「三菱RVR」復活 新型はコンパクトSUVに
2010.02.17 自動車ニュース「三菱RVR」復活 新型はコンパクトSUVに
三菱自動車は、2010年2月17日、コンパクトSUVの「RVR」を発表、同日より販売を開始した。
■装い新たに
2002年後半から販売が途絶えていた三菱のトールワゴン「RVR」が、コンパクトSUVとして装いも新たに登場した。全長4.3mのコンパクトなボディに、見晴らしの良いキャビンや十分なラゲッジスペースを確保。SUVならではの高い走破性も手に入れ、あらゆる場面で活躍が期待されるアクティブなクルマに仕立て上げられている。
パワートレインは全車に1.8リッター“MIVEC”エンジンとCVTを搭載。ボディの軽量化や空力性能の向上などとあいまって、10・15モード燃費はFF仕様で15.2km/リッター、4WD仕様でも15.0km/リッターを達成。全車エコカー減税(50%減税)の対象となった。
ラインナップはFF、4WDともにE、M、Gの3グレードが用意され、価格はE(FF)の178万5000円からG(4WD)の244万9650円まで。
■「コンセプト-cX」が起源
新型「RVR」のエクステリアは、2007年のフランクフルトショーや東京モーターショーに出展された「コンセプト-cX」の流れを汲むもの。全長4295×全幅1770×全高1615mmのコンパクトなボディと前後のオーバーハングを切り詰めたスタイルがSUVらしいアクティブな印象を与えるとともに、三菱のアイデンティティといえる「ジェットファイターグリル」が施されたフロントマスクが、力強さや精悍さをアピールしている。
コンセプト-cXでは上下分割式だったテールゲートは、RVRでは跳ね上げ式に改められた。このテールゲート、ボディパネルの板厚を適正化することで、上級モデル「アウトランダー」のものよりも1.0kg軽いという。同様にボンネットは2.5kg、ドアは成型方法の変更とあわせてトータルで約7.6kgの減量に成功。さらに、フロントフェンダーを樹脂製とするなど、軽量化に余念がない。
一方、インテリアは、黒を基調としながら、シルバーのアクセントを施したり、ソフトパッドを配置することにより、「質実剛健なスポーティさと上質の融合」を目指したという。
■エンジンは1種類、FF車も用意
パワートレインは、すでに同社の「ギャランフォルティス」に採用されている1.8リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載。吸排気カムシャフトに連続可変バルブタイミング機構の“MIVEC”を採用するこのエンジンは、最高出力139ps/6000rpm、最大トルク17.5kgm/4200rpmの性能。これに、擬似6段のマニュアルモードを備えるCVTが組み合わされる。
駆動方式は、電子制御カップリングを用いた4WDに加えて、FF仕様も用意されている。4WDではコクピットのダイヤルによりFWDと4WDの切り替えが可能。また、悪路走破性を高めるために後輪への駆動力配分を増やす“4WDロック”モードも用意される。
ギャランフォルティスと同じように、このRVRでも減速時に発電を重点的に行うことで燃料消費を削減する“減速エネルギー回生システム”が採用されている。さらに、ボディの軽量化や空力特性の向上なども手伝い、10・15モード燃費は、4WDモデルが15.0km/リッター、FFモデルでは15.2km/リッターを達成する。
■割安感のある内容
機能性重視の装備も魅力的だ。たとえば、6:4分割のリアシートは、2段階のリクライニングが可能なうえに、シートバックを倒した状態から起こす際に、ゆっくり起こすとリクライニングの前の位置、速く起こすと後ろの位置にセットできる“アジャスタブルリターンシート”を採用。一方、リアシートを起こした状態で419リッターのスペースを誇るラゲッジルームは、折り畳みおよび取り外しが可能なフロアボードを備え、フロア下のスペースを有効活用できる。
三菱としては初めて、プッシュ式のエンジンスターターを採用。広い照射角が自慢の“スーパーワイドHID”も、ドライバーにはうれしい装備だ(いずれもGに標準、Mにメーカーオプション)。最上級グレードのGでは、ルーフレールとセットで固定式の大型ガラスルーフが選択可能である。
一方、安全デバイスでは、運転席&助手席エアバッグに加えて、運転席ニーエアバッグが標準装着となる。サイドエアバッグとカーテンエアバッグは全車メーカーオプション、アクティブスタビリティコントロールが4WDモデルのみに標準というのは少し残念だが、それでも、内容を考えると割安感のある新型RVR。燃費が良く、取り回しが楽なコンパクトSUVが好まれるだけに、「SUVの三菱」の復活に大いに貢献することが期待できる。
(文=生方聡)