をさらに明確化。クロームメッキを大胆に使った大型のグリルや、一文字に伸びるフロントアクセサリーLED、スクエア形状のフォグランプなどを用いて、迫力路線に回帰した。リアまわりも専用コンビネーションランプやボディー同色のリアバンパーなどによって、より力強いデザインに仕上げられている。
いまどきは、こうした押しの強いフロントマスクが受けるのだろう。以前はN-BOXカスタムでしかターボエンジンを選べない時期があり、おとなしいデザインでターボがほしいという少数派には悩ましいところだった。しかしN-BOXジョイの追加によって、現在はN-BOXカスタム以外でもターボを選べるようになったのは朗報だろう。
それはさておき今回のコーディネートスタイルの場合、メッキがギラギラと輝くシルバーではなくダーククロームなので、グリルやメッキの面積が大きくなっても派手すぎないのがいい。試乗車はルーフをブラックとした2トーン仕様。A/B/Cピラーも黒く見えるため、全高1790mmのスーパーハイトワゴンでありながら、実際よりも背が低い印象を受ける。
ところがドアを開け、ベンチシートの運転席に収まると、その印象は一変する。頭上には呆れるほどの空間があり、ルームミラーもずいぶん遠くに見える。あらためて室内を眺めれば、黒のプライムスムースシートがなかなかスタイリッシュ。ダッシュボードやドアトリムなども黒で統一され、落ち着いた雰囲気にまとめられている。
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ふだん使いに余裕ある性能
まずはドライビングポジションを合わせる。ステアリングホイールはチルト調節が可能だが、テレスコピック機構がないのは個人的には残念だった。一方、センターパネルには何の変哲もない操作パターンのシフトレバーが備わる。先進性を演出した操作系が珍しくない現在では少々地味にも映るが、見れば使い方が分かり、戸惑うことなく操作できるという意味では大歓迎だ。
そして、いざ走りだしてみると、不満はステアリングホイールの調整可動域くらいしかないことを思い知らされる。例によって、搭載される660ccの直3ターボエンジンは最高出力が64PS。最大トルクは2600rpmで104N・mを発生するが、CVTとのマッチングがいいこともあって、低回転から不満のない加速をみせる。
アクセルペダルに対する反応も良好で、加減速の多い街なかでもストレスを感じることはない。気になったのは、1500rpm付近で多少こもり音が聞こえることくらいだった。
高速道路への合流などでアクセルペダルを深く踏み込むと、2000rpmあたりから活発になり、3000rpmを超えるとさらに勢いに乗る。加速が続く場面では5000rpm以上をキープすることで余裕ある速さを披露。さすがに登り坂ではもう少し力強さがほしいと思う場面もあるが、それでも比較的平坦な道路を走るかぎり、動力性能は十分である。
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日本の生活に根ざしたファミリーカー
背が高いクルマだけに、乗る前は走行安定性に多少の不安があった。しかし、そのあたりの対応にも抜かりはない。
N-BOXカスタム ターボは十分にマイルドな乗り心地を保ち、コーナリングでは背の高さなりのロールを見せるものの、安定感は十分。大きなキャビンを持ちながらボディーのしっかり感もあり、見た目以上に落ち着いた挙動には頼もしささえ感じる。
そして、N-BOXを語るうえで外せないのがキャビンの広さだ。後席については、頭上の余裕はいうまでもなく、足元にもたっぷりとしたスペースが確保されている。全長がたった3.4mというのが信じられないほどだ。しかも、単に広いだけではない。後席にはスライドやリクライニング機構があり、シートバックを倒して荷室を拡大できるのはもちろん、座面を跳ね上げれば後席部分に背の高い荷物を積むことができるなど、実に気が利いている。
個人的には、これほど高くて広い荷室が本当に必要なのかと思うところもある。しかし、「塾帰りの子供を自転車と一緒に載せることができるスペースを確保した」と聞けば、納得がいく。日々の暮らしのなかで実際に起こりうる場面から、必要な空間や機能を導き出しているわけだ。
全長3.4mの軽自動車規格に収まるサイズでありながら、広大なキャビンと多彩なシートアレンジを備え、そのうえ走りにも大きな不満がない。N-BOXがこれほど長く支持されている理由は、日本でクルマを使う人が必要としている要素を、限られたサイズのなかに丹念に詰め込んでいるからだろう。その積み重ねによって、N-BOXは真の「NIPPON NORIMONO」になったのである。
(文=生方 聡/写真=花村英典/編集=櫻井健一/車両協力=本田技研工業)
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テスト車のデータ
ホンダN-BOXカスタム ターボ コーディネートスタイル2トーン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1790mm
ホイールベース:2520mm
車重:950kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64PS(47kW)/6000rpm
最大トルク:104N・m(10.6kgf・m)/2600rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)165/55R15 75V(ダンロップ・エナセーブEC300)
燃費:20.3km/リッター(WLTCモード)
価格:265万8700円/テスト車=278万1900円
オプション装備:ボディーカラー<プレミアムサンライトホワイト・パール&クリスタルブラック・パール>(2万2000円) ※以下、販売店オプション ドライブレコーダー<前後2カメラ>(7万0400円)/フロアマットカーペット<プレミアム>(3万0800円)
テスト車の年式:2026年型
テスト開始時の走行距離:1935km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2)/高速道路(6)/山岳路(2)
テスト距離:335.6km
使用燃料:24.1リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:13.9km/リッター(満タン法)/15.3km/リッター(車載燃費計計測値)

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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