BMWもいよいよFF車導入へ【パリサロン2012】
2012.10.04 自動車ニュース【パリサロン2012】BMWもいよいよFF車導入へ
2012年のパリモーターショーで、BMWは同社の歴史に残るであろうニューモデルを発表した。いよいよFFの2ボックス車という「禁断の果実」に手を染めたのだ!
■「前輪駆動のBMW」が現実に
BMWのメインステージを飾ったのは「コンセプトアクティブツアラー」。BMWにとって初めてとなる小型MPV(マルチパーパスビークル)のコンセプトカーだ。
全長4353×全幅1834×全高1560mmmm、ホイールベース2670mmのボディーサイズからお分かりのとおり、「メルセデス・ベンツBクラス」の対抗馬となりうるクルマである。インテリアはまだショーカー然としたものだが、近い将来商品化されることは間違いない。
エクステリアは、深いエッジで存在感を高める最近のBMWに共通するデザインを採用する。奇をてらったディテールに頼ることなく個性を主張している。キャビンやリヤまわりは「X1」などBMWのSUVに通じる意匠が採用される。「Bクラス」に比べると、アグレッシブで若々しい印象だ。
BMWが小型MPV市場に参入するというだけでも十分驚きに値するが、本当の衝撃はパワートレインにある。なんと、フロントエンジン・フロントドライブ、つまりFFを採用したのだ。もちろんBMWブランドとしては初めてのこと。ついに「禁断の果実」に手を出したというわけだ。
プラグインハイブリッドシステムを搭載するコンセプトカーは、後輪をモーターで駆動する4WDという想定だが、「コンセプトアクティブツアラー」が市販されたあかつきには、フロントにエンジンのみを積んだFF仕様が主流となるのは間違いないだろう。
エンジンはコンセプトカーの「i8」でその存在が明らかにされた1.5リッター直列3気筒ターボ。バルブトロニックとターボが装着された、BMWグループの明日を担う新世代エンジンだ。リアに搭載した20.4kgmのモーターと合わせたシステムの総出力は190ps。0-100km/h加速8秒という走行性能を有しながら、平均燃費40km/リッター以上、CO2排出量60g/km以下という優れた環境性能を持つとされる。ちなみに、バッテリーのみのEV走行は20kmと発表されている。
FRレイアウトや前後50:50の重量配分にこだわり、またそれを強みとしてブランドを確立してきたBMW。果たして同ブランド初のFFはどのような走りを見せるのか。また、今後のブランド戦略にどのような影響を与えるのか。興味は深まるばかりだ。
■MINIはますますバリエーション豊かに
MINIの目玉は7番目のラインナップとなる「ペースマン」。2011年のデトロイトモーターショーで公開されたコンセプトモデルの市販バージョンだ。
その姿からわかるとおり、「カントリーマン」(日本名:クロスオーバー)の2ドアバージョンである。ドアが2枚少ないだけでなく、なだらかに下がるルーフラインや傾斜角の強いリヤテールゲートなどで差別化し、クーペ風の軽快感を出している。サスペンション高が低められており、その分車高も若干低い。全長や全幅はほぼカントリーマンと同じだ。
エンジンは1.6リッター直4ガソリン(122ps)、1.6リッター直4ガソリンターボ(184ps)、1.6リッター直4ディーゼルターボ(112ps)、2リッター直4ディーゼルターボ(143ps)の4種類。エンジンによっては「ALL4」と呼ばれる4WDシステムが選べるのは「カントリーマン」同様だ。
「大きなMINIなんかミニじゃない」なんて声が聞こえてきそうだが、「MINIブランドのクルマは好きだけれど、今あるモデルはちょっと小さい」という意見があるのも事実。「ペースマン」の誕生はそういう声に応えた商品であり、MINIというブランドが十分認知された証ともいえる。内心複雑なミニフリークの方もいらっしゃるかと思いますが、ミニの成功と成長を暖かく見守ろうではないですか。
また、先代にも設定された「MINIジョンクーパーワークスGP」の市販モデルも出展されていた。シリーズ最強の218psの1.6リッター直4ターボエンジン、調整式のサスペンション、強化ブレーキ、2シーター化を含めた軽量化などにより、ニュルブルクリンク北コースを8分23秒で走り抜ける実力を持つ“スーパーMINI”。世界でたった2000台の限定販売で、年末からデリバリーが開始される。
(文と写真=新井一樹)
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